「サムライカレープロジェクト」というものがあるのをご存知ですか?
これはカンボジアの首都プノンペンにあるカレー屋さんでインターン型起業体験ができるというプログラムです。
1か月の間で、初めの一週間は与えられたタスクをこなし、現状を把握したり現地の感覚に慣れます。そして残りの3週間で、自分たちがお店の売り上げを伸ばすのに必要だと思ったことを、ガンガン行動に移していきます。「失敗して当たり前」だからこそ、チャレンジ精神が養われるプログラムです。「若い時の苦労は買ってもせよ」というのが、まさにサムライカレーの醍醐味。
今回は、そのプログラムを利用して、私が実際に1か月間行ってきたことをお伝えします!
カレー屋さんなのに寿司を売る
日本人経営のカレー屋さんがどうして寿司にまで手を広げる必要があったのでしょうか?
それは、外国人が持つ日本食のイメージにあります。サムライカレー店舗のすぐ近くにはロシアンマーケットという観光地があり、欧米人が多く行き交います。そこでインタビューをしてみると、「日本食と言えば寿司」という声をよく聞きました。実際にプノンペンにも「SUSHI BAR」というお店があり、お店を増築するほどの人が集まる日本食レストランなのです。
何はともあれ、外国人にとって「日本食=カレー」という発想は程遠いものでした。
そこで、「カレーがなかなか売れないのなら、人気があって売れそうな寿司を売ることにしよう!」と発想の転換をしてみました。早速カリフォルニアロールを作って、屋台販売してみるという検証を行うことに。
メインターゲットは欧米人。しかしながら、現地の人にもサムライカレーの存在と寿司の存在を知ってもらいたいということで、積極的に声をかけることにしました。
ランチタイムを狙って、比較的交通量の多い交差点に台車をポジショニング。そこで日の丸を掲げながら「スシ~!スシ~!」と大きな声でお客さんを呼び寄せます。最初は恥ずかしさもありましたが、これは商売です。そんな気持ちは日本に送り返して、一生懸命売りさばく努力をしました!
欧米人とカンボジア人の反応の違い
実際に、数日間の屋台販売を通して気づいたことがありました。それは、
「欧米人は寿司が6個3$でも、3個3$でもお金を出してくれる。一方でカンボジア人は寿司に3$どころか2$でさえも買うのをためらう」ということ。
欧米の人々にとって、寿司というのはとてもメジャーな食べ物です。そのため、なんのためらいもなく買ってくれました。けれどカンボジア人は違います。「これ、何?」「日本の食べ物は食べたことないよ」など、半数くらいの人が寿司について知りませんでした。
それもそのはず。カンボジアでは屋台で食事を済ませれば、1~2ドル程度で十分お腹を満たすことができます。またカンボジアの公務員の平均月収は1万円ほどとも言われています。その環境にいる人がわざわざ3ドルも出してよくわからない食べ物を買うでしょうか?そう簡単には買ってもらえないことが想像できるかと思います。
この経験を通して、カリフォルニアロール1つ売るのにも、認知度、金銭感覚、日本というブランド力など、たくさんの要素が絡み合ってくるということがわかりました。
東南アジアの「経済」を感じること
この数日間、もちろん全く売れなくてそのまま持ち帰ったこと、何時間も粘り続けてようやく売り切ったこと、言葉が通じなくて寿司の説明すらできないことなど、たくさんの困難がありました。
しかし、こんな経験は日本でできるでしょうか? 海外の人がどのような生活を送っているのか、どんな金銭感覚を持っているのか、どれほど日本について知っていてくれているのか、など、実際に海外に出て自分の目で確かめてみないことにはわかりません。
そして特にASEANの国々は今、急速な経済成長を遂げています。実際に自分が1か月間カンボジアで生活してみても、その経済成長の渦中にいることを感じることができました。例えば1食2ドルの食生活を送りながらも、1台100ドル以上するスマホを常にいじっている、そんな光景がどこにでも広がっています。
街を見上げれば、たくさんの高層マンションが建設中です。24時間営業のコンビニもつい最近になってできました。このように日本ではあたりまえになっているものが、ちょうど今つくられているのです。そこにはたくさんのビジネスチャンスがあると言えますよね。
日本にはあって、ASEANにはないもの、それを見つけるだけでもアジアで働くきっかけになるのではないでしょうか?ASEANに行くというその一歩が、あなたの可能性を広げる大きな一歩になるかもしれません。