【女性特集】好きな場所を見つけると自然とやりたいことは見つかる 第一印象でマレーシア移住を決めたその訳とは?木村希氏

2017.09.22

現在マレーシアに暮らし、子どもを育てながら自分のビジネスを続けている木村希氏。女性が働くにあたって一番心配になるのがプライベートと仕事のバランス。木村氏はマレーシアの環境のおかげで両立ができているそうですが、どのような点でマレーシアと日本の女性の働きやすさは違うのでしょうか。

運命を感じたマレーシアで、今もいきいきと働きながら、生まれたばかりのお子様との時間も思いっきり楽しむ木村氏。たっぷりと、そのマレーシアの魅力を語っていただきました!


《プロフィール 木村希氏》

1988年秋田生まれ。大学4年時にホテルでインターンシップとして働くためマレーシアに渡航。空港に着いた瞬間に運命を感じ、そのままマレーシアへの移住を決め、その後Jkids Malaysia Playground & Kids Party を立ち上げる。現在は一児の母として育児をしながらPARADISE from Japanを運営している。

 

マレーシアに着いた瞬間、ビビビっと!

ー現在は、どのようなお仕事をなさっていますか?

幼児向けの日用品を中心に、日本製の商品をマレーシアに輸入し販売しています。

元々6年前にマレーシアで起業をした時に、J Kids  Malaysia Playground & Kids Party という、子どものための遊び場をローカルの子どもたちのためにショッピングモール内に作るビジネスを展開し、8店舗まで増やしました。今はそちらは退任し、後任と現場のローカルスタッフたちにお任せしています。

その後、子ども向け写真館の立ち上げやファミリー向けのカラオケの立ち上げに参画したり、街コンなどの交流イベントを開催したりしました。そして去年(2016年)から日本製のベビーグッズやおむつなどの日用品を輸入して販売する“PARADISE from Japan”を開店しました。今は子どもを育てつつ、運営を続けています。

 

ーどのようなきっかけでマレーシアに出会い、起業して住もうと決めたのですか?

マレーシアに初めて行ったのは大学4年生の時です。大学を休学し、5つ星ホテルの日本人対応のゲストサービスのインターンシップとして行きました。行き先は暖かいアジアの国ならどこでも良かったのですが、インターンシップの斡旋会社にたまたまマレーシアを勧められたので、マレーシアがどこかもわからないまま(笑)即決しました。

マレーシアの空港に着いた瞬間にビビビッと来たんです。フィーリングを信じ、「私はここで生きていこう」と決めました。マレーシアで過ごしながら、「私はここで名を残したい」とアピールしてるうちに、ビジネスパートナーも見つかりました。

その後一旦大学に戻り、半年後卒業してからJ Kidsの1店舗目をオープンしました。きっかけはたまたまでしたが、秋田生まれ、仙台育ち、大学は山形と、ずっと東北の田舎で生きてきた閉そく感と、寒さから抜け出してみたかったのかもしれません。

 

ー空港でビビビッときたあと、実際に街へ出てみる中で「何か違うな」とフィーリングを疑ったことはなかったのですか?

なかったですね!

私としてはマレーシアが自分の中で当たり前。改めてマレーシアの良さを感じるようになったのは生活が落ち着いてきてからですね。マレーシアからは他国に行きやすいので、いろんな国を訪れ戻ってくるたびに、やっぱりマレーシアがいいなと感じる機会が増えていきました。また、当時はマレーシアにいれることが幸せでした。

 

ーマレーシアで暮らすと決めた後、マレーシアでの就職は考えなかったのですか?

マレーシアに飛んだのは大学4年生のとき。ちょうど周りが就職活動で慌ただしくなり、その雰囲気についていけなかった、就職活動をしている自分が想像できず、行動もできず、周りから取り残されていく感じがありました。そこから逃げだしてアジアへ飛び出した、ということもあったので日系企業への就職は考えていませんでした。英語もまったくできなかったので外資系への就職は難しいかなと思っていたので、好きなマレーシアで暮らすためには起業するしかなかったんです。

 

ーマレーシアでは、どのようにしてやりたい仕事を見つけましたか?

私はやりたいことを探したというよりも、マレーシアが大好きで、外国人の私を受け入れてくれたこの国に恩返しをしたい、という気持ちでいたら、自然と人々のニーズが見えてきました。周りの人たちが悩んでいたこと、子ども向けの遊ぶ場所がない、そこでJ Kidsを立ち上げました。

マレーシアで子育てと仕事の両立は普通のこと

ーでは次に、女性としてのライフスタイルイベントとキャリアの両立についてお聞きしたいと思います。マレーシアの病院で出産を行なったということですが、日本との違いや不満点などはありましたか?

せっかくだからと思いどローカルな病院で出産しましたが、不安や不満は一切ありませんでした。医師からの注意や指導がなくストレスがなかったことが大きいと思います。日本だと体重や食事、飲酒などの制限があると思いますが、そのようなことはなく、妊娠中も本当に自由に過ごしていました(笑)。

出産後に関しても、マレーシアでは出産して一泊またはその日のうちに退院し、その後は親族や近所の人などに任せて、仕事へ行ったり産後院などに移ることも日本との違いだと思います。

 

ー何か女性だからという点でハンデを感じたり、またメリットに思ったことはありましたか?

マレーシアは多民族国家で、どんな人も受け入れるというスタンスなので「女性だから」「外国人だから」「若いから」という点でハンデを感じたことはありません。

ビジネスとしてのメリットでいうと、女性目線を活かせることだと思います。Playgroundを作る事業では子どもの遊び場だけれど意思決定をするのは母親。親がいかに過ごしやすいかを考えて、母親目線も大事にしました。

 

ーマレーシアでは、子育てと仕事の両立はどのような感じですか?

マレーシアでは共働きは普通で、女社長も多く、管理職や医者などにも女性が多いです。妊娠してからも、出産ギリギリまで働くということもあります。朝まで働いていて、午後いないなと思ったら出産していた、なんてこともあるとのこと(笑)。復帰もとにかく早いです。

それは周りのサポートも受けやすく、マレーシアでは近所の人やメイドさんなど、みんなで育てることが当たり前だから。出生率が高く、子どもに慣れているということもあると思います。

 

ーマレーシアではかなり両立がしやすい環境にあるのですね

はい、だからといって生活が仕事と子育てだけ、というわけではありません。もし私が子育てだけの生活だとしたら、1日中子どもと一緒にいると、いくら可愛い我が子でも疲れちゃうと思うんです。昼間は離れて仕事なり遊びなり自分の時間を持って、夜に息子と再会すると尚更可愛く感じるのです(笑)。

マレーシアでは子どもNGなお店がほとんどないので、夜も友達と子どもを連れてバーなどおしゃれなお店に行くこともあります。行きたい場所に一緒に行けるというストレスフリーな環境です。

 

 

ー仕事に関しては、どのような点で日本と違って両立がしやすい環境にありますか?

気候の良さ、満員電車がない(笑)、子育てのしやすさ、などストレスがない環境を簡単に得られることだと思います。元々マレーシア人はのんびりとした気質なので、そのおかげですかね。

また、マレーシアは多民族国家なので肌の色や男女などが違う人といるのが当たり前です。他の自分とは違う人を広く受け入れてくれる寛容な文化だと思います。ここまで頑張れたのは、寛容なマレーシアの人々のおかげだったんだなあと後から振り返って気づきました。

 

 

ーでは、キャリアと子育ての両立は、その場所によってできるか変わってくるということですか?

他の国で試したことがないのでわからないですが、環境によると思います。マレーシアでは可能です。

やりたいことを見つけようとするより、選択肢を広げておくこと

ー木村さんが自身の大学生活を振り返って、やってよかったこと、やっておけばよかったことなどはありますか?

私は大学生の時にアルバイトを7個掛け持ちして大学に行く暇もなかったくらいでした。けどそれでよかったと思っています。7個のうちで一番楽しかったことがビジネスホテルでの仕事だったので、アジアでホテル系の仕事をやってみるかと思い立ち、今があります。

やりたいことを見つけようとして悩んだり、自分探しの旅にでたりする大学生が多いけれど、無理やり見つけようとしなくてもいいんじゃないかな。それよりも、色んな場所に行ったり、色んな経験をしたりして、世の中には色んな環境があって色んな人がいるということを知識として知っておき、時間のある大学生のうちに選択肢を広げておくことが大事だと思います。

いつか自分が好きな場所、本当の自分であれる場所を見つけた時、自然とやることは見えてきて、自然と花開くのではないかなと思います。

 

ー学生で、海外で仕事をするには英語を喋れないといけないと思っている人が多いと思うのですが、住む土地を決めてから勉強するのでも遅くないと思われますか?

行く場所が決まってからなど、必要が迫られてからじゃないと本当の意味で必死にはなれないんじゃないかなと思います。私は若者たちがみんな海外に行くべき!とは思ってはいないけれど、もし海外に出たいのであれば、勉強するより先に行ってみた方がいいと思います。私自身、マレー語も英語もマレーシアへ行ってから覚えました。当初ローカルの友達ばかりだったので、マレー語が自然と染みついたと言ってもいいかも。その後ビジネスをやっていく中で必要に迫られ、日常の中で英語を身につけていきました。

 

 

ーキャリアや生活に置いて今後の目標はありますか?

これまでキッズとベビー関連のビジネスを中心にやってきましたが、今後も私が提供できるものを増やしていきたいです。私の目標は変わらず、私を受け入れてくれたマレーシアという国、マレーシアの人たちに恩返しをすること。マレーシアの人たちは本当に家族を大事にします。彼らを幸せにしていくことができたらな、と思います。

 

編集後記

日本に暮らしていると女性が働きにくいというのは当たり前、のように感じていましたが、国が違うだけでそんなにも環境が違うのかと驚きました。一度クアラルンプールに観光で行ったことがありますが、文化や人種に寛容という点を意識しながらもう一度訪れてみたいです。

また、「やりたいことよりも無理しない場所を探したり色々なところに行って選択肢を広げることが大切」ということはやりたいことがはっきりとわかっていない私はとても勇気が持てました。まず行動してみてあらゆる視野を広げておきたいと思います。