2015年8月9日、シンガポールは建国50周年を迎えました。
50年なんて他国に比べればまだまだ若い国のひとつです。しかし、この50年でシンガポールは、ASEANはもちろん世界のハブとして、貿易、金融、ITの拠点となりました。東京23区ほどの小さな都市国家は、急成長を遂げたのです。
毎年、8月9日は「National Day」の祝日です。夕方から祝いのパレードが国を挙げて行われ、テレビでは生中継もされるほどです。
特に今年は50年という区切りの年。年始から1年を通して「SG50」を掲げ、プロモーションの強化にかかりました。歴史を振り返る特別番組から生活用品のOFFセール、レストランやスーパーに並ぶ商品にまで「SG50」だらけ。
通常よりも盛大に行われると噂を聞き、シンガポールを愛する筆者は居ても立ってもいられず、現地へと旅立ったのです。今回は、その盛大なる建国50周年の華やかな一日を、密着リポートでお届けします!
National Dayは交通機関が無料!!の太っ腹
実は、今年の式典はどうなることかと不安を抱いていました。というのも、3月に建国の父である元首相のリー・クアンユー氏が逝去したからです。
日本であれば喪に服しイベントなどはすべて自粛、なんてこともありますが、シンガポールは違いました。このタイミングだからこそ一致団結して亡き建国の父に捧げようと、祭典の成功を誓ったのです。
(国歌でもある“Majulah Singapura”はマレー語で「進め シンガポール」という意味)
8月9日の当日は本当にすごかった!
朝の8:59に国中にサイレン音が響き渡り、テレビでは、故リー・クアンユー初代首相による独立宣言朗読の放送開始です。
この日のMRT(電車)やバスの交通機関は、すべての利用者が無料。博物館や動物園などの特定の観光施設やケーブルカーは、シンガポール国民であれば無料と、至れり尽くせりです。のちの報道では、国内での施設やイベントなどの総参加者は約170万人にもなったとのこと。本当にすごい!
東京であれば、都民の日に都営の施設が無料と同じことですが、スケールが違い過ぎます。駅に行けば、愛国心ソング(シンガポールにはたくさんの曲があります)も流れています。もちろん無料ですから、利用者は普段の倍以上で大混雑していました。意味なく一駅ずつ乗降して恩恵を受けた人もいたとか。
シンガポール初の世界遺産で癒された
パレード自体は夕方からですが、国中の施設で朝から祝辞イベントが行われています。さっそく向かったのが、7月にシンガポール初のユネスコ世界文化遺産に認定された植物園である「シンガポールボタニックガーデン」です。
ちなみにシンガポールが認定されたことにより、ASEANの中で世界遺産の無い国はブルネイのみになりました。
(1859年開園の歴史ある園内。約52ha、東京ドーム約11倍の広さ。)
この場所は緑にあふれ、国民の憩いの場でもあります。迷いそうなほど広い園内には、原種や交配種の蘭約6万株が咲き誇る「ナショナル・オーキッド・ガーデン」があり、旅行ツアーにも組まれていて、日本人も多く訪れています。
日本ではめったに見ることのできない南国ならではの花々が咲き乱れていて、マイナスイオン効果も抜群です。通常は蘭園のみ有料ですが、もちろんこの日は無料でした。
(ナショナル・オーキッド・ガーデンへの入場も行列。蘭はシンガポールの国花でもある。)
私も園内をぐるりと散歩しながら、花に癒されていたら、もう昼過ぎです。
さぁ、そろそろパレード会場に向かいましょう!
マーライオンもビックリな真っ赤に染まる観光名所
メイン会場周辺のマリーナベイエリアは、昼頃には大勢の人が集まりはじめていました。
このエリアはマーライオンパークやコンベンションセンター、ショッピングモールもあるので、観光客だけではなく、日本人ビジネスマンも多く利用しています。
(例年入場チケットは10倍以上の当選倍率があるという。うらやましい(泣)。)
メイン会場である「パダン広場」(パダンはマレー語で“草地”や“空地”の意味)には、抽選で選ばれたシンガポール国民及び永住権取得者のみが入場できるため、観光客は入ることができません。
中の様子が気になるところですが、実は前日まで通行ができていたので、パダン広場のリハーサルの様子を見学していました。
(普段は広い芝生のパダン広場。6月から工事を開始し、本番に備えていた。)
ライティングがキレイで広い会場は迫力満点です。ビジョンに投影された中華系、マレー系、インド系の国民それぞれのメッセージや歌手のリハーサルの様子を見ていて、テンション上がりまくりました!!
抽選にもれた国民や観光客は、マリーナベイエリアに集まります。
マーライオンとマリーナ・ベイ・サンズに囲まれた風光明媚な場所は、大混雑していて移動するのも一苦労でした。
開演4時間前にも関わらず、場所取りのために大勢の人が。
所々で、場所取りのいざこざがありながらも、近くのフードコートで購入したシンガポールフードやお菓子を持ち込んで、家族や仲間で楽しそうに待っている姿は、なんだか日本に近い感じがして和みました。
別名「ドリアン」と呼ばれるエスプラネード・シアターズ・オン・ザ・ベイの特設ステージでは、すでに舞踊や演奏が始まっていて、観客の目を楽しませています。さぁ。どんな素敵なパレードが始まるかワクワクの瞬間です。
この記事の続きは9/22(火)に掲載予定です。