『若者よ、アジアのウミガメとなれ 講演録』加藤順彦氏 (著) 読書感想文

2016.11.25

アセナビがいつもお世話になっている加藤順彦氏の新著が発売されるということで、アセナビ副編集長かつ、同じ大学・学部の後輩である長田が読書感想文という名の書評を書かせていただきました!

加藤氏とアセナビ関係はこちらから↓↓

「アジアで大成功した日本人起業家のロールモデルを生み出す」シンガポールのハンズオン投資家、加藤順彦氏

【イベントレポート】アセナビ×トビタテ!留学JAPAN派遣留学生のコラボイベント「若者よ、”失われた20年”を取り返しにASEANへトビタテ!」@高田馬場

【Forest City公式】Country Garden社とIKI LINKSによる日本人向けForest City日帰りツアーレポート

【11/9開催】若者よ、起業家よ、アジアのウミガメとなれ!~アジアの熱量を疑似体験『海外就職&アジア起業セミナー』~@青山

「環境が人間を創る」

加藤さんは一貫して「環境が人間を創る」ということを強調されています。

私は大学内での先輩はもちろん、アセナビ副編集長としてASEAN中で活躍中の日本人の先輩をインタビューさせていただきました。

もちろん様々な方がいらっしゃるわけですが、その経験から、日本人の先輩が後輩に「いつか自分も海外で起業して凱旋した日本人のようになりたい!」と思わせてくれるロールモデル的役割を持つウミガメを増やすことが重要だと思います。

その理由は起業に限らず、部活、大学、そして国といったあらゆる組織に共通することで、強い組織は後輩と先輩の関係が強く、後輩が先輩を追いかけて、先輩が後輩をサポートするという好循環があるからです。そう考えると、加藤さんの「アジアで活躍する日本人のロールモデルを輩出する」というエンジェル事業家として活動はとても意義のあるものだと思います。

しかし、 本書では日本の閉塞感が描かれていました。

私はバブル崩壊後の1994年に生まれ、失われた20年をずっと生きてきました。正直、本書に出てくる加藤さんの学生時代にあったバブリーな話はもはや「歴史」で、今ではありえないでしょう。

なぜアジアなのか

なぜ私がアセナビの副編集長をするほどASEANに魅了されているかと言うと、教科書で読んだ、そして加藤さんが学生時代を過ごした「急成長中のバブリーな日本」を疑似体験できるからです。本書でも繰り返し登場するキーワードが「成長するアジアの波に乗る」です。

きっと今アセナビを読んでくださっている=ASEANに関心がある、あなたなら共感していただけるのはないでしょうか。

本書にも例として出ていますが、とりわけインドネシアとベトナムのバイクの群衆には衝撃を受けました。二人乗りでバイクの後ろに乗せてもらい、信号待ちをしている時の地面から湧き上がってくる熱気。そして信号が青になった瞬間に動き始めるバイクの群衆。他にもビルや鉄道の建設現場を見ると、今まさに成長していることが実感でき、ワクワクします。

最近はやっとアジアへ出て行く日本人の流れが目立つようになりましたが、しかし依然として日本全体で見れば国内に留まっている人が大多数でしょう。

もちろん国内も重要ですが、今後少子高齢化が進む日本では「海外で成功した起業家」外から日本を盛り上げていくべきだと思います。

本書にもあるように、歴史を振り返ってみても、幕末から明治維新にかけて、日本の近代化の礎を築いたのは、海外留学を経験して凱旋した「ウミガメ」でした。先代たちは、飛行機も、電子辞書もない、行ってもアジアの果てから来た猿扱いされても諦めずに帰ってきたわけです。

iwakura_mission

Photo from Wikipedia

明治時代以外にも、遣唐使の時代や戦争の時代でも日本人はどんどん海外へ出ては日本に戻ってきて貢献してきました。そのおかげで日本はアジア中、いや世界中の誰もが羨むほどの経済成長を遂げたのに、どうも最近の日本は調子が悪いようです。

どんな組織もいつかは衰退するものではありますが、少しでも日本を活性化するためには、やはり「外から日本に刺激を与える」という加藤さんの役割はより重要になると思いますし、この本書をきっかけに「ウミガメ」を目指す若者が増えることを期待したいです。そして何より、私自身も「ウミガメ」になれるよう、頑張ります!

最後に、加藤さんは「海外で起業して成功した日本人を誰か1人挙げてください」と2004年に聞かれて答えることができなかったそうです。しかし、アセナビではASEANで起業して成功した日本人をたくさん挙げています!ぜひ困った際にまた覗いてみてください。

加藤氏の新著はこちら!

加藤氏の歴代出版物