英語学習の重要性が叫ばれる今日。
時代の追い風と独自のオンライン英会話サービスを武器に業界を牽引する株式会社レアジョブ(以下、レアジョブ)。教育機関向けのレッスン提供を担うフィリピン子会社 ENVIZION PHILIPPINES, Inc.を2016年の立ち上げ当初から支え、当時26歳の若さでCOOに就任した水島さん。
各メディアに注目される若きリーダーの成功の裏には、度重なる挫折と失敗を経て、辿り着いた“チャレンジを止めない”独自の理論と“経営者としての確固たる信念”がありました。フィリピンの地で成長を続ける水島さんの人生観、仕事観に迫ります!
《プロフィール | 水島俊介氏》
オンライン英会話サービスを手掛けるレアジョブのフィリピン子会社3社で、500名以上の現地社員を束ねる若きCEO。 学生時代にはフィリピンへ1年間の留学、新卒でGoogleへ入社。レアジョブ創業者で元会長の加藤氏と出会い、インターンを経験。一度離れるも後に再会し、レアジョブへ入社。当初は日本国内での配属予定であったが、入社当日にフィリピン子会社立ち上げメンバーに任命される。
二度の挫折の中で見出した成功論
ー学生時代について教えてください。
元々サッカー選手になりたくて、真剣にその道を目指していました。しかし怪我による挫折を経験し、儚くもその夢は諦めました。当時18歳だった僕には何となく成功したいという気持ちがあり、成功者の本や記事などをよく読んでいたんです。彼らの体験を通して、チャレンジする数を増やしながらその精度を上げること、そして勝算が無いと感じた場合は撤退時期を見極めることを学んでいました。その後、大学進学と共に、今度は両親の夢であったパイロットを目指して勉強を始めたのですが、航空身体検査で不合格となり、こちらも早々に諦める結果に。二度の挫折から多くの失敗を味わいましたが、その後も夢を叶える努力は諦めずにさまざまな事にチャレンジし続けました。
ーレアジョブとの出会いはなんだったのでしょうか?
大学在籍時、僕は将来の進路に対して不安を抱えていました。企業就職を考えると、英語ぐらいは話せないとまずいだろうと漠然と考え、フィリピン留学を決意。それと同時に、現地の大学に通っているだけではつまらないのではと思い、面白そうなことを探していたところ、レアジョブの創業者である加藤のブログに辿り着きました。メッセージを送ると快く食事に誘ってもらい、マニラのオフィスでインターンを始めることになりました。
新卒ではGoogleに入社し、次の職場ではコンサルとして働きました。当時「自分で会社を興そう」と考えていたところで、不思議なご縁があって加藤と食事へ行く機会に恵まれます。彼と話しながら、「ここでなら、自分のやりたいことに挑戦できる!」と感じ、入社を決めました。
フィリピンへの留学や2年間日本の企業で働いていた経験はありましたが、若い自分を見込み、フィリピンの子会社の設立という重要なプロジェクトにアサインしていただいたのは、他ならぬレアジョブの先輩方の懐の深さの表れだと思います。
500人以上の社員を束ねる社長として
ー現在のお仕事を教えてください。
レアジョブは“Chances for everyone, everywhere.”というグループビジョンを掲げ、これに向け、“日本人1,000万人を英語が話せるようにする。”というミッションの実現を目指しています。
“レアジョブ=大人の英語学習”というイメージのある方も多くいらっしゃるかもしれません。しかしながら、実は幼児から高校生までを対象にした個人・学校向けの英語教育サービス事業も運営しています。
“英語が当たり前に話せる世代をつくる”をミッションに、
自宅で行う子供専門オンライン英会話サービスを提供する『Ripple Kids Educational Services, Inc.』
学校での英語学習環境をオンラインで提供する 『ENVIZION PHILIPPINES, Inc.』
これら2社のCEOに就任しています。また現在、フィリピンで新たな子会社を立ち上げている真っ最中でして、3社のCEOを兼任する立場で新事業の運営体制構築から軌道に乗せるまでの挑戦をしております。
フィリピン子会社が権威あるビジネスアワード「Golden Globe Annual Awards for business excellence and Achievers」を受賞
ーフィリピンでの経営で大切にされていることは?
会社のフェーズや業界によって社長の役割は若干変わってきますが、意思決定をすることと、決定事項は言葉で伝えるということはどんな社長にも共通する役割だと思ってるんですね。そこに対して、どういった心の置き方をするのかを常に気を付けています。
例えば、社長が入社式で自分の会社のビジョンについて語っている。そんな時、新入社員は社長が本気で語っているかどうかすぐに見抜けてしまいます。これは社長に限ったことではなく、日常の中でその人が本心で言っているのかどうかを私たちは敏感に感じ取っていて、特に社員は社長の言葉から発せられるものを非常にシビアに捉えます。
僕は月に1回開催している全社集会で、毎回約10分間話す機会を設けています。そして、毎回必ず数時間ほど事前に練習してから集会に臨みます。それはなぜかというと、『これから自分が発する言葉を誰よりも自分が信じられるか?』という自問自答を通して、まずは自分が納得できることを大切にしているからです。
これは今経営者として非常に大事にしている取り組みの1つになっています。
フィリピン子会社2社目のCEOに就任した際、フィリピンスタッフにスピーチしている様子
また、意思決定に関しても難しいことは少なくありません。ビジネスでは、どれも正解であり、不正解でもある複数の選択肢から選ばなくてはいけないといったシチュエーションがたくさんありますよね。その場合、もちろん選んだ選択肢に伴うリスクをあらかじめ想定して対策を練っておくのが重要ですが、さらに一歩踏み込むと、どのような心の置き方で決断するかによって結果が変わってくると考えています。
例えば、部下に厳しく伝えた方が良いのか、それとも優しく伝えた方が良いのか。シンプルですが難しい意思決定です。その時に、「この人から嫌われたくないから優しく言おう。」と逃げようとすると、その意思決定は絶対上手くいかないんですね。
大事なのは「この人のために厳しく言った方がいいんだ。」ということを本心で思っているかどうかです。仮にどっちに転んでもその結果は自分で背負うんだという腹決めが出来ているか否かによって、意思決定の質は変わってくると思いますし、注意するようにしています。
ー逆にフィリピンで経営をされて大変に思うことは??
特にないですね。ただ、ミンダナオ島にあるマラウィという地域でテロが起きたことがあって。当時私が住んでいた家の約100m先で、銃撃事件が発生したんです。さすがにそれは少し怖かったですが、あまり大ごととしては捉えませんでした。ニューヨークなどでは頻繁に起こることでもありますし。自分自身の性格のせいかもしれませんが、比較するほど他国での就業経験があるわけでもないので、フィリピンだから東南アジアだからどうとかという大変さを感じることはないですね。むしろ、年齢に捉われず裁量のある仕事ができる機会に恵まれていることに感謝しています。
レアジョブのために成長を止めない
ー10代、20代を振り返られてみて、自分の気持ちの軸はどこにありますか?
「死ぬまで成長したい」その一点ですね。
僕は、これまでの人生を分けるなら3つのフェーズを経てきたと考えています。
まずは競争フェーズです。「あいつに勝ちたい」「レギュラーになりたい」という想いが強く、相手と競争して何かを得ることに喜びを感じるフェーズです。ただ、それを続けていても、勝っても嬉しいのは一瞬ですし、上には上がいるので常に勝てるわけでもない。そんなことに気づくわけですね。
すると次は、達成フェーズに移ります。他人と比較するのではなく自分なりの目標を立て、達成することで人生の幸せを感じるフェーズです。英語学習に例えるならば、TOEICで900点以上を取るなどの指標でしょうか。でもこれも結局同じで、達成しても虚しさを感じるようになります。次の目標を立てる、達成できないこともある。どんなに頑張っても達成できないことはあるものですからね。
ここで、競争・達成フェーズから脱する2つの大きなきっかけがありました。
一つ目は本です。普段からビジネスジャンル以外の本を読むのが好きなのですが、その中で宇宙に関する一冊の本と出会いました。宇宙はビッグバンが起きてからずっと成長し続けているという理論があるらしいのですが、星が死ぬまで成長し続けるのは、いわば宇宙の法則なんですよね。ということは宇宙の一部である自分も、死ぬまで成長し続けることが自然の摂理であり、だからこそ成長することに人は喜びを感じるのかなと思いました。
二つ目は、芸人の有吉弘行の言葉です。ある時ラジオを聴いていたら、彼が「生まれ変わって同じ人生を歩めって言われたらどうする?」と、ある芸人に問いかけてていたんです。その時私は、この問いに胸を張って「YES!」と答えることができれば、自分の人生は成功だったと言えるのではないかと思いました。つまり、また同じ道を歩みたいと思える悔いのない人生を今自分は歩んでいるのかということですね。
では、どうすればそんな人生を送れるのか。それは、すべて成功して失敗や挫折のない人生…のことではないと思うんです。例えば、僕はサッカー選手になりたかったけれど、なれなかった。だけど、プロを目指す過程を本気で頑張り、それによって成長した実感と喜びがある。ビジネスパーソンとしても失敗はたくさんあるけれど、その失敗が今の自分を形作っている。
つまり、たとえ失敗しても、想定外のことが起こっても、それを自分の成長の糧に変えることができれば、人生に対して悔いは残らないなと思ったんですね。この2つの出会いを経て、3つ目の成長フェーズに入ったと思っています。
成長は、人生に対して喜びを与えてくれる。それに気づいてからは、何か失敗してもこれをどうやって成長に繋げるか?ということを考えられるようになりました。
ーこれからのキャリアプランニングはどのようにお考えですか?
今の段階では、明確に描いてはいません。
なぜかというと、自分自身の次のビジョンを考えると、どこかで今の仕事にコミットできない自分が出てきてしまうからです。それよりも今は経営者という立場から、
「目の前の目標を達成するには何をすればいいのか。」
「この会社が10年、20年存続するためには何ができるのか。」
そんなことを考え、実行することに100%自分のマインドと時間を使い切りたいです。そうでなければ、社員にも自分の迷いが伝わってしまうと思うんですよ。「日本から出向で来ているだけで、成果をあげたらすぐに戻るんだろうな。」「実は日本で働きたいんだろうな。」などと思われるかもしれない。もし仮にそういうマインドセットがあったら、それは実際に見透かされてしまうんですよね。
フィリピン子会社で開かれたクリスマスパーティの様子
ー若い世代にメッセージをお願いします。
もしあなたにやりたいことがあるとしたら、やらない理由は何でしょうか。
スキルがないから?時間がないから?環境や親のせい?
“やらない理由”は挙げればいくらでも並べられるでしょう。やりたいことがあっても、なかなかやり始められない風潮は、見方を変えればチャンスにもなり得ます。希望があってもなかなか動き出さない人が多かったり、行動してもすぐにやめてしまう人が多かったり。
そんな中で周囲と差別化するなら、シンプルに行動すればいい。むしろ、インターネットで情報が溢れている今、誰かと何かを差別化するなら、“行動”以外の選択肢はないと思います。こうした世の中の仕組みをロジカルに理解した上で行動することができれば、きっと若い世代のなかでは目立てるんじゃないでしょうか?
もし既にやりたいことが見えているなら、まずやってみる。そしてやり続ける。
それがシンプルな挑戦の道なんじゃないかと思います。
-第二の水島を募集
私たちは"Chances for everyone, everywhere."のビジョンのもと、グローバルに人々が活躍する基盤を作るため、日々、日本とフィリピンをまたいで事業開発に取り組んでいます。
今後さらに国内外問わず事業をスケールすべく、フィリピンで事業を推進するCEO候補を探しています。
はっきり言って、楽なポジションでもキラキラした求人でもありません。
「海外で経営にチャレンジしたい」
「自分の力を試してみたい」
「難関こそ燃える」
成長したいと渇望し、目的達成に高いコミットメントと強いメンタルで立ち向かえる方、まずお話ししませんか?
エントリーはこちらから:https://appeal.rarejob.co.jp/recruit-global-leader/
<編集後記>
会社と社員を第一に考える。CEOとして当たり前に思えますが、水島さんのように言動で行動でそれを示している人は少ないのではないでしょうか。今回の取材を通して、水島さんが若くして成功された理由、また人を惹きつける魅力が垣間見えたように思います。
これからの水島さんの更なるご活躍に目が離せません!