「なぜ行動しないのか」。400日かけて65か国。多様な生き方を教えてくれた旅をヒントに、人生を変える体験を提供する若きCEO【株式会社YOLOT 古田裕氏】

"人類大移動時代に適した体験機会を提供することで、価値を創造し社会に貢献し続ける” という壮大なミッションに、強い信念と情熱をかけて取り組む株式会社YOLOT若きCEO古田裕氏にその原動力の背景と今後のビジョンを伺った。

《プロフィール|古田裕氏》

2013年に株式会社DeNAに入社、横浜DeNAベイスターズなどスポーツを通じたコーポレートブランディングや旅行系新規事業の運用改善など広くマーケティング活動に従事。2016年10月より東南アジアに拠点を移し、ベトナムでのメディア事業の立ち上げやシンガポールでのWebマーケティングを経験の後、株式会社YOLOTを創業。

社会課題と向き合う学生時代

ー株式会社YOLOT設立までの経緯を伺いたいと思います。どのような経験が今のキャリアに結びついてるのでしょうか?

自分の生い立ちから来る価値観が根底にあると思います。親戚に障害や病を抱えている人が多く、10歳の時に父親を亡くし、それでも世の中が平然と機能していることに疑問を感じた経験から、幼い頃から社会の不平等に疑問を持ち、生きる意味を強く考えていました。

社会課題を考えるきっかけとなったのは、高校時代の修学旅行先の北京で物乞いと遭遇したことです。初めて貧困にあえぐ人を間近に見て、私はお金を渡したのですが、その時、先生に「釣った魚を与えているだけでは何にもならない」と言われたことを覚えていました。

その後、国際協力を学ぶべく専門科目のある大学に進学し、国際連合の学生団体に所属したり、NGOのインターンシップに参加し難民問題の啓蒙活動に従事したりしたのですが、結局難民の人々を直接助けられていないと感じました。そこで難民問題が堆積しているミャンマーやタイに赴き、難民の人々と直接対話をはかりました。

ー現地の人々との交流がご自身に与えた影響はどのようなものだったんでしょうか?

ここで高校時代の先生の発言の意図がわかりました。授人以魚 不如授人以漁』ー人に魚を与えると1日で食べてしまう。しかし人に釣りを教えれば生涯食べていくことが出来るー老子が言ったとされる言葉です。

国連の活動は緊急性の高い物資を難民に支給する非常に不可欠なものではあることは確かなのですが、ある種オペレーティブであることから、直接的な難民問題の解決が難しいと感じました。

難民に物資という魚は与えられますが、重要な生き方の手段である釣り竿を渡して釣り方を教えることは国連には難しいんです。

そこで、何かしらの仕組みで問題を解決できないかと思い、当時流行し始めていたソーシャルビジネスの中でも貧困層を対象にしたビジネスを行うグラミン銀行を突撃訪問しました。

そこでビジネスの力で社会問題を解決するソーシャルビジネスの力に惹かれ、将来この事業に関わっていきたいと思ったんです。

旅が変えた人生観

ー古田さんにとって物の見方や価値観が変わる行動とは何でしょうか。

私の場合はですね。大学2年次に400日をかけて65カ国を旅をしたのですが、その経験は今でも非常に貴重なものですし、旅を通じて生き方のサンプルを得られたこと、独自の価値観形成ができたことはその後の人生に強く影響しています。

個人的な考え方ですが、日本では働き方のサンプルは教えてくれても、生き方を学ぶ場は多くはありません。例えば、みんなが当たり前に就職活動をして、大学を卒業したら就職しますよね。ある意味皆が単一のレールに乗った上でそこでの働き方を教えてもらえますが、レールは一つではないと教えてくれる機会は少ないのではないでしょうか。

単一の働き方という枠組みにとらわれているんですね。対して、旅を通じて出会った人々はそれぞれ個性があって、皆、違う働き方、生き方をしていました。ダンボール箱一つ分の商品だけで起業しているおばさんや、いまでは増えてきている副業的な働き方など、日本では知ることのできない働き方や生き方の多様性を教えてくれました。

同時に、何か自分が行動を起こすたびに物の見方が変わることを実感しました。

ー旅から得た経験はどのように今の事業に影響していますか。

まず、生き方のサンプルを得たこの経験から、自分にしかできない仕事、枠組みにとらわれない独自の生き方を追求したいと思い、この頃から経営を意識するようになりました。

旅は同時にITの力を痛感するきっかけにもなりました。今でも旅先で出会った人々とSNSを通じてつながっているというのは数十年前ではあり得ないことですし、私が世界を回った2010年代はちょうどミクシィ全盛期で、ITを使えば数億人に情報を発信することができる、このITの影響力に感銘し、法学部生でしたがエンジニアリングを猛勉強しましたね(笑)

ー新卒でDeNAに入社されていますが、すぐに起業しなかったのには理由があるのでしょうか。

ウェブサービスを作って起業したいと思い、サービス自体を作ることができるようにはなったのですが、サービスを売り上げにつなげるには深い思考が必要で、その時点で起業するのは早いと悟りました。

当時はDeNAが自分の就職の軸であるIT×Global×新規領域を網羅する唯一の企業だったので、DeNA一社だけにアプライし、無事内定をいただきました。

ー差し支えなければ、会社を退職された理由を教えてください。

入社後は広くマーケティング活動に従事し、3年目に旅行系メディアの担当になります。

社会人3年目というと仕事にも慣れ、落ち着いてきた頃、ゴールデンウィークにリゾート地・タイのピピ島に行ったんですね。最初の不平等をなくしたいでという熱い気持ちはどこかに行ってしまっていて。典型的なリゾート地で休暇を楽しむいわゆる普通のサラリーマンになっていました。社会人て怖いですね(笑)どんどん自分の居心地のいい場所に向かってしまい、夢を忘れかけてしまっていたんです。

このままだといけない、今アクションを取らないと手遅れになると思い、DeNAを退職し、ベトナム、シンガポールでの事業立ち上げ、マーケティング支援を通して起業に向けた領域選定を行い、晴れて株式会社YOLOTを設立しました。

時代に合わせた体験機会を提供する

ー株式会社YOLOTの事業内容について教えてください。

”人類大移動時代に適した体験機会を提供することで価値を創造し社会に貢献し続ける”をコーポレートミッションに、従来のパッケージ化された体験にはない、体験を提供するコンシェルジュサービスを行っています。

社名のYOLOTはyou live only once time、”人生一度きりだから旅行をしよう”というメッセージを込め、人生観を変えるような本物の旅を多くの人々に体験してほしいとの思いから命名しました。YOLOTでは、参加者がそれによって新たな価値感を獲得する旅、未来の価値観にとって原体験ともなりうる旅を提供したいんです。

現在、日本人やシンガポール人といったアジアの富裕層や東南アジアに拡大する中間層をターゲットにEXUTRA(エクストラ)と呼ばれる東南アジアの厳選された宿泊施設を提供する事業を展開しています

ー世界中を旅された経験がある中で、活動拠点をアジアにしたのはなぜですか。

私自身のミッションとして”誰しもが自分自身の可能性に挑戦できる社会を作る”ということを軸にビジネスを考えてきたのですが、特に東南アジアの人々は経済的な理由から物事に挑戦できる機会は多いとは言えません。

ビジネスの力で東南アジアに山積する社会問題を解決したい、現地社会に貢献したいという思いから拠点をアジアに絞りました。

具体的には、エクストラなどのウェブサービスを通じて現地の宿泊施設に予約が入ることで現地経済が潤い、新たな雇用が生まれ、余裕を持った中間層が旅をする好循環を生み出したいと考えています。

また、ビジネスの観点からも旅行先としての日本人との親和性、山積する社会問題、高い経済成長率も決めてになりました。日本はあらゆる産業が巨大なのですが、唯一リゾート産業に関しては東南アジアの方が市場規模が大きいんです。日本より活発で発展したマーケットに惹かれたのも一因でしょうか。

ーYOLOTの今後の展望を教えてください。

宿泊施設提供のみでなく、東南アジアの体験旅行をより幅広く取り扱っていきたいと考えています。例えば、余命が短い人に対して人生最後の旅行を提案する介護旅行やハネムーン旅行など一生に一度をテーマにした体験機会の提供に力を入れていきたいですね。

また、ゆくゆくはリゾート開発など地域開発を通じて現地に利益が還元されるような、現地の雇用を直接的に生み出すことが出来ればと思います。

若者へのメッセージ

ー改めてご自身の行動の軸を教えてください。

行動の軸は行動ファーストです(笑)関心があり飛び込んだ先には、そこでしかわからない社会の課題が見えてきます。

「必要なのは理想ではなく行動規範だ。」村上春樹の『ノルウェーの森』に印象に残る一節があります。何か社会問題を解決したい。自分にしかできないオリジナルの生き方がしたい。理想を掲げるだけではそれを叶えることはできません。

理想を叶えるために必要な行動に対して臆病にならず、まず行動してみる。それが理想を叶える最短の道のりであるように思います。

ー若者にメッセージをお願いします。

オリジナリティは人と違う経験をすることで形成されます。あくまで個人的な意見ですが、大学にいて講義を受けるだけの受動的な生活をするのではなく、自由な学生時代に人と違う経験を重ねることは意義深いのではないでしょうか。

例えばアジアで働くことにが少しでも関心があるのなら、シャイにならず飛び込むべきです。外枠の情報だけではアジアがどのように動いているのか、実際どのような人が働いているのか、物事を正しく判断することはできません。

細かいことは行動の後に熟考すればいいんです。臆病にならず、限りある学生生活を有意義に過ごしてください。

またYOLOTではメンバーを募集しているのでYOLOTのミッションに興味を持っていただけたらご連絡いただけたら嬉しいです。

<編集後記>

お話を伺っていて、本当に行動的な方であると痛感いたしました。ご自分の生い立ちをバネに社会問題に取り組まれる姿勢は簡単に真似出来るものではありませんが、臆せずに自分の興味に素直になることは自分ができるファーストステップのように感じました。




ABOUTこの記事をかいた人

Hazuki Takano

明治大学3年。明治大学国際交流団体元副代表。タイに短期留学ののち、シンガポール南洋理工大学に長期留学中。アジアとEDMに取り憑かれてます。大学内での留学生支援や国際交流促進に関心がある方はご連絡くださいね。