社会問題はなぜ解決されないのか?からうまれた【社会問題発見型ツアー】Thein Tun Thitsar Int代表中原氏が手がけるスタツアとは

 

アジア最後のフロンティアで知られるミャンマー。その地で他とはひと味違うスタディーツアーを開催している中原氏。なぜ社会問題が本当に問題なのかを考える必要があるのか。ツアーを開催することで描きたい未来とは。スタディーツアーの詳細、中原氏の想いを伺った。

 

《プロフィール|中原一就氏》

上智大学卒業後、日本の自給率向上のために北海道で栽培方法を習得。その後、農業の課題は流通にあると感じ、農産物直売所でマネジメントを経験。2013年にある医師との出会いでインフルエンザの薬の原料となる八角を栽培するためミャンマーへ。2017年にThein Tun Thitsar Int. Co., Ltd.を設立。社会問題発見型ツアーをメインに、流通業、語学学校など様々なビジネスを展開している。

 

社会問題を本質から掘り起こすツアーとは

 

ー開催されているツアーの概要について教えてください。

僕らが提供している社会問題発見型ツアーは「その社会問題が本当に問題なのか?」と問うことから始まります。世の中には数多くの社会問題がありますが、根本的な問題を捉えられている人はどれだけいるでしょうか?我々はこのツアーを通して参加者のみなさんに「問題の本質を理解すること」から社会問題と向き合ってほしいと考えています。ツアーの流れを簡単に説明すると、実際に現場に足を運び、問題の本質まで考えを深めるディスカッションをしていただきます。話し合いででた課題を構造化したのち最後は解決策まで出しあってもらいます。

 

ー課題を定義して構造化していくということは簡単ではないと思うのですが、どうやって行うのでしょうか。

1人では絶対にできなくて、3~4人でポジショニングトークしてもらっています。僕自身1人で考えていたことがあったのですが、問題だと思っていたことを人に話していくうちに、それほど問題ではないかもしれないと気づいたのです。その後、2人で話すようになったのですが、話す相手が似た考えを持った人だったので同じような意見しかもらえませんでした。そこで、話す相手には同意見だったとしても反対の意見を言ってもらうようにして、ディスカッションの価値を高めていきました。それ以来この方法を取り入れています。

 

ーこのスタツアのターゲットはどういった層の人ですか?

学生はもちろんなのですが、働き出した大人の方にももっと参加してもらいたいと思っています。働き出すと、仕事に労力を奪われて学ぶ機会が少なくなります。だからこそ、ツアーを通して今わたしたちが生きている社会がどうなっているのかを学ぶきっかけにしてほしいと思っています。

 

ーこれまでどのぐらい開催されてきたのですか?

これまで日本に住む高校生・大学生を対象に、計4回開催してきました。また、先日は在住の日本人向けにもやりました。在住の日本人向けのツアーはこれから毎月開催したいと思っています。ミャンマーで多く見かけるストリートレンダーズという路上で食べ物などを販売している人の生活実態、人口中絶を禁止されている国で闇医者のもとで胎児をおろしている人など、ライトなテーマからディープなテーマまでを取り上げて、他のスタディーツアーではなかなか扱えないトピックを取り上げようと考えています。

 

ー社会問題に関するスタディーツアーはたくさんありますが、社会問題が本当に問題かどうかまで考えるツアーは少ないとも思います。なぜそこに着目したのでしょうか。

前職のNPOで反省したことを活かしています。問題の本質をつかみきれていない状態で社会問題を解決しようとした結果、解決策も的外れなものになってしまうんです。そのためいつになっても適切なアプローチがとれないということを見てきました。この経験から、時間をかけて問題の本質をとらえ、課題を設定した上でアプローチしていかないと時間やお金の浪費になってしまうことを学んだのです。場合によっては新たな社会問題をつくっていくことになります。

このツアーでは実際に現場に行って何が問題なのかを考え、課題を設定してもらうことに重きをおいています。

友人がホームレスになったことがきっかけで

 

ー社会問題のツアーをやろうと思ったきっかけは何でしょうか。

もともと困った人を助けたいという想いがあって中学・高校の頃から人助けを通して課題解決をしていました。「困ったことや、悩みがあったら何でも言って」と先生や生徒に言っていたので、誰かが探しものをしていたら手伝ったり、学校行事で人手が足りなかったら率先して役割を担ったりするなど、人のためになることはたくさんしてきました。

社会問題」をつよく意識するようになったのは、大学時代に友人がホームレスになったことがきっかけです。彼女のために、僕も自分のことのように一生懸命動いたけれど、知れば知るほど一人でできることの限界にぶち当たった。その経験から「なぜ社会問題は解決しないのか」ということに興味をもちはじめました。

 

ーその頃から将来どのようにして社会問題にアプローチしようか考えていたのでしょうか。

正直なところ具体的には決まってはいませんでした。しかし、多くのことを経験して僕なりに考えた結果、今やっている社会問題発見型ツアーが社会問題を解決していくための一つのアプローチだと思っています。

社会問題ってなくらないものだと思うんですよね。でも、何で社会問題が発生したのか、何が問題なのか、どうしたら解決するのかをみんなが考える社会になれば、そのたびに解決されると思うんですよね。だから、ツアーなどを通してそういうことを考えられる人を増やし社会問題が解決される社会をつくることが僕のミッションです。

 

ミャンマーにとどまらず世界中の社会問題を解決していくために

 

ー5年後、10年後のプランを教えてください。

3年以内で今の事業を安定させ、スウェーデンに留学して国際関係学や平和学を学ぶ予定です。なぜなら、社会問題を扱っていくとナショナルとグローバルな問題があって、各国共通の問題を解決したいときに、インターナショナルな問題を扱っている国連と連係をとらなければなりません。しかし、国連と話をするには最低でもマスターをもっていないと話はしてくれないので、そのために国際的な機関でマスターを取ろうと思っています。

そして、10年以内にはミャンマーを離れ、国連とコミュニケーションをとりながら社会問題の情報を共有し、課題解決に取り組める仕組みをつくり、世界中の問題を解決していきたいと思っています。

 

ー話を聞いているとやりたいことから逆算し常に物事に取り組んでいる印象をうけたのですが、どうやったら中原さんのように動けますか。

足を動かすことだと思います。20代は色んなことに挑戦して可能性を広げられる機会がたくさんあると思っています。自分がやりたいことが既にあるなら話は別ですが、ないのであればとにかく目の前にあるチャンスには直ぐに足を動かしてみることが大事だと思います。僕も足を動かしていくうちに自分がやりたいことを絞ることができました。

僕はもともと周りの環境を言い訳にしてチャレンジしない人でした。しかし、学生の頃に好きだった人がどんどんチャレンジしていく子だったので、その子の影響を受けて今まで足を動かしてこれたと思っています。その出逢いが大きかったです。恋をすれば、原動力もえられると思うので恋をすることもオススメします。「恋せよ乙女、愛せよ男児」。(笑)

 

スタディーツアー情報

 

ツアーの情報は下記のページから確認できます。

早速近々、ツアーが開催されるそうです。

ゴミ/環境問題、障害者理解への取り組み、など社会問題に興味がある方は下記から要チェック!

 

ツアー情報はこちらから

https://www.facebook.com/theintunthitsar/?fb_dtsg_ag=AdyRzqnhCvKNy6eX8HRYlCeBaAn4agvs0BvahzRmf_mGfw%3AAdx5MfC_GAXp8V6YNkbHaSvZhsOhlWiWgLkp9REpIs7cgg

 

編集後記

社会問題に本気で向き合っている中原さんの話をお聞きしている時、本当にこの世から社会問題は減っていくのではないのかと感じました。私は現在ミャンマーに滞在していますが、住めば住むほどミャンマーという国を好きになっていくほどミャンマーは魅力的な国です。その一方で社会問題もたくさん抱えています。社会問題に興味がある方は、ぜひ中原さんのツアーに参加して「本当にその社会問題は問題なのか」というところから考えを深めるきっかけにしてほしいなと思います。