日本の教育改革をASEANから。IT・英語・ビジネスで世界へ挑む若者を。/アクトハウス 清宮雄氏

フィリピンのセブ島で「IT×英語×ビジネス」がコンセプトのアクトハウスというユニークな留学を提供している清宮氏。海外で活躍するフリーランサーや起業家を多く輩出し続けているアクトハウスの原点や日本の教育制度への疑問、清宮氏の思いを取材した。

≪プロフィール|清宮雄さん≫

株式会社カグラ代表取締役社長。セブ島留学アクトハウス・マネージャー。マーケティング・Web 業界にて15年以上のキャリアを持ち、経営/営業/アカウント/ブランディング/マーケティング/SEO/Web/デザイン、とその造詣は深く広い。長きに渡りナショナルクライアントの担当・実務経験も多数。Web業界には黎明期から入り込み、前述の多彩なジャンルでの経験を積んだ後、独立系プロダクションでのアカウント/マーケティング統括本部長、執行役員を歴任。現在はIT留学・英語留学、そしてビジネス留学のフィールドまで網羅するアクトハウス運営の株式会社カグラ代表とセブ島統括マネージャーを務める。洞察力とヒアリング力、分析力と企画力で積み上げる緻密な「課題解決のロジカルシンキング」は、ITという枠にとどまらない、すべてのビジネス、生き方において通ずるメソッドである。

葛藤の20代、日本の教育制度への疑問

ー 株式会社カグラの事業内容を教えてください。

2つあります。1つはアクトハウス(海外留学事業)、もう1つがITソリューション事業です。海外と日本にそれぞれの事業を所管する代表者がいます。

 

ー2つの一見違う事業を1つの会社でやっているのはどうしてですか?

業務の多角化をすることで、従業員や会社を守るためのリスクヘッジをしています。先日、フィリピンのミンダナオ島でテロがあったときも、多くの語学学校で問い合わせが減ったそうなんですよ。そういった不測の事態はロンドンやアメリカでもあったりするし、海外事業はそのようなリスクがある。

日本と海外の二つの軸で、それぞれ代表がいるほうがどちらか一方が事業拠点を行き来せずに済みますし、二つの事業は似て非なるものであったりもするため、共同代表という形にしています。一見つながりはないですが、実はITという部分では繋がっているんですよ。

 

ー 共同代表者と知り合ってから一緒に会社を立ち上げるまではどのような経緯だったんですか?

起業する前、共同代表者の新村はエンタープライズ領域のITソリューション事業で取締役を、僕はフロントエンド領域でブランディング・マーケティング系の会社で執行役員をやっていました。役員にもなると、上が社長しかいなくなり、社長は簡単に変わるわけではないので、それ以上は上がれない立場まできてしまった。その時期が2人ともちょうど重なっていたんです。だから一緒に起業しました。

 

ー 前職を辞めて会社を立ち上げるにあたって、なぜ東南アジアで留学事業(アクトハウス)を始めようと思ったんですか?

起業してすぐのときは全く海外のことは考えてなかったんです。7年くらい前から東南アジアは注目してはいたんですけどね。ただ、市場としてはまだまだだなと感じていたり、どうやればいいかわからず知り合いもいなかったので、現実的には捉えていませんでした。それゆえ最初は渋谷で小さなコワーキングスペースを運営していました。

そしたら、著名な企業経営者や翻訳家の方々が来られるような、隠れ家的コワーキングになったんです、すっごい狭いのに(笑)そこで「こういうアプリがあったらいい」とか「今こういうITの波もきてるから、こういうことやったほうがいいよ」などの話をたくさん聞かせていただけました。その中に海外経験のある方もいて、マニラの不動産会社の社長さんから「セブに語学留学のマーケットがあること」「そもそもフィリピンが熱い」という話をしてもらっているうちに、東南アジアに挑戦することが具体性を帯びてきたんです。

 

ー 事業の一つとしてやっていたコワーキングスペース運営の中で偶然生まれた事業だったんですね。

そうですね。フィリピンのセブ島で「IT×英語×ビジネスの留学」って、だいぶミクスチャーな発案ですよね。コワーキングスペースに来てくれた方々からいただいた、それぞれのジャンルや情報を紡ぎあわせ、こういうふうにしたらいいんじゃないかという積み重ねから生まれたんです。

でもこれって、とてもソーシャル・ネットワーキングな時代を反映したやり方だったんじゃないかと思います。お互いの知識や経験をシェアしてやっていく。こういう「シェア」って、よく言われるスタイルですけど、理想からの実現はなかなか難しい。でもコワーキングというフラットな空間を提供できていたからこそ、たまに会って話せるから、理想的な空間ができたんだと思います。ITと学校、自分のキャリア、日本の教育制度の課題など多方面から絞り込んでいきました。

 

ー そうなんですね(笑)ところで、20代はどんな風に過ごされたんですか?

若いうちにできることをやっておこうというより、その年齢でできることを夢中にやってきました。ですので、悪く言えば無計画。そういう意味では20代は葛藤することのほうが多かったです。途中でバイトをしてみたり、当時勤めていた広告会社でもスキルがないため、何もできず、うまくいったりいかなかったりと。20代は野望はあっても言語化・具体化できておらず、ダメダメでした。それは「ビジネスで大事なこと」「マインドの持ち方」「そもそものスキル・知識」を持っていなかった、というよりそういうものが存在することさえも分かっていなかったんです。もちろん学校でもそういった勉強はやらなかった。

そこから30歳を過ぎて「いい加減やばいぞ」となり、当時勤めていた会社でいったんはクビ寸前まで行きつつも、少しづつスキルアップし、誰よりも働き、時にバカにもされながら役員まで昇格させてもらいました。

僕が遠回りしてからやっとわかった、仕事に関することや少ないヒントを生かすコツ、さらには日本でサラリーマンをやった後でも海外で事業をやれるというノウハウ。これらを、かつての自分と同じように「夢や野望を言語化できないが、何かやってみたい。けど何からやっていいかわからない」という若い人たちに共有していきたい。

また、学校事業という選択おいては日本の現在の教育についての疑念があった。一生懸命大学まで行っても、社会に出て使える「スキル」というのはなかった。ビジネス、お金、マーケティングにプログラミング、英会話などの現代的な勉強はそもそも盛り込まれていない。その想いと、共同代表の新村との出会い、そしてコワーキングでの縁、さらに自分は旅が好きで海外に住んでみたいと思っていたので、フィリピンでアクトハウスを立ち上げることになりました。

 

ー ご自身の20代での葛藤や失敗、日本の教育制度への疑問が、海外で活躍する人材や起業する人材を育てたいという想いになったんですね。

努力している途中はわからなかったけど、過去を振り返ってみるとこれまでの葛藤や失敗の経験が今につながってるんです。僕はマンモス大学の文系学部出身、エリートでもなんでもないんです。クリエイティブな勉強もしてみたんですけど実践を知らないんで、手も足も出ないんですよ。社会人になっても、ビジネスについて何も知らない状態で入ったので、たくさん失敗しました。

そんな僕みたいな人は、いっぱいいるかもしれない。ただ、そのままふわっと、なんとなく日本で就職しようという人が多いと思う。僕もそうで、就職して、転職してダメで。そうこうしてるうちにあっという間に29歳になって。

そしてグローバル化が急速に進行している世界を見たとき、日本人が受けている学校教育を変えていかなければならない、と考えるようになりました。これは日本の学校が悪いということも一概に言えず、教育への財政支出が先進国のなかで低い我が国の体制や、学習指導要領についての課題など問題は多岐に渡ります。ひるがえって、スウェーデンの先進的な教育、アメリカの若手起業家への理解、猛追する中国の次世代育成方針などを鑑みても、世界との差は開くいっぽうです。

アクトハウスは、わかりやすく伝えるために「留学」という言葉を使ってますが、どん底からの突破力をつけるトレーニングジムという方があってますね。だから期間も長いんです。1ヶ月の英語留学とか、2週間でもOKとかじゃないのはそういう理由です。実際は人生変えるのには、6ヶ月でも短いくらい。そこを無理して、一気にやっていきます。ハングリーな人たちだらけのASEANの熱も感じながら、やってみて欲しいですね、勉強を。

 

高度経済成長期の日本と重なるASEANに触れてほしいという想い

(ビジネス講座をしている様子)

ー セブで立ち上げたのはなぜですか?

場所はASEANエリア、その中でも日本人にとって行きやすいのはセブという情報をもらえたからです。また、フィリピンは英語を話してもややゆっくりで聞き取りやすいですし、親日な部分も多い。また、シンガポールやマニラよりお金がかからず、治安もよさそうなところ、というのも理由でしたね。

 

ー ASEANに触れてほしかったんですか?

はい。というか知っておくべきマーケットとして、ASEANはマストなのではないでしょうか。せっかく日本を飛び出してアクトハウスに来るということは、ASEAN地域で暮らす、ということ。セブ島からどこかに旅行に行くのは歓迎していて「留学中、さらに海外へ出かけるのもいいね」というスタンスです。

この前もアクトハウスの生徒何人かでシンガポールや香港に行っていました。うちの「ITと英語とビジネスが大事」というのは共感できたけど、アジアという地域にはそこまで惹かれなかったという生徒に「とりあえずセブに来ちゃったけど、どうやらアジアって熱いし面白いかも」と思ってほしいんです。

まずはマーケットとして、どこかの市場に注目できないとビジネスを考える歯車が周っていかないからですね。

ー ASEANは魅力的だと感じますか?

指数関数的に激変している市場ですから、注目しておかないと後悔しますよね。今後大きく成長していく1番身近な場所はASEANです。シェアを拡大しているLCCのおかげで移動のコストも低い。あと、人口の多さも魅力の1つですね。

EUやNAFTAの総人口をゆうに越える6億人マーケットのASEANは、ビジネスをスタートするのにうってつけです。そのなかで、ミャンマーやベトナムの「陸のASEAN」でなく「海のASEAN」の中核であるフィリピンには大きな伸びしろがあると思うんです。

平均年齢が20代前半という人口面でのアドバンテージに加え、今後10~20年で全人口の7割が中間層になると言われています。インドと中国に挟まれたASEANは、活発化するマネーの通り道であるという、地理的な優位性もある。セブはマニラも東京もシンガポールもマレーシアも近く、しかも物価は安く20代でも暮らしやすい。文化や人種、宗教が混在するモザイク国家の集合体でもあるASEANは、まだまだ参入障壁が高いというのも魅力。

それと、今のASEAN全体が、高度経済成長期からの日本の成長曲線と重なるんですよね。ミャンマー、ラオスはまだこれからの段階、けどフィリピンはもう少しだけ先に行っていて、シンガポールやマレーシアはその先を行っている。

あえて「ASEANを1つの国」と考えてもらえれば、昔の日本とそっくりです。まだまだ各国には課題、つまりビジネスチャンスがありますから、日本人の真面目さと発想をもって、英語力とITスキル、ビジネススキル、そして勇気を身につければいくらでも海外でやっていけると思いますよ。

 

すべては基礎となるビジネススキルがあってこそ。英語やIT等の専門スキルだけでは足りない

(実際に生徒さんが開催したIoTイベントの様子)

ー アクトハウスでは、英語やITだけでなくビジネスを学べますね。なぜビジネスを学べるようにしたのですか?

やはりビジネススキルこそが日本の学校で実践的に学べない領域であり、社会に出ていきなり「やってよ」と言われる壁であり、最も重要なスキルだからです。20代ってどうしても物事への水平思考や垂直思考といった考え方、ビジネススキルが圧倒的に足りない。プログラミングや英語は技術であり、覚えるもの。それはもちろん大事だけど、一方で社会に出て必要だと痛感したのは、ビジネススキルであり人間力でした。

だから僕がアクトハウスを他の学校と一番差別化したい点は、ITと英語、デザインやマーケティングをインプットしたうえでの「ビジネススキル」を学べるところなんです。しかも海外で。

僕は30代になってから巻き返したけれど、20代はいろいろ葛藤したままで終わってしまった。日本ではインプットの勉強だけで後は社会に出てから頑張れよ、と放り投げられるうえに、なんだかんだ出世に時間がかかるから、ビジネススキルが大事だと気づくタイミングが若いうちにない。

僕が20代のうちに学べなかったこと、特にビジネススキルを根底にした英語力とITの知見を、今の20代の人たちに伝え、好きなことを仕事にして生きててほしいと思い、アクトハウスを立ち上げ、この3年間やってきました。

 

ー ビジネススキルが全ての根底にあってこその英語力やITスキルが大事なんですね。

そうです。英語が話せても英語が話せる人だけで終わってしまう。あえて嫌な言い方すれば、会社からしたら、たくさんいる作業員の1人にすぎない取っ替えの効く存在。これまでさまざなま経営層・エグゼクティブ層にお会いするなかで「インプットだけでは太刀打ちできない」「優秀な人は技術力の下に圧倒的なビジネススキルを持ってる」ということを思い知りました。

ただ、ビジネススキルってすごく得体の知れないものなんですよ。義務教育や高校、大学ではもちろん、1日のセミナーとかですぐ身につくものでもないし、本でも活字ベースじゃ身につかない。ただ困ったことに、日本では学ぶ方法が就職しかないんですよね。アクトハウスが違うのは、経験豊富なメンターがついてる中でアウトプットとして実践ができることです。

 

ー 具体的にどのようなアウトプットをしてるんですか?

最初の3ヶ月はひたすらインプットします。いきなり実践だぜ、というのはよくない。インプットが終わった後、自分たちでサービスやイベントを立ち上げアウトプットをします。

この前は、生徒がセブ島でIoTのイベントを企画し、50人くらい集めていました。初めてのイベントでもそこまでやれる。英語で告知し、英語で登壇者をブッキングしてといった全てのことを自分でやります。SNSを使ったマーケティングやブランディング、本番の緊張感やイレギュラーを通して知見になる。

また、アクトハウス在学中に起業しちゃう人もいます。ブログを立ち上げ海外フリーランスになる人も。インプットだけで終わらなくて、最後の3ヶ月、ひたすらアウトプットし、慣れない海外で暴れまわる。これをすると成長しますよね。英語もいろんな人と話すのが一番いいし、ITもちょっとインプットしたら、すぐにモノを作って世の中に出してみる。すると反応が来たり来なかったり。PDCAを繰り返す。そういう実践の場として、セブのアクトハウスは良い場所だと思います。

 

ー 起業や独立をすすめる理由は何ですか?

まず仕事が仕事でなくなる、生きているのが楽しくなる。また休日の予定を自分で決めたりとか、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)も全然違う。仕事だってスマホとパソコンがあればOK。事業に毎日毎秒、アイディアを足していっては修正し、お金もきちんと稼ぎながら、それに見合うサービスをリリースしていく。自分の時間を他人に侵食されることもないです、つまり人生を自分のために使えます。

同時に責任やリスクも高く、緊張感がゆるむことはありません。しかしこの両極を味わっていることが、さらに自分を成長させてくれます。ビジネスをドライブすることは、プラスのことしかないんです。もしうまくいかなくなって借金を背負っても、借金を返す、どん底から復活するノウハウが身につくじゃないですか。人生の主役を自分にできます。

 

ー アクトハウスにも結びつく考え方ですね。

そうですね。新卒で日本企業に入り、終身雇用で終わるのはつまらないんじゃないか...ということを漠然と考えている20代くらいの人は多いと思うんです。でも、僕らが若い頃はそういう情報が入ってこなかった。そして学校の授業が全てだと思っていた。だからいきなり社会に出て迷走する。どうしたら突破できるか、というところまではわからなかった。

そこで起爆剤となるのがアクトハウスなんです。技術だけを学べる留学や学校があるけど、僕から言わせてもらうと大事なものが抜け落ちている。義務教育や高等・大学教育でもカバーできない領域。技術があるだけでは「便利な人」で終わっちゃう。これからは技術でなく人間力つまり「信用」の時代です。魅力や支持率が求められ、そこにお金やチャンスが舞い込んでくる時代。

うちの会社はセブ島と東京に拠点がある二代表でやっている強みとして、卒業生の活躍を支えるサステイナブルコミュニティ作りもやっているので、卒業生の人生形成のサポートは継続していきたいですね。

 

海外で働くときに、海外という概念はいらない

ー 海外で活躍する人の条件は何ですか?

日本と世界を陸続きだと感じられる人、距離と言葉の壁を持たない水平概念、ネット的ボーダーレス感覚を持った人だと思います。

グローバル化の本質をつかみ、さまざな場所や情報にアクセスし、なおかつ行ってみる。日本のパスポートはマスターキーみたいなもので、ほとんどどこでも入れるじゃないですか。英語できないけどなんとかなる、という感覚をもつことも大事ですよね。1週間でもいいからASEANをまわってみて欲しいですね。街にいるさまざまな国籍の方たちと交流する。そういうところを身体で感じることで、自分が縛られていた狭い世界が崩壊すると思います。

 

ー フィリピン人と働くときに苦労する点はありますか?

フィリピン人と日本人では、大事なものの優先順位が単純に違うんですよ。日本にはわびさび文化がありますけど、フィリピンでは欧米の文化が根付いているところもあり、単純にチップをあげないと感謝が伝わらない場合もある。前お願いしたじゃん!ってことも、彼らからしたら前回チップもらってないから知らない。なんてこともある。僕らが大事にする優先順位と彼らのそれとはかなり違うので、そこで苦労してる人はいますね。

 

ー そこまで対立があったりするわけでもないのですか?

そうですね。彼らが悪いとは思わないです。むしろ彼らからしたら「日本人も、たいがいだろ」と思っているんじゃないですかね。フィリピン人について「何回も遅刻する」とか「何回も言わないとやってくれない」とか言われてますけど、同じように僕らも思われてるはずなんですよ、「アイツいちいちうるさい」「いつも愛想わりーよなー」とか(笑)

もちろん仕事上やっちゃいけないこととかありますけど、同じアジアでも人種も宗教も文化も違う。だから相手のことを理解することが大事です。

 

ー 最初はあまり海外を意識してなかったという話がありましたが、セブでアクトハウスを立ち上げようとなったときに、不安はありましたか?

最初は、「海外だからこうしなきゃいけない」「海外だから特別なルールがあるんじゃないか」とか思っていたから怖かった。でも日本で自分なりに頑張ってきた経験があるので、海外とか関係なく自分が良いと思ったことをすれば、なんとかなるんじゃないかと思ったんですよ。

それでビジネスパートナーに和菓子をもってコミュニケーションしたり、日本の文化に息づく、いいと思う風習もいろいろやってみました。さっきの文化や宗教の話とはまた違うベクトルの話になるんですけど、本質的なものは海外でも同じなんだと気づきました。日本人には少し遠回しに伝えて、外国人にははっきり言うといった固定観念は捨てて、自分がいいと思ったことをやる。ありがとうございます、と伝える。そういう考えができるようになってから大変だと感じなくなりましたね。今は、よっぽど日本人のほうが難しいとさえ思います。

 

ー 日本でしてきた経験が生かされたのですね。

そうですね。ただ、僕の場合その経験を積むのに時間をかけすぎたんです。若い方々には、どうしていいかわからないまま40歳になってほしくないなという想いがありますね。ちょっとした度胸と知識で自由に生きれること、面白くなることにもっと早く気づいて欲しいんです。

 

世界中を遊び場に。場所と時間に縛られない生き方

ー アクトハウスとしての今後の展望を教えてください。

日本の教育を変える学校になること。そして世界で活躍できる人材を育てること。ただし、世界で活躍できる人材を育てるというのもそうですけど、アクトハウスはセブにこだわっているわけではないんです。今後ドイツに行くかもしれないし、アメリカかもしれません。実際ニュージーランドに下見に行く話もあったりして、世界ベースで刺激のあるところに展開できればなと思ってます。

あと、2020年にプログラミングが義務教育に盛り込まれたり、2019年には都立高校の入試に英語のスピーキングが導入されるとも言われています。ニューラルネットワーク、AIの進化で英語翻訳のテクノロジーの進化も著しい。英語をガリ勉しないでいい時代、留学も古くなる時代も来ています。そういう時代の流れから、ビジネスメソッドだけを教えるプログラムになるかもしれないし、英語とデザインだけになるかもしれない。

時代に必要なスキルを提供する学校として、若者のグローバルな成長に貢献できる教育を提供し、これからも柔軟に変化していけたらなと思っています。僕らに地理的な距離や言葉の壁というものはないんです。地球を遊び場にできるような人材同士が、アクトハウスという場で出会ってもらいたい思います。世界中にアクトハウスの卒業生がいれば、卒業生同士が助けあい、何か面白いことができる。それも楽しみですね。

 

ー 清宮さんご自身の夢は何ですか?

これからも、世界を周って時間も場所も選ばない自由な生き方を続けることですね。妻も子供も一緒に、自由に生きていく。その年齢、その時代で自分が楽しいと思ったことをやる。そして、大層な技術がなくてもそれができることを啓蒙していきたいです。だから、自分のこの夢をアクトハウスに託しています。

 

ー 最後に、日本の若者にメッセージをお願いします!

何かやりたいけど動けない理由はあります。お金とか境遇とか。世界に出ると、気楽に生きている人もいればバリバリのエリートもいて、それぞれの価値観の多様化がASEANなんです。そういう国々があるのを知ることが大事だと思いますね。インターネットで知るのもいいんですけど、実際に東南アジアに身を置いて、このカオスに肌で触れてみてほしいです。

時代は過激な進化を繰り返し、凄まじい速度で動いています。この貴重な時代に生きていることを楽しみ、まずは外に出てみて欲しいですね。情報過多の時代で夢は固まってなくて当然。だから動きながら、自分の生き方を探してみることをおすすめします。

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