2016.4.22
「日本でしか働けない自分になると思った。」
山下氏は日本の人材紹介会社の幹部として勤められていましたが、役職も給料も下がるにも関わらず、タイで働くことを選ばれました。そして1年半、代表取締役社長に就任。その経緯、想いを取材いたしました!
《プロフィール|山下勝弘》
1974年、兵庫県生まれ。関西学院大学卒。1998年近畿日本ツーリスト入社。その後、2002年総合人材サービスを提供するキャリアデザインセンターに転職後、営業職、マネージャー職などを経て人材紹介事業部局長に就任。2012年日系人材紹介会社JAC Recruitment Thailandにマネージャーとして転職。約1年半で代表取締役社長に就任、現在に至る。
目次
会社のためにまずは個人で東南アジアへ!大きな転機となる。
—まずタイで働くことになった経緯を教えてください。
実は前の会社にはとても満足していて、転職する気なんて全くありませんでした。むしろ100人の部下がいましたし、この会社をどう大きくするかばかり考えていました。それで、東南アジアに法人を出そうと思いたったのです。
まずは自分の休みと給料を使い、東南アジアであるベトナム・インドネシア・タイの日系企業にアポイントを取って、各国に話を聞きに行きました。
―アポイントを取ることに関しては、難しくありませんでしたか?
もちろん難しかったです。会社の名前も使えませんでしたし、なにより社長の連絡先は、ホームページなどでは書いてないことが大きな問題点でした。だから、問い合わせのようなページでひたすら連絡を送りつづけていました。
それで返ってこなかったときは、もう一度、形式を変えて送ってみました。
私が返事をもらえない理由は、1. 競合他社であるから、2. 忙しいから、3. ...のように、質問形式で送ってみたりもしました。
その結果、お返事をいただけた企業もありましたよ!
何人かお会いして話を聞かせていただいた社長さん方の一人が、JAC Thailand前社長・蒲原隆さんでした。お話をさせてもらう中で、「一緒に働かないか」と声をかけていただきました。
ただ、まず上司に東南アジアの状況を話すべきだと思いましたし、9年半働いた前職の会社自体にも自身のポジションにも満足していたこともあり、その場ですぐに返事は出しませんでした。そこで、東南アジア進出を前職の会社提案してみました。
ただ残念ながら上司には反対されてしまったのです。まずは日本で東証一部を目指すべきだと...。
—ではなぜ、タイに来られる決心が出来たのでしょうか?勇気がいる決断だったのではないでしょうか?
ぼくにとっては勇気を出したという考えはなかったかな。もちろん、年収も半分になり、役職も下がるということで考えはしました。
しかし第一に、自由が大好きなんです。ぼくにとっての自由というのは、いつも人生の選択肢があること。能力があって、世の中から求められる人材で居続けることが、それを実現する道だと思います。なので、何歳のタイミングでも自分で住む場所ややりたいことを選べるビジネスマンでいたいと思いました。
結局のところ、お金は自由でいるための手段でしかないと思っています。だから、より自由が広がって得られるものが大きいタイに来るのに、年収にこだわる必要はありませんでした。結局、お話をいただいてから3週間で退職を決断しました。
初めての東南アジアワークライフ。日本との違いを逆に楽しむ。
—実際にタイで働いてみて、苦労などはありませんでしたか?
言語と文化でしたね。まず言語ですが、当然日本人が少なく通訳を雇っていたわけではないので、英語を話さないと仕事が進まない。大学時代、1年間オーストラリアへワーキングホリデーに行っていましたが、もう14年使ってなかったということもあり、伝えたい表現は脳細胞の奥にあるのか、全く出てきませんでした。
文化についても、タイ人は日本人より本音と建前が激しいので、本音を隠すことが多く困りました。例えば、ブレインストーミング中でも、「先輩と意見が違ったらまずい」と彼らは思うため、10分間まったく意見が出ず、やむを得ずお開きにしたこともありました。あのときは正直嫌われているのかと思いました(笑)
—その問題をどう解決したのですか?
まず、言語の壁にぶち当たったり、文化の違い問題が起きたときに「この種の問題来たー!待ってました!」と前向きに捉えました。こういう苦労は、あうんの呼吸でビジネスを進める日本では経験できない苦労でしょ? だからこそ、「このために自分はタイに来たんだぞ」と考えていました。
例えば英語の壁を乗り越えるために、日常生活で触れる言語は全てを英語に変えました。日本のテレビを一切見ずに全て洋画やBBCにしたり、任天堂DSのゲームも英語でプレーしたりして、快適に努力ができるようにしました。
文化に対しては、関わる社員一人ひとりとの1対1の面談を導入しました。それで、会議が5分間沈黙だったことの真相も知れました。結果、1対1の30分面談を設けたのですが、30分では足りないくらいに社員は話してくれるようになりました。
JAC タイランド現社長のこれからの目標とは!
—苦労も問題も楽しむことが重要なのですね。では、これからの会社としてまた個人としての目標を教えてください。
JACタイランドは設立から12年間経ちましたが、日系人材紹介会社No. 1といえる位置に来たと思っています。ただ、ご提供しているサービスの質にはまだまだ満足していません。
よって、直近の目標は、日本のレベルに慣れたお客様でもご満足いただけるサービスクオリティを達成すること。そのためには異文化マネジメントを用いて、タイ人コンサルタントも含め、全コンサルタントがエクセレントと呼べるようにしなければなりませんが、少なくとも3〜5年はかかるでしょうし、私の満足ラインは高いので一生達成できないかもしれません(笑)
個人としては、まずはそれを成し遂げる。その後は、人生で何をするかは正直決まっていません。ただ、これを成し遂げた私は、引き続き人生を選択する自由を持っているに違いありません。
—最後に今の学生に向けてメッセージをお願いいたします。
賛否両論あると思うけど、まずは新卒の皆さんは日本で働いた方が良いと思っています。というのはやはり日本のビジネスレベルは世界でも高くそこで基本レベルを上げることが必要と感じるからです。切磋琢磨できる同僚、そして尊敬できる上司からあらゆることを盗む。そういった日本での経験が海外でも必要だと思います。
ただ、学生時代だからこそできることはたくさんあって、海外インターンもその一つのではないかと思います。海外インターンをすることで、事前に経験ができ、将来の思考の枠が広がる。実体験を持って日本のビジネスシーンと海外のそれを比べることができると思います。「あの時のあの経験があるからこそ、最良と確信できる判断ができる」という経験が私自身にもあります。
私は学生時代にワーキングホリデーでオーストラリアに渡りツアーガイドの仕事をしていました。その経験があったからこそ、海外で働くことに関してイメージが出来て、タイに来るきっかけにもなったと思います。
日本で働くのももちろん良いことだと思います。ただ、「日本しか知らないから、日本にいる」と「海外を知った上であえて日本を選んで、日本で働いている」というのは見た目は同じでも実は大きく違うと思います。
JACタイランドでは、より異文化での体験を実際の企業での「働く」を体験してもらいたいと思っています。みなさんのチャレンジをお待ちしています!
インタビューを終えて
初めまして。タイで3ヶ月インターンしていました横山と申します!
この度は実際にインターンさせていただいていた、JACタイランドの社長にインタビューさせていただきました。
社長に限らず、現地採用の社員さんもみなさん本当に魅力的で、一人でも多くの方に、異文化で働く良さを伝えたいと思ったのが、この記事を書いたきっかけです。
タイにはJACタイランドのような、『海外の企業で働く』をインターン生が、よりリアルに経験できる場があります。ぜひ、みなさんも東南アジア、タイへ飛び込んでみてはいかがでしょうか?思っている以上の経験、出会いがそこにはあると思います!