Selamat siang! Apa kabar?
(こんにちは。お元気ですか?)
今回はインドネシアを語る上での隠れキーワード「パンチャシラ(Pancasila)」を通してみなさんにもっとインドネシアについて理解を深めてもらいたいと思います!
「パンチャシラ」とは、「建国5原則」とも言われる5つの国是で、行動原則のようなものです。インドネシアに行く前に知っておくと、現地での学びも大きくなるはず!
http://adex-lambhuk.blogspot.jp/2011/05/makna-dan-penemu-lambang-garuda.html
こちらがパンチャシラ。ガルーダという鳥の真ん中にある盾に描かれている5つの絵が、今回説明する5つのキーワードを表しています。
それではひとつずつご紹介します!
1.唯一神への信仰
真ん中の星はインドネシアの6つの宗教を表し、宗教を持つことの義務を意味しています。
*6つの宗教についてはこちらで!!
インドネシアでは、17歳で成人すると、国民IDカードのようなものが発行されます。そこにたくさんの個人情報が書かれているのですが、必ず信仰する宗教を書くところがあります。インドネシアでは宗教を持つことが当然とされているのです。国家として「国民に宗教を持つことを強制している」とも捉えられそうです。
しかし最近では、この姿勢に対し反対運動が起こっています。インドネシアで先週行われた大統領選に出馬したジョコ・ウィドド(Joko Widodo:愛称は「Jokowi」) さんは、宗教について書く欄を廃止しよう!と訴えています。特定の宗教を信仰するかどうかは自由であり、「民族や宗教が違っても、みんな同じインドネシアの国民。兄弟姉妹!」という考えからそのように主張しています。
http://jokowipresiden2014.blogspot.jp/2013/03/indonesia-baru.html
(「Presiden=大統領」「RI (Republik Indonesia)=インドネシア共和国」を表す)
2. 公平で文化的な人道主義
続いて、右下の鎖は何を意味するのでしょう。実はこの鎖、丸い輪と四角い輪が交互につながっています。それぞれ女性と男性を表し、人間の世代間のつながりを示しているのです。
私はインドネシアに留学していて、世代を超えた繋がりの強さをすごく感じました。教師と生徒、親と子、上司と部下など社会には様々な関係がありますが、インドネシアではこれらの関係がとても近く、形式ばったものではありません!留学中の大学の先生方は、私の本当の親のように接してくれたのが印象的でした。
3.インドネシアの統一
右上のボダイジュの木は多くの文化的根を持った人々が、1つの国にまとまるという理想を表します。それを象徴する風景がこちらです!
http://muslim-academy.com/masjid-istiqlal-wujud-rasa-syukur-atas-kemerdekaan-indonesia/
手前にカトリック教会(カトリック)、奥にモスク(イスラム教)があります。一つの細い通りを挟んで、東南アジアで最古のカトリック教会と、東南アジア最大のモスクが隣り合っているのです!驚きですよね!
ところで、パンチャシラの絵に関してもう一点、見逃せない点があります。真ん中にいる鳥はガルーダと言い、もとはヒンドゥー教のシヴァ神の乗り物です。
http://artharbour-ao.blogspot.jp/2010/05/blog-post_6838.html
シヴァ神がガルーダに跨っています
ガルーダが足で握っているリボンには、”Bhinneka Tunggal Ika”と書かれています。これはジャワ語で「多様性の中の統一」を意味し、インドネシアのモットーとなる言葉です。
そしてみなさん、ガルーダの羽は何枚あるか見えるでしょうか?首元の羽は45枚、尾は8枚、翼の羽はそれぞれ17枚になっています。「45-8-17」という数字の組み合わせ、何を表すか分かりますか?実はこれ、インドネシアの歴史ではとっても大切なものです!
そう、インドネシアが独立宣言をした日、1945年8月17日。日本が無条件降伏をしたのが8月15日で、インドネシアはその二日後に独立宣言を発表しました。毎年8月17日、インドネシアではすべての家庭の入り口に国旗が掲揚されます。
また、それぞれの学校では国旗掲揚、国歌斉唱などのイベントが行われ、夜はジャカルタ中心地にある独立記念塔(モナス)の広場で花火が打ち上げられます!あんなに広いインドネシア中がお祝いムード一色に包まれます。とても賑やかで、明るい雰囲気の一日です!
http://tokuhain.arukikata.co.jp/bali/2011/08/post_283.html
4.英知によって導かれる民主主義
左上には、ジャワ島の野牛バンテンの頭が描かれています。バンテンは社会的動物であり、決定は合議によってなされることを象徴しています。
5.全インドネシア国民に対する社会的公正
左下には、金色の稲穂と白い綿花が描かれています。お米と綿花は社会の持続と生計の象徴です。オランダの植民地となる以前から中国や東南アジア諸国と貿易が行われていましたが、米の生産地として有名なジャワ島からはお米が各国へ輸出されていきました。
以上、インドネシア社会の根底を形成している5つのキーワードでした!インドネシアに行ったことのある方、「うんうん、たしかに感じた!」と思えるものもあったでしょうか。このパンチャシラ、義務教育中は必ず学校の科目に設定されているのですが、筆者の友人に尋ねたところ、最近この教えはあまり若者に浸透していないようです。
インドネシア社会・文化は非常に複雑に絡み合っており、なにかひとつのテーマを単体で取り上げることが難しいほどです。インドネシアを研究の対象にしている身としては、「どうしてこういう現象がおこるのだろう」という疑問の答えを見つけようとすると、原因はひとつに絞れず、難しいながらにやりがいを感じます。まだまだ不思議なことが溢れている国なので研究し甲斐があります。
Terima kasih banyak!
Sampai juma lagiii^^
(どうもありがとうございました!またお会いできる日まで^^)
≪参考≫
石井米雄・監修、『インドネシアの事典』、同朋社、1985年