少子高齢化、経済低迷、政治不安。
これからどんどん日本国内の内需が縮小していく中、海外でグローバルに活躍できる人間になることは必須であると言えます。それは、個人として豊かな人生を送るためにも、日本人として日本の国際競争力強化に貢献するためにも、です。
そのような考えから、シンガポールのスタートアップで働くことを決意したのですが、働く前までに持っていた仮説と、現実が違うことに気付きました。
そこで今回は、「海外で働いてからこそわかったこと」についてご紹介していきたいと思います。
東南アジアを一括りにはできない!
日本国内にいた頃、筆者は短絡的に考えていたことがありました。「東南アジアは今後大きな市場成長を見込め、モバイルの普及率も飛躍的に伸びている」ということです。そのため、スタートアップのビジネス環境としては理想的な環境だろうという仮説を立てていました。
しかし、実際にシンガポールのスタートアップで働くようになってから、この考えが非常に甘いものであるという現実を突きつけられたのです。
現在のシンガポールのスタートアップでは、東南アジア各国のパートナー企業と連携しながらビジネスを進めています。そのため、各国のビジネス環境について話を聞く機会も多いのですが、最初にカルチャーショックを受けたのが、各国のローカライズの難しさです。
Manila Skyline by Storm Crypt from flickr
日本人は「東南アジア」とひとくくりにして話を進めること多いですが、これらの国は、宗教や人種、文化や所得など、全く異なる国々の集まりなのです!そのため、企業がモノやサービスを展開するためには、各国できめ細やかなローカライズが不可欠となります。
パートナー企業はその地に根ざして、はや20年近くの会社ばかり。彼らの多くは、海外展開を夢見て事業に向き合っていますが、実際には自国のビジネスだけでも非常に難しい。ましてや、他の東南アジア各国に展開することはまだ叶っていないのが実状です。
どうしてandroidユーザーが多いの?
海外に足を運んで、実際に現地の人々にユーザーインタビューをする機会がありました。そのとき、もともと持っていた仮説が全く間違っていたと気付かされることもよくあります。それが、海外で働くことの面白さであるとも言えます。
日本に住んでいた頃、日本ではスマートフォンといえばiPhoneが主流なのに、東南アジアではAndroidが主流となっている理由について、自分なりの仮説がありました。それは、日本は所得が高くてiPhoneを気軽に購入できるが、東南アジアでは可処分所得*が低いからという理由です。
*可処分所得・・・個人所得の総額から直接税や社会保険料などを差し引いた残りの部分で、個人が自由に処分できる所得。いわゆる手取り収入のこと。 コトバンクより
Japanexperterna.se from flickr
しかし、実際に東南アジアの国々を訪れて、スマートフォンユーザーに話を聞いてみると、仮説に反した意見が返ってきました。彼らは、欲しいと思えばiPhoneは購入できるというのです。
それでもAndroidを欲しがる理由は、実は、インターネットに落ちている有料アプリのソースコードを無料で(違法に)ダウンロードできるからだそうです。
Apple Storeで販売されている有料アプリがインターネットに落ちていることはなく、確実にお金を払わないと手元にダウンロードすることは出来ません。しかし、Androidでは有料アプリでもインターネット上に野良アプリとしてアップデートされていることがあり、それらを無料でダウンロードできることが魅力なのだそうです。
海外で働いたこそわかったこと!
この話は、実際に現地に赴いてユーザーの話を聞かなければ気付かなかったことでしょう。このように、海外の人々は日本人が思いつかないような行動原理に基いて、なにかをするということは珍しくないのです。
ですから、日本人だけの価値観だけではなく、現地の人の考えを尊重してみること。それが、東南アジア地域でヒットするプロダクトを生み出すキーになるかもしれませんね!
*この記事は、GlobalWIngが運営するGlobyの以下の記事をリライトして発信しています。