みなさんが普段話している日本語。
日常的に使われる国は日本だけですが、136の国と地域で約400万人が日本語を学んでいると言われています。そのうち、約30%の人がASEANで日本語を学んでいるのです。
現在、世界で日本語学習者が多いのは、中国、インドネシア、韓国。
今回は「インドネシアの日本語教育」についてご紹介したいと思います!
日本語学習者世界2位のインドネシア! その理由とは!?
まず、インドネシアで日本語を学んでいる人はどのくらいいると思いますか!?
答えは、872,411人です。結構多いですよね!
では、なぜこんなに多くの人がインドネシアで日本語を学んでいるのでしょう。
インドネシアが親日国家ということは、ご存じの方もいらっしゃるかもしれません。もちろん親日ということが大きなの理由ではあるのですが、ほかにもいくつかの理由があります。
インドネシアで日本語教育が始まったのは、日本軍が植民地支配している時に強制的に行われました。しかし、この期間を過ぎても親日感情は薄まることなく、インドネシアでは積極的に日本語教育がされていました。
インドネシア人が日本に対してもつイメージは、日本兵が植民地支配したことも含め、前向きに捉えられていました。なぜかというと、インドネシア人がオランダからの支配に対し嫌悪感を抱いていたこと、当時の預言者の言葉と日本兵が重なったからです。
さらに近年では、日本の文化、特にサブカルチャーが若者を中心に人気を集めていますよね! それによって日本語そのものに興味を持つ人が増えてきています。
インドネシアでは、1962年から日本のアニメが放送され、1990年から日本の漫画が発売されるようになりました2011年には、AKB48の姉妹グループのJKT48が首都ジャカルタで活動を始めました。
2006年からは、後期中等教育機関(おもに高校)で日本語を含むいくつかの外国語を第二外国語として選択必修することが、カリキュラム改正によって決定。多くの高校生がその授業を通して三年間継続して学べるようになりました。
そのほかの理由では、日系企業のインドネシア進出や、EPA(経済連携協定)における、外国人看護師の日本受け入れ等、日本語を使った就職先の増加があげられます。
一方で課題も…
様々な理由によって、日本語教育は盛んになっているんですね!しかしながら、インドネシアにおける日本語教育には、まだまだ課題がたくさんあります。
一番深刻な問題は、日本語教員の慢性的な不足です。特に高校では、一人の先生が数千人もの生徒を抱えていたり、二校にまたがって教えている先生がいるのが現状です。
また、インドネシア人の日本語教員の語学レベルの低さも一つの問題になっています。
インドネシア人日本語教員のJLPT(日本語能力試験)取得平均はN4〜N3と言われています。これは、基本的な日本語あるいは、日常的な場面で使われている日本語をそれなりに理解できる程度。日本に一度も来たことがない日本語教員が多くを占めているようです。
だからこそ、日本人がインドネシアへ!
インドネシアで日本語教育がアツい理由と、それに伴って発生している課題についてでした。
実際にインドネシアの高等教育機関で、日本語学科が設置されている機関には、通常の学校と比較すると多くのネイティブ日本語教員がいます。
また国際交流基金では、1963年から日本語専門家派遣が始まりました。日本語専門家は、日本語教育の現地化・自立化を促進することを目的に、教室での日本語教授、カリキュラム・教材作成に対する助言、現地教師の育成、教師間ネットワーク構築支援等を行っています。そして、昨年から日本語パートナーズ派遣が始まりました。
日本語パートナーズは、現地の中等教育機関で、現地の日本語教員のアシスタントとして授業運営を行ったり地域の人たちに日本文化の紹介を行ったりした交流活動を行うことです。
(タイに派遣されていたアセナビメンバーの体験談→ふつうの若者がタイで日本語教師に?!経験者が語る、日本語パートナーズの”今”)
私は、言葉を学ぶことはその国の文化を学ぶことにつながることだと考えています。
語学学習をするとき、「ネイティブスピーカーがいると学習のモティベーションが上がる」と言うひとも少なくありません。私も、中学・高校でALTの先生が授業に来てくれるのをいつも楽しみにしていました。
ネイティブスピーカーには、言語サポートの役割があると同時に、その国の文化を教えてくれる役割も担っている。私はそう考えています。
しかし、インドネシアにいるネイティブ教師はごくわずかです。これに加え、現地人教師も日本に行ったことがない人が大半を占めています。これでは、本当の意味での”日本語教育”は果たせていないのではないでしょうか?
インドネシアの人が、日本の文化に触れる機会が、ひいては日本人との交流を持つ機会がもっともっと増えていけば嬉しいです。
《参考URL》
"Práctica de japonés" taken by jProgr from flickr