日本発!全世界に4億7000万ユーザーを抱えるLINEの東南アジア戦略

 

日常的に私たちが使うメッセージングアプリであるLINE。これまでのキャリアメールと比べて、メッセージ送信、受信のスピートが大変早く、さまざまなスタンプを使って、感情の機微を表現できることが魅力です。

そんな私たちの生活にとって不可欠となっているLINEですが、先日登録ユーザーが全世界で4億7000万人を突破しました。その莫大なユーザーのうち、なんと9割近くが海外のユーザーです。

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ユーザーの各国内訳は、おおまかにこのようになっています。

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私もインドにいる時や、クアラルンプールの空港にいる時、頻繁にLINEのCMが放送されているのを見て、とても誇らしくなったことを記憶しています。

世界中の登録者ユーザーのうち、3割ほどが東南アジアのユーザーで、有力な市場の一つとして大変注目されています。そんな東南アジア各国では、こんなCMが放送されています。

インドネシアバージョン(31秒)
「片思いのあの人と接点を持ちたい。」という甘酸っぱい青春を描いた構成になっています。

タイバージョン(1分30秒)
母を亡くした娘と父親のストーリー。涙なしには見られません。

ベトナムバージョン(15秒)
今時のベトナム美女がショッピングをしながらLINEでチャット。

このように、東南アジア各国向けのCMを積極的に行っているLINEですが、この地域ではLINEがどれくらい流行しているのでしょうか?実際の普及率やその成功要因等を調べてみました。

 

タイは、LINEユーザーだらけ!?


2013年の東南アジア4カ国のアプリダウンロード数ランキング

The top 10 smartphone apps in Southeast Asia

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参考:http://www.entrepreneur.com.ph/entrepreneur-blogs/the-top-10-smartphone-apps-in-southeast-asia

この表から分かる通り、ダウンロード数からみると、タイが1位、その次に、インドネシア、マレーシア、フィリピンと続きます。

次に、メッセージングアプリのみを比較した場合、このような順位となります。

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相変わらず、タイは1位、3位にインドネシア、マレーシア、フィリピンが続き、それらの国ではWhatsAppやWeChatをはじめとした競合がまだ立ちはだかります。

東南アジアでLINEが最も利用されるタイでは、実に2400万人の登録者数を誇り、3人に1人がLINEを使用していることになります。タイではLINEのキャラクターをモチーフにしたiPhoneケースがフラッシュセールに出されなんと、たった25分で売り切れてしまったということもあるそうです。
参考:http://www.techinasia.com/line-thailand-flash-sale-sold-25-minutes-2/

 

LINEはなぜ東南アジアでここまで普及したのか?


では、なぜここまでLINEが東南アジアのユーザーに利用されるようになったのでしょうか?

ある記事では、「タイでLINEが間もなくFacebookを追い抜く5つの理由」といったタイトルでなぜLINEがタイにおいてFacebookに勝るのかということを述べています。

その成功要因の一つとして挙げられているのが、「ブランド企業とのパートナーシップ」です。

参考:5 indicators why Line could soon topple Facebook in Thailand (http://www.techinasia.com/5-indicators-line-topple-facebook-thailand/)

こちらは、タイ最大手の通信キャリア「AIS」とLINEのコラボレーションです。LINEユーザー向けに「AIS」のオリジナルスタンプも配信されており、ユーザー獲得戦略の一つとして位置づけられているようです。

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こちらはインドネシア最大手の通信会社Telkomsel社とコラボしたキャンペーンの広告です。LINEやその他のSNSを自由に使える料金プランのキャンペーンを実施しているようです。

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また、こちらは日本でもおなじみ大塚製薬のポカリスウェットとのコラボです。LINEをダウンロードすれば、ポカリスウェットのキャラクター「ポカリマン」のスタンプが無料でもらえるということで多くのユーザーを獲得したようです。

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ちなみにポカリマンのスタンプはこちら。日本ではみたことないキャラですね。

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このように、LINEは現地国でブランドのある企業と戦略的にコラボし、ユーザー獲得に成功していると言えそうです。

 

日本発ウェブサービスの成功事例となるか!?


世界を席巻するようなウェブサービスと言えばFacebookやtwitterがイメージされますが、アメリカで開発されたものが大部分を占めており、LINEが現れる以前は日本で企画・開発されたものはありませんでした。

まもなく全世界で登録ユーザー数が5億を突破すると予想されるLINEですが、twitterの登録ユーザーが5億超ということを考えると、LINEが登録ユーザー数で凌駕するのは時間の問題であると言えそうです。

このように、日本発のサービスが、世界を席巻するようなものへと成長していくことは誇らしいことだと思います。東南アジアに、コミュニケーションのイノベーションを起こす可能性があるLINEに今後も注目したいと思います。

Written on July 7, 2014




ABOUTこの記事をかいた人

長屋智揮

同志社大学政策学部卒。在学中に休学し、インド・バンガロールで会社の立ち上げ、事業拡大に関わる。それをきっかけに、今後急成長が見込まれるアジア各国の市場に興味を持ち、現在ASEANを周遊しながらインタビューを行う。現在は渋谷のIT系企業に就職。