近年めまぐるしい発展を続けているインドネシア。その情報は様々な媒体を通して発信されているので、日本にいながらにして我々は多くの情報を得ることができる。しかし、インドネシアから日本に留学していたIvanさんは、まだまだネット化されていない情報があると言う。インドネシアと日本との関係性について伺った。
《プロフィール|Ivan Prakasaさん》
インドネシア・ジャカルタ出身。2011年9月に留学生として来日、現在は東京電機大学大学院修士2年生。ソフトウェア工学研究室でクラウドコンピューティングについて研究中。
日本人は行列が大好き!? 留学してわかった、日本とインドネシアの違いとは?
ー日本に留学したきっかけを教えて下さい。
学部生時代の短期留学がきっかけです。元々海外に興味がありましたが、特別日本にこだわりがあったわけではなくそういった機会に恵まれたからです。留学中は、日本の学生と共同でプロジェクトを進め毎日が勉強の日々でした。それ以外にもホームステイを経験することで日本の文化が好きになると同時に、人々の優しさに触れました。
ー留学までの生活で、日本文化に対して馴染みはありましたか。
インターネットで自分から情報を手に入れようとすると、今ではたくさんのことを知ることが出来ます。しかし、日常生活の中に当たり前のように日本文化があるのではなく、私が小さい頃は日本のアニメを少し知っている、といった程度でした。今ではジャカルタには日本のレストランが多く店を構え、都市部ではその文化に触れられますが、まだまだ十分に日本文化が理解されているとは思えません。
ー今インドネシアに帰ってみると、少しずつ日本の文化が広がっているとは感じるのですね。
先程も話したとおり、都市部ではその広まりを見せています。ですが、まだチャンスの割に日本人の数自体も少ないです。インドネシアにはまだまだ知られていない可能性がたくさんあります。ビジネスのチャンスもそう少なくないはずです。
ーこれからインドネシアに面白みを感じる人にとってはチャンスですね! では、これから日本人がインドネシアへ進出するにあたり、特に抑えておくべき点はどういった点でしょうか。
はっきり物事を伝えることです。いいこと悪いこと何でもはっきり、というわけではないですがビジネスの場ではっきりさせておくべき点ははっきり伝えなくてはなりません。
ー日本の面白い文化や、違いを感じた部分があったら教えて下さい。
人のスケジュールや、交通機関が全て時間通りであるのは素晴らしいと思います。インドネシアでは、8時に約束したら9時にみんな揃う、なんてことは当たり前ですから。僕は8時くらいには集合場所に来て、近くのカフェに入って時間を潰したり、日本人と同じような振る舞いをするんですけどね。(笑)
あとは、行列に並んでまでお店に入るのが面白いですね。テレビなどメディアの影響が大きいのも驚くべきことだと思いますし、その忍耐もすごいです。インドネシアでは、テレビなどでおすすめの場所を伝えてみんなでその場所に行く、というより友達やブログの口コミを頼りにしてお店を選ぶのが一般的です。口コミサイトなどをやってみても面白いかもしれないですね。
卒業前にフルタイムで仕事!?インドネシアの就職事情に迫る。
ーインドネシアの大学と仕事のシステムってどのようになっているのですか。
一般的に、大学4年生にもなるとほとんどの人が単位を取り終えます。ですので、会社でインターンをして、学生でありながらそのままフルタイムで働くこともよく有ります。そこで経験を積み、卒業後に向けてまた仕事を探すだけでなく、そのまま同じ場所で卒業後も働くことも多いです。
新しい学年が始まる8月からインターンを始め、間の休みになる2月頃にフルタイムの仕事を探し、卒業の7月までフルタイムで働くのがよくあるパターンです。職業は人によって様々で、ここは日本と似ています。大学での専攻によってフルタイムの仕事内容がある程度決められることはなく、人それぞれ異なる職種で働きます。ここは日本と同じですね。
ー将来考えている計画は?
まずは日本で働くこと。日本は社会としても進んでおり、私自身も日本が好きなためこのような素晴らしい場で働くことができたら、と考えておりました。
その後はインドネシアに戻り、それまでの経験を活かし大学の教授として学生を指導していくか、ウェブサービス系の起業をすることができたら、と思っています。
ー起業とは?
インドネシアではまだまだネット化されていない情報がたくさんあります。海外から来る人々はインターネットなどですでに知られた場所を訪れることが多いです。しかし、インドネシアには本当にたくさんの島があり、それぞれが独特の文化を持ち海外に対し誇れる素晴らしい場所もたくさんあります。そういった情報をもっと広めていき、インドネシアに訪れる人達が増え、より満足してくれたらと思います。
ー最後に何か一言あればお願いします。
まず、日本人と英語についてです。英語さえ話せれば、コミュニケーションはなんとか取れます。ぜひ、私達の母国語でなくともいいので、英語を使うことで積極的に言語の壁を越えてもらいたいです。
また、日本はビザが本当に厳しいです。留学生が日本で仕事を見つけ、労働許可を得るには、専攻に合った職業につかないとなかなか許可が下りません。そうやって日本で働くことを諦めてしまう人もたくさんいます。しかし、ここで伝えたいのは日本で働きたい人はたくさんいるということです。インドネシアだけでなく、私の周りのASEANからの人々の多くは、(最近日本人が海外で働きたいのと同様に)日本で働きたいと考えています。もっと人材間の交流が盛んになると、より互いに身近な存在になれると思います。
Interviewed in Oct 2014
(インタビュアー・浦田雄介|校正・鈴木佑豪)