ASEANとJリーグが上手く付き合うための課題とは?

サッカーをテーマにASEANと日本のつながりをお届けしているこの連載企画。Jリーグの今後はASEANが握っているということを前回の記事ではお伝えしました。

しかし、ASEANとJリーグが上手くやっていくにはいくつか課題もあります。
第三弾の今回は、そんな課題について書いていきます!

やっぱり人気はブラジルや韓国


Jリーグのクラブに外国籍選手が所属する場合、基本的には「外国人枠」という各クラブ3名の枠に入らなくてはなりません。さらに、韓国やオーストラリアなどアジアサッカー連盟(AFC)加盟国の選手は「アジア枠」として1名加入することができます。

つまり各クラブ計4名までしか外国籍選手を登録することができません。日本人よりも優れた能力を持った「助っ人」でなければ外国籍選手はJリーグのクラブに獲得してもらえないのです。

助っ人として活躍してもらうことが求められる外国籍選手。やはりJリーグに移籍してくる選手の多くは日本より強豪か同等の力を持っている国(ブラジル、韓国、オーストラリアなど)からというのが現状です。(別表参照)

asean_soccer03(やはりブラジル人が外国籍選手の大半を占める。韓国人はアジア枠での加入が多い。)

 

ASEAN選手の実力はまだ未知数


この状況を何とかすべく、Jリーグは今年から「提携国枠」を導入。提携国(詳しくは前回記事)であるASEAN選手は上記の枠とはさらに別枠で加入できるようになりました。ASEAN各国はAFCにも加盟しているため、アジア枠としても登録が可能です。

つまり、ブラジルなどの国からやってくる選手に比べたら、ASEAN選手はかなり優遇された立場にいるということです。

Jリーグにやってくる選手はなかなか実力者揃いです。なんと2010年のW杯で得点王とMVPになった選手(ウルグアイ代表のフォルラン)もプレーしています!彼は、世界一レベルが高いとされるスペインリーグで2回も得点王になるなど輝かしい実績を持つ実力者。今年のW杯でも同様の活躍が期待される、現在も世界のトップレベルに君臨している選手です。今年からJリーグのセレッソ大阪に加入し、コンスタントに得点を重ねています。

一方、ヴァンフォーレ甲府に所属しているインドネシア人のイルファン。彼は、リーグ戦ではベンチ入りすらできず、若手選手などが起用されることの多いカップ戦で1試合途中出場したのみ。残念ながら、現状ではフォルランと同等の力を持った助っ人とは言い難いですね。助っ人になるのが難しい現時点では、ASEAN選手の獲得に名乗りを上げるクラブが続々と出てくる状況になるには、もう少し時間がかかるのかなというのが私の見解です。

タイのスター選手の給料は日本代表並み!


ASEANは物価が安いと言うイメージを持っている方も多いはず。そのイメージから意外と思われる方もいるかもしれませんが、年俸面がネックになることもあります。

例えばタイのプレミアリーグ。
ここの1流選手は2000万円ほどの年俸をもらっています。

J1に所属している選手の平均年俸が2217万円なので、J1選手の給料とほぼ同額をタイでもらっている事になります。
住み慣れたタイから異国の日本にやってくる訳ですから、獲得にはそれ以上の金額(最低3000万円程度)が必要になるでしょう。

asean_soccer02

そう考えると、サッカー実績の無いASEANから気軽に獲得することをためらう気持ちも分かりますよね。ちなみに今度のワールドカップ日本代表に選出された選手のなかにも、3000〜4000万円はもちろん、2000万円という選手もいます。それと比較すると、いかにこの金額が大きいか分かりますね。実力と年俸というサッカー選手にとって最も重要な部分でまだまだ課題を抱えているASEAN。

ただ、日本も最初からW杯に出られるような国ではありませんでした。中田やカズといった海外にチャレンジした選手たちの経験が今のJリーグや日本のサッカーを作り上げています。ASEANも同じような成長を遂げるポテンシャルは充分に持っていると思います。Jリーグにやってくる選手が出てきたのも、その一歩。

進化を遂げるASEANを生で見ることが出来るJリーグ・・・要注目です!

次回はいよいよ最終回。
実はASEANからやってくる選手たちと同じように、ASEANに行く日本人選手も増えています!
最終回はそんなASEANで増加している日本人選手について書いていきます!




ABOUTこの記事をかいた人

平井 啓一朗

慶應SFC3年。大学2年の夏休みに1ヶ月間インドネシアのジョグジャカルタに短期留学。初海外がインドネシアということもあり、ASEANへの興味は人一倍。サッカー、特にJリーグ観戦が大好きなので、「JリーグとASEAN」などをテーマに、ASEANの魅力、日本との繋がりをお伝えしていければと思います!