以前はよくいる大学生だったという田崎さん。日本で就職ではなく海外で働くという思いを持ち、新卒で香港へ飛び出し、現在はカンボジア、プノンペンで働かれている。活気溢れる東南アジアの環境で、生きていて楽しい!と語る田崎さんに、その思いを伺った。
《プロフィール|田﨑洋平さん》
1991年長崎県生まれ。
福岡の大学を卒業後、ワーキングホリデー制度で香港へ。約10カ月間のインターンシップを経験しそのまま入社。その後、カンボジアにて会社の立ち上げに奮闘中。趣味は飲み会。東南アジアの暑い気候で飲むビールが大好き。
目次
多くの経営者に出会った大学時代。卒業後香港へ、そして日本人一人でカンボジア拠点の立ち上げを担当!
—なぜ海外就職をしようと思ったのですか?そのきっかけを教えてください。
香港にインターンシップで行ったのがきっかけです。
1、2年生の時までは単位も危ないような、よくいる大学生でした。
3年生の時に、尊敬している先輩に「大学生活4年間あって、いくらかかっているのか計算してみて」と言われ計算すると、大体1000万円とかかかっていたんです。勉強せずに遊び方しか学んでいない2年間、500万は完全にドブに捨てたなと思って。
そこで3、4年生は何かしたいと思い、留学生支援の学生団体に入りました。その関係で、海外で活躍されている経営者の方と会う機会が多く、大学生の間に多くの経営者と会ったんです。
残りの2年間で1000万円以上の価値を見出すためには大学生であることを利用して多くの人に出会うことだと考えたので。経営者の人のあり方や考え方を聞いていると、自分で物事を判断して動かせるって、リスクがあって大変だろうけど、それだけ楽しそうだなというのを感じましたね。
その後就活の時期に入りましたが、「1年間就活にお金や時間を費やすのではなく、学生の間にできることはたくさんの人に会うことだ」と思って、その後も多くの人に会いつつ、そのまま卒業しました。
その中で現在の会社、Hopewill Group代表の堀と出会いました。Hopewillは、香港を中心にして日本・アジア間の販路開拓・市場調査の専門コンサルティングを行っています。
福岡に住んでいたので、香港って東京より近いんですよ。それに、学生団体の先輩がインターンで同じ会社に行っていて、ぎりぎり生活できるくらい給料が出るということもあって、僕もインターンに行くことに決めました。
香港を選んだ特別な理由はなく、語学も話せないので、何か掴めるかなぐらいの気持ちで行きましたね。
実は卒業後は2年くらい海外を回る計画を立てていて、当初の予定では、半年香港、半年バックパッカーで東南アジア、半年インドネシアのレストランで働く、半年オーストラリアの農場でワーキングホリデーを使って働く、ということを計画していたんです。
しかし、その半年の香港のインターンを終える頃に代表に入社を勧めていただいて、そのまま就職することになったのです。
—香港からカンボジアに行くことになったのはなぜですか?
香港って新卒でビザを取得することが難しいんですよ。香港での1年のワーキングホリデービザが切れる前、8か月くらいした時に、たまたまカンボジアへ視察に行くことになりました。
それがカンボジアに行くきっかけでした。会長と社長が直感でカンボジア進出のタイミングは今だ、と判断し、フットワークの軽さとビザの申請のしやすさから、僕が一人でカンボジア拠点の立ち上げをすることになったんです。
カンボジア、ラオス、ミャンマーのビジネス情報を発信!
—具体的な仕事内容を教えてください。
インターンの時は香港にある日系企業に広告営業をしていました。香港ではメディア媒体を4つ持っていて、電話をかけてアポをとり、営業に行っていました。後は市場価格のリサーチなどですね。
社会に出て営業職に就いた誰もが最初に苦労する業務の一つが、電話でのアポ取りではないかと思います。私自身、言葉が通じないながら必死に電話し続けました。
海外での日系企業に対する営業職の魅力は、日本にいると新人営業マンが中々出会うことが出来ない人たちへ、営業をかけることができる点だと思います。具体的には日本では大手企業と呼ばれている様な企業の代表の方へ直接営業することも多々あります。
カンボジアではまた自社で持っているC.L.M.リーダーズというWEBサイトの運営を事業の一つとして展開しています。これはBtoB向けのサイトで、カンボジアとラオス、ミャンマーの経営者のインタビューを載せ、情報量が乏しい後進3ヵ国の現地の生の情報を発信しています。
—プノンペンでの生活について教えてください。(ビザ、お金、趣味、暮らし)
ビザ
カンボジアは、労働ビザも観光ビザも両方共とても簡単にとれます。空港でアライバルビザを取得することも可能なため、パスポートと必要なお金があれば日本人であればだれでも入国できます。
空港では通常1カ月間有効のビザの受け取りですが、旅行代理店に行き約300ドル払えば誰でも1年間のマルチビザが取得可能です。
お金
日本人だと月に1000ドルもあれば普通に生活できると思います。
日本人の所得はいくつか層がありますね。カンボジアで働いている形態(現地企業経営者、駐在員、現地採用等)が人によって様々なのでここに大きな金額差があると思います。他の国と比べてビザの取得がしやすいことから、同世代の日本人も多くいます。20代前半だと現地採用の収入は800から1500ドルくらいではないでしょうか。
趣味
プノンペンは娯楽が少ないです。こちらに来てからYoutubeを見る回数が増えました。プノンペンあるあるですね。(笑)
後は、みんなで集まってお酒を飲むか、みんなで野球をするなどサークル活動をするかです。
暮らし
今の家は160ドルです。部屋は広くて、シャワールームも付いていますが、水しか出ません。
日本にいた時は潔癖性だったのですが、こちらにきたら新しい自分ができました。(笑)虫が出るなど、衛生面は厳しいですが、慣れると気にならなくなります。
また、交通面も苦労します。トゥクトゥクは2~5ドルと数人で乗る分には安いのですが、一人で移動するには結構高いですよね。
小さい苦労はありますが、それが海外の楽しさだと思います。
最初から海外で働く。違う感覚を持ったグローバルな思考の人が、日本には必要。
—新卒で海外就職されて、良かったと思うことはありますか?
日本と違い社内で日本人の同僚が極端に少ないです。カンボジアもそうですが、海外に拠点を置いている会社だと、現地には日本人が一人二人しかいないので、会社が違う人と仲良くなるんです。営業に行くとすぐ仲良くなって、年の離れた方からご飯に誘ってもらうこともあります。
日本人っていうことだけで仲良くなれて、友達が増えるというメリットはあるでしょう。
—逆に苦労したことはありますか?
友人の結婚式に行けないのは辛いですね。(笑)いくら近いとはいえ、すぐには帰れないのが海外です。
日本の生活と比較すると、煩わしいことは多いです。でも、そういうことを含めて楽しいですね。毎日新しい何かがあって、毎日が新鮮。現在は運営しているWEBサイトで様々な方へインタビューもやっているので、カンボジアだけでなくラオスやミャンマーに行くこともできて、常に動き回っているのが楽しいです。
—海外就職を迷っている人に向けて、メッセージをお願いします。
日本を出て多くの方に、「3年間は日本で働いた方が良いよ」というアドバイスを受けました。結局日本人である限り、対日本人の商売をすることが多いですよね。日本独特のビジネスマナーは日本でしか学ぶことが出来ないという事だと思います。
ただ、僕は日本がどんどん縮小していく中で、ずっとそんな考え方ではだめだと思います。最初から全然違う環境で働き、違う感覚を持ったグローバルな思考の人たちが日本に帰ってきて、それを当たり前のようにやるというのもすごく大事なことだと思います。
今、外に出るメリットを感じたので、僕はここにいます。何より、生きていてこちらの方が絶対に楽しい!
もし迷っている人がいるなら、迷っている時点で、背中を押してほしいだけなのではないでしょうか。一番の原動力は、行きたいって思う気持ちです。若いうちに、1回出てみれば良いと思います。
私たちの世代は、バブルを経験していません。そんな世代にとって、活気の溢れる中で仕事ができる東南アジアは、今の日本では味わえない魅力のある場所の一つだと思います。
【編集後記】
田崎さんは社会人1年目から拠点立ち上げをされていたが、東南アジアではこういった話を聞くことも多い。普通ではあり得ないくらいチャレンジングなことをいきなり任されることが多いのは、新卒で海外就職された方の特徴だと思う。若いうちから外に出ることが当たり前になり、いずれその人たちが日本に戻って来たとき、日本はどのようになっていくのだろうか。