一流の経営者になるために。YCP Bangkok Co.,Ltd 代表 伊藤聞多氏


27歳の若さでYCP Bangkokの代表を務める伊藤氏。学生時代は外交官かビジネスパーソンで進路に悩んだ後、外資系コンサルティングファームの門を叩いたのち、YCP Japanへの参画を経てバンコク拠点の代表に。高い志を持ち日々働く伊藤氏にその心中を取材した。

<プロフィール/伊藤聞多(もんた)氏>
1988年生まれ。京都大学法学部卒。卒業後は外資系コンサルティングファームに入社し製造業系の案件に従事。2013年にヤマトキャピタルパートナーズ(現在のYCP Holdings)に参画、2016年よりYCP Bangkok Co.,Ltdの代表を務める。

 

Strive for Growth. Lead Asia. Delight the World.

━━ YCP Holdingsの沿革について教えて下さい。

2011年に東京で設立された、ヤマトキャピタルパートナーズという会社が母体になっています。2013年にホールディングス化し、現在は、アジア全域でのビジネス展開に資するために香港に本社をおいています。

 

━━ 事業内容についても教えて下さい。

YCP Holdingsでは、経営・ファイナンス・マーケティングの3つの領域においてアドバイザリーサービスを提供する「マネジメントサービス事業」と、中小・新興企業に対してリスクマネーを提供する「投資事業」、そして、クライアント及び投資先の海外展開を支える「海外展開支援事業」の3事業を展開しています。また弊社の特徴としては全体的に年齢が若く、若いうちから責任あるポジションを任されるという組織風土があります。

 

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━━ なるほど。またYCP Holdingsとしても海外拠点を持っているんですね。

はい。日本企業の海外支援をするためには現地に拠点を置くことが必須であると判断し、創業から2年が経った2013年から海外拠点を創設しました。我々が現地に常駐することで、クライアントと一緒に海外進出をするのではなく、現地にお呼びするという形でご支援したいと考えています。

現在は上海、香港、シンガポール、バンコクに海外拠点を置いています

元々、ヤマトキャピタルパートナーズという会社名でしたが、海外に展開に伴い、現地メンバーも増えていく中で、YCP Holdingsという社名に改め、会社のビジョンも定め直し事業運営をしておりま
す。

15322345_1233748826670894_1954801830_o和のテイストのYCP Holdingsのロゴ。家紋をイメージされているという。

とにかく様々なことに挑戦し、視野を広げ続けた学生時代

━━ では一旦、ビジネスの話から戻りまして伊藤さん個人のキャリアについて伺いたいと思います。伊藤さんは学生時代は何をされていらっしゃいましたか?

私の学生時代は「これをやってきた!」と一言では言い表しづらくて、様々なことをつまみ食いしてきました。高校時代は男子校に通い、部活と受験勉強に取り組む日々でした。今思うと視野が狭かった学生だったと思います。

ですので大学時代は色んなことに取り組もうと思い、大学入学後は様々なことに手を出しました。ゼミ、アルバイトだけでなくベンチャー企業のインターンシップに参加していたりしました。

またインターンのみならず、バイクに乗ってツーリングに行って全国を旅したりだとか、中国の北京大学にサマースクールの形で勉強に行ったりだとか、ロサンゼルスでのインターンシップに参加したりだとか、本当に幅広く行っていました。

 

━━ 大学で様々なことを経験されて高校時代から物の見え方、視野は広がりましたか?

様々な経験を通して、世界は本当に広く自分の知らないことは多くあるのだなと感じました。

また読書も結構しましたね。司馬遼太郎の『龍馬がゆく』『坂の上の雲』などを愛読していました。またヴィクトールフランクルの『夜と霧』にも感銘を受けましたね。

 

━━ たくさんの読書をしてよかったと感じることはありますか?

本を多く読んでいてよかったと感じることは、読書をすることで本の中の「経験を疑似体験できること」だと思います。普通に生きていると自分が得られる経験にはもちろん限界がありますが、読書をすることで疑似体験の数を増やすことができると思います。

仕事をしている最中、とうてい自分ではたいてい体験していないはずなのに「これ知っているな。」といった既視感のある時があり、その理由を考えたところそれは読書で得たインプットのおかげだったということが多々あります。

そういったインプットのおかげで適切なアウトプットができたり、よりよい意思決定が行えていると思うことがあります。

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法学部時代は外交官への道を志す

━━ 京都大学の法学部に進学されていますが、弁護士や法曹関係に就職しようと考えませんでしたか?

父の仕事の関係で、小さい頃にフランスと香港に住んでいました。その頃から漠然と海外で働く日本人に憧れがあり、その中で様々な選択肢を検討していき外交官という仕事が魅力的に映りました。そういった背景で法学部に入りましたが、私は弁護士というよりは国家公務員を目指すキャリアを考えており、国際関係のゼミに入り外交官を目指していました。


━━ なぜ外交官にはならなかったのでしょうか?

実は外交官にならずに今の道に進んだ意思決定には、もう一つバックグラウンドがあります。小さいながらも製造業の経営者であった祖父の存在です。

小さい頃、祖父と一緒に暮らしていた時期もあって、幼いながら経営者の後ろ姿、背中を見て育ってきました。

まだ幼かったにも関わらず、よく祖父から「銀行とどう付き合っていくべきか」「経営とはなんたるか」といったことを日々聞かされていました。今思えば帝王学のようなものですが(笑)。

そういった祖父によく聞かされていた言葉、また経営者としての祖父の姿が大学に入学後から懐古される時があり、外交官だけでなくビジネスパーソン、経営者というのは面白そうな選択肢だと思っていました。

つまり私は外交官になるべきか、経営者になるべきか、官か民の2択で悩んでいました。

初めは外交官になるべく、実際に大学OBの外交官の方にお話を積極的に聞きに行っていました。その中で外交官はかっこよく魅力的な職業だと思いました。

ですが表層的な部分だけでなく現実的な側面から考えれば、外交官の使命は外交上の制度や規制を作っていく立場です。

 

確かに制度や規制は新しいものではありますが、本当に自分として付加価値を出していける場所はどこなのかと疑問に思い、「制度や規制を作った上でそこから何ができるのか」ということにこそ付加価値が出せるのではないかと思うようになりました。

 

そういったことを考えている時にふとビジネスの世界に視点を移すと、新たな価値を生み出し続けているビジネスパーソン、経営者が非常に魅力的に映りました。

例えばUNIQLOの柳井社長は、世の中になかった新しい事業、付加価値を衣類という形で社会に生み出していき、日本だけでなく海外にもインパクトを与えています。「新たな付加価値を社会に生み出しつづけられる魅力」から最終的に経営者になるという目標が立ち、民間企業への就職を決意しました。

 

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大学を卒業後、大手外資系コンサルティングファームに

━━ なぜ外資系コンサルティングファームに入社されたのでしょうか。

最も入りたかった企業が外資系コンサルティングファームではなくて、結果的にはこの会社にたどり着いた、という方が正しいかもしれません。

というのも、もともとは「経営者になる!」という目標に少しでも早く近づくためにベンチャー企業を中心に就職活動を行っていました。その時は経営者の近くで働くのがもっとも最短距離だと考えていました。

 

ただ就職活動をする中で様々な方から「あまりベンチャーだけにこだわり視野を狭めすぎるのはよくない」とアドバイスを受け、ベンチャーだけでなく様々な企業を見ていました。

大企業かベンチャーかで考えるのは極端ですが、大きな企業に入ることでどういう仕組み、システムで大きな組織がマネジメントされているかを知ることができますし、コンサルティングファームでビジネス的な思考の基礎も学べると思いコンサルティングファームに入社しました。

結果として就職してからは製造業系の案件に従事し、そこで約2年半働いていました。

 

一本の電話がYCP参画への転機に

━━ YCPへの参画のきっかけはなんでしょうか。

大学の先輩からの突然の電話です(笑)。

無事昇進が決まるも、悶々とした気持ちで仕事をしていると突然、大学の先輩からいきなり電話がかかってきまして「うちのオフィスに遊びにこい」と言われました。

そして行ってみるとヤマトキャピタルパートナーズの話を聞かされ、最初は怪しい集団だなと思っていました。当時はマンションの一室で男性ばかりで喧々諤々と仕事をしていたので(笑)。

よくよく話を聞いてみると、事業に対してのビジョンも非常に共感でき、またちょうど海外拠点を作り始めていて本気さを感じたことで迷わず参画をしました。

 

━━ すごいですね。決断する際に迷いはなかったんですか?

一切ありませんでした。まだまだ私自身若く、当時24歳だったので特に失うものもありませんでしたし、何よりもYCPで働いている人たちがとても優秀で一緒に働きたく、仮にこの会社が潰れたとしてもこの人たちと面白くて新しいことをできるだろうと思っていたので特に迷いはありませんでした。

 

━━ YCPに優秀な人たちが集まる所以はなんでしょうか。

YCPには、投資銀行、コンサルティング、マーケティングといったバックグラウンドを持つビジネスパーソンの能力が十分に活かせる環境が整っていることが一つの所以だと思います。

YCPでは自分のバックグラウンドを活かしながら新しい領域に挑戦ができます。例えばコンサルティング案件に関わりながら、自社の事業を回す経営者として両輪を回しながら仕事ができるのが魅力だと思っています。

コンサルティングや投資銀行の仕事は魅力的ではありますが、どこかのフェーズで事業の当事者となって仕事をしたい、と感じる時は必ず来ます。

かつコンサルティングファームや投資銀行で得られるスキルは次第にコモディティ化してきています。例えばコンサルティングに関する本や知識などはどんどん伝播していてそれらをもとに事業会社の方たちは経営を行っていたりとしています。つまりコンサルタントとして働き続けることに対してはそもそも魅力が薄れてきているのが現状です。


2016年からYCPバンコク拠点の代表に。

━━ 実際にタイでビジネスをしてみて難しいと思う点は何でしょうか。

2つあります。1つはローカルマーケットへの進出です。

現在、お付き合いさせて頂いている日系企業様から様々な案件をいただけることがあるのですが、マーケットのサイズで考えると当然ですがローカルマーケットの方が圧倒的に大きいです。

そのためローカルマーケットを開拓することは必然的に重要になります。日々、ローカライズしていく方法を模索しているのですが日本人がローカルに入り込んで付加価値を生み出すことはほぼないんですね。強いてあげるとすれば日本市場に参入をしようとしているローカル企業にアプローチをして付加価値を出すことですがそれらは既に行われている。

現在では、コンサルティングの経験豊富なシニアな方々にご参画をお願いし、積極的にローカライゼーションを図っていこうと思います。


2つ目は、
多様なメンバーのマネジメントについてです。

タイ人は一般的に日本人に似ている、と言われていてある意味それは正しいのですが、一方で非常にダイバーシティが豊かだなと感じています。

今バンコクオフィスで働いている弊社スタッフはインド系、中華系のタイ人であったり、海外大卒であったり一概にタイ人といっても様々なバックグラウンドを持っています。

そういったメンバーへのリーダーシップの取り方はやはり日本の常識は通用しないので柔軟に考えていくべきだと感じています。

 

例えば日本だと「周囲がやっていることに合わせる」、「上の人間の指示だからやろう」といった暗黙の了解が発生して仕事が進んでいます。ですがタイでは暗黙の了解は通用しません。重要なのはそういった暗黙の了解をいかに明文化できるか、形式化するかというところだと思います。

一つ留意しておきたいのは、私は日本のやり方を否定はしていません。年功序列や和をもって尊しとする文化などは日本独自のものですが、例えば事前の根回し、日報制度などは一概に悪いわけではなくグローバルに通用するものだと思います。

こういった良い文化というのはしっかりとメリットを伝えて導入すればどの国でも価値のある仕組みだと思います。


実際我々も日報制度を導入していて、毎日何をしたか、そこから何を学んだかを言語化して組織で共有するということを実践しています。これをすることによって全体に学びを共有できますし、自身にとっても学びの記録を蓄積できるので非常に良い仕組みが浸透しています。

 

15231735_1226949584017485_1854752434_o-2多様なバックグラウンドを持つYCP Bangkokのスタッフの方々

 

━━ 一方でタイでビジネスをすることの醍醐味とはなんでしょうか。

自分たちがフロンティアを走れるという貴重な経験が積めることだと思います。

具体的に何かというと、弊社3つの事業のうちの海外進出支援で扱っているプリンのタイ進出サポートを例に挙げます。

タイはもともと日本企業が進出していてある程度市場は成熟している一方で、事業単位で区別をすると弊社が行っているプリン事業はまだ誰も挑戦してきたことのない面白い領域なので全てが未開拓領域、フロンティアです。ですので、どこに販売をしてどうやって展開していくのかといったビジネスも全て前例が無く、新しいのでこういった稀有な経験ができることは醍醐味だと感じています。

海外における日本人としての価値とは

━━ 海外でビジネスをするにあたって意識すべきことは何でしょうか。

いわゆる日本人としてのポジショニングの話にも通づるかと思いますが、私は海外で日本人が働く上でこのマトリックスを頭に入れることが大切だと思います。

横軸は、その市場が成熟しているか、成長しているか。縦軸はそのエリア、市場において日本人であるということは優位に働くか、そうでないかです。このマトリックスで言えばタイは成熟しつつあるも、未だ成長マーケットであり、かつ日本人であるということが優位に働きます。

一方で米国は成熟市場であり、日本人であるということは優位に働きません。このマトリックスは一つの分析手段でしかありませんが、図示をして自分のポジショニングを考えることは重要だと思います。

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「今」を生き、点と点をつなげていく

━━ 伊藤さんが日々働く上でのモチベーションの根源はなんでしょうか。

2つあります。

一つは経営者になるという夢を叶えるという目標に近づくため、顧客、関係者に対して付加価値を提供し続けたいと思っています。今のポジションもある種経営者のようなものですが、私が思い描く経営者はより高次元のものだと感じています。目標に対してまだ自分の能力は至っていないと感じているのでまだまだ自己研鑽をしていきたいと思っています。

もう一つのモチベーションの根源は、どんな経験であろうと必ず将来の糧になり活きる場面がある、という確信を持って日々働いているからです。

キャリア論の話にも通づるかと思いますが、これまでは「なりたいゴール(アンカー)を設定し、そのゴールに向かい自分のキャリアは一歩一歩自分自身で積み上げて形成するもの」というキャリアアンカー論が主流でした。

ただ今は「プランドハップンスタンス理論」という新しいキャリア理論が主流になりつつあります。この理論に基づくと、人は様々な経験をする中で価値観、考え方はどんどん変わっていきその変化の中で最適な選択を行なっていくというキャリア形成も正しいのではないかと思います。

 

プランドハップンスタンス理論(計画的偶発性理論)

スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授によって提唱されたもので、「個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定される」とし、その偶然を計画的に設計して自分のキャリアを良いものにしていこう、というポジティブな考え方。

https://allabout.co.jp/gm/gc/441716/

 

ですので何か予めゴールを持って一歩一歩着実に進んでいくことだけが正しいわけではなく、「今」の経験を大切にし必死に取り組み続けることでまた新たな道が開けるのではないか、と考えています。

今の私のキャリアは全て計画通りに進んできたものではなく、ひょんなきっかけでYCPに入りバンコクに来て、タイの拠点の代表をしている、という感覚です。

ですから何が起きても今後の糧になるという意識があるので日々楽しく仕事をしています。

長期インターン募集中

また、YCP Holdings海外拠点では長期インターンシップに参加できる方を募集しております。ご興味の有る方は下記から弊社HPから募集要項についてご覧下さい。

http://ycp.com/ja/recruit/internship.php

【受け入れ拠点】
上海、香港、シンガポール、バンコク

【コンタクト先】
info@ycp.com

【応募に関して】
上記コンタクト先に、履歴書および職務経歴書(社会人の方のみ)を添付の上、メールをご送付ください。

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編集後記

9月にアセナビ主催で開催をした交流会にたまたま来て頂いていたご縁で、インタビューを受けてくださることになった伊藤さん。28歳という若さでバンコク拠点を率いていられる若いリーダーを取材することができ、「6年後、伊藤さんのように挑戦をし続けられているだろうか」と考えました。こういった若き事業運営者、経営者のお話を聞けるのは、アジアにいるからこそ得られる稀有な経験だと思っています。

視座の高い方から「刺激を受ける」だけではなく、この経験が自分の次の行動に繋がるよう、私も立ち止まらず行動し続けようと改めて思いました。

ABOUTこの記事をかいた人

清沢康平

同志社大学法学部法律学科4年。ASEANデビューは大学3年次にバックパックで訪れたベトナムとタイ。その際に迷い込んだゲイバーでマツコデラックスに似た化け物に恥部を触られ、2000THB(約6000円)を喪失。その直後から原因不明の腹痛に襲われ2日間ダウン。この時に、もう1度タイに戻り屈強な精神と肉体を手にいれるべくバンコクでインターンシップをすることを決意。 大学4年次を休学し、2016年3月25日から2016年12月末までバンコクのJAC Recruitment Thailandで10ヶ月間法人営業を経験。現在は再びバンコクに戻り、2017年9月末よりDonuts BangkokのHRチームにて採用、組織制度作りなどを担当中。2018年1月に帰国予定、来年4月からは某IT企業にて東京勤務。