2017.02.09
学生団体から法人化を果たし100社以上の海外インターン先を斡旋しているkokokaragroup代表の清光氏。今春にはkokokara Asia Tourを行う。kokora group創立に至るまでの経緯、アジアツアー、そして学生に対しての想いなどについて伺った。
《プロフィール|清光陽介氏》
京都府出身。立命館大学4年生。kokokara group代表。二年間の浪人中にフィリピン留学に行き、自分が好きなことを仕事にしている大人に出逢い人生観が変わる。大学ではBoypediaという、関西で大きな学生団体を立ち上げ多くのイベントを行ってきた。2015年2月に法人化を果たし、現在はイベントだけでなく国内、海外のインターン斡旋をやっている。今春、kokokara Asia Tourを敢行。
アジア6カ国で開催! 濃密なプログラム “kokokara Asia Tour” とは?
ーkokokara Asia Tourを企画されていますね。その概要について教えてください!
今年 (2017年) の春休みに、5泊6日の『kokokara Asia Tour』を企画していて、アジア6カ国でそれぞれ独立したプログラムを作っています。国の背景を踏まえた上で、それぞれの国の特色に合ったコンテンツを用意しています。
例えば、カンボジアのプログラムでは、社会課題に対して議論をしたり、現地の大学生と模擬国連をおこなったり、社会課題に対してビジネスとして解決している起業家を訪れて、創業ストーリーを聴いたり、実際に工場や店舗に入ってワークを考えたりします。
ーこの企画を行うに至ったきっかけはなんでしょうか?
理由はいくつかあって、1つ目は、ぼく自身が経験したフィリピンでの体験がベースにあります。これについては後で話します。
2つ目は、海外インターンに関する現状の課題を解決したいからです。海外インターン事業をやっているのですが、学生にとって、Webの情報だけで3カ月・半年以上その会社で働く決断するのは、難しいですよね。Asia Tourを通して、現地で働いている人たちに実際に対面し「この人の下でなら半年間働きたい」と思う人が一人でも増えてほしいと思っています。
3つ目は、無茶体験をしてほしいからです。できる範囲内で上手く物事をやりこなしてきた人はたくさんいるけれど、それを超えて「これは無茶でしょ!」っていう体験をする場所がないと感じています。サポートが整い過ぎている世の中だからこそ、逆にサポートされない無茶できる場所を作りたいと思っていて。「5泊6日だったら無茶してもちょうどいいでしょう!」と思い、アジアツアーを企画しました。
それに、今は、自分の未来像がわかってしまう世の中だと思っています。「こういうことをやったらこうなる」という風に、良くも悪くもわかってしまうからこそ、挑戦もなんとなく妥当なものを選んでしまう。すると、実際チャレンジしたけどやっぱりこんなもんだった、という結果で終わる気がします。無茶体験は想像できない中で挑戦するので、行く前といった後でのギャップが大きいんですよね。そうして「自分は思ったよりもできる!」という自信につなげてほしいなと思います。
ー選べる国は6か国あると思いますが、ズバリオススメの国ってありますか?
オススメはなくて、その国に合わせて来てほしい学生さんも変わります。マレーシアはやりたいことがわからなくて悩んでいる人、ベトナムは大学1年生が終わりもっとやり遂げたいと思っている人など、です。ぼく自身、会社を始めてからはインドネシアに行きたいと思っています。
置かれている状況によって変わってくるので、全国を回って行きたい人と直接会ってその人の課題を聞き、その人に合ったものを提供できたらいいなと思っています。
ーインドネシアだけ他のプログラムよりレベルが高めに設定されていて毛色が違う感じがしますね。インドネシアのプログラムについて詳しく教えてください。
テーマとしては「〇〇×ITでアジアを取れるビジネスモデルを考えろ」です。最初の2日間は個人ワークに取り組み、残りの4日間はグループワークに取り組んでもらいます。また、現地にいる投資家や起業家の方々に一緒にグループワークに入ってもらい、フィードバックをもらうことで、「ここまでやりきる必要性があるんだ」ということを体感できるプログラムです。
他の国では“みんなでやりきる楽しさを感じてもらう”、を軸にしている一方、インドネシアでは「悔しい」「現状じゃダメなんだ」という気付きを持って帰ってほしいと思っています。
学生が考える課題やマーケットの捉え方と、大人が入ったときの規模感・スピード感の違いを体感してもらったり、実際にお客さんが買ってくれるものなのか、どれくらいの売上が出るものなのかといったことを考えに考えてもらったり。なので、投資家さんからのフィードバックも厳しくお願いしてあり、角度の高めなプログラムになっています。
来年には起業を考えている人や、ビジコンに出て活躍しているけど実際には事業を始めていない人などに来てほしいです。
*過去取材させていただいていた方々が協力されています。
インドネシアの中間所得層に“Now Everyone Can Buy”な暮らしを。楽天を経て起業 VIP PLAZA CEO Kim Tesong 氏
「価格.com」モデルをインドネシアで展開する日本人起業家の戦略 Pricebook CEO辻友徳氏
アジアの起業家と共に事業を創る日本人投資家 ーサイバーエージェントベンチャーズ鈴木隆宏氏インタビュー
心から楽しむ第一歩を
ー清光さんは、浪人されてから大学に入られていらっしゃいますよね。その時のことから伺っていきたいです。
志望校に落ちてしまい彼女にも振られたことがめちゃくちゃショックで、孤独を感じ引きこもっていた時がありました。高校時代は友だちもたくさんいて割となんでもできるキャラクター。悩んだことなんて無かったので、辛くなったときに誰に相談していいかもわからなかったんです。
その時、たまたまフィリピン留学を知ったきっかけがあり、逃げるためにフィリピン留学に行きました。そこでたくさんの大人に出会って。自分の好きなことには責任を持ってがんばっていて、毎日を楽しそうに過ごしていたのです。今まで人生に対する不安しかなかったのですが、彼らのように好きなことを形にできる大人になりたいという希望を抱くことができ、救われました。
ーそして、大学に入学されてからたくさんのことをされています。学生時代にやられたことを教えてください。
バックパッカーやヒッチハイク、ボランティア、カフェの開業をしたり、好きなことを仕事にしている経営者にもたくさん会ったりなど、大学生がやりたいようなことは全部やりました。
そして、ぼくが大学1年の時に高校までの同級生は3年だったので、「就活が大変だ」ということや「なんとなく大学生活を過ごしたことを後悔しているから、お前はそうなるなよ」という話を聞いたんですよ。そこで思ったのは、自分にできることは、ぼくがフィリピンで味わったような色んな大人を見せることで、楽しく生きるきっかけを作ることだと思い、Boypediaという学生団体を作りました。
普通の大学生に対して、将来を考えるきっかけを考えてもらいたくて。彼らが興味を持ってくれそうなことからやろうと色々やって、例えば「見返らん美人」というのをやりました。後ろ姿が綺麗な女性のスナップ写真をサイト上に並べて、いいねが100ついたら振り返った姿を見られるというもので。その時メンバーが20人くらいいたんですけど、MAXいいねが11とかで(笑)。ほんとに見返らん美人でした(笑)。
そんな感じで、Webサイト作ったら見てもらえるかと思ったのになかなかうまくいかなかったので、じゃあイベントをやってみようということで主催したのが、「心から楽しむ第一歩を」という想いを込めた『kokokara』という名前のイベントで。内容は、自由に生きている大人を呼んで講演会をやったり一流企業の人を呼んでトークセッションをやったりなど、みんなが心から楽しめる一歩を作るイベントを作りました。
ーその当時から、いまの社名である『kokokara』が使われていたんですね。
はい。 その後、ぼく自身が社会に出るとはどういうことなのか、社会で活躍している人はどんな人なのかを感じ、キャリア系のイベントもやるようになりました。企業の方に授業をしてもらったり、関西の学生に関東の企業のインターンを紹介したり。イベントをやるごとに、自分が抱いた課題感を次に活かしていく、という繰り返しでやっていました。
みんな楽しもうよ!というスタンスから、キャリア系のイベントまで幅広くやっていたこともあり、2, 3年越しで「あの時イベント行ってよかったよ」と言われることも増えたんです。それがすごく嬉しくて、もっとやっていこうと思い、法人化してやることにしました。
2015年の2月に法人化してから、イベントなどはこれまでと同じように引き続きやっていて、海外インターン事業を始めたり、国内でインターンを紹介したりしています。
kokokaraの今とこれから
ーkokokaraさんでは、アジアでのインターンシップの斡旋をたくさんされています。そのことについて教えてください。
実は海外インターンにそこまでこだわりはなく、どこで働くかより誰と働くかが大事だと思っています。インターン事業を始めた理由は、既存のサービスは学生が払う費用が高いのと、マッチング制度が低いことに憤りを感じたからでした。
ー学生にとって、どんな企業さんで働いてほしいですか?
海外インターンをやる上で学生からで出る文句が、「労働力としてしか扱われてない」「給料がちゃんと払われてなくて困っている」というのが多いです。
だから、「学生のことを人として見ているのか」「学生の成長を願っているか」「成長している企業なのか」この3つを大事にしています。
実際に現地までいって企業の代表の方とお話して、この人の元でなら働いてもらっても大丈夫、この人の下でなら働かせたい、と思う人だけに営業をしています。
ー海外インターンに行った学生さんに対してどうなってほしいですか?
企業理念が “Everyone makes future” なので、自分自身の可能性を信じたり、自分自身の人生は自分で作っていくんだというスタンスを持った人が増えてほしいと思っています。
また、自分で何かを選ぶということにこだわりをもって、自分で選んだことはどうにかして正解にしていくという人になってほしいと思っています。自分が、どれだけ時間をかけて物事に取り組んだかが彼らの成長率や学習量につながると思うので。そうやって選んだことを正解にしてもらえたらと思います。
ー清光さん、kokokaraさんのこれからを教えてください。
学生生活にチャレンジしたことが世の中に認められる、分かりやすい軸づくりが必要だと思っています。挑戦したことが就活で有利になったり、分かりやすい軸づくりができたら、学生にとって挑戦がしやすくなりますよね。
また、今やっていることが海外でもできそうだと思っているので、メンバーがベトナムで会社を作るのでそれを見守っていたいと思います。今は学生を中心とした事業が多いのですが、ぼくも学生ではなくなるので、企業理念 “Everyone makes future” に準じるもので学生に対するドメイン以外のこともやっていこうとも考えています。
やりきれていない学生に向けて
ーそれでは最後に、チャレンジしきれていない学生や起業をしている・したい人に向けて、メッセージをお願いします。
自分を大事にしすぎないほうがいいかな、と思います。
岡本太郎さんの言葉で「己を殺せ」という言葉があります。今の大学生あるあるだと思いますが、特に何も達成していないのに、今までの自分を大事にしすぎるという傾向があると思います。自戒を込めてですが。
過去の自分を大事にしたところで、その延長線上で未来を作っても大した未来にはならないと思うので、これだと決めたことには、未来はどうなってもいいから自分がやりたいことに愚直に取り組んでみる。そういったスタンスが大事だと思っています。
あと、最後にこれも伝えておきたいです。
2年間会社やってみて思ったことは、想いだけではじめた事業って、そこまでサービスがスケールしないんだなということです。学生起業家は、そのパターンが多い気がしているし、僕もそうです。
やっぱり大事な要素のひとつとして、マーケットドリブンでも事業を考えられるというのがあるなと思っています。社員が増えたら固定費は上がるし、売上出さないといけないなって思うと、理念先行で考えるのも大事なんだけど、それだけだと1, 2年ですぐ終わっちゃう。だから、そういうことに悩んでいる学生の起業家や、今後起業しようという学生がいたら、インドネシアプログラムでは一緒に「マーケットから考える」ということをやっていけたらなと思っています。