ここに来れて本当に良かった!インドネシアでの活動を通して訪れた変化【日本語パートナーズのリアル②】

「日本語パートナーズ」をご存知でしょうか。日本語教師のアシスタントとして、アジアの色々な国で活動する人材を派遣する事業です。

"日本語パートナーズ" は、アジアの中学・高校などの日本語教師や生徒のパートナーとして、授業のアシスタントや、日本文化の紹介を行います。専門的な知識は必要なく、応募要件に当てはまればどなたでも応募できます。アジアで多くを発見・吸収し、それを周囲へ、未来へ広げる…そんな人になってみませんか?

https://jfac.jp/partners/overview/

第1弾では、日本語パートナーズとしてインドネシアで活動するアセナビメンバーが、実際に現地でどのような生活を送っているのかお伝えしました!(記事はこちら

第2弾では、日本語パートナーズとして日本を伝えるとはどのようなことか、日本語パートナーズになって良かったこと、帰国後のビジョンの変化などをお伝えします!

何が「日本を伝える」ということ?

ゆうあ:日本語パートナーズとして、日本語の授業サポートや日本の文化紹介を行うというのが私たちの主な役目だよね。

せっちゃん:うん。でも実は最初のうちは「日本を伝えるぞ!」という想いはあんまりなかったんだよね。

ゆうあ:お、というと?

せっちゃん:僕は、日本語の学習を通じて生徒が自信をつけてくれたら嬉しいな、日本という海外を知ることで自身の文化を再認識してくれたらいいなと思っていたんだ。だから「日本を伝える」ということをあまり意識していなかった。でも、最近日本とインドネシアの歴史について色々教わって、考えが変わったんだ。

ゆうあ:詳しく教えてください!

せっちゃん:僕は広島出身なんだけど、「日本のどこから来たの?」って聞かれて「広島」って答えると、「あー!ヒロシマ・ナガサキね!」ってよくジョークっぽく言われるんだ。僕は小学校の時から広島がどんなに大変なことになっていたか、その歴史を勉強しているから、最初そういう風に軽く言われる事に対して正直腹がたってた。

ゆうあ:うんうん。歴史をよく知らずに軽く言われたら、日本人からしたら嫌だよね。

せっちゃん:だけど、歴史を知らないのはお互い様で。ロンボクにアンプナンというビーチがあるんだけど、最初見たときはごく普通のビーチだと思ったんだ。

(ビーチでは家族や恋人がのんびりしていてゆったりとした時間が流れている)

ゆうあ:夕日が 綺麗!

せっちゃん:そう。でも僕にインドネシア語を教えてくれている先生と一緒に行った時にここは昔、植民地側の拠点の港だったということを教えてもらってさ。オランダ人もここに住んでたし、日本人もここに住んでいた。さらに話を聞くと、実は先生のおばあ様は、強引な日本兵に乱暴されそうになったことがあったんだって。オランダからの支配は約300年、日本は3年だけだけど、日本の方が心に残った傷跡が大きいんだという話をされたんだ。

ゆうあ:そうだったんだ。全然知らなかった。

せっちゃん:そうなんだよね。僕たちは歴史の授業で、日本人がここに踏み込んでいって、こんなひどいことをしてました!って教わってないし、本当に何も知らなかった。

ゆうあ:確かにそうだね。

せっちゃん:僕も知らない、相手も知らない。だから僕と高校生で、広島とインドネシアの歴史を伝えあう会がしたいと思った。それができたら「日本を伝える」ということに繋がるのかなと思う。

ゆうあ:すごくいいと思う。そういう目標を持った会ができたらお互いすごく勉強になりそうだね。

胸に込み上げてくるもの~日イの歴史の上に立つ~

ゆうあ:歴史の話をすると、確かに私が住んでる地域でも日本とインドネシアの関係をとても意識させられる。1945年にスマラン事件という日本軍とインドネシア独立派が武力衝突した事件があって、インドネシア側に1000人~2000人、日本側に200人以上の犠牲が出たらしい。市内にはそこで犠牲になった青年を追悼するためのモニュメントもあるし、日本人の為の鎮魂の碑もあるんだ。

せっちゃん:本当に日本とインドネシアの関わりは色々あったよね。

ゆうあ:うん。でもだからこそ過去の衝突を乗り越えて、今、日本人である私たちがインドネシアに受け入れてもらえているということが感慨深いよね。インドネシアの高校では毎週月曜日の朝礼で、必ずインドネシア国旗に敬礼して国家斉唱するじゃない?うまく言葉にできないけど、日本人である私を受け入れてくれて、一緒に「Indonesia Raya, merdeka! merdeka!(偉大なるインドネシアよ、独立!自由!)」と歌う時、何か込み上げてくるものがある。

せっちゃん:インドネシアの高校では朝礼で必ず国家斉唱するよね。町でインドネシア国旗が掲げられているのもよく見るし、みんなインドネシア国民であることを常に意識している。そういう場面に 出会った時に、日本とインドネシアの歴史の上に立って、今自分はここにいるんだっていうのを感じて、すごく胸が熱くなる。

(朝礼での国旗掲揚の様子)

ローカライズが当たり前?日本語パートナーズを選んで良かったところ!

ゆうあ:改めて、日本語パートナーズになることを選んでよかったなって思う。

せっちゃん:それはどういうところで?

ゆうあ:とことんローカルに入り込めるところがやっぱり一番の魅力かな。私は日本に働きに来てくれても、言葉や文化の壁で苦しむ外国人が沢山いることに問題意識を持っていて、将来はそうした日本国内の外国人をサポートしたい。そのためには、私がまず彼らのことを深く知らないといけない。自分がローカルに入り込んで、一定期間以上そこに滞在して初めて、その人たちの事を本当に知ることが出来ると思って。だから、現地の人と毎日交流することが出来る日本語パートナーズのプログラムを選んだんだ。

せっちゃん:結果めちゃくちゃローカルな田舎に派遣されたんだね(笑)。

ゆうあ:そうだよ(笑)。東京から田舎に来たから、ものすごく良い人生経験になってる。たまにみんなと一緒に手でご飯を食べたり、水浴びも体験したり、自分がどんどん強くなっていくのを感じるよ。

せっちゃん:わかる、強くなるよね。実際ローカルに入り込んでみてどんな気付きがあった?

ゆうあ:最近気が付いたのはインドネシア人、意外と日本人と似てるかもしれないということかな。多分両者とも、断るのが苦手!(笑)。この間、私がお土産を職員室で 振舞った時に、「ありがとう!」って受け取るけど食べないで横に置いておく先生が居て、しかも帰りまでその状態だったんだ。このお菓子が好きじゃないとか、お腹がいっぱいとか、食べない理由は色々あると思うけど、人前ではっきり「NO!」と言わず、その場をとりあえず納めるのは日本人と似てるなと思った。きっと旅行で訪れただけじゃ、インドネシア人はみんなすごく陽気だな、フレンドリーだなくらいの気付きで終わってしまったと思うんだよね。

せっちゃん:僕も日本語パートナーズを選んで良かったと思ってるんだけど、理由はやっぱりローカルな人との人間関係が構築しやすいから。普段接するのは高校の先生やホームステイ先のオーナーだから、先生のご家族やステイ先のご近所さんなど、色々な人と交流することができて、一定のネットワークを築ける!

ゆうあ:確かに!留学だったら出会うのは大学生が主だもんね。

(オーナーに伝統衣装を体験させていただいた)

せっちゃん:最初はインドネシアに対するこだわりがなく来たけど、色々な人と関わるうちに、「インドネシアの人好きだな」とか「このインドネシアの感じ好きだな」ってなって、そのあとに「じゃあもっと、目の前のこの人のことを知りたいな」って感情が 沸いてきてさ。そこから文化・歴史・宗教の事を色々勉強すると、彼らの言動や行動がより理解出来るようになってくる。

ゆうあ:確かに。手でご飯を食べるという一見馴染みのない慣習も、実は宗教の教えに基づいていたりして、勉強してみると色々な事が分かるよね。

せっちゃん:うん。もっとインドネシアのことを知りたいってなって自発的に勉強したから、本当の意味での学びになったと思う。この経験が出来たのは、実際に顔を合わせて人と向き合う機会が多い、日本語パートナーズになってよかったと思うところかな。

訪れた心境の変化と帰国後のビジョン

ゆうあ:私はもともと東南アジアのローカルを知るっていう目的で日本語パートナーズになったけど、最近は、みんなのことをもっと知って、そこからさらにお世話になった人たちに恩返ししたいなという想いがとても強くなった。

せっちゃん:あー、分かる。

ゆうあ:実はインドネシアに来て2か月目くらいの時に、知らない人に追いかけられるっていうすごく怖い経験をしたんだ。まだインドネシア語もままならなかったから、その時頼りになったのは日本語が出来るインドネシア人の友達だったんだよね。

すごく私によくしてくれて、力になってくれた。「面倒なことなのにごめんね、助けてくれてありがとう。」って言ったら、「自分も日本に留学してた時、日本人に良くしてもらったから、困っている人が居たら助けるよ。」って言ってくれてさ。

せっちゃん:素敵だね。

ゆうあ:そう。自分も助けてもらったから、今、他の人が困っていたら助けるっていうその優しさと気概に感動させられたんだよね。だから今、この異国の地で言葉や文化を積極的に自分の中に吸収して、日本帰った時に同じように困っている外国人が居たら絶対助けられるようになりたい。

せっちゃん:僕も一緒。インドネシアでの生活を通して自分の中に新しい軸が出来た。今までは、日本にいる外国人を支援したいという思いは別になかったけど、今はすごく助けたいと思う。それは僕たちがこっちで助けられたからだよね。日本に来ている人を助けたいっていう軸が足されて、帰国後はインドネシアに来る前とは絶対違う行動を 取れると思う。

ゆうあ:何度も言ってしまうようだけど、本当に日本語パートナーズとしてインドネシアに来られて良かったよね!

ということで、第2弾では活動の中で私たちが日々感じていることについてお伝えしました。

第3弾では、日本語パートナーズの大変なところをぶっちゃけます。と同時に、涙が出るほど嬉しくて、心が温まる現地の高校生との交流の様子もお届けします。このプログラムに興味があるあなた!ASEANに足を踏み入れようか迷っているあなた!必見です!

近日中公開!ご期待ください!




ABOUTこの記事をかいた人

木津友亜

#東京外国語大 #ラオス語 #日本語パートナーズ #インドネシア #ど田舎派遣 #ボジャで有名な日本人 #馬車通学してました #世界遺産検定 #トマト愛 #アパレル店員