旅は人生の教科書!?バックパッカーのバイブル『深夜特急』に学ぶ旅人的世界の感じ方!

 

あなたは『深夜特急』という紀行小説を知っていますか?

sinyatokkyu04深夜特急〈2〉マレー半島・シンガポール (新潮文庫)  
沢木 耕太郎著 1994-03-30

 

 

 

 

 

 


この作品は作家の沢木耕太郎さんが、インドからロンドンまでをバスで旅する、という名目で海外に飛び立った体験を元に書かれた紀行文です。俳優の大沢たかおさん主演でドラマにもなったのでみなさんタイトルくらいはご存知でしょうか?文庫本では全6巻あり、各地域ごとに分けられています。

(1)香港・マカオ
(2)マレー半島・シンガポール
(3)インド・ネパール
(4)シルクロード
(5)トルコ・ギリシャ・地中海
(6)南ヨーロッパ・ロンドン

沢木さんの旅から約40年、出版から28年経った今でも自由きままな旅人「バックパッカー」のバイブルとしてとても有名なんです!40年前の当時、海外旅行は一般的な娯楽ではありません。もちろんスマホやパソコンなどの電子機器もない時代なので、海外の旅情報が容易に手に入るはずもなく、沢木さんの旅は無謀とも言えるものでした!
そのような沢木さんに影響されて旅を始めた人は数知れず、実は僕も『深夜特急』に影響されて旅に出た1人なんです!!

沢木さんは、インドに行くまでに、ASEAN諸国であるマレー半島(タイ、マレーシア、シンガポール)を旅しています!(文庫版第二巻に収録)
彼の通った道のりを地図にしてみました。

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タイの首都であるバンコクから電車などでチュムポーンやソンクラーを経由しマレーシアへ。マレーシアではペナン島、首都のクアラルンプール、マラッカを経由しシンガポールへ、というルートでマレー半島を縦断しています。

旅中に沢木さんが感じ学んだことには、現代の私たちの人生においても役立つものがたくさんあります。今回は、僕がぜひみなさんにも知ってほしい3つの沢木耕太郎的気づきをご紹介します!

 

-だからこそこういう旅は面白いのかもしれないな、と私はひとりバスの中で笑ってしまった。

タイからマレーシアへと向かうバスの中での一幕。タクシーは高いと決め込み、比較的時間のかかるバスばかりを使っていました。しかし、タクシーも数人でシェアできれば、バスとあまり料金が変わらなかったということに、タイを出国する時になって気づきます。

このことを予め知っていれば、タイ国内の移動がもっと快適にできたかもしれません。あとから気が付くとちょっと損した気分になりますが、入念に下調べした旅行とは違うバックパックの旅だからこその特別な経験のひとつとも言えます!旅人を目指すあなた、これを「面白い」と受け止められる沢木さん的な感受性を磨きたいところですね!

 

-またひとつ自由になれたという印象の方が強くなった。

シンガポールでの場面です。ニュージーランド人の青年二人に、露店でのフルーツジュースを勧めていた時の一言。彼らはためらっていますが、沢木さん自身も、最初は衛生観念の問題でためらいがありました。しかし、バンコクで一度飲んでからもうやみつきになってしまったようです。
そのときの経験を「自由になれた」という言葉で表現しています。フルーツジュースと自由に何の関係があるのでしょう。旅では日本の価値観では「ありえない!」と思うようなことが現実に、日常的に起こります。そんな「非日常」の連続の中に身を置いていると、少しずつ日本的な観念から解き放たれるのです。

解放されるにつれて、より自由にアクションを起こせるようになっていくのではないでしょうか?もともとシャイだった僕も旅をしているうちに、いつの間にか抵抗なく他人に話しかけるようになっていたことがあります!まさに、日本にいた時の「自分」という枠から解放され自由になれたという感覚を覚えました。

この場面から、しがらみにとらわれずに行動すること、そして枠にはまっていた自分に気が付くことがいかに大切か、みなさんにも感じ取ってほしいと思います。

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-私は眼の前の霧が吹き払われたような気分になった。

沢木さんは、半年くらいで最終目的地であるロンドンに着かなければならないと考えていましたが、「何日までに帰ってこい」などと言われたわけではなく、全く急ぐ旅ではないと悟ります。旅では、時間の制限を設けずに行きたいところに行って、見たいものを見ることを大切にしたいですよね!

自分の中で勝手に制約を作って制限されていることはないでしょうか?もっとシンプルに、感じたままに動こうじゃありませんか?

以上、沢木さんが旅中に感じていたことを僕なりにお伝えしてみました!
旅をしていく途中にはさまざまな人との出会いがあり、そこでは多くの学びや発見があります。『深夜特急』は、ここへ行って何をした、というような紀行文要素だけではなく、旅先での学びや発見も伝わってきます。この作品を読んで旅に出た人が多いのもうなずけます!
あなたも『深夜特急』を読んでみてはいかかでしょうか?

≪参考≫
深夜特急〈2〉マレー半島・シンガポール (新潮文庫)  沢木 耕太郎