日本の“再成長発信基地”をセブ島に!ーUnited Re-Growth 創業者 鈴木光貴氏

「今までにない全く新しい語学学校を、そしてたくさんの人の居場所を作る」その思いを胸にフィリピンでの起業を決意した鈴木氏。身をもって実感したという、「一歩踏み出すことの意味」について語ってくれた。“一歩踏み出す”、聞き飽きたようにも感じるこの言葉の意味を、海外で躍進を続ける鈴木氏はどうとらえているのだろうか。

《鈴木光貴氏プロフィール》
不動産会社に就職後、事業投資ファンドに転職し、経営支援や金融支援に従事。投資先数社の取締役、執行役員を兼務。『成長するアジアで勝負がしたい』、そんな想いでフィリピン留学(セブ留学)を経験後、2012年に2人の仲間と「ユナイテッド・リグロース株式会社」を創業。セブ島を舞台に日本の中小企業、人材の海外進出を目的とした語学学校「オトナ留学」、インキュベーションオフィス「Ajito」の2つの事業を運営中。 

 

日本でのキャリアを捨て、独立へ!


ーまず、日本で働かれていたときのお話と、フィリピンに飛び込むまでの経緯を教えてください。

日本では不動産会社に3年勤めて、そのあと投資ファンドに4年半勤めました。30歳までには独立し、起業したいと思ってましたね。でも、東京で独立しようと思ってもリスクもコストも高く、そして将来性が見えない。しかし、日本語しか話せない自分としては、日本でしか起業ができない。それに憤りを感じてました。

外を見るとアジアはもの凄い勢いで成長している。そんなアジアで勝負したい!ただ、英語が話せない。だったら英語を習得すればいい。そんな想いで、会社を辞め、まずはフィリピン留学に2カ月間行くことにしました。

ー現在フィリピンではどんな事業を運営されているのですか?

今運営している事業は、僕自身のフィリピン留学での経験に基づいています。フィリピン留学って学生(特に大学生)が多いんですね。長期休みを利用して、英語の勉強をしに来る。でも、自分もそうでしたが、社会人は会社を辞めないと留学に来れないのが現状です。今までの生活を投げる覚悟で留学に行かなくてはならない。すると、同じ授業を受けても社会人と学生との間に温度差のようなものが生まれてしまうんです。あと、環境。留学費用は学生も参加しやすいようにギリギリまで低くなってる。だから寮の環境は結構悪かったりするんです。

実体験をもとに考えついた『オトナ留学』というプログラム


リスクをとって英語を勉強しに来ている社会人が英語の勉強に集中できない。それって、すごくもったいないと感じました。そこで社会人をターゲットにした留学プログラムを作ることにしたんです。名づけて『オトナ留学』

カリキュラムはビジネス英語を中心で、会議を進行する時に使う英語や、実際に働く上で使う英語を学べるような仕組みにしてます。環境も従来のフィリピン留学とは違っていて、ホテルで生活しながら英語の勉強ができる。家庭教師のようにホテルに英語の先生がやってきてマンツーマンで授業を行います。拘束される時間が少ないので、空き時間で仕事をしたり遊んだりもできます。

英語を習得したい、しかも欧米ではなくアジアの熱を感じたい、という志の高い生徒が集まってます。日本で働いていたら普通は会えないような業種や役職の方と知り合える。生徒同士のネットワークも徐々に広がっています。

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次世代へのバトンタッチができる場を作りたい、もう一つの事業『インキュベーションオフィス Ajito』


ー鈴木さんはもう一つ、インキュベーションオフィス事業もされていますが、それについても詳しく聞かせてください。

そもそもインキュベーションオフィスの事業をしようと思った理由は、僕の一つの願いに基づいています。僕は日本の幸せな経済が未来永劫に続いてほしい、と願ってます。でも、僕一人があと30年間の社会人生活の中で何かやってもその効果って限界がありますよね。だから自分が持っているもの、築いたものを次の世代にバトンタッチできる場を作ることが僕のできることであり、やるべきことなんじゃないかなって思ったんです。孫の代まで幸せな経済の仕組みを作る事が僕の使命と思ったりもしてます。

インキュベーションオフィスって、多様なアイデアを持った人が集まって話し合ったり、何かオモシロイことを計画したり、交流したりできる場だと思うんです。その場を創ることが次世代へのバトンタッチの機会を増やすことに繋がると強く信じています。

あえてAjitoでは、フィリピン留学に来た学生や社会人などの日本人に限らず、フィリピン人も含め多国籍な人が自由に集まれるようにしました。アジア各国の様々なインキュベーションオフィスを研究しましたが、日本人がほとんどという場が大部分でした。Ajitoでは、フィリピン人も多くいるので自然と英語で話せる環境になっています。英語で交流して、英語のスキルを高められるという利点もあるんですよ。年齢や国籍、キャリアに関係なく、だれでも集まれるインキュベーションオフィスだからこそ新しい価値が生まれる、Ajitoはそんな場です。

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踏み出してこそ見えてくるものがある


ー最後に私たち若者世代に伝えたいことを聞かせてください。

僕たちの企業理念でもあるんだけど、まず『一歩世界に出ましょう』っていうこと。僕みたいに起業するとか、そこに住み続けるとかそういうことじゃなくていいんです。一歩世界に出ることで何か見れるものとか、経験って絶対あるから。そのあと、あーやっぱり日本いいなぁ、と日本に戻るのだって全然アリだと思うんです。たとえ戻ったとしても、一歩世界に出た人と、出なかった人とではその後の人生を決める判断基準が変わってきます。一歩踏み出して、なにも得られなかったとしても、そのことすらも大事な経験になると思うんですよね。だからぜひ一歩踏み出してほしい。

 あと、英語ですね。これは学生のうちにやっておいたほうがいい。例えば10年、20年前には今みたいにパソコンや携帯がここまで進化して浸透するとは考えられなかったですよね。それと同じで、10年、20年後には日本人全員が英語を当たり前に話している時代が来るんじゃないかなって思うんですよね。パソコンや携帯が使えないオジサン世代と同様に、英語ができないオジサン世代にならないように僕も危機感を持っています。もしも、フィリピンで英語の勉強をしたかったら、是非とも”オトナ留学”へ。笑

 

(文:長谷川奈生  インタビュアー・校正:鈴木佑豪)

 

《鈴木光貴氏関連情報》
■ユナイテッド・リグロースHP
http://www.u-rg.com/

■ブログ
http://ameblo.jp/mitsutaka-suzuki/