【新卒海外】 アジアのNPOを訪ねる旅を経て東大大学院を中退。セブ島の語学学校 NexSeedで働く 高寺優子さん

2016.02.11

フィリピン・セブ島の語学学校で働かれている高寺さん。理系の大学院を中退し、そのまま就職されたという。セブ島での会社立ち上げインターンや、NPOを訪ねる旅など学生時代から様々なことを経験されてきた高寺さんに、その思いの内を伺った。新卒海外就職特集

《プロフィール|高寺優子さん》
東大機械工学科卒、東大院を半年で中退。南米・アジアをバックパックし、『ガンジス川でバタフライ』を文字通り実行。強靭な体とタフさが武器。休学中にインターンとしてNexSeedの立ち上げ最初期から参画し、中退後は社員としてジョイン。現在は、経理、法務、労務、人事などバックオフィス全般を幅広く担当している。今後は、ものづくりとBOPを絡めた事業で地域の人々にも笑顔を広げたい。

インターンを経験後、NPOの現場を見て、見えてきたこと。

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—なぜ海外就職をしようと思ったのか、そのきっかけを教えてください。

海外インターンをしたことですね。漠然とした海外への憧れはあって、インターンをしてみたら楽しかったからそのまま就職したという感じで。あまり考えてはいなかったというのが本音です。

大学の専門は工学部機械工学科で、人間工学を専攻、触り心地の設計に関する研究をしていました。学部時代はオーストラリアへの短期留学や南米への一人旅などで海外へ出ていましたね。

アメリカのデザインスクールに留学に行きたかったのですが、残念ながらTOEFLが大学の足切りにも届かず、それならまず海外に出てみようと、修士一年の時に休学。高校からの同級生で先に海外インターンを経験していた友人(下記リンク)に紹介してもらった、NexSeedの立ち上げインターンに参加することにしました。

参照:【新卒海外】だれかの「当たり前」に縛られずに生きる。アメリカでのインターン・フィリピンでの事業立ち上げを経て世界各国を旅中の西山七穂さん

 

—休学期間は、どのようなことをされていたのでしょうか?

1年の休学のうち、前半はインターンし、後半は旅をしながらNPOを訪ねて回ったんです。

インターン初期は代表と二人で、オフィスもない状態から会社の立ち上げを経験しました。オフィスの契約書からはじまり、カリキュラム作成やインターン生の採用、フィリピン人のマネージメント等、いろんなことをやらせてもらいましたね。

休学後半のテーマは、NPOとビジネスを比べてみようということで、8カ国ほどを旅しながら回りました。

私がその時に感じたことは、ビジネスは人を助けることができるんだ、ということでした。企業でインターンをした後NPOを見たので、ビジネス的視点を入れたらもっと良くなるのに、と思うこともあったんです。寄付だけよりも、お金を稼ぐ方法を知っていた方が人を助けられることもあると感じたため、後々NPOに関わるとしても、先にビジネスを知っておいた方が良いと思いました。

インターンや旅を経て、仕事へのモチベーションが上がり、そのときの私には学生をするよりも働く方が学ぶことがたくさんあると思うようになって。その理由から大学院を中退し、NexSeedに就職しました。

今までお話してきたように、漠然とした憧れから徐々にやりたいことが出てきて、その都度選択してきた感じですね。

参照:「将来の日本を背負う若者こそ、外に出てほしい」新たな留学のカタチを創るネクシード代表高原大輔氏 

 

—日本で就職活動はされていたのですか?

写真③

大学三年の時と修士一年の休学する前、日本に帰国後と、3回日本でも就職活動をしました。あまり、これをやりたいというのは決まっていなくて、様々な業界を見ていましたね。

ただその中でなんとなくやりたいと思っていたことは、ものづくりに関わるようなことです。また、恵まれた人を応援するよりは、地方の人や途上国の人を応援できたら良いなと思っていました。途上国を出てからは、教育にも関わりたいと思うようになりました。

インターンが終わるときに、機会があればぜひ、と声をかけてくれいたんです。その後帰って日本でも就活をし、ベンチャーを中心に受けて何個か内定をもらいました。でも最終的に、フィリピンという環境も含めNexSeedの方が楽しそうだなと思い、戻ることに決めました。

 

—就職時の周りの反対や葛藤はありましたか?

反対はなかったわけではありません。東大まで行って、この選択でいいのかは聞かれましたね。ただ、「でら(私のニックネーム)らしくて面白そうだね」と応援してくれる友達もいました。葛藤はあまりありませんでした。

 

「みんなで成長していこうという社風がある」

—現在の具体的な仕事内容を教えてください。

今は、語学学校のバックオフィス全般を担当しています。

バックオフィスと言うとあまりイメージしにくいかもしれませんが、セールスやマーケティングのような表に出ている仕事以外を担当するのがバックオフィスです。具体的には、人事、法務、経理、総務ですね。

例えば会計や、パーミットの更新、講師の採用などで、フィリピン人のスタッフとチームで回しています。何かをやりたいといえば誰でも提案できる環境にありますね。

弊社の代表は、人材育成の事業をやっているため人を育てたいという思いが強い人で、みんなで成長していこうという社風だと言えますね。

 

—フィリピンで働く時のビザ、お給料、生活についてはどうでしょうか? 

写真④

フィリピンはビザを取りやすく、私もワーキングビザがすぐ下りました。ただ、今は少しずつ厳しくなってきているようです。ビザを取る際、大学の経歴などを見られる面接がありました。

お給料については、やはり日本で大企業に就職したような友達と比べると決して多くはないですが海外だからというだけではなく、ベンチャーだからという部分もあります。

自分が現地にどこまで対応するかで、生活費はかなり変わってきますね。

今はITパークの近くに住んでいて、オーナーがいるところの一部屋を借りています。通勤はタクシーで交通費の手当てもあり、満員電車もないですし、快適に暮らしていますね。

食事は、フィリピンのローカルの食事も食べています。会社はでのお昼はカンティーン(日本の定食屋のようなもの)のデリバリーをしています。

金銭面に関しては、ベンチャーなので頑張り次第で給料が上がるのは早いと思います。

今は住民票を抜いているので、日本の年金は払っていません。日本に戻るかどうかも分からないので。ただ、フィリピンには日本以上の税金を納めています。保険は現地のものに入っていますが、なくても病院でかかる金額は、日本で3割払うのと同じくらいの感覚だと思います。

休日は、時間があれば水泳したり、ヨガをしたりしています。ヨガはローカルでは50ペソ(約130円)ぐらいから安くできますよ。

 

新卒で海外ベンチャーという選択肢。

写真⑤(オフィスにて)

—海外就職してよかったなあと思うこと、日本では経験できないと思うことはありますか?

海外で働くにも方法は何種類かありますが、現地に直接就職するとなると、ベンチャー企業が多いです。その分、責任あるポジションを任せてもらえる可能性が大きいのではないでしょうか。日本の大きな組織で働くよりも、仕事を任せてもらえている範囲が広いなあと思います。

また、世界を視野に入れて来ている人の情報が手に入るという点も魅力です。

海外にいて、かつ仕事の裁量権が大きいことで視野が広がりますね。

例えば、普段から仕事の中で、自分ではないとできないことと、現地の人の方が得意なことを振り分けていることもあり、仕事に対する見え方が変わってきました。日本に帰った時、この仕事は将来外国人に取って代わられるものだな、ということを考えるようになったんです。

海外で働いているからこそ考えることで、ずっと日本にいたら、将来どの仕事が取って代わられるかなんて考えなかったでしょう。

それからフィリピンの方はみんな明るくて、癒されます!

 

—逆に苦労したことはありますか?

どういう方向性のマネージメントにしていくかということに迷いがありました。どこまで説明すべきで、どこを言わないのか、また、どこまで厳しくするべきか、等が難しかったですね。

例えば日本人とは違って遅刻・欠席がたくさん出ていた際に、厳しく伝えるべきか、ちゃんと出席した人を褒めるかなど、色々なことに試行錯誤していました。

結果的に極力、全部説明するというマネージメントの仕方をしています。

フィリピン人のスタッフたちは素直で、説明するとわかってくれます。むしろ理由がないと理解してもらえなくなってしまいますね。その上で褒める文化を作っています。そして、非常によい結果のスタッフには日本に行けるチャンスをプレゼントしたりしています。

 

—描いている今後のキャリアについて教えてください。

ものづくりに関わりたいです。

今の仕事もやりたいことの一つですが、その中で、ローカルの人を助けるようなことができたら良いなと思っています。フィリピンの人はクリエイティブだなと感じるので、フィリピンの人が持っているものと日本人が持っているものを合わせたら面白いのではないかと思っています。

 

—海外就職に興味があるけれど、迷っている人に対してのメッセージをお願いします。

写真⑦

とりあえずやってみたらいいと思います。もちろん、やることによって何かを捨てなければなりません。でも、捨てることによって得られることもあると思いますし、それでキャリアが完全に分断されるわけではないと思います。

やりたいことをやらずに終わるよりは、やってみて、ダメだったらそこでの学びをもとにまた考えても良いのではないでしょうか。

また、学生ならなおさらですが社会人の方でも、多少ギャップ期間があっても良いのではないでしょうか。私自身、休学は将来を考えるのに必要な、充実した時間だったなと思います。

 

【編集後記】
高寺さんは、自分のやりたいことを、動きながらだんだんと掴んでいかれてきたのだと感じた。私自身は文系で専門性もなく、興味の幅は広くてもこれをやっていきたいという確固たるものがないことに不安があった。しかし今回お話を伺い、高寺さんのように積極的に動きながら経験を積んでいくことで次のステップに進むことができる可能性を感じ、前向きな気持ちになれた。

 

新卒海外就職特集とは?
本当に納得できる道を選び、前に進んでいくために、従来のいわゆる「就職」だけではない様々なキャリアの形があり、その中の一つとして海外就職や起業という形があるということをお伝えできればと思っています。

参照:【新卒海外就職特集】新卒で”ASEANで働く“方々のインタビュー特集、はじめます。




ABOUTこの記事をかいた人

山村 あおい

法政大学国際文化学部4年。2014年に休学、フィリピンのNPOとマレーシアのwebメディア企業にてインターンシップを経験。2015年12月、1ヶ月間でASEAN6カ国を回り、新卒で海外就職・起業をした日本人26名にインタビューを実行。新卒での海外就職を決意し、現在ASEANで絶賛求職中!