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今回は、前回のジャカルタでの渋滞問題に関連して、そこから生じる貧困ビジネスについてお伝えします。題名だけ読むと専門的な難しそうな印象を受けますが、「え~?!」と驚くような事例も紹介しますので、インドネシア・ジャカルタの現状をつかむためにも是非読んでくださいね。
まずジャカルタ、特に中心部の渋滞といったら、もう半端ないのです。本来なら40分で着くはずなのに、渋滞に巻き込まれたら2,3時間かかったり、家から目の先のオフィスへ行くのにも数時間かかった、といった話をよく聞きます。(こちらの記事を参照してください。「これだけは知っておきたい!巨大都市ジャカルタで生き抜くための交通手段」 )
政府は、交通渋滞という大きな社会問題を解消するため、路線バス(Transjakarta)の設置や三輪オートバイク(bajaj)の禁止などの対策をうちました。ですが、ジャカルタの貧困層の人達の間では、渋滞を利用する「ビジネス」が流行っています。
車に乗るなら3人以上で!-「3 in 1」
「3 in 1」とは、7:00-10:00/17:30-19:00の通勤ラッシュの時間帯は、車に3人以上乗っていなければ通れないという制度です。
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ちょうど3 in 1が適用される時間帯に街を出ると、このような光景が見られます。
「2」のサインを出しているのは、「2人乗りますよ!」という意味です。3人以上乗っていなければ通れない時に1人で乗ってたら、あと2人必要ですよね。2人相乗りさせることができれば、道を通れるわけです。
その代わりに、ドライバーは相乗りしてくれた2人にはお金を払います。1回の乗車でRp.20,000~30,000(約200~300円)です。300円もあれば、インドネシアではレストランで食べられる値段です。
もう1つ、事例を紹介しましょう。
ランダムに現れる交通整理屋-「Polisi Cepek」
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インドネシアでは、大通りの大きな交差点以外、信号機がほとんどありません。そのような場所で活躍するのが、この方たちです。
大声を出しながら 「止まって下さい!」とか、「右右!」と車を誘導するのです。普通は、若い男性が多いです。危険な仕事のため、女性でこの役割を担っている人は見たことがありません。
ドライバーは、道を通る際、彼らにチップを渡します。これが彼らの貴重な収入となるのです。運転手さんたちは平均Rp.200~500(約2~5円)を渡しています。先程の 「3 in 1」と比べたら単価は少ないですが、大量の車を誘導しているので、合計したら3 in 1よりも稼げるかもしれません。
ちなみに、cepekというのはRp.100(約1円)という意味で、以前はチップとしてRp.100を払えば十分だったそうです。
彼らの多くは、家庭の経済事情から学校へ行けなかったり、行けたとしても義務教育の中学校までで、その後仕事に就けない人たちです。私たちの発想からすると、『貧困層にも行き渡る教育システムを整備する必要がある。そして、彼らに雇用を提供する。そうすれば貧困問題は解消されるのではないだろうか。』となります。
しかし、『教育を受けて仕事を得るより、食いつないでいくために何でもいいから目先の仕事をしたい』と考えている人が多いために、いつまで経っても貧困問題がなくならないのです。「3 in 1」や 「Polisi Cepek」などによって貧困システムが支えられているため、その上を目指そうという発想が浮かばず、努力もしなくなるのです。
貧富の格差は広がる一方。求められる教育対策
現在インドネシアの経済が発展していくのと反比例して、貧富の差は確実に拡大しています。経済成長により車やバイクが多くなり、渋滞もひどくなる。その状況に乗っかる貧困層も増えていきます。
この状況を踏まえて、インドネシア、特にジャカルタの貧困問題を解決するためには、算数や理科などの一般科目と呼ばれる教育以外に、自分のアイデンティティや自分の存在、地域の中での自分の立ち位置などを認識させる教育(人格教育のようなもの)が必要だと考えられています。
ちなみに、ジャカルタの貧困層の子供たちが受けている教育、ノン・フォーマル教育(学校外でNGO団体によって、それぞれ地域で無料で施されている教育のこと)で、どのように実践されるべきか。これが現在の私の大学院での研究テーマなのです。
難しいテーマですけど、もしかしたら将来、インドネシアの教育と貧困問題の解決に貢献できるかもしれないと思うと、すごくやりがいがあります。
ジャカルタの交通状況が貧困システムを支えている現状を掴んでいただけたでしょうか?
問題解決のため教育が求められるのは今後も変わりません。これ以上、インドネシア内での貧富の格差が拡大しないよう、なるべく早く対策が取られなければ、国が崩壊してしまいそうで怖いです。日本に住む私たちも、全く関係のない問題だとは思わずに、積極的に貧困問題について考えていくべきですね。
Terima kasih banyak dan selamat siang.
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