「迷っている人にこそ飛び込んで欲しい。」ASEANへの新しい選択肢【日本語パートナーズのリアル③】

日本語パートナーズ」をご存知でしょうか。

"日本語パートナーズ" は、アジアの中学・高校などの日本語教師や生徒のパートナーとして、

授業のアシスタントや、日本文化の紹介を行います。

専門的な知識は必要なく、応募要件に当てはまればどなたでも応募できます。

アジアで多くを発見・吸収し、それを周囲へ、未来へ広げる…そんな人になってみませんか?

第1弾・第2弾と続いた日本語パートナーズ特集もいよいよ最終回です!第1弾・第2弾の記事をまだ読んでいない方は下のリンクから読んでみてください!

第1弾記事:ローカルに入り込む!インドネシアと暮らす【日本語パートナーズのリアル①】

第2弾記事:ここに来れて本当によかった!インドネシアでの活動を通して訪れた変化【日本語パートナーズのリアル②】

第3弾では日本語パートナーズとして現地で活動するアセナビメンバー二人が、気になる大変なことややりがいをお伝えします!日本語パートナーズ事業やASEANに興味があるあなた!必見です!!

帰国は間近、最後何をする?

せっちゃん:僕らが日本に帰るまでいよいよ3か月、残り僅かになるけど何かやりたいことはある?

ゆうあ:自分の派遣先校での活動はもちろんだけど、残りの期間は地域の人とももっと積極的に関わりたい。今度、友達の紹介のおかげで繋がりが出来た孤児院で日本の食文化の紹介として子供たちとカレー作りに挑戦する予定!沢山の人たちと交流を持ってパワフルに動き続けたいな!あとバティック(インドネシアの伝統的なろうけつ染の布)で浴衣を作りたい!

せっちゃん:めちゃくちゃ良いね!

ゆうあ:日本とインドネシアの架け橋になるために、現地で奮闘した事を形に残そうと思ってさ。そして私自身、布やデザインが好きだから、自分の好きと絡めてバティックでの和服作りに挑戦します!そして日本に帰ってからも、自分がバティックの浴衣を来て、周りの友達に「それどこの? 珍しいね!」って言ってもらえるように頑張りたい。そこから、「これはインドネシアの伝統的な布で、地域ごとに色や柄が違ったりして面白いんだよ!」って話題を広げて、日本の中で少しでもインドネシアへの関心を膨らませられたら嬉しいな。

せっちゃん:パッチワークみたいに、日本の生地と半分半分にしたらより面白そうだね!

ゆうあ:確かに!まさに架け橋!!実はこの間、着なくなったバティックでPCケース作りに挑戦したんだ。これから色々挑戦してみたい!

シャツがPCケースに変身!

 

ゆうあ:せっちゃんは帰るまでにやりたいことある?

せっちゃん:派遣先校においては、膝を突き合わせたコミュニケーションをもっと積極的にしていきたいな。今では「せんせい~」と言って話しかけてくれる生徒とメインで話していたんだけど、この前、普段は静かな生徒と話してみると、思いのほか話が弾んで「この子、ほんとは僕と話したかったんだな」と思った。僕に興味を持っているけど、自分から話しかけるのはちょっと勇気が出ない…という子もたくさんいるんだなと気づいた。これからは話す子を限定せずに積極的に話していきたい!

ゆうあ:確かにそうだね!

せっちゃん:あと、インドネシアのことについてもっと学びたい。日本でインドネシアについて詳しく語ることのできる日本人はそう多くないと思うんだよね。実際に僕もそうだった。でも、実はインドネシアには魅力がたくさんあるんだということを日本に帰った後に伝えていきたい。そのために、インドネシア語を学び、もっとインドネシアの人と話して、知識を深めていきたい。

ゆうあ:素晴らしいです!お互いに架け橋になれるよう頑張りたいね!

 

大変なこととやりがい

ゆうあ:日々の授業の工夫など、せっちゃんは毎日頑張っていると思うんだけど、大変なことや辛かった事はありますか?

せっちゃん:そうだね。辛かったことは2つあって、1つは体調。お腹を壊したり、熱が出たり(笑)。

ゆうあ:分かる(笑)。私も慣れない最初の内はよく体調を崩してた。

せっちゃん:体調を崩して、日本から持ってきた味噌汁を飲むと、「ああ、帰りたいな」ってなる(笑)。でも同時に、辛い時に先生に助けてもらって、とても感謝したという側面もある。もう1つ辛いのは、カウンターパート(日本語パートナーズがアシストする現地の日本語の先生)との授業の作り方に悩む時かな。

ゆうあ:それは私も同じ。何が生徒や先生のためになるのか日々悩みながら活動してる。きっと他の日本語パートナーズも日々試行錯誤してるよね。では次にやりがいは何か教えてください!

せっちゃん:やりがいは、自分が考えたことが生徒にはまったときかな。この前折り紙の文化紹介をする機会があったんだけど、正直それまで僕は折り紙が好きじゃなかったんだよね。でも、文化紹介のために準備してみたら、「え!こんなに折り紙って楽しいんだ!!」って驚いた。なんで今まで好きになれなかったんだろう?と考えてみると、小学校で折り紙をする時、先生が前で折り方を説明してみんなそれについていくやり方が多いよね。「はい、ここはこう折ります!次はこうです!」みたいな。僕は手先が不器用で、それに全然ついていけなかったんだよね(笑)。それで楽しくなくなってしまった。でも、自分のペースで、折り方の動画を見ながら「ここはこうやって折るのか。あれ、今の折り方どうやってやったんだろう。ああ、こうしたらいいのか!」って試行錯誤していくことが面白かったんだ。それを味わってほしいと思って、1つの折り紙をみんなで折るのではなくて、色んな折り紙の折り方が書いてあるサイトを生徒にシェアして、好きなものを折ってもらうというスタイルにしてみた。これが結構上手くいって。生徒も自分が作りたいものを選んでいるからモチベーションがあるし、動画を見て「あれ?ここはどうやって折ったんだろう?」という箇所が出てきても、みんなで協力して考えてクリアしていったり。何より生徒たちが楽しそうで、「ああ、はまったな」と思った。それがやりがいを感じる時かな。

ゆうあ:すごく良いアイデア!生徒も前向きな気持ちで取り組めるね!

生徒に交ざって折り紙をしました

 

せっちゃん:ゆうあはどう?

ゆうあ:私が辛いと思うことは、疲れが溜まるにつれて自分のキャパシティが狭くなってしまうこと。時間のルーズさや予定の不透明さも、最初は全くストレスではないんだけど、週末になって疲れてくると待ち時間の長さにイライラしてしまったりする。自分でこの道を選んでここに来て、インドネシアに受け入れてもらっているのに、彼らのペースを許容できない自分に悲しくなる。だから適度に休みを取るように意識してるんだ。

せっちゃん:なるほど。体調も精神面にも気を遣うことは大事だよね。ではやりがいは?

ゆうあ:私のやりがいもやっぱり生徒です!インドネシアの高校生は本当に素直で可愛くて、例えば職員室で考えが行き詰ってしまって外に出ると、すごく遠くからでも生徒が「ゆうあ先生!!!」って呼んでくれるんだ。それに本当に癒されてモチベーションが引きあがる。この間、授業内で浴衣の着付け体験に挑戦したんだけど、なかなか自分たちで浴衣を着るのは難しくて、結局暑い中1人で20人くらいの着付けをしたの。とても疲れて最後の方は笑顔でいることが難しくなってしまった。でも生徒たちがすごくはしゃいで、嬉しそうに写真を撮って、「ゆうあ先生ありがとう!」って言ってくれた時は本当に嬉しかった。

せっちゃん:特にゆうあの場合は初めての日本人だもんね。

ゆうあ:うん、私の派遣先校は前任者がいない、日本語パートナーズ新規受け入れ校だからね。校内を歩いていると勉強を頑張る生徒から少しやんちゃな生徒、日本語のクラスを持っていない生徒まで、みんなが「ゆうあ先生ー!おはよう!」って言ってくれるようになったのは大きな変化かな。すごく田舎だし、私がここに派遣されなかったら、この子たちがこんな風に日本語を少しでも使うようになったり、日本の文化を体験して喜んでくれたりすることはなかったのかなと思うと、ここに来ることが出来て本当に良かったと思う。

せっちゃん:そうだね、それはゆうあ先生が来たからだね。

教室内で浴衣体験を行いました!

日本語パートナーズが創り出す価値とは?

ゆうあ:1人日本人が来たからといって、突然日本に興味を持ってもらえるとか、急激に日本語の能力が上がる訳ではない。でも、完全じゃなくても一部の日本文化を体験してもらって、生徒の中でそれが楽しい記憶として残れば私たちの役割を十分に果たせたと思う。

せっちゃん:それがゆうあが感じてる日本語パートナーズの意義なんだね。

ゆうあ:そうだね。言葉がしゃべれなくても良い、日本文化を完全に理解してもらおうなんて思ってない。ただ日本から来た外国人である私と楽しい時間を過ごしましたという記憶を残すことが大事。だからインドネシアの生徒たちと一緒に、私自身がインドネシアでの生活を楽しむことも同時に大切だと思う。せっちゃんはどう考えてる?

せっちゃん:僕もNPの意義は、身近な日本人であることによって日本自体を身近に感じてもらうことだと思う。僕はすでにインドネシアのファンなんだ。日本とインドネシアを仲の良い関係にしていきたいという想いがあって、そのために草の根レベルではあるけれども、日本人としてここに居て、周囲のインドネシア人たちの中で、日本人である僕と一緒に過ごして楽しかったなという記憶を残すことが大事だと思う。

ゆうあ:共感します。日本語パートナーズとして現地に派遣される前に事前研修があったじゃない?その時に外務省の方がいらっしゃったの覚えているかな。日本とインドネシアの友好関係を築くためには、様々な政策も大事だけど、それが功を奏すかどうかは、実はインドネシア国民・日本国民双方の相手国に対する気持ちが一番力になるという話をしてくれたよね。あの時、確かにそうだなと思って、ものすごく感動した。インドネシア国民と日本国民の友好関係を築くために、草の根レベルだけど、私たちの活動は力になっているという感じだよね。

せっちゃん:そうだね。単純に僕が既にインドネシアのファンになっていて、これからもインドネシアと日本は仲が良い国であり続けて欲しい。だから、現地での活動を通して、インドネシアと日本の架け橋になりたい

ASEANに飛び込め!

せっちゃん:迷ったら飛び込んでみるっていうのは本当にありだと思う。日々の活動を通して、来る前には想像できなかった変化が自分の中に起こってる。

ゆうあ:そうだね。ASEANに関心があるけど二の足を踏んでいるという人には、とりあえず東南アジアに飛び込むという意味で、ローカルに入り込めて、やりがいも日々感じることの出来る、留学でもなく、インターンでもない、この日本語パートナーズ事業はおすすめだと思う。非常に責任がある活動。でもだからこそ、誇りをもって活動することが出来るよね。興味ある人はぜひ飛び込んで欲しいです!

せっちゃん:僕は特に、大学生に飛び込んで欲しい。日本語パートナーズの良いところの1つは、20歳から60歳まで、色々な世代の人と出会えること。その人たちと話すことで刺激をもらえる。大学にいるだけじゃ出会えなかった人たちと出会えることで自分の世界が広がる。色々挑戦して始めて自分の本当にやりたいことが見つかると思うから、自分が少しでもわくわくしたり、ビビっときたら飛び込んで欲しいな!

ゆうあ:2人とも同じ意見だね。

せっちゃん&ゆうあ:「飛び込め!」

 


3回に及ぶ日本語パートナーズ特集はいかがでしたか?インドネシアでの生活の様子や活動する中での心境の変化、私たちが考える日本語パートナーズのやりがいや意義などをお伝えしてきました。この特集がASEANへの新しい選択肢として認識され、迷っているあなたの背中を押すことが出来れば幸いです。

 




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木津友亜

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