日本人女性・初のグリーンスクール卒業生!限られた人生の中で彼女がした「選択」、そして私たちがすべき “選択” は?-DARI BALI 露木志奈氏

2019年6月日本人女性で初めてバリのグリーンスクールを卒業した露木志奈さん。英語も分からないまま15歳で世界へ飛び出した彼女の挑戦は、そこで出会った人との縁に導かれ、まだまだ続きます。バリ島での高校生活で志奈さんが学んだこと、そして持続可能な未来のために必要な私たちひとりひとりの “選択” について、彼女が考えることを話していただきました。 

《プロフィール|露木志奈氏》
2001年生まれ。バリ島にある世界最先端の*エコスクール・グリーンスクールで高校時代過ごし、学内事業としてオーガニックコスメブランド “DARI BALI” を立ち上げる。2018年12月にはポーランドで開催された『第24回気候変動枠組条約締約国会議(COP24)』の一部にあたる『COY(Conference of Youth)』に出席。現在は慶應義塾大学環境情報学部に通いながら会社の立ち上げを目指し、ナチュラルコスメワークショップの開催や商品開発を行っている。

*グリーンスクールとは
「持続可能な世界を創る未来のリーダーを育成する」ことを目指し、ジョン・ハーディ氏によって設立されたアメリカのインターナショナルスクール。バリ島の自然に囲まれた校舎に世界中から生徒が集まる。自主性を重んじたカリキュラムと実践的な環境活動が特徴。2020年にはニュージーランドに2校目が開校するため、再度注目が集まっている。

英語の成績1から高校留学をするという選択

-初めに、どのように海外に興味を持ったのか教えてください。

小さい時から海外への興味はあったのですが、まだ漠然としたものでした。私は小学生の時に日本の中で山村留学をしていて、親元を離れ山奥で共同生活をするという、キャンプの1年間ver. みたいな生活をしていました。そのプログラムのスタッフからアジアの子供向けの国際キャンプを紹介してもらったんです。小学4, 5年の2年間を長野の田舎で過ごし、地元に戻って来た6年生の夏から参加するようになって、日本、モンゴル、中国、ロシアで開催された計4回のキャンプに行くのが夏休みの恒例でした。そこにはアジア5か国の子供達が集まるのですが、もちろんみんな英語が喋れないので、基本的にジェスチャーで頑張るという感じで。そこで異なる文化や考えに触れ、理解していきました。

-それが海外との最初の出会いだったのですね。

そうですね。そのあとは公立の中学に通って、普通に受験勉強をし、日本の高校に入学しました。最初の4か月だけですが、日本の高校に通っていたんです。

-そうだったんですか!初めから高校留学を決めていた訳ではないのですね。

中3くらいから英語が話せるようになりたくて、けど勉強は出来なくて、英語の成績は1でした。出来ないけど英語は好き、みたいな(笑)。今思えば受験生の時は辛かったけど、日本の高校がどういうもので、グリーンスクールとはどんな風に違うのか、とかも分かったのでどちらも通って良かったと思います。

-グリーンスクールを選んだきっかけは?

受験が終わってから、やっぱり英語が喋れるようになりたくて、母に留学したいって言ったんです。そしたら「英語を喋りたいだけなら日本でも出来るから、それ以外にも何か学べる所に行って」と言われました。それで一緒にネットで探してたらグリーンスクールを見つけて、その写真を一目みて「ここに行きたい!!」ってなりました。

その時はもう3月とかで、ギリギリのところで申し込みをしました。ただ、全く英語が喋れなかったので、Skypeで行った学校との面談はうまくいかず、学校側は受け入れたくないと思ったそうです。けど、もう1つ向こうの寮の人との面談もあって、その担当の人がなぜか私を気に入ってくれて、学校側にお願いしてくれたんです。英語が喋れないのに行きたいと思ってる気持ちとか熱意を買ってくれたみたいで…実はこの話は最近知ったのですが。そうして寮の人のおかげでグリーンスクールに入ることができました。

―すごい縁ですね。それがきっかけでチャンスを掴んだんですね!

運も実力のうち、というやつですかね(笑)。

2016年の8月にグリーンスクールに入学し、初めは1年間そこにいようと思っていたのが、楽しくてもう1年いて、さらにもう1年…という風にして、気づいたら卒業してました。 

世界が認めるグリーンスクールの魅力とは

(グリーンスクールを象徴する竹製の校舎。画像引用:Green School Bali

―志奈さんから見たグリーンスクールの魅力を教えてください。

グリーンスクールというと建物もインパクトがあって、あの竹で出来た校舎がまず思い浮かぶかもしれませんが、それ以上に先生と生徒が一番のアピールポイントだと思っています。先生の教えたい気持ちと、生徒の学びたい気持ちがピタッとマッチしている。

先生は校長先生から何を教えなさいと言われてやるのではなく、本当に好きなことを教えてくれるから熱量が大きいし、授業も面白いです。また生徒も、いくつかの授業の中から好きなものを自分で選択して受けるのですが、その中に「I don’t like any classes(どれも受けたくない)」という選択肢があるんです。そしたら “INDEPENDENT STUDY” といって、自分でクラスを作ることが出来きます。その時すでに私は化粧品がやりたかったから、見てくれる先生探して、独自の授業をし、それで単位をもらっていました。

―生徒が授業を作るんですか!特に印象に残っている授業は?

もうみんな印象が強すぎて、一番とかは決められません。けど中でもユニークな授業はヴィーガンのクラスですね。その授業を取ると、1ヶ月授業の期間はみんなヴィーガンになって色んなことを学びます。これはあるヴィーガンの生徒が行った授業で、他の生徒にももっとヴィーガンを知ってほしいと思って作ったんです。

他にもチョコレートのクラスと DJ のクラスとかもありましたね。

―本当にユニークですね!羨ましいです。もっと早く知っていたら私も入りたかったです。

母も同じことを言っていました(笑)。

 ―高校生で単身留学。不安はなかったですか?

不安しかなかったですよ!もちろん母はついて来ないし、英語は喋れないし、周りはみんな英語が上手だったので初日はもう「ガーーーン。」みたいな感じで、超寂しかったです。

だけど今は親友となったカナダと台湾のハーフの子がいて、なんでかわからないけどすごく仲良くしてくれたんです。英語も超基本レベルから彼女が全部教えてくれて、学校でのルールの説明とかも、分かりやすい英語で何回も何回も理解できるまで繰り返してくれました。その子がきっかけで英語が喋れるようになり他の友達とも仲良くなれたし、その出逢いが全てですね。感謝しかないです。

初めてのクラウドファンディング、そして国際会議へ

―昨年の 12月にはポーランドで開催された国際会議COP24 に参加されましたよね。それはどうして決まったんですか?

(参照)地球は友達!COP24に参加して世界のグリーンリーダーとアクションを起こしたい!

学校の中に “グリーンジェネレーション” というグループがあって、それが毎年 COP に参加し、世界が抱える気候変動の問題について、若者同士で意見交換を行ってきました。ずっとあったのですが、初めの頃は英語が上手くなかったし、もはや存在すら知らず、高3になって加入しました。そして、12月ポーランドでの国際会議に出席してきました。

(気候変動対策の先頭に立って行動するグリーンジェネレーションのメンバー)

-渡航の費用をクラウドファンディングで集めたとのことですが、初めての挑戦、大変ではなかったですか?

正直全く分からなくて困ってました。既に留学させてもらってるし、うちは4人兄弟で母はシングルなので、もうお金を出してもらえないことはわかっていました。そこで出来ることは全部やろうと思ってクラウドファンディングに挑戦することにしました。ただ、私はそこまで日本語力がなかったし、会議に向けてスピーチの練習や準備で忙しかったこともあり、ひとりではクラウドファンディングに必要なプロジェクトの説明文作成といった準備が間に合いませんでした。

その時、以前通っていた塾の塾長さんに助けを求めたんです。昔から私を応援してくれていた方で、国語の先生だから文章を書くのも上手で、人のアテンションを引き付けるのが得意な人だったから相談をしました。そしたら先生が「全部やってあげるから、何を言いたいか好きに書きな。」って言ってくれて、私がどういうことを言いたいかを書いたら、先生がポンポンポンって全部入れてくれて。それでファンディングも成功して、目標金額よりも集まって!!本当によかったです。

―あのプロジェクトの文章、ほんとに素敵で、志奈さんの想いが伝わってきました。志奈さんが、周りの人に「助けたい」と思わせるパッションや魅力があるからこそ、皆さん力を尽くしてやってくれるんだなぁと、この数分でも思いました。

すごく運がいいんだと思います、たぶん。本当に良い人が周りに多くて、引き寄せられるなって。色んな人が助けてくれるし応援してくれて、とっても有り難いです。

―それ聞いて改めて、運も実力のうちとはこういうことなんだなと思います。

―環境問題への意識はグリーンスクールに入る前から強くあったのですか?

もちろん、自然に親しんで育ってきたので好きな気持ちはありましたが、そこまで環境のことを意識していた訳ではありません。他の生徒たちも、環境問題に対して何かしたいからグリーンスクールに来た、というよりはここがユニークだから来るんです。けど、入ったら環境についての授業がすごくたくさんあって、日本では習わなかった地球の問題について「えっ?こんな事実あったんだ。」っていうくらい、全く知らなかったことを勉強して、意識し始めました。また、みんながそういう意識を持ったコミュニティだから誰もビニール袋とかペットボトルを使わないし、決まりではないけどそういう雰囲気があるから自然と自分もそうなります。それでも、まあ身近な出来ることをっていうくらいの感じでした。

それが COP に行って、色んな国がどういう活動をしてどんな問題を抱えていて、っていう最新の情報がバンバン入ってきて「これはほんとにやばいな。」って。

よく「ひとりの小さな行動も、みんながやれば大きな力になるから大事なんだよ」って言いますよね。もちろんそれは大事だけど、出来ることが小さ過ぎると思っちゃったんです。プラスチックを使わなかったら気候変動がなくなるかって言ったらそういう訳じゃないし。

だから自分が出来ることはすべてやろうと思って、化粧品のことに目が向きました。「あ、これ自分やってないじゃん」って。もともとは肌が弱い妹のために、ナチュラルなものを作りたいと思って始めた化粧品作りだったのですが、調べるうちに市販の化粧品の多くは人の体だけでなく、環境にも優しくないことを知りました。それでコスメだってただお洒落とか可愛いのためだけじゃなく、環境に配慮した持続的なものでなくちゃいけないと思ったんです。

「他のことはやってるけど、じゃあここはどうなの?」って考えると、そこから様々な方向に視野が広がって、それで今はまず化粧品を一つの軸として活動しています。

―なるほど。今やっているコスメ作りのワークショップについて教えてください。

ワークショップを始めたきっかけも先ほどの塾の先生なんですが「商品を売ってるだけでじゃそのコンセプトや意味がしっかり伝わらない」と思った時に、先生が塾の場所を貸してくれたんです。そこで最初のワークショップを開いたら、色んな人が「えー、こんなに簡単にリップ作れるんだ!」って感想をくれました。私が自分で商品を売ってたら買ってる人は一生自分で作れない。私が化粧品を作っている目的は、選択肢を増やすため。ただ売る方が簡単にお金が儲かるかもしれないけど、自分で作れるようになったらどういう材料を買わなきゃいけないのか、どういうパッケージのものが良いのか、考える視野が広がります。さらに自分が作れるようになったら、普通のケミカルが入ってるリップを買わなくてもいいし、子供や他の人にも教えてあげられる。

幸い1回目でとても人気があったので、バリでも3回くらい開催し、帰国してからは東京と大阪と京都でこれまで行いました。

(バリで開かれたWSには幅広い年齢の女性が集まった)

地球の一員としてどんな選択をしていきたいか

―今後のビジョンを教えてください。

来年の1月1日にお金が貯まれば会社を立ち上げたいと思っています。

ワークショップじゃなく、商品を日本でちゃんと売れるように。化粧品は法律が厳しいので、学校内の事業としてでなく日本で売るには会社を立てて、ちゃんと工場に頼んで作ってもらうのがいいと思うんです。だから、その商品のローンチに際してもクラウドファンディングをしようと思っていて、日本と海外で全ての商品をどういうコンセプトで作っているのかを公表し、買いたい人がいれば買ってもらう。それで資金が貯まったら、正式に工場に発注したいと思っています。これが一応将来、というかあと1年くらいの目標です。今はワークショップをやりながら頑張ってお金を貯めて準備してます!
ワークショップの公式Instagram:@shiina_makeup_workshop

(体にも環境にも負担のかからないリップの材料を選ぶ)

-消費者の選択、ということはようやく日本でも注目されてきましたね。日本社会に伝えたいことはありますか?

やはり、自身の選択というのは意識してほしいです。自分が買っている物が裏でどういう風に影響しているかということを、想像力豊かに考えてほしい。「人の気持ちになって、思いやる」って小学校の時にみんな習ったと思うけど、それは人だけじゃなくて動物とか環境とか、そういうことにも配慮してほしいです。人間も動物の一種だし、環境は自分たちが住んでる場所です。地球が無かったら私たちは生きられないですからね。だから自分のことばかりじゃなく、人のこと、周りのことも考えた方が良いかなって思います。

まあ本当は国が変わるのが一番早いですよね。ルールがそうなれば自分達も行動しやすいから、国が変わってくれれば一番良い。でも国が変わるのは遅いから、国民が先に意識を持たないと手遅れになってしまうと思います。特に気候変動に関しては。

―同じものでも、その作り方や使い方を考えるだけで、生まれる影響は大きく変わりますよね。

ほんとに。例えば「プラスチックが悪い」とかじゃなくて、ペットボトルもビニール袋も便利だからすごく利用されてて、活躍している。だけど、その利用法とか処理の仕方とかがよくないのです。パームオイルもそうで、とっても体に良いんだけど、その栽培の仕方や労働の在り方がいけなかったりする。

地球のことも、人のことも考えると、物が悪いっていうより私たちの使い方が悪いから、悪影響を生んでいるだけです。

たまに環境のことで真剣になってる人は、そういうの全部だめって思いこんじゃってる人もいるけど、それは違うんだよっていうのも思いますね。環境のことを誰かに伝えるときに伝え方も大事で、誤解を生まないような言い方をした方がいいなってことも、グリーンスクールの先生から学びました。

―留学や新しい挑戦にハードルを感じる人も多いと思います。高校生で海外へ飛び込んだ志奈さんから、同世代の仲間へメッセージをお願いします。

とりあえずやりたいことはやったほうがいいかなって思ってます。時間は限られてるし、時間は金(きん)と同じくらいの価値があるし。「若いからできない、まだ早い」とかそういう時代じゃないですよね、もう。だから、やりたいことはやって、周りの人がサポートしてくれるように説得力を持たせたり、これだけ本気なんだよって見せられるくらい自分を磨き上げていけば、「若いから」ではなくてひとりの大人として、色んなこと教えてくれます。やっぱり自分が本気にならないと誰も助けてくれないから。

逆に本気だったら絶対サポートしてくれる人がいる。うん、時間がもったいないから、自分がやりたいことをやった方がいと思います、私は。

 ―同感です。それでも辛い時とは不安な時の対処法は?いつもワクワクが勝ってる感じですか?

いや、それは全然!もちろんブランド作りとか全然簡単じゃなかったし、今までトントンと来た感じだけど、沢山失敗もあります。

私は、結構他の人からインスピレーションをもらって自分モチベートするタイプだから、ちょっと下がったときは TEDTalk とか、あとは活躍してるユースの人とかが世界にいっぱいいるから、それを見て気持ちを上げてますね。

あとは、これだけサポートしてくれてる人がいるから、それはプレッシャーとかじゃなくて、そういうファンじゃないけど、応援してくれてる人のことを忘れずにいると、頑張りたいなって思えます。だから、行動し続けられる。

もちろん、ひとりで溜め込まないで誰かに話す。疲れたらブレークを取ってもいいし、ちょっとやめてみてもいいと思います。私ももし来年になって化粧品じゃないなと思ったらそれは変えてもいいですしね。とりあえず怖がらないで、何でも挑戦してみていいと思います!

編集後記

15歳で自ら進路を選択し、高校生の時から世界のリーダーとして活躍する志奈さんの素直でしなやかな芯の強さを感じました。無理なく等身大の挑戦を続けるからこそ、周りの人が手を差し伸べ、背中を押してくれる。年齢に関係なく大切なことだと思います。

私たちの地球が抱える気候変動の問題は、遠い国の未来のことではなく、今まさに取り組まなければいけない問題の一つです。「自分が出来ることはすべてやろう」と動き出した志奈さんに続いて、自らの生活を顧みてどんな ”選択” をするか改めて考えたいと思います。




ABOUTこの記事をかいた人

鈴木さやか

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