ファッションを超えたアートからイスラームを発信 「私」の目に映る世界を伝えたい! ー Aufa Tokyoー

イスラムビジネス特集」第5弾。
「日本で生まれ育ったインドネシア人、そしてムスリムの私」。
ファッションを超えたアートで「イスラーム」と「私」について発信。
一人ひとりが個を発信し、ファンを作れる時代。
フリーランスでヒジャブモデル・ファッションコンサルタントとして活動中の彼女の持つ世界観と伝えたい想いにせまります。ーAufa Tokyoー

<プロフィール/Rahmalia Aufa Yazidさん
日本生まれ日本育ちのインドネシア人ムスリム女性。
2017年に早稲田大学を卒業し、現在はアラブイスラーム学院でアラビア語を学んでいる。学業の傍らでは、フリーランスでヒジャブモデル、メイクアップアーティスト、フォトグラファーの活動の他、ファッションコンサルタントとして活動。

ムスリムファッションの世界ー Aufa Tokyoー

ー現在Aufaさんがされている活動について詳しく教えてください。

フリーランスでのヒジャブモデル、メイクアップアーティスト、フォトグラファーの活動の他、ファッションコンサルタントとして活動しています。

フリーランスの活動においては、instagramをメインに作品の投稿をしています。自分のスタイルや世界観を発信する他、インドネシアのヒジャブブランドから依頼がきて、そのブランドを着用した写真を投稿することで宣伝をしたりすることもあります。

また、youtubeでの動画投稿もしており、例えば松屋銀座から依頼を受けてコラボレーション動画を作成したりしています。

ファッションコンサルタントとしては、まだまだイスラームへの知識が充分でない日本のアパレルブランドに対し、アドバイザーとしてヒジャブの質感やデザインについてアドバイスすることで協力しています。

その他、トークショーに招待されて出演することもあります。日本では市役所でイスラーム文化やムスリムファッションについて講演したり、インドネシアではファッションコーディネートやメイクアップについて伝授したりしています。
ー「自分のスタイルや世界観」と仰っていましたが、Aufaさんはお気に入りのスタイルやブランドでどのような世界観をイメージして作品撮りされているのでしょうか?

お気に入りのスタイルやブランドについては、KBFやユニクロのようなワイドなデザインのブランドを好みます。ムスリマ(ムスリム女性)は髪の毛を隠すことに加え、体のラインを見せてはならないので、ゆったりしたシルエットのものが多い日本のアパレルブランドは選択肢が多くて助かります。
色に関しても海外のブランドに比べて落ち着いたニュートラルな配色も多いですし、ファッションの幅が広がります。また、髪の毛の様に見えるようにヒジャブにも流れを作ってアレンジをしています。
世界観に関しては、毎回写真ごとにコンセプトを変えていますね。服やヒジャブに合わせてメイクの仕方も毎回変えています。

例えばカジュアルな普段着だったら東京のポップカルチャーの流行を取り入れたり、日本で流行っているヘアターバンをヒジャブの上につけたり、黒のヒジャブとトップス・ボトムスでエレガントな印象に仕上げたり。
花に囲まれたり、壁の前だったり、背景にもかなりこだわっています。Instagramアカウント@aufatokyoでは「本当にこの人は存在するのだろうか」と見る人に思わせるような非日常的で不思議な世界観を作り出しています。
ーこの活動を始めたのはどんなきっかけからだったのでしょうか?

もともとInstagram等で写真を投稿するのは好きだったんです。メッセージでムスリムの友達にヒジャブをどうやってアレンジしているのか聞かれ、自分のファッションが人に影響し始めていると感じたのがきっかけです。

ムスリマ全員がヒジャブを被っているわけではありません。ヒジャブをつけるにはプロセスが必要なんです。そこで、現在は目的を明確に持っています。日本で生まれ育ってきた環境から得た感性を活かし、自分の作品を社会に出して、まだヒジャブをつける自信のないムスリマに影響を与えたり、ノンムスリムにもアートとして楽しんでもらったりすることです。
ーAufaさんにとってヒジャブはどんな存在で、どんな意義を持つのか聞いていきたいと思います。いつヒジャブを着用し始めましたか?そしてそのきっかけはどのようなものでしたか?

日本の中高に通っていたので、その環境で一人だけヒジャブをつける勇気はありませんでした。母からも強制されることはありませんでしたし。制服を着なくて済む大学に入るタイミングでキリがよいと思い、つけ始めました。

ヒジャブを被っていない時は一緒にいる相手が家族あるいは女性のみの時です。その他の時は被っていますし、ヒジャブは女性が男性を誘惑しないため、女性が男性から身を守るため、つまり人間らしく生きるため、男性・女性双方のためにあると考えています。

ー従来の地味で質素なイメージとは変わって、最近は「ムスリムファッション」と言われるように華やかでオシャレなヒジャブが増えていますね!政府も「インドネシアをムスリムファッションのキブラに」というスローガンを掲げて、推奨していますよね。

そうですね。様々なデザインのヒジャブをシチュエーションに応じて使い分けています。

実際インドネシアは世界で一番ムスリムが多い国であることに加え、世界各地にインドネシア人の留学生や労働者がいるので、一人ひとりがムスリムの代表者としてどこの国にいてもムスリムファッションを発信する力があると思います。
ームスリムファッションの流行は、ムスリマの信仰心や敬虔さにどのような影響を与えていると思いますか?ヒジャブでオシャレを楽しむことは良いことだと考えますか?

ムスリムファッションの流行やヒジャブやメイクアップでオシャレを楽しむことに対してもちろん賛否両論あります。

イスラームのムスリマの服装に対する教えは体のラインを隠して髪の毛を見せないということです。私は、それを守っていれば、オシャレを楽しむことは素敵なことだと思っています。オシャレをするから敬虔さにかけるということはないと思うんです。

例えば、アラブのムスリマは黒一色の被り物(アバヤ)で全身を覆っています。見る人によってはそれが一番敬虔で女性の美しさを守るものだと言うけれど、私個人としては、それが一番美しいと思う人もいるかもしれないと考えます。

つまり色々な見方がありますよね。16億人ムスリムがいたら、16億通りの解釈と信仰の仕方がある

また、メイクアップも控えた方が良いとの意見もありますが、私はエチケットの問題だと思うんです。それは私たちがパジャマで外出しないのと同じだと思います。

私は正直ヒジャブはお地蔵さんのようなイメージで、以前はダサいと思っていました。しかし大学生の時、逆に髪の毛みたいにアレンジしてみれば良いんじゃないかなと思ったんですよね。そしてそれを自分のものにしていきました。プライオリティとして信仰が上にあってこそのファッションの楽しみがあると思うんです!

もうムスリムは他人ではないーイスラームを知るー

ー日本で生まれ育ったインドネシア人ムスリム女性ということで、アイデンティティーについてご自身で考えることを教えてください。

自分は何者なんだろうとはよく考えます。

日本で生まれ育って日本の感性を持っているけれど、家族はインドネシア人、国籍はインドネシア。
日本人の友達は多くいるけれど、お酒は飲めないし、彼らに宗教の話を共有することはできない。
ムスリムがマジョリティーのインドネシア人の集団に属したことがないし、その生活も知らない。
大学生の時はその葛藤が大きかったのですが、23歳の今思うことは自分は自分。新しい人種のような感覚だけれどそれで良いじゃないかと!こういう人間もいるということを発信していきたいですね。

ネガティブになることもあるけれど、自分の好きなことを好きなようにやっていれば何か見つかるのではないかとポジティブに捉えています。目的も明確に持っているので、どんなことがあってもこれはやる価値があるとわかって挑戦し続けられています。

ー現在、アラブイスラーム学院でアラビア語を学ばれている理由はイスラームへの理解を深めたいという想いからでしょうか?

そうですね。イスラーム教の聖典であるクルアーンはアラビア語で書かれたものが原典ですし。半分アラビア語学習は趣味のようなものですね。学んで損することはないと思いますし、フリーランスということで時間はあるので。あと10ヶ月ほど(取材時2018年6月22日)学校でアラビア語を学ぶ予定です。

学業に関してお話すると、今後3ヶ月間インドネシアに英語を学びに留学します。Instagramでフォロワーが増えてくると様々な国籍の方々と英語でやりとりをすることが多くなってくるので。

ーAufaさんが考えるイスラーム文化、イスラーム的価値観とはどのようなものですか?イスラームへの想いを教えてください。

イスラームの良いところはみんながみんな生きる目的が同じなので、どんなことがあっても同志で助け合えることです。

イスラーム文化だけ浮いているように見られることもあるけれど、それは精神のコントロールや健康のためにあるもので、単純に生活の基盤なのです。それに固有名詞がついているだけです。

男尊女卑という意見もあるけれど、それは極端な一方的な意見。違う視点から見ると面白いこともたくさんありますし、今後ムスリムが世界最大勢力になることも考え、日本人にも「もうムスリムが他人でない」ということを知ってもらいたいですね。

日本で生まれ育ったインドネシア人、そしてムスリムの私

ー学業に関しては先程伺いましたが、Aufaさんが今後挑戦していきたいことや夢について教えてください。

4つお話しさせてください。

1つ目は3ヶ月のインドネシアへの留学後、本格的にフリーランスでのモデルとコンサルティングの仕事を増やしていくことです。また、作品の展示会を来年あたりに開こうと考えています。「日本で生まれ育ったインドネシア人、そしてムスリムの私」というのをより多くの人に知ってもらいたいですね。

私の展示会を通じてもっとクリエイティブにイスラーム文化をファッションという視点から、そしてひとつのアートとして見てもらいたいと考えています。また、展示会ではワークショップも開こうと思っています。
2つ目はムスリマの水着を作ることです!
現在流通しているムスリマ用の水着は、全身タイツのような恥ずかしいデザインしかありません。現在ムスリマの水着のデザインに着手している人は少ないですし、インドネシアへの留学中にどのくらい需要があるかなどリサーチを行う予定です。

日本の水着はすごくデザインが豊富で可愛いので、そうしたものを取り入れながら作っていきたいです。私自身もスイミングが好きなので早く可愛いムスリマ用の水着を着てみたいです。

3つ目は『情熱大陸』に出演することです。これを一番大きな目標にしています。より多くの人に私について、そして私の考えを知ってもらいたいですし、ムスリムではない人が私について発信することは非常に意義のあることだと思うからです。

4つ目は将来の仕事のイメージとして、モデルは年齢が限られてくると思うので、そこは潔く卒業して、教える立場に入りたいです。ファッションコンサルタントとしてムスリムファッションについてアドバイスしたり、イスラーム文化についてもっと発信したりしていきたいです。

ー最後に読者へのメッセージをお願いします。

若いうちはエネルギーがあるので、試行錯誤することが大事だと思います。社会のレールに沿って歩くだけでなく、外れて見ることにもまた価値があるので。

何より、「好きなことをやってください。やりたいことがあったらとっさにやったほうがいい。やらないよりかはやったほうが後悔しない」と思います。

そして、どうか「あれはあの人だからできる」と思って諦めないでください。情熱大陸に出ている人も最初からあんなに立派ではなかったはずです。自分を信じて突き進んでください。

編集後記

一人ひとりが個を発信し、ファンを作れる時代。その背景を活かして自分の目に映る世界を必死で伝えようとしている素敵な女性に出会いました。彼女の活動や考えを通して、より多くの人がイスラームや多様性への理解を深められること、自分自身と改めて向き合えることを願っています。

ムスリムファッションについての記事→ 前編 後編




ABOUTこの記事をかいた人

松本 晴那

東京外国語大学4年生。 インドネシアにてボランティア・インターン・1年間留学の経験あり。 旅行や写真、ファッション、ヘルシーフードが大好きです。 IG:@harunaprs 英語、インドネシア語の通訳・翻訳のお仕事依頼はharchierabbit@gmail.comにお願い致します!