どうしてインドネシアを学ぶの?多様な宗教や美しい自然に魅かれて

はじめまして!東京外国語大学国際社会学部インドネシア語専攻3年の増木帆乃です。

好きなことは、ビオラの演奏と料理(&食べること)、インドネシア映画の鑑賞です!最近は新大久保でいろいろなスパイスを買い込んでアジア料理の腕を上げています(笑)。

さて、これからアセナビで活動するにあたり、東南アジアとの関係性を軸に私の自己紹介をしようと思います。

インドネシアとの出会い

大学に入ってからの2年間でインドネシアに4回行き、今年の2月にもベトナムからタイまで東南アジアの4カ国を巡ってきました。

日本に帰ってくるたび東南アジアロスがひどく、毎回しばらくは家でも現地で食した料理を作ります。得意料理はナシゴレン!屋台の味を思い出し、恋しさが募る...。

こんな私ですが、実はもともとインドネシアや東南アジアとは縁もゆかりもありませんでした。小さい頃の海外経験が豊富といったバックグラウンドも持っていません。  

では、なぜ今はインドネシアを専攻しているのか?その大きなきっかけはイスラムという未知の宗教に興味を持ったことでした。

きっかけは遡ること3〜4年前…私が高校生のとき。その頃、イスラム過激派組織 IS が世界中で激しいテロ活動を繰り広げていました。私も連日のように現場の惨状を伝えるニュースを目にしていました。

その頃は、よく「イスラムは怖い」といった発言を私の友人や家族から聞くことがありました。私はそういった言葉を聞くたびに、心の中にモヤモヤとした感情が湧きあがってきました。怒りに似た反感のようなものでした。

なぜなら、ごく一部の過激派であるISと、その他多くのムスリムを同一視することはできないはずだからです(当時、IS戦闘員3〜5万人に対し世界のムスリムは約17億人)。ISの説く暴力的なイスラムの教えは、他の大多数にとってのそれとは異なるはずです。

しかし、当時の私は友人や家族を相手にうまく反論できませんでした。それは、私自身もイスラムという宗教が何であるか、よく知らなかったからです。

それならば、「大学ではイスラム世界について、いっちょ勉強してみようじゃないか」と、世界最大のムスリム人口を抱えるインドネシアを専攻地域として選びました。

また、日本からの地理的距離が近いことや、豊かな熱帯の自然もインドネシアに魅力を感じた点でした。ちなみに、中学・高校生活がキリスト教系の学校で、宗教に対しオープンな雰囲気で青春時代を過ごせたことも、イスラムに興味を持つことに少なからず影響を与えたと思います。

インドネシアの魅力にハマる

それから1、2年後。大学に入学したけれど、なにせインドネシアの知識はほぼ皆無!インドネシア語という見知らぬ言語シャワーを浴びつつ、東南アジアについて学んいくけれど、なんだか雲をつかむようなぼやけた日々...。

そんな私に転機が訪れたのは、1年生の夏休みに短期留学でインドネシアに行った時のこと。それは私にとって、いわば想像の国だったインドネシアが、リアルになった瞬間でした。

道路にバイクと車が騒がしくひしめく光景、屋台で食べたミーゴレンの美味しさ、スパイスの香りやインドネシア独特のタバコの甘い香りに、他にも様々混ざり合った匂い…五感で感じる全てが新鮮で瑞々しい! 勉強したてのインドネシア語で現地の人と会話ができた喜びも大きかったです。

この夏休みを境に、インドネシアの文化や社会について知ることがどんどん面白くなりました。

滞在した1ヶ月間で一番驚いたことは、多宗教の共存です。一方のモスクでアザーンが流れているなか、他方の道路を挟んで向かい側にあるカトリック教会では賛美歌が歌われている、そんな光景に出会ったとき、私は目が飛び出る思いでした。

今でこそ当たり前だと思える光景ですが...。そのころの私は、違う宗教同士では摩擦が多いんじゃないか、宗教はナイーブなものだというイメージを持っていました。

インドネシアの人々はイスラム、キリスト教、仏教、ヒンドゥー教など様々な宗教を信仰しています。しかし、それぞれが異なる宗教を信じながらも、人々が調和して社会を創っている、そんな姿にカルチャーショックを受けました。自分の中の”宗教”への偏見がガラガラと崩れていきました。

私の驚いた社会の様子は、まさにインドネシアの国是となっていました。その国是は"Bhinneka Tunggal Ika"、古ジャワ語で”多様性の中の統一”。インドネシアの人々の関係や社会に存在する、いい意味での”ユルさ”が、このモットーを支えているのかもしれません。私はそんなインドネシアのゆったりした部分にも魅かれています。

ところで、この"多様性の中の統一"は、日本や世界にとっても大切なモットーだと私は思います。グローバリゼーションの発展とともに価値観の異なる人々の接触が増えるなか、人々が協力して生きていくために、"他者を認め合う"ことはますます必要になっています。

しかし、これは理想的なモットーではあるけれど、インドネシアでも完全に一筋縄には進んでいないことも勉強を通じて分かってきました。

インドネシアでは昨今、一部のイスラムの”不寛容化”が進むほか、民族間の対立もしばしば起こっています。約30年間続いた独裁体制や、その崩壊後の民主化の流れの中で人々の心が関係性がどう変化しているのかも興味があります。今後も様々な角度からインドネシアの”多様性”の動向を探っていきたいです。

帰国して約1年後に参加した神田外語大学でのインドネシア語スピーチコンテストでは、インドネシアの宗教の多様性や、日本人の宗教理解について語り、優秀賞をいただきました。

イスティクラルモスクでの集団礼拝の様子。ジャカルタにて。

 

環境や食の問題への興味と留学、その先へ

今まで書いてきたような文化的なことがらだけでなく、私は食や環境の問題にも興味があります。この私の関心は、インドネシアを中心にしながらも、そこだけでなく様々な地域での課題に向けられています。

ざっくり言えば、「限りある資源をどうしたらより持続的に分かち合い共生していけるのか?」という関心です。

昔から自然の中で遊ぶことや野生動物のテレビ番組を観るのが好きだったことが背景としてありますが、特にインドネシアとの関係のなかで興味を持ったきっかけは、アブラヤシプランテーションの問題を知ったことです。

さて、現在世界で最も多く使われている植物油は何でしょう?

正解は、パーム油です。世界の植物油生産量の約35%はパーム油です(2014年)。パーム油は植物油のほか、マーガリン、石けん、化粧品、合成ゴムなど広く使われています。このパーム油がとれる木が、熱帯原産のアブラヤシです。そしてインドネシアはパーム油生産量が世界1位で、世界生産量の55%を占めます(2016年)。

アブラヤシ農業はインドネシア経済を支えてきた一方、プランテーションの開発は様々な環境・社会問題を引き起こしています。熱帯林の伐採や、森林火災、過酷な労働、地域住民との権利衝突といった問題です。

今インドネシアで起こっているそのような問題に、パーム油の消費者として私も間接的に関わっているのです。それを知った時に、私はショックを受けました。

そして、どうしたら私は問題を解決するために関わっていけるだろうか、と考えました。それが、将来は国際的な観点を持って様々な環境問題にアプローチしたいと夢を抱いた一つのきっかけだと思います。

文化や経済、政治などの観点から、人々の営みと自然環境の関係に目を向け、両者のよりよい関わり合いを考えたいです。どうしたら環境問題に関わる大多数の人の無関心を関心に変え、そして行動に繋げられるのか、という興味もあります。

そんな思いで、今までインドネシアの環境問題に取り組む技術系NGOにボランティアとして参加したり、ソーシャルビジネスに取り組むインドネシアの現地NGOや、有機農産物をeコマースで売る日本企業でインターンを行ったりしてきました。

インドネシアのNGOでのインターン中に訪問した有機農場。

私は今年の8月から約10ヶ月インドネシアに留学します。現地では大学に通うほか、学外でも活動したいです。農業問題解決に取り組むNGOを通じて農村でフィールドワークを行い、現地の人から直接話を聞いたり、都市でのゴミ問題にも関心があるので活動に参加したり...自分の興味や行動力、人との出会いを大切に進んでいきたいです!将来の自分の方向性を探る10ヶ月にできればいいな。

また、単純にインドネシアに長く住めることが楽しみ。インドネシアの色々な人と仲良くなって、文化や美味しいご飯も味わい尽くしたいですね。そのあたりのローカル事情も現地から発信したいです!

アセナビでやりたいこと

私はオタク的なところがありまして、ハマったことに対してはとことん突き詰めていくのですが、意外とそれを周りと共有できていない、ということにアセナビに出会って気づきました。

でも、アセナビでの活動を通じれば、考えたこと・感じたことを多くの人へ発信できるのではと思いました。もし、どこかの誰かが東南アジアという多様性と活気に溢れた魅力的な地域に興味を持つきっかけを提供できるとしたら、それは私にとっても幸せなこと。受け手のために価値ある記事を書けるようになりたい!

また、記事やイベントを通じて人の出会いを作れるアセナビは、他人の考えに触れたり、人と協働して新たな価値を創造できる素敵な場所だと思いました。

これからどうぞよろしくお願いします!




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増木 帆乃

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