超人気フォー専門店!飲食業未経験でも年間来客数10万人を誇る『フォーティントーキョー』墨 健二氏

写真(左)ベトナムハノイにある『PhoThin』オーナーのティンさん

池袋にある超人気フォー専門店「フォーティントーキョー」
ベトナム・ハノイの名店「Pho Thin」の門外不出のレシピを日本初上陸させたすみけんさんは、ベトナム語も調理も接客もできない中で、日本出店の夢を思い描きながらベトナムに渡航。何とか出会えた創業者ティンさんに紙芝居で直接プレゼンをし、仲間と共に出店を実現させた。

すみけんさんを動かすものは何だったのか、今後の活動や新しい事にチャレンジしたい人が持つべき視点について伺った。

《プロフィール|墨 健二氏 》
大学卒業後、新卒でリクルートに就職し、新規事業開発などに携わる。現在は合同会社こっから一般社団法人ALIVEにて人材開発事業を展開する。2019年、池袋にフォー専門店『フォーティントーキョー』をオープンし、ベトナム・ハノイの名店『Pho Thin』の味を日本初上陸させる。今後は人材開発事業に加え、店舗展開と日本でのフォー普及に尽力していく。

飲食業=「新しいことへのチャレンジ」を体現する場

オンラインで行なったインタビューの様子(背景はフォーティントーキョーの店内)

ー フォー専門店「フォーティントーキョー」だけでなく、様々な事業に携わるすみけんさん。今の肩書きを自身ではどのように考えていらっしゃいますか?

お仕事は、人材開発とか組織開発を生業にしています。

「誰かに言われたから」「褒められたいから」「インセンティブがもらえるから」といった、外からの動機付けじゃなくて、自分自身がシンプルにわくわくすること、やってみたいこと、をする。
“Playfulに生きていく”がテーマです。

“Playful”という単語は、遊び心とか生き生きしている、ドキドキ、ワクワクと直訳されますが、私は内発的な動機に紐づいて選択しているひとを“Playful”と表現します。

ー “Playfulに生きていく”がテーマになった背景は何でしょうか?

5年前ほどからリクルートに勤めていて、起業するときに“Playfulに生きる”をテーマにしました。

自分の意志で選択する人を増やしたいんです。

例えば、会社に勤めると、やりたいことがあっても組織が許容してくれなかったら実現できない。そんな現状を組織ごと耕していくために、企業向けに研修のファシリテーターとして、組織を変えるための支援をしています。

人材開発・組織開発事業が軌道に乗ってきたこともあり、フォーティントーキョーの出店という新しいことにチャレンジしてみました。

池袋にあるフォーティントーキョーの店内

ー なるほど、新しいことへのチャレンジとして飲食業を始められたんですね!

行ったことない場所に行く、出会ったことない人に出会うことが好きな自分にとっては、
未体験のことを体験することが、Playfulな状態であると考えました。

今まで法人向けの仕事を中心にやってきたので、飲食業もBtoCの経験もありません。私にとってフォーティントーキョーは、「スキルも経験もないけど、やってみる」という信念を体現する場です。

- フォーティントーキョーは、すみけんさん自身の体現手法のひとつなんですね。スタッフはベトナム人もいらっしゃるんですか?

店舗スタッフは、総勢20名ほどでベトナム人も日本人もいます。
お金をかけてバイトの募集はしたことなくて、SNSや知り合いづてで集めました。

学生時代からエンパワーメントする側に

出店エピソードやスタッフ募集の話など伺って、すみけんさんは仲間を巻き込んで活動されることが得意だと感じました。人との関わりで意識されていることはありますか?

「できないことはできない」と言うことですかね。
良いところだけ見せずに弱みも見せることで、「手を貸そうかな」「信頼できるな」と思っていただける。
仕事になると駆け引きや取り引きの関係が多いけれど、ちゃんと自分をさらけだして、それに共感してもらえるかが肝だと思います。

ー 弱いところも見せることが大事なんですね。すみけんさんの学生時代も交友関係が広そうですが、どんな生活をされていましたか?

大学1〜2年生の頃は、記事にするのはおこがましいくらい何もしていなくて、飲み会とかに足を運んでは、どうしたら女の子にモテるかってことしか考えてなったですね(笑)

当時、既存のコミュニティに入るのが怖かったので自分で組織を立ち上げようとしました。例えば、月曜1限目のバレーボールの授業が一緒だったメンバーと「月1(げいち)」というバレーボールで和気藹々とするサークルを立ち上げたり。

とにかく友達を作りたかったんです。

ー とても楽しそうな大学生活ですね!なぜ友達を作ろう、自分でコミュニティを作ろうと思ったのですか?

実は、高校3年生の時にいじめにあって、登校拒否していました。人が怖くなっていたので既存のコミュニティに参加するよりも、楽しめる仲間を新しく作りたいという気持ちでしたね。

結果的に大学の友達は沢山できたし、楽しかったけれど、2年生の途中で遊んでばかりの生活を翻った時に「なにしてんやろ、大学時代ってこんなんでいいんかな」と思ったんです。

そこで、大学3年生の1年間をアメリカで過ごすことにしました。

その時、たまたま、仲の良い友人も渡米するタイミングが被ったこともあり、帰国したら一緒に起業しようと約束して日本を発ちました。留学は色んなひとに出会って沢山のことを吸収するので、なにかアイディアが思い浮かぶと思ったんです。

ー 留学前の友人との約束いいですね!どんな起業のアイディアがありましたか?

留学から帰国した当時は、お互い何も考えていませんでした(笑)

けど、俺らみたいに、何かしたいけど動き出せない、道も手段もわからない学生は山ほどいるんじゃないかと思ったんです。

そこで、「学生に動き出すきっかけを作る」という想いから学生団体こっからを設立しました。

積極的に活動する学生にインタビューして記事にしてみたり、イベントを開催したり。例えば、富士山に登りたいけど一緒に登る仲間がいないという学生と共に100人富士登山を実行してみたりしました。

企画はあるけど仲間がいない。どうしたらいいのか分からない学生に伴走する。
そんなことをしているうちに、自分のしている活動の抽象度をあげていくと、エンパワーメント(背中を押してあげる行為)という関わり方が好きなんだなと思うようになりました。

学生から感謝されるのがすごく嬉しかったし、自分が活き活きする瞬間なんだと思いました。

ちなみに、現在経営している合同会社こっからは、学生団体のメンバーと立ち上げました。当時は学生だけにフォーカスしていましたが、大人も含めて「いろんな人の人生をPlayfulに」をテーマとして活動しています。

ー どのような就職活動をされていましたか?

就職活動も「人の動き出すきっかけを作る」をテーマとして、テレビ局を志望していました。

何がきっかけ作りになるのか、と考えた時に印象強かったのがテレビでした。バラエティなどは興味がなかったけれど、アカペラ日本一決定戦『ハモネプ』みたいに素人が挑戦する番組、何かを成し遂げようとする番組に感動したんです。

でも思うように就職活動は進まず…。
その時にリクルートの方が求人雑誌を持ってきて、「この本で毎月何人の人生を動かしてると思ってるねん。人の仕事の選択肢をつくるのも、人の動き出すきっかけを作ることのひとつなんじゃない?」と言われたことをきっかけに、リクルートを志望し始めました。

リクルートはマネジメントがしっかりしており、内発的・外発的動機をつくるのも上手でした。自分自身のWill(意志)をベースに目標が決められる内発的動機から描く部分と、達成したら褒められる・評価されるといった外発的動機付けがうまく機能していましたが、内発的動機の純度100%でやるのも面白いと思うようになりました。

内発的動機に生きている人は無敵で、パワフルなんですよね。

大概の人は、「やったことないからしない」「知識、スキルがないからしない」って言ってるだけだったりします。

『Pho Thin』のティンさんに門外不出のレシピを暖簾分けしてもらうことは、普通の人だったらブレーキをかけてしまうところですが、やりたいことを追い求め、今は自分を実験台にして、体感している真っ最中。感覚を頼りに実践していますね。

お店の儲けだけでなく、フォーの普及にも注力していく

筆者が実際に行った時の写真。牛肉も麺もスープも全てが美味しくてまさに本場の味

ー ベトナムのフォーに深く携わるすみけんさんが思う、フォーの魅力は何ですか?

リクルート時代に海外案件が多くて、色んな国に行っていたのですが、現地に駐在している方におすすめ料理屋を紹介してもらっていました。

自分自身グルメでもないけど、ティンさんのフォーは「明日も食べたい」と思える料理でした。そのくらい好きだったんです。

日本にフォーを持ってくる上でのフォーの魅力は色々ありますが、
まずはなんといっても色んなシーンでも食べられること。
朝食としても好まれますし、お酒を飲んだ後の〆にも食べられます。

また2つ目に、日本において広がる可能性が高いことです。フォーは、ベトナムの国民食で、日本にベトナム人が多いのに、あんまり浸透していないですよね。
コンビニの陳列棚でも、ラーメンやパスタは多いけれど、フォーはほんの一部にしかありません。マーケットが日本ではまだ未開拓なので、面白いと感じました。

そして3つ目は、自分好みに味を変えられる楽しさです。
チリソース、ニュクマム、ライム、胡椒、ニンニク酢などを加えることで、元々の味を変えられるのがフォーの楽しみ方だと思います。

フォーティントーキョーでは秘伝チリソース・ニョクマム・にんにく酢をお好みで追加できます

ー 現地の食を日本に上陸させる、広めるうえで大切にしていること、こだわりはありますか?

変に日本人向けにアレンジしない、自分のエゴを出さないことです。

ベトナム・ハノイにある「フォーティン」の味を暖簾分けしてもらった後、創業者のティンさんに来日していただき、ティンさんにフォーを作ってもらったんです。その時、築地市場や上野に行き、一緒に食材を買いに行きました。

それをそのままメモってレシピにする。フォーティントーキョーでは、ティンさんに監修を全部お任せしています。

ティンさんが来日した様子

その証拠に、20席くらいの小さなお店ですがオープンから約1年半で15万人以上ものお客さんが来てくださり、6割〜7割はベトナム人です。自分の好きなフォーを食べられるお店が少ないからここに来るんだと思います。

他のお店のフォーも美味しいですが、フォーティントーキョー は、フォーだけに特化しているためフォーにそそぐエネルギーが違うと思いますね。毎日、約9時間かけてスープを作っています!

ー 私自身がお店に訪れたときもベトナム人がとても多かったのが印象的です。オープン前からターゲットにされていたんですか?

ベトナム人のお客さんが多いのは、予想外でした。日本人の女性にヒットすると思っていました。

ー 今も池袋の店舗は盛況していますが、フォーの展開について今後はどう考えていますか?

2つの道筋を考えています。

1つ目は、ティンさんのフォーを広めること。
フォーティントーキョーを主語にするならば、今オープンしている池袋店に加え店舗の展開を進めています。1店舗だけでは影響力は少ないと感じますね。

2つ目は、日本でフォーを広めること。

新しく一般社団法人フォー普及協会を設立しました。
お店が儲かればいいではなくて、日本でフォーの食文化を広げる活動をする予定です。
今後は、SNSアカウントを立ち上げて、日本にある1000店舗くらいのベトナム料理屋に行って紹介していきます。メンバーの3人で、1ヶ月30店舗のペースで、12月までに100店舗の訪問が目標です!

毎日のようにフォーを食べることをベースとして、フォーを盛り上げるために企業と協賛するなどのフォー普及活動をしていきます。

ちなみに、コンセプトは「May the PHO be with us(フォーと共にあれ)」
ディズニー映画「Star Wars」の「May the force be with us」をもじっています(笑)

フォー文化の拡大に努めた男としてベトナムの教科書に乗ろう。内発的動機でやるなら、儲かるよりも楽しいことを大事にしています。

− 内発的動機のパワフルさを感じます!オープン前からそのように思っていたんですか?

いや、そこまで考えていませんでした。
でも、店舗をオープンしたときに、めちゃくちゃバズったんですよ。
スープ150人前を用意してたんですが、オープン10分くらいで150人以上の行列ができました!それが3ヶ月くらい続いたんです。

「この味を日本に持ってきてくれてありがとう」という言葉もいただいて、とても嬉しかったです。

閉店後、ティンさんと一緒にその様子を見ていて、ハグして泣いて喜びましたね。
しかもティンさんとハグした写真がベトナムのニュースに流れたんです。ティンさんもベトナム帰国後にテレビのインタビューに答えたり。

ー その光景は痺れますね!!すみけんさんがベトナムの教科書に乗る日を楽しみにしています。最後に、「フォーが好き」など“こだわりを持つ人”が、それを仕事にする上で持つべき視点は何でしょうか?

やりたいことをしたいけど、お金がないから、経験がないからできないってみんな言うんですけど、止めてるのは結局自分自身がほとんどです。やらない理由を他のせいにせず、自分の見方を変える。

自分の挑戦を止めるのは自分、できない理由を探すのは自分と認識することだと思います。

私自身、フォーティントーキョー のオープンにあたって自分では100万円くらいしか出してないんです。共同出資したり、借り入れをしたりしてオープンに導きました。飲食業経営の経験もない、ベトナム語も喋れないけど、年間10万人が来るお店を作れています。

できない理由を作っているのは自分自身と思うと、もっと軽々とできると思います。

 

<編集後記>

ベトナムで食べたフォーと同じ味が日本で中々出会えない…と長年心が萎えていた筆者にとって、ここのフォーはスープを飲み干したくなるほどの絶品でした。そこで、フォーティントーキョーのホームページにある日本上陸ストーリーを拝見し、代表すみけんさん自身の魅力と今後のストーリーを描ける記事を執筆したいと思い、今回依頼をさせていただきました。

大学時代にゼロからサークルや組織を作っていく様子や、学生団体のメンバーと今もなお事業をされているお話から、すみけんさん自身の前向きで素直でPlayfulな生き方が周りの人を惹きつける、そんな風に感じました。実際に私もすみけんさんの人柄に惹かれました!

東京近郊にお住まいの方は、ぜひお店に訪れてみてくださいね!

フォーティントーキョー 
📍ハヤカワビル
〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目12−14

一般社団法人フォー普及協会
ベトナムの麺料理「フォー」を、うどんやラーメンと並ぶ国民「麺」食とするべく、様々な普及活動を行なっている団体です。
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