ミャンマーの若者に夢を届ける!ミャンマーの若者向けメディアLive the Dream 創設者|佐々翔太郎さん

2017年にミャンマーで立ち上げられ、月間ユニークユーザ6.5万人を抱える動画メディア「Live the Dream」。今回はそのLive the Dreamを立ち上げた佐々さんに、立ち上げ秘話から将来の展望まで伺いました。

プロフィール佐々翔太郎 氏
Live the Dream Founder兼 Managing Directorを務める。1994年生まれで、現在中央大学法学部在籍。大学4年時にNPO法人e-Educationの現地責任者として、ミャンマーに映像教育を広める傍ら、ミャンマー初の若者向けキャリアメディアLive the Dreamを現地の若者と共に立ち上げる。

ミャンマーの若者に夢を届けたい!—Live the Dreamの立ち上げ秘話

—Live the Dreamについて簡単に事業内容を教えてください。

Live the Dreamは、ミャンマーの若者に希望を与えるべく、動画で様々な「ロールモデル」となる人のストーリーの配信をしているメディアです。動画配信を通して、若者全体が胸を張り、何かに向かって活き活きと頑張ることができる社会を創り上げることをビジョンとして掲げています。したがって、

To provide opportunities for every youth to find dream
—若者全員が夢を見つけられる機会を提供する
To make clear the process to the dream
—夢への道のりを明らかにする

この2つをミッションとし、動画配信をしています。

この2つのミッションの下、動画の内容は、「キャリアの多様性の認知を目的にした職業紹介コンテンツ」や「キャリアを選ぶ際の大きなきっかけとなり得るロールモデルの、様々な人生を伝えるドキュメンタリー風ビデオ」の2つを軸にして、高校生や大学生を対象に主流SNSのFacebookや地方での上映会などで配信しています。

現段階ではこのような配信状況ですが、将来的には仕事やインターンの案件紹介や、キャリアカウンセリングプラットフォームの構築も行いたいと考えています。

 

ーそうなんですね。佐々さんがLive the Dreamを起業したきっかけについても教えてください。

元々僕は、e-Educationのインターンシップでミャンマーに行っていました。インターンでは、映像授業プロジェクトをミャンマーのチン州のハカというところでやっていて、そのプロジェクトをやっているうちにある課題を発見し、その課題解決を図る段階で事業化する必要性を感じたのでLive the Dreamを立ち上げ、事業化しました。

その課題というのが、ミャンマーの子どもたちや若者のやる気の無さです。彼らは、高校を卒業するために「セーダン試験」というものを突破せねばならないのですが、チン州の生徒の試験突破率はたったの10%だったのです。

インターンでのプロジェクトの目的は、映像授業を用いることでこの試験突破率を上げることでしたが、実際にプロジェクトをやっているうちに、「試験突破率が上がらない原因は“学習環境”以前に“やる気”にあるのではないか?」という問いが生まれました。

そこでその問いに対しての解決方法を探すために、今までの自分の経験含め考えてみたんです。彼らの学習環境は確かに厳しく、未来に対して希望を見出すきっかけが少ない。そんな状況は、僕自身の生い立ちと重なる部分がありました。

僕自身も、複雑な家庭環境の中で育ち、「なにもしたくない」と無気力に駆られた日々もあり、そんな日々のことを思い出したのです。そんな状況からいかにして、今の自分のモチベーションまで上げることができたのか。自分なりに整理したところ、3つの要因が浮かび上がりました。

1つ目は、自分をとりまく人たちの温かさ。2つ目は、野球。そして3つ目が、自分と似た境遇から上り詰めた、「カッコイイ大人」のストーリー

僕は、このストーリーから与えられた「感動」や「希望」を原動力にして、様々なことを頑張り続けることができました。

これらの要素が整理できた時、現在ミャンマーに不足していて自分たちが提供すべきものはやはり、「夢」を届けることなのは明白でした。

このような経緯で、若者に対して「夢を届ける!」という目的のもとLive the Dreamプロジェクトが開始しました。

(Live the Dream プロジェクト動画作成風景)

Live the Dreamの設立とともに立ちはだかった壁

—Live the Dreamの活動自体は元々インターンシップ先のプロジェクトでの活動の一環として行っていたのですよね?どうして事業化に進んだのですか?

元々は僕が携わるプロジェクトでの課題解決の一環として行っていたこの活動ですが、活動を拡大させていくにあたり、インターン先のパートナーである現地団体の一部として今後も継続していくことに限界が見えてきました。なので新しく仲間を集め、この動画プロジェクトをLive the Dreamと改めて事業化しました。

 

—Live the Dreamのプロジェクトにおいて、大変だったことを教えてください。

ミャンマーで有名な方の動画を撮影することがとても大変でした。事業化する以前に数本のインタビュービデオは撮影していましたが、”Live the Dream”としての実績は1つもなかったので、ミャンマーでロールモデルとなるであろう有名人に依頼をすることは非常に困難でした。

とにかく片っ端から依頼しましたね。

ミャンマーでは「信頼」が最も大切であるため、直接会って話さないと彼らからの信頼は得られません。アポ取りのための電話やメールですら信用してもらえませんでした。

ですので、最初の有名な方の動画撮影は依頼したい企業の事務所の前に1週間連続で立ち続けた結果、プレゼンの機会を頂き、やっとの思いで動画を撮影させてもらえました。

    (Live the Dream動画の出演者  U Aungさんと)

その他にも、もう一つの軸であるキャリア情報の提供に関してもイベントを行ったりしました。メンバー全員が初めての経験だったので試行錯誤しながら徹夜で準備を進め、200名近くを動員するイベントとなりました。

 

ーこのような壁がたくさん立ちはだかる状況の中、何が佐々さんの原動力となり、そしてこの活動を支えていったのですか?

そうですね。何度か心が折れそうなこともあったのですが、そんな時の原動力はやはり、「ミャンマーの若者をモチベートさせて、彼らが変わっていく姿をみたい!」この一心でした。

そして、僕がこの活動をやる中で支えられたのはやはり「仲間」です。

このプロジェクトを通していろんな人や、仲間と関わりながら頑張ってきましたが、ボランティアの時からついてきてくれたMinとYingの存在はとても大きなものでした。Min とYingが僕についてきてくれた理由は、僕自身の情熱だと言ってくれました。その話を聞いた時、心の底から「気持ち」で繋がることのできる仲間にミャンマーで出会い、苦楽を共にし、辛さや喜びを共有できたことこそが自分の成果だと感じることができました。

 

—素敵な仲間と国を超えて繋がる。とても素敵ですね。現地で起業した外国人として、彼らとの関係構築ではどのようなことを工夫されましたか?

ミャンマーでの「信頼関係構築」はとにかく「友達」になることから始めていましたね。命令は決してせず、何をするにしても、自分が先に動いてから、自分の行動に巻き込んでいく姿勢を見せていきましたね。

人を動かすためには、まず相手のことを考えないと相手はそう簡単に動いてくれません。相手のことを考えた上でまずは自分から行動する。ミャンマーでの信頼構築においては非常に大切なことでした。

(左からMinさん 佐々さん Yingさん)

「外国人として種をまく」—Live the Dreamと共に佐々さんの描く未来

—今後のLive the Dreamの展望を教えてください。

今後は、MinとYingを中心としてLive the Dreamのプロジェクトを拡大させることで、ミャンマーの若者に夢を届け、みんなが笑いあって活気あふれる国を創っていきます。

具体的には、現在行っている事業を継続し、将来的には仕事やインターンの案件紹介や、キャリアカウンセリングプラットフォームの構築も行いたいと考えています。

もちろん僕自身もLive the Dreamの活動に対して全力をつくしていきますが、ミャンマーという国を創っていくのは、ミャンマーの国民であるべきだと思うので、これからの主役はMinとYingを中心とした現地のメンバーに引き渡していくべきだと考えているのです。

日本が戦後諸外国の援助に支えられ、その後国民が自分たちの手で今の日本を作り上げたように、僕は一外国人として、新たな時代を作るための種をまいていく存在として、ミャンマーを支援し続けたいと思っています。

 【編集後記】

インタビューをしていて、佐々さんの情熱に圧倒されると共に、人との信頼構築について深く考える機会にもなりました。文化の違う相手も含め誰とでも信頼を構築するためには、まず相手の視点に立つこと。とても大切なことですが、案外見落としてしまうことであるので忘れないようにするべきだと感じました。

また、今までの自分の経験や「好きなこと」をベースに見つけた課題に対して真摯に向き合い、情熱と強い意志をもって行動し課題解決をしていく佐々さんの話から「好きなこと」、「やりたいこと」を発見するにはたくさんの経験をすると共に、しっかり自分と向き合うことが大切だとも感じました。

現在、Live the Dreamでは日本人学生インターンの募集も行っているそうです。興味のある方は佐々さんのブログからお問い合わせ下さい。

また、クラウドファンディングによる支援も募集しているそうなので、この記事を見て気になった方は、こちらからお願いします。




ABOUTこの記事をかいた人

馬本寛子

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