祝SG50! シンガポール20万人が参加したナショナルデーパレードとは!?

 

建国50周年のシンガポール。建国の父であるリー・クアンユー氏を亡くした今年は、特別な思いで8月9日のナショナルデーを迎えました。

1965年の翌年から建国を祝う「ナショナルデーパレード」(以下NDP)は始まり、歴史背景を民族の違いで紹介したり、国家軍隊の航空ショーなどが毎年披露されています。今年のNDPは、東南アジアのハブとして激動の50年を歩んできたシンガポールの結束が集約されていました。

前回に引き続きお伝えしている現地リポートの後編をお送りします。

前編の記事
祝シンガポール建国50周年! 170万人が参加したNational Day現地リポート

 

戦闘機や戦車も登場する航空ショーは迫力満点

会場となるマリーナベイエリアは、たくさんの国民と観光客で埋め尽くされました。中国系、マレー系、インド系を主とする多民族国家ならでは。さまざまな人がひとつとなって、開演の時刻を待ちます。

夕方5時。メイン会場であるパダン広場では、抽選で選ばれた国民が「SINGAPORE」と書かれたタオルを天高く掲げ、オープニングを飾ります。第二会場のマリーナベイエリアにある多目的施設及びその周辺でも、巨大モニターによる中継によって、すべての人たちが一体となってNDPを盛り上げています。とにかく歓声がすごい!

写真2-マリーナエリア(リアルタイムで中継されるNDP。観客は画面にくぎ付けだ。)

メイン会場では、現首相のリー・シェンロン氏をはじめ、主賓や世界各国の首脳関係者が登場。日本からは麻生副総理大臣の姿もありました。

故リー・クアンユー元首相を偲ぶVTRにはじまり、ビンテージパレードで華やかなステージの幕開けです。古き良きシンガポールの雰囲気を踊りで表現し、さらにはシンガポール航空のCAも登場。空には50周年を記念して、初めてSQジャンボ機A380が飛行しました。A380が上空に姿を現したのはものの30秒ほど。何と贅沢な!

写真3-ヘリ(毎年、フラッグを下げたヘリ飛行は人気の光景。)

写真4-50(今年はF16戦闘機によって「50」の文字が登場。)

 

上空では、空軍の操縦による一糸乱れぬ演技が続々と現れ、そのたびに歓声が大きくあがりました。一瞬だけのために6月から予行を重ねているのですから圧巻です。

写真5-大砲(何発もの空砲が空に向かって放たれすごい迫力!)

湾からはずらりと並んだ海軍のフロートがゆっくり進んで、発砲の準備のために配置につきます。移動するたびに歓声が上がりますが、隊員はもちろん無表情。徴兵制度のあるシンガポールは、軍の勢力が重要な位置にあり、NDPには欠かせない存在となっています。間近で見るのは初めてで、空砲はとにかく耳をふさぎたくなるような爆音でした。

 

3時間ものNDPは花火でフィナーレ

陽が沈んでメイン会場の熱気は最高潮に!シンガポール人歌手による大合唱や演舞、マスゲームやシンガポール名物をモチーフにしたフロートパレードなどが登場し、モニターで見ていてもその迫力が伝わってきます。終盤にさしかかって、場所を移動する面々も出始め、私も少し移動してみました。

写真6-行進(メインステージの裏でも、一糸乱れぬ行進が続いていた!)

メイン会場のすぐ裏、コンサートホールを併設するエスプラネード・シアターズ・オン・ザ・ベイの裏手の通路には、出番を終えた陸軍の列が。あまりの早い動きにカメラがついていかない、それほどの見事な行進です。どこにいても観客がいるので気が抜けませんね。

写真7-花火(鮮やか過ぎる花火に周辺は白い煙に包まれた(ゴホッ)。)

やはりフィナーレは花火が似合いますね。空一面に大輪を咲かせて鮮やかに・・・と思えば、花火の煙がスゴ過ぎます。

あえて勢いのある写真を載せてしまいましたが、花火の位置にはマリーナ・ベイ・サンズがあります。この光景を名物の屋上プールからみたらどんな感じでしょうね。

 

終演を迎えて

3時間に及んだ今年のNDPも終了。国民のみなさんは亡き建国の父を思い浮かべながら家路についたことでしょう。実際に一日現地を巡ってみて、観光都市シンガポールとは違ったローカルの一面を感じることができました。一糸乱れぬ演目の光景や軍隊の様子を見ていて、逆に閉塞感を感じてしまったことも事実です。

しかし、この閉塞感を武器に国が歩み出さなければ、50年という短い期間で、貿易、金融、ITハブとしてのシンガポールはなかったことでしょう。国家を一代で築くのは並大抵のことではありません。しかし、それができたのは、故リー・クアンユー氏の独立宣言での涙です。ジャングルだったシンガポールをどの東南アジア諸国よりも発展させていこうという想いでした。

DSC_2528

 

今までの50年は、国を創り上げることが先決でしたが、これからは国が国民と向き合い、どのように成長していくかが課題となります。9月11日には、新政権を決める総選挙が実施され、リー・シェンロン首相が率いる与党・人民行動党が圧勝しました。

しかし、表面上は発展したこの国も、貧富の格差が激しくなり、若者の反発が表面化してきています。海外からの進出企業も他のASEAN諸国の発展が進むにつれて、シンガポール離れが起こってくることも予測されるでしょう。この先の10年、20年後、どのような発展をシンガポールが選択していくのか、私もしっかり見ていきたいと思っています。