マハティール元マレーシア首相へ直接インタビュー!「ASEANで結び、創る、未来」WAOJEアセアン大会イベントレポート

2017.05.25

2017年はマレーシアと日本の国交樹立60周年という記念すべき年です。マレーシア中で60周年を祝うイベントが開催されているようですが、今回は「ASEANで結び、創る、未来」WAOJEアセアン大会 in クアラルンプールのイベントレポートをお届けします。

WAOJEとは

海外で起業した日本人で構成される非営利グループで、正式名称は「World Association of Overseas Japanease Entrepreneurs」(旧名・和僑会)。2014 年にクアラルンプールでも支部が設立され、現在約30名のメンバーが活動中。

テーマは「ASEANで結び、創る、未来」

成長著しいASEAN諸国。 その地で活躍する和僑の更なる発展を支えるプラットフォームとして、2014年に発足した和僑ASEAN。 そして2017年、東南アジアのハブであり、マレーシアの首都、 クアラルンプールにて、「WAOJE アセアン大会」が開催されました。 アセアン地域、そして日本から総勢140名の起業家、ビジネスリーダーにご参加いただきました。

前夜祭

前夜祭はクアラルンプール在住日本人に人気のKARAUIZAWAで行われ、約70名の方々が集まり親睦を深めました。翌日に本祭を控えているのに大丈夫かと心配になるほどの盛り上がりでした。

マハティール元首相による基調講演

マハティール元首相は22年という最も長い期間勤められ、マレーシアと日本の関係の基盤を築きあげた人物です。講演は「ASEANで結び、創る、未来」とのテーマのもと、ルックイースト政策のもととなった日本に対しての想い、そしてこれからの日本とASEAN諸国の関係の発展について述べられました。

講演の初めに、戦争の歴史について触れ、多大な費用と破壊を生み出す戦争より、平和的な国際関係を構築していくことの重要性を強調されました。

マハティール元首相は、1961年に初めて日本を訪れ、戦後16年にもかからわず大発展をした日本に驚き、そこから学ぶため多くのマレーシア人留学生や技術者を日本に送りました。技術だけでなく、日本独特の文化や価値体系が、勤勉性や礼儀正しさなどを生み出し国の成長を支えており、この点はまだ学んでいくべきだと話されていました。

また日本はマレーシアに初めて海外直接投資をした国でもあります。マハティール氏はマレーシアは歴史的にみても地理的条件が良く、通商の中心だったことを話され、これから日本の企業や起業家の方にはASEAN諸国やその他の国へのゲートウェイとしてぜひマレーシアに来ていただきたいと語られていました。

マレーシアのリーダーであるマハティール氏のお話を聞き、日本が誇る価値観の重要性を改めて実感することができました。

また、お昼ご飯の時間では参加者との写真撮影にご協力してくださるなど、御年91歳とは思えないマハティール元首相のパワフルさを感じました。

最後にマハティール元マレーシア首相からアセナビ読者、とりわけ日本の若者へ激励のメッセージをいただきました!「日本の若者は自国と自分にもっと誇りを持て!」とのことです。

(アセナビポーズの"A"で写真を撮っていただきました!)

編集:佐藤由美子

パネルセッション「マレーシア、昔と今とこれからと」

午後の部は「マレーシア、昔と今とこれからと」というテーマのもと、パネルセッションから始まりました。登壇者の方は以下の方々です。

左から、

内藤 兼二氏(ファシリテーター, Reeracoen Malaysia Sdn. Bhd. 代表)

田中 宗介氏(在マレーシア日本大使館 商務官)

田辺 太嘉昭氏(WAOJE クアラルンプール支部顧問/ASIA INFONET(M) SDN BHD. 代表)

鵜子 幸久氏(Agensi perkerjaan SRM Sdn. Bhd. (桜リクルート社) 代表)

参考:半径5kmのドメスティックな環境から世界へ。元ホットペッパー編集長・桜リクルート社 社長鵜子幸久氏

西尾 亜希子氏(WAOJE クアラルンプール支部会長/ATOZ Language Centre SDN. BHD. 代表)

(便宜上以下、敬称略で記載させて頂きます。)

内藤:マレーシアってどんな国でしょうか?

田中:マレーシアは様々な意味でASEANの中心の国だと思います。地図で見て物理的に中心に近いということもあるかもしれませんし、文化・宗教・民族という意味でも様々な方が混ざり合っている国だということも言えます。

面積は日本より一回り面積が小さく、人口は日本の4分の1くらいで、人口密度の低い国です。民族構成が非常にユニークで、マレー系・中華系・インド系、そして日本人を含む様々な外国人駐在員も日本と比べ物にならないくらい在住しています。国語はマレー語ですが、公用語は英語・中国語・タミル語となっています。

 

内藤:MSC ステータスについて教えてください。

鵜子:これはマルチメディア・スーパー・コリドープロジェクトの略で、マハティール元首相が提唱された計画です。マレーシアの首都圏周りをITの世界的ハブにしようという試みです

現地に技術移転ができるような開発のアイデアを持っていたり、現地の人を雇用できるプロジェクトに対して下りる特典がMSCステータスです。

会社そのものに下りるわけではなく、認可されたプロジェクトに対して、法人税が10年免除になったり、就労ビザが完全撤廃されたり、機器を輸入した際に税が免除されたりする特典があります。

 

内藤:マレーシアにおける日本ブームについて教えてください。

田辺:一番大きいのはエアアジアが日本に就航したことです。2010年に羽田空港、2011年に関西空港、2015年に新千歳空港に就航しました。エアアジアのハブであるクアラルンプール空港からは非常に安く日本へ行けます。また2013年にマレーシア人の日本へ観光する際のビザが免除されたこともあり、日本へ観光に行く人が非常に増えました。

彼らが、日本に行って、日本食を食べ、マレーシアに帰ってから日本食をもう一度食べたい、という需要がかなり高まりました。その結果として、日本食ブームが起きました。

ラーメンチェーン店の一風堂さんが来ると聞いたとき、とんこつラーメンなので、豚を食べられないイスラム教徒が六割を占めるマレーシアでは無理だろうと思っていました。しかし中華系の人たちに大人気で毎日行列ができるほどで、大変で驚きました。

内藤:進出しやすいということはビジネスがしやすいということですか?

田辺:かなりやりやすいと思います。規制緩和もありますし独資100%で会社も作れるようになっています。

最近ではビザの問題が厳しくなってきたところもあります。しかし、ビジネスのしやすさを左右する規則や法令がどれだけ緩いかという点で、マレーシアはビジネスのしやすさ世界18位、ビジネスの始めやすさ世界14位となっています。

内藤::タイムマシーン経営ができるという点はどうですか?

田辺:海外で成功したビジネスをいち早く会社設立して2年未満の社長さんを呼んでセミナーを行った際、「なんでいまマレーシアに来たのか?」と聞くと、「タイムマシーン経営ができるから」、「GDP一人当たり1万を超えると成長が急速に加速するため、他国にあるビジネスを持ち込むと比較的成功しやすいから」という声が非常に多かったです。

また、逆にマレーシアにあって日本にないビジネスも結構ありますので、逆タイムマシーン経営も出来るのではないかと思います。

 

内藤:経済成長は比較的安定しているのですか?

田辺:2016年度が4.4%、今年の予想経済成長率が4.3%なので、このまま引き続き良い感じで行くと思ます。

内藤:農林水産物の輸出はどうですか?

田辺:日本からの輸出は83億円、近い将来、2倍、3倍になるだろうと言われています。

アルコール飲料は日本酒が一番多く、約1年間で4億円と言われています。主に中華系の富裕層の人たちが日本酒を好んで消費しています。

地域別の収入を見てみましょう。

都市部のクアラルンプール、サランゴール州の世帯収入がどんどん伸びています。これは最低賃金制度が影響しています。最低賃金制度が2013年に施行されました。これは先進国に仲間入りをするんだという政策です。

2年に一度見直され、現在は1000RMに最低賃金が設定されました。しかし、賃金上昇に伴って生産性も伸びているのかということは疑問です。

内藤:人材の面での話を詳しく聞かせてください。

鵜子:民族がくっきり分かれてるが故に、異質な環境への対応能力非常に高いです。イオンさんを例に見てみますと、クアラルンプールが本社、そしてホーチミンやヤンゴンなどに支店があります。

マレーシア人がジャカルタなどに赴任したとしても、言語においてもそうですし、多様な環境で育ってますので、抵抗感なしに適合することが出来ます。マレーシアがハブになり、マレーシアでスタートできる環境があると思います。

また、人件費は上がっていますが、新卒の人で初任給3000RM、日本円で約7.5万円です。年金といった手当もつけて、教育は必要ですが、10万円もせず大卒の人を雇うことが出来ます。

以上からも分かりますようにマレーシアがビジネスをする場所としてのメリットがたくさんあるのですね。ASEAN諸国の中でもとりわけ多様性のあるマレーシアだからこそ、通じるものがあると思います。

編集:渡辺祐里

ビジネスコンペ「マレーシアでできるビジネスってなんだろう!?」

今回PRESSとして参加していた私(渡辺)ですが、急遽飛び入り参加させて頂きました。素晴らしい起業家さんたちに囲まれ、大変緊張する中ディスカッションがスタートしました。

パネルディスカッションでの情報をもとに、制限時間2時間足らずのうちに新規事業を考え抜かなくてはいけません。

分野、対象者、資金、利益、メリット、デメリット…様々なことを様々な視点から見る、一緒にディスカッションさせて頂く中で、皆さんの発想力の豊かさと、計算の速さ、知識の豊富さに驚かされるばかりでした。

どれだけ面白そうな案が思いついたとしても、それだけではいけません。

持続性はあるか、ニーズがきちんとあるのか、国外へ発信していける案なのか。考えなければならないことは山ほどあるのだと実感として強く感じました。それらをクリアし、事業を起こし、ASEANの地で活躍なさっている皆さんの偉大さを感じました。

貴重なことに、今回プレゼンテーターを任してもらいました。ぶっつけ本番で、なにをどうやって伝えるか、どんな言葉を選ぶか、本当に難しかったです。

ビジネスはただ事業を考えるだけでなく、人の心を動かし、共感してもらい、そして投資をしてもらうことに繋げることが必要不可欠です。そのためにも、自分の考えや情熱を人に伝えるスキルもとても重要なのだと思いました。

今回はペナン留学中に「トイレ」について感じたことをベースにプレゼンしました。

参考:〇〇がない!?時々浸水!?イスラム式トイレの真相

全部で12チームあったのですが、一つとして考えが被るところはありませんでした。本当に発想力の豊かさを感じます。高齢化に着目したもの、交通に着目したもの、肥満問題に着目したもの、娯楽に着目したもの…本当に様々でした。

どのチームもプレゼンの仕方にも工夫があり、そして何より発想者自身のわくわくが伝わってくるものばかりでした。以前アセナビとしてインタビューさせていただいたタイの森場さんもいらっしゃいました。

参考:「“クールでスマート”に東南アジアでビジネスを!」 監査法人トーマツ・DeNAを経て、タイで起業 J-CROWN代表取締役 森場忠和氏

ちょこっと自慢ですが、なんとなんと最優秀賞を獲得したのはわたしたちのチームでした。とっても嬉しかったです。貴重な体験をすることが出来ました。

午後の部を通して思ったことは、起業するということは骨を折るような作業の連続だということです。

しかし、そこにあるわくわくと世界をよりよくしたいというモチベーションはそれらの作業も全て突き動かすほどの大きなエネルギーをもったものなのだろうなと思いました。

編集:渡辺祐里

ディナー懇親会

前夜祭から本祭を含めたプログラム全てが終了した後は懇親会です。乾杯の後は皆さん大盛り上がりでした!

後半は皆さん自由に移動しながら交流です。 途中からJP Magic Houseの高橋さんによる盛大なマジックが披露されました!

これで2日間に渡る「ASEANで結び、創る、未来」WAOJEアセアン大会 in クアラルンプールは終了しましたが、マレーシアと日本の関係は今後も続きます。マレーシアでビジネスをさせていただくことに感謝しながら今後の関係をより良くしていきたいですね。