みなさん、「東南アジア」と聞いて、思いつくスポーツは何でしょうか?
サッカーあるいはセパタクローはASEANでも主流のスポーツとして知られていますが、日本で大人気の「野球」を思い浮かべる人は少ないと思います。
実は間もなくASEANで、日本の甲子園球児も出場する野球アジア選手権が行われるのです。その大会に先立ち、ASEANから出場するタイとフィリピンの野球事情に迫ってみたいと思います!
18U野球アジア選手権とは?
今回で10回目を迎える18Uアジア選手権はタイのバンコクで9月1日〜9月6日の期間に行われます。18Uの通り、18歳以下の選手で代表チームが構成されます。ちなみに、日本代表は今年の甲子園で活躍した選手を中心に構成されています。例えば、夏の甲子園優勝校の大阪桐蔭から峯本匠内野手、春のセンバツ優勝校の浦和学院から小島和哉投手が日本代表に選ばれました。
8チームが参加し、以下のように2グループに分かれます。
グループ1
・日本
・フィリピン
・スリランカ
・中国
グループ2
・韓国
・チャイニーズタイペイ
・タイ
・パキスタン
今回、ASEANからはタイとフィリピンが出場します!
photo by SPIN.ph
タイとフィリピンって野球が人気なの??
おそらくほとんどの人がタイとフィリピンに野球のイメージはないと思います。しかし、実は、タイ、フィリピンともに野球の世界一決定戦「World Baseball Classic」の予選に出場したことがあるのです(2013年度大会、タイ、フィリピンともに予選敗退)。
ちなみに、タイのWBC予選の時の監督は、日本人の監督でした。さらに、北京オリンピック予選では元阪神の江本孟紀氏など日本のプロ野球OBがタイ代表の首脳陣として代表チームを引っ張っていました。
一方、フィリピンはWBC予選の際、フィリピン人の父を持つ中日ドラゴンズの小川龍也投手が代表に選ばれました。結果は予選敗退でしたが、他の国際大会では1954年の第1回アジア選手権優勝、2003年には中学生世代が出場するシニアリーグアジア予選で優勝しました(その後世界選手権では4戦全敗)。
実は、フィリピンは日本、チャイニーズ・タイペイ、韓国に次ぐ強いチームと言われていた時代もありました。その後、2007年東南アジア競技大会でタイがフィリピンを倒して優勝しており、タイとフィリピンの力はほぼ互角と言えるところまで来ています。
今後も野球で深まる日本とASEANの絆
タイもフィリピンも道具や設備、指導者が不足しています。そこで、今年8月に埼玉西武ライオンズがフィリピンの子どもたちに野球道具を寄贈するために、中古の野球道具を募集しました。タイでも1998年に、バンコクアジア競技大会のために初の野球場が完成し、2010年に日本の高校生とタイ代表との親善試合が行われました。タイは長年日本人指導者が代表監督を務めていることもあって、日本の高校野球のような送りバントなど手堅い野球をしてくるのが特徴です。
タイもフィリピンも東南アジア競技大会で優勝を争ったりなどしているので、これからさらに日本とタイ、フィリピンの野球交流が盛んになるでしょう。ASEANの野球レベル底上げにより、満足いく環境で野球がプレーできる時代は来るのではないでしょうか。
甲子園も閉幕し、すぐに開催される18Uアジア選手権。
タイやフィリピンにとって、日本はかなりの強敵です。同じ世代の国家代表として、タイもフィリピンも本気で日本にぶつかってくることでしょう。日本との熱い試合を期待したいと思います!
《参考》
・野球日本代表 オフィシャルサイト
http://www.japan-baseball.jp/jpsp/
・野球普及へ、交流成果 奈良県高校野球選抜タイ遠征 朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/koshien/92/nara/news/OSK201101130118.html