世界で戦いたいなら今すぐ挑戦しよう!海外不動産マーケットに挑戦するBEYOND BORDERS CEO 遠藤忠義さんが語るキャリア論

不動産 × IT × グローバルの領域でBEYOND BORDERSを創業した遠藤忠義さん。「不動産取引で生まれる『Happy』を世界中で生み出す」ことを目指し、日本とマレーシアに法人を立てて活動している。創業以前は新卒で独立系不動産ディベロッパー、その後11年間に及ぶキャリアを医療・介護・ヘルスケア領域でビジネスを行うエス・エム・エスで過ごしてきた。エス・エム・エス時代にはマレーシア現地法人で数年間代表をしていた経験もある。日本→海外駐在→海外での起業経験がある遠藤氏のこれまでのキャリアと今後のビジョンについて伺った。

≪プロフィール|遠藤忠義さん≫

新卒で当時最短で上場していたゴールドクレストに入社し不動産営業を経験。その後、創業後1年経っていたエス・エム・エスに入社。年間最優秀賞等数々の受賞をし、営業・事業開発・人事マネジャーを歴任する。2011年マレーシア現地法人となるSenior Marketing System Sdn. Bhdを設立し代表に就任。メディカルツーリズム事業や医療・生命保険マッチングWebサイトの立ち上げ等を行う。海外で約4年間事業運営をした後、不動産 × IT × グローバルの領域を事業ドメインに置くBEYOND BORDERSを設立し、日本とマレーシアに法人を持ち活動している。

国境を越えた快適かつ安心な不動産取引を目指して

ー BEYOND BORDERS社の事業内容について教えてください。

不動産取引に関わる人たちが世界中で幸せを感じる世の中を作りたい。日本だけではなく、世界中で。そう考えた時、ダイレクトにグローバル市場に打って出ることができる「越境不動産取引」にフォーカスを絞って事業をしてみたいと思いました。現在それらに関わる2つの事業を行っています。

1つ目が海外不動産検索サイト「SEKAI PROPERTY」の運営です。本サイトは日本や東南アジア諸国を中心に世界7カ国における、外国人が購入可能な不動産物件情報を網羅し、多言語対応している不動産検索ポータルサイトです。海外の方が日本の物件情報を検索したり、逆に日本人が海外の物件情報を閲覧することができるサービスとなっています。

 

(SEKAI PROPERTY)

2つ目が日本・海外間の不動産売買をサポートするエージェント事業です。例えば、日本人がマレーシアの不動産を買いたいと思った時、現地語が分からなかったり、現地の物件購入の際の契約手続きなどに不安があったりしますよね。それで私たちが不動産売買の間に入り、物件探しから、購入、管理、売却までをワンストップでサポートするサービスを行っています。

 

(日本・海外間の不動産売買をサポート)

 

ー どうして現在の事業をされようと思ったのですか?

マレーシアに住んでいる時に、東南アジアの様々な国を訪問しました。国が発展していき、経済が急成長しているため、現地の人の所得も上がっていてみんな幸せそうで勢いがある。どの都市も毎月のように街の景色が変わっていて、どんどん商業施設やコンドミニアムが建っていく。中には3年で不動産価格が2倍くらいになっているところもありました。間違いなくこれからも続いていくであろう東南アジアの人口増加は将来の不動産マーケットを成長させると強く感じました。

いっぽう日本は少子高齢化で既に人口減が始まっていて、まだ自分が生きているであろう30年後は今よりも3,000万人も人口が減っている。日本ではよく「新築不動産は買った瞬間に数割値段が落ちる」と言われますが、東南アジアでは売り出しの一番最初の価格が安くて、物件が完成に近づくにつれ高くなり、竣工時には既に数割上がっていたりするんです。

不動産売買の市場で成長していくのは東南アジアであり、これから不動産を買うなら東南アジアだなって思ったんですね。それで日本人でも東南アジアの不動産を買いやすい環境作りができないかなと。

ただ不動産の売買取引というのは一般的に人生で何度も体験できるようなものでないため経験値が少なく、ちょっと怖いと思う人が多い。日常的な取引、例えば食べ物や飲み物を購入する体験は毎日できるため、どうやって買えばいいか、その商品は美味しいのか等を消費者が学習でき情報も簡単に入手することができます。

一方で不動産の売買取引は非日常的な取引。普通の人なら一生で一度、多くても数回程度しか取引をしないため、体験によってこなせる消費者側の学習の回数が極端に少なく情報も入ってきません。不動産の価格は数千万円・数億円単位のため、飲み物をコンビニで買う時のように「新商品が出てるからちょっと買ってみようかな」と言って試しに買ってみることもできないのです。消費者の中にはどうやって不動産を買うのか、購入方法すら知らない人がほとんどです。

ここに情報を提供する側(不動産業者)と受け取る側(消費者)の大きな情報ギャップが生まれます。その情報ギャップを埋めたい。日本国内の不動産取引でもこの情報ギャップが大きいですが、国を越えた不動産取引になると、その国に詳しくなかったり言語の問題で更にそのギャップが広がってしまいます。そこをWebサイト上で情報を整理して、消費者側に寄り添って言語の壁や知識の壁を解消していきたいと思ったんです。

最初は日本人が東南アジアの物件を売買するお手伝いをネットとリアルで行っていましたが、今は外国人の方が日本の不動産を売買するお手伝いも引き合いが増えてきて現在はそちらのほうがユーザーが多い状況です。事業をはじめてみると、あらためての日本の不動産の強み等も見えてきました。日本人が海外に行くと、日本との差分がわかって、より日本の良さを実感するような感覚に似てるかもしれませんね。

 

やりたいこと、できること、求められていることのそれぞれが重なる領域で起業

ー 新卒でのゴールドクレストへの入社から、エス・エム・エスに転職するまでのお話を聞かせてください。

新卒では分譲マンションの企画から開発、販売までを行っているゴールドクレストに入社しました。当時のゴールドクレストは最短で上場していて、私自身、何もできないからこそ、一番成長できる環境はどこであるのかと考えた結果、勢いのあったゴールドクレストに入社しました。

入社してから転職するまでの2年間は営業を行っていて、お客様に新築マンションの販売やマンションを購入した後のアフターフォローなどを行い、本当に毎日がむしゃらに働いていました。その結果、幸いなことに新人賞などの表彰をしてもらいました。

それである程度、営業のやり方が分かってきた時に、このままではまずいなと思ったんです。なぜかというと、成果をあげるやり方が分かってくると、自分に対してキャップを作り「このくらいの力でやっておけばいい」みたいな状態でも売れるようになってしまい、もっと売るための努力を怠ってしまう自分がいるのではないかと感じたのです。2年目の若僧のくせにそれでは本当にまずいなと思って、もっと成長できる環境に身を置かなければならないと漠然と考えるようになりました。

そんな時、ゴールドクレストで以前働いていた2つ上の先輩が創業したエス・エム・エスに誘われました。当時の会社には社員が10人ほどしかいなかったのですが、すごく素敵な先輩達が会社にはいて、この環境なら自分は絶対に成長できると思い転職することに決めました。

 

ー 転職してからエス・エム・エスではどんなことを行ってきたのですか?

エス・エム・エスには約11年間在籍していて、その間、営業・営業マネジメント・WEBメディアの立ち上げ・人事・海外法人の代表など、本当に様々なことを経験させていただきましたね。

 

ー 本当に様々なことをやられていますね。マレーシア法人の代表まで。

はい、そうなんです。実は私の退職が2015年で、それより前の2009年頃に一度は独立するためにエス・エム・エスを辞めようと思っていました。それで当時の社長に「辞めます」と相談しに行くと、海外法人の立ち上げをやらないかと誘っていただいて。面白そうだと思い、それでマレーシアに行って、法人を立ち上げ、現地法人の社長をすることになったんです。

ただマレーシアに行ったものの、当時の私は本当に英語が全然話せなくて。最初は通訳さんがついてくれていたのですが、その方が休職することになってしまい、本当にこれからどうしようといった感じでした。それでも強制的に日本語が使えない環境の中に身を置くことで、大変でしたが結果として英語も身につけることができましたね。あの時通訳なしの生活になり一切日本語がない状況になったことが逆に良かったんだと思います。

 

ー マレーシア法人の代表を経験後は、マレーシアで起業されてますよね。どうして不動産、ITの分野で海外にて起業されようと思ったのですか?

自分が抜けると会社が黒字になるなとわかったタイミングで独立することに決め、独立する時にはエス・エム・エスでお世話になったいろんな先輩方に相談にのっていただいていました。その時に自分がやりたいこと、できること、求められていることのそれぞれが重なることをやった方がいいとアドバイスをいただいたんです。何だろうかと考えた結果、私にとっては「不動産」「IT」「海外」でした。

不動産は前職が不動産を取り扱っていたこともありよく知っていましたし、不動産の間取りを見たり実際にその場に行って現物を見たりなど自分でも自覚するほど熱狂的に不動産が大好きでした。また自分自身で不動産売買をして、今まで損をしたことがなかった経験から、ある程度目利き等もできるのかと思い、不動産をビジネスとしてやってみたかったというのもありますね。

ITはエス・エム・エス時代に、WEBメディアの立ち上げなどを行った経験もありましたし、何よりITに可能性を感じていました。特にITで情報を整理したり、業務を効率化したりするビジネス。医療や介護などの巨大な市場にも関わらず情報整理や効率化が進んでいない業界にITを差し込んで問題解決していくような事業をやってきて、毎日興奮していた自分を知っていました。

海外もエス・エム・エス時代にマレーシア法人の代表などを任せていただいて、いろいろな経験を積むことができました。そのおかげで日本だけではなく、海外という広い視野でビジネスをやっていきたいと思うようになりました。外国人のスタッフと働いたりすることや英語で顧客と交渉することも抵抗がありませんでしたし、何より急成長している東南アジアの市場に魅力を感じていました。

尊敬していた先輩達にも起業前に数十個の領域でいろんな事業プランを持ち込んで相談しては反対されたり、指摘を受けていましたが、ある日「不動産」「IT」「海外」で起業したいと言ったら、ほとんどの方達が口を揃えて「それはむちゃくちゃ面白いな。遠藤にむいてそうだし。やってみたら」と言ってもらえたのも大きかったですね。それで2015年にBEYOND BORDERSを創業しています。

 

ー エス・エス・エスでの11年にも及ぶキャリア経験などが現在につながっているんですね。

エス・エム・エスでの経験はとても大きかったです。私の周りを取り囲む上司・同僚・部下、全ての人たちが仕事面でも人間面でも真面目で本当に素晴らしい人たちで、そういう尊敬できる人たちが集まった会社でしたね。当時はそういう素敵な人たち全員がストイックに且つ熱狂的にビジネスをしていました。

仕事の仕方は今も生きていると思います。例えば経営上重要になる数値があるとすれば、その数値を高めることができそうな施策は何でもやる。別の業界で他の会社がやっていることも、本で読んだことも、日常に転がっているようなことも、なんとかいま高めるべき数値のために使えないかを考える。今思うと営業で外回りしている時も他の業界の広告を見て何かヒントがあれば当時ガラケーで写真を撮って社に持ち帰って改善提案提出に活かしたりしていました。

常に施策を出し続けてやりきる。その数も膨大ですし無限に色んな角度から出し続ける感じです。それで1個の施策を行うにしても、施策の質を高めるためにもやれることは何でもやる。そして1つ1つを細部までこだわり抜き、徹底的にやりきる。やりきる力や施策実行管理の仕方や仕組み作り等はもう企業の文化として根付いていってましたね。そこにどっぷり浸かっていたからこそ今の自分があります。

知り合いに当時の話をすると「少しカルトっぽい会社だね」とか言われたこともあるんですが、最近では、考え抜くとかやりきることを究極的に徹底している組織は、そうじゃない組織の人から見るとちょっと異常な感じにうつるのかなと思うようになりました。

当社も当時のエス・エム・エスにはまだまだ追いついていませんが、あの経験があるからこそ、組織の理想形みたいなものはぼんやりと思い描いています。考え抜くとかやりきるというのが下意識に根付いているのが当たり前な状態のチームを作っていきたいです。

 

ー 遠藤さんのこれまでのキャリア選択(日本→海外駐在→海外での起業)の中で、意識していたことは何でしたか?

「成長」だと思います。20代の時はやることなすこと全てがインプットだと思っていて、自分が成長できる環境に飛び込み、がむしゃらに働いていました。

この年で言うのも恥ずかしい限りですが、今もまだまだ成長していきたいと思っています。ただ以前よりかは自分の経験を活かせることに重心を置きつつ成長したいとは思いますね。

あとは20代前半の時はあまり意識はしていなかったんですけど、いつか死ぬんだなと30代後半になってくると思うんですね。親父の友人とかは最近何人か亡くなっていたりしまして。だったら人生1回きりだし、一旗揚げて何かやり切りたい。何か世の中に価値を与えるものを生み出したい。だから会社を立ち上げ、今も自分の仲間たちと一緒に頑張っています。

 

海外でのビジネスでは悪い意味での「現地化」をしてはいけない

ー 海外でのビジネスでは普段からどんなことを心がけていますか?

日本企業の厳しさや礼儀、丁寧さを実現しながら、外国企業の自由度を持たせたり、残業より効率を求めるところなど、両者のいいところを取り入れたハイブリッドな会社にしていこうとしています。

一番やってはいけないなと思っていることは日本人が東南アジアに行くと、東南アジアってゆったりしていることもあって、平気で遅刻をしたり、誰かとの約束を破ったりすることがあるんですね。海外の人たちの暮らしや、文化、考え方を吸収し、現地化することはいいことでもありますが、現地化してはいけないこともある。だから日本人の真面目さや勤勉さなどを忘れず、現地の良いところを取り入れることが重要です。

東南アジアに行くときは自分たちのスタイルは崩さず、悪い意味での現地化はしないように心がけていますね。

私がインターン生によく言うのは、東南アジアでは5分や10分遅れるのが当たり前だけど、遅れるのであれば絶対に、事前に「交通渋滞だから遅れます」等と報告してから遅れなさいと言っています。こういった当たり前のことを地道に積み上げていくことがいい仕事なんだと思いますし、約束を守るという日本企業の強みだと思っています。

(BEYOND BORDERS社内の様子)

 

ー 東南アジアで働くことの醍醐味は何ですか?

日本は少子高齢化が進んでいくこともあり、既に特定のマーケットでは縮小している領域もあります。東南アジアは行くたびにビルが建ち、景色が変わり、現地に住む人の給料も上がってきているので経済に活気があることを肌で感じますね。

私が思うのはこういう勢いがあるマーケットで何かしらのビジネスを行えば、けっこうスピーディーにビジネスを進められるのではないかということ。登りエスカレーターを駆け上がる感じで。それが東南アジアを含めたアジアで働くことの一番の魅力だと感じます。そういうところに自分たちを置いてやっていきたいです。

ただアジアでビジネスを行うために重要なことはアジアが持つ特有のカオスなところにいかに対応できるか。対応できるかというよりはそれをそのまま受け入れながら働けるかということなのかもしれません。

例えばアジアでは契約したのにお金が支払われないなどの日本では考えられないようなことがたくさん起きます。また考え方の違いからサービス提供や雇用に関してトラブルになることも多いです。そういう日本では考えられないようなことが起きるというのを事前に知っておくことが重要です。

そして予期しないことが起きることを前提に、アジアでのビジネスを楽しめるかどうか。また何かトラブルが起きたら、それをしっかりと受け止め、次に同じような失敗を起こさないためにはどうすればよいかと考えることが大事になってきます。

 

将来的に海外でキャリアを積みたいならできるだけ早く挑戦する

ー 今後の展望を教えてください。

私たちが目指しているのは世界中で不動産に関わる人達にHappyを生み出すことなんですね。将来的には欧米でもサービスを提供していきたいですけど、今は伸びているアジアに注力していきたいと思っています。

そして今までは国際間での取り引きだけでしたが、マレーシアだけで完結したり、インドネシアだけで完結するビジネスを日本企業でもやっていいんじゃないかなと思っていて。それを考えたらマーケットが大きすぎて、ワクワクしてきますね。

 

ー 最後に海外でのキャリアを積みたい学生、若手ビジネスパーソンにメッセージをお願いします。

私のようなまだまだ発展途上の人間が意見をするのは恐縮ですが、敢えてあげるとすれば2つあります。1つ目は最初に入社する会社が自分のこれからのビジネスの根幹を形作る上で重要だということ。最初に入った会社に5年くらい在籍していると、良い意味でも悪い意味でもその会社の色に染まってしまうんですね。

どうしようもない会社に入ってしまうと、そこで身についたビジネス経験が当たり前だと思ってしまい、実は他では全く通用しなかったという事態になってしまいかねません。日本で通用しなくて、日本より複雑性が高い海外で通用するはずはありません。

私は新卒で入った会社には2年しか在籍していなかったので、その会社の色には染まりきらず、会社の良いところだけを吸収することができたのかなと思っています。転職後、10年以上も在籍することになるのですがエス・エム・エスでは本当に誠実さと情熱を持った人たちと働く経験を積むことができ、彼らと一緒に働いた経験が今にも十分つながっていると感じています

だから最初の会社は良い企業に入ってください。仕事の型みたいなものをイイ形で作れると思いますので。誠実で情熱を持った人が働いていて、ストイックにスピード早くビジネスを行っている会社がいいかもしれませんね。

2つ目は海外に挑戦したいなら、なるべく早く挑戦すること。遅ければ遅いほど良くない。アジアであれば、今まさに人口が伸びていて、マーケットも成長しています。成長しきってからでは遅いので、今まさに成長している環境に早くから飛び込んで、ビジネスをした方が上手くいく可能性があります。

日本で英語を勉強してから海外に行きたいです、は遅いと思っていて、そもそも日本にいても、街の看板は日本語、お店の店員さんや友人との会話も日本語。英語を使う機会は本当に少ないです。やはりマレーシア等公用語が英語であるアジア現地に行ってしまわないと学べる量が圧倒的に変わってしまいます。そして現地で英語を使ったほうが必死なので習得も早いです。

うちの会社では英語ができない日本人インターン生もどんどん採用しています。その代わり現地では英語で業務を行わせますが(笑)。このように海外に挑戦することは早いに越したことはないので、なるべく早く挑戦してください!

 

海外に早くから挑戦したい学生へ

BEYOND BORDERS社では海外に早くから挑戦したい学生に対し、グローバルな環境でビジネススキルを鍛えることができる長期インターンシップの機会を提供しています!

長期インターンシップの詳細についてはこちらから: http://beyondborders.jp/ja/recruit.html
お問い合わせはこちらから: info@beyondborders.jp

日本、マレーシア共にインターン生を募集しているので、この機会を逃さず、ぜひ挑戦してみてください!