育成の成果にこだわる企業研修へ - 行動変容とは  Alue Singapore Pte. Ltd. 羽鳥丈太氏

 

アルーグループとしてアジア地域の人材育成No.1という大きなビジョンを掲げ、東南アジア地域で人材開発、組織開発のコンサルティングサービスを提供しているAlue Singapore。 新しい人材育成のあり方に挑戦を続ける代表の羽鳥氏が見据える未来、仕事観を伺った。

≪プロフィール|羽鳥丈太氏≫

大学卒業後、アルー株式会社入社。日本国内の一部上場企業向けにコンサルティング営業を行いトップ営業、数多くの社内表彰を受賞。2013年にシンガポール現地法人の立ち上げと事業化のためシンガポールに赴任し、東南アジア域内のナショナルスタッフ向け人材育成コンサルティング・人事制度コンサルティング事業をマネジメント。シンガポール国民向けの人材育成で日系研修企業として初めてシンガポール政府より法人認定を受け、政府助成金を適用した新規事業の立ち上げや社員の行動変容を研究するラボの立ち上げを行う。

アジアで新しい人材育成のトレンドを作る

ー御社の事業内容を教えてください。

シンガポールでの事業は人材育成のコンサルティングと人事制度・組織制度のコンサルティングです。

人材育成コンサルティングでは、研修など従業員の能力開発のためのコンサルティングを行っています。シンガポールでは、主に東南アジア地域のナショナルスタッフのリーダー育成やマネージャー育成が案件の8割を占めています。

人材育成コンサルティングは大きく2つあります。1つは弊社のプログラムを企業個社向けにカスタマイズしてソリューションをお届けする研修です。

もう1つが、WSQプログラムというシンガポール政府の助成金を活用した公開講座です。日系の研修会社としてはアルーだけがシンガポール政府より法人認可されており、人材育成に多くの予算を持てない企業でも低コストで人材育成をすることができるサポートをしています。

人事制度・組織開発コンサルティングでは、いわゆる企業のミッション・ビジョン・バリューの構築から評価制度や等級制度などの人事制度のコンサルティングを行っています。

アルーグループ全体でいうと弊社のアジアネットワークを活かした日本人のグローバル人材育成を企業向けに行っていますし、文部科学省主催のトビタテ!留学Japanの事前・事後研修をお手伝いをしているため、大学生のグローバル人材育成もサポートしています。

ーアルーシンガポールの強みは何でしょうか?

3つあります。1点目は、人材育成のトータルソリューションとしてのコンサルティングです。企業のミッション・ビジョン・バリューを実現するためのあるべき組織像・人材像の定義から、組織づくり、人材育成、定着までを弊社が一貫して提供しています。

2点目は、日本人がシンガポール人向けの講師をしたりするのではなく「現地講師が、現地語で、現地人向けに研修を提供する」というものです。それによって、同じ研修を東南アジア域内で横断的に展開することができます。これは弊社が自社プログラムを開発し、アジア各国にローカルパートナーを多数抱えているアルーだからこそお客様に提供できる強みです。

3点目はカスタマイズ対応力です。我々の業界ではカスタマイズできる企業はたくさんありますが、弊社は研修プログラムのカスタマイズを専門とする部署があります。日本人だけでなくシンガポール人のカスタマイズ専門のプロフェッショナルがカスタマイズすることでお客様のご要望に応じて品質の高いソリューションを提供することができます。

ーアルーが大事にしているものはありますか?

アルーグループとして「育成の成果にこだわる」ことです。いい研修を提供するだけではなく、研修後に会社から期待されている行動を職場内で発揮できるようになる。その結果、事業成果や組織成果に繋げることまでサポートすることを大事にしています。

ー具体的にどういう取り組みをされていますか?

3つ取り組んでいることがあります。

まず、行動変容を生み出すソリューションを作っています。たとえば、研修後に学習の定着度や行動変容を可視化するなど、より効率的に学習し、職場で活動できるためのテクノロジーを活用したソリューションを開発しています。

2つ目として、行動変容や育成の成果というもののブランディング、マーケットのスタンダードを変えることです。そのために成果にこだわった人材育成のあり方、手法の情報発信をしていくメディアの立ち上げなど企画しています。

シンガポールだけでなく日本や中国などにいる専門家や企業と連携しながら、様々な観点で行動変容に関する情報を発信していきます。シンガポール政府も国として行動の変容に取り組んでいるため先進事例を共有していきたいと考えています。

3つ目は、社内の人材育成で、行動変容や育成の成果にこだわった提案をする人材と組織作りを社内でやっています。お客様と直接接点を持つ営業の関わり方含め社員が育成の成果にこだわり続ける風土づくりと人づくりをしています。

初の海外でゼロからの挑戦

ーシンガポールに来る前、日本では主にどのような仕事をしていましたか?

主に一部上場企業の人材育成のコンサルティング営業に従事していました。また、大学生向けの就活支援として、自己PRのためのロジカルシンキング講座の講師も引き受けていました。3年目で営業2位になって、4年目でトップ営業になりました。

ーどうしてそんな成果を出せたんですか?

営業というスタンスでは、お客様から見てディスカッションパートナーになるという姿勢を大事にしていました。競合他社よりも早く対応するとか、丁寧なフォローをするというのももちろんありますが、それだけでなく「この人に相談したら何か新しいヒントが得られる、議論が進む、企画が深まる」など、お客様にとって何かあったら相談しようと思ってもらえる存在であるようにしていました。

そのために、どんな時でも目の前にいるお客様に何かしらの価値を届けていくことを心がけていました。お客様と会うたびに「自分は相手に何かしらの価値を本当に届けられたかどうか」というのを常に振り返っていましたし、今もそうあるよう心がけています。

その結果、お客様から依頼されている内容はもちろんですが、プラスαの案として自分が考える最善の提案もするようにしていました。常にお客様のことを考えていますし、お客様のスケジュールをみながら自分のスケジュールを組み立てていました。お客さんのことを第一に考えていたら結果的にお客様からも選んでいただいたという印象です。

ーその結果を出してる中で、なぜ日本を離れようと思ったのですか?

正直なところ、他部署の上司からシンガポール立上げの話をもらったのがきっかけです。最初話を聞いたときは、社内の周りには海外経験がある一回り上の社員などいろんな人がいるのにこんな若手で大丈夫なのか?と心配になりましたが、もともと私の就職活動中の選社軸の1つが「20代で責任者になる」という軸がありましたので、このシンガポール立上げがその入社目的を果たせる機会だと思い日本を離れようと思いました。

また、シンガポールの企業からしたら「アルーって何の会社?」というようにアルーブランドがシンガポールで確立していなく、顧客もいない、パートナー企業も少なく、日本とも文化も違う環境で、これまで培ってきた経験やスキルが通用するのか挑戦してみたかったのもあります。

ここで成果が出なかったら、私の日本での成果は自分の力よりも会社のブランドに支えられた実績だったのではと思っていたので、自分の力を海外で試してみたいとも思ってました。

ーシンガポールにきてから仕事の姿勢として変わったことはありますか?

仕事の姿勢はあまり変わらなく、考え方や価値観が大きく広がりましたし。その中の1つは、日本を客観視できるようになったことです。日本が絶対じゃないし、日本で当たり前なものが海外では当たり前じゃない、ということをリアルに実感しました。日本でよしと思っていることが必ずしもよしではなく、むしろ海外ではよくないという面もビジネスを通じて知れるいい機会になりました。

また、責任者として携わっていますので視野や視座も広くなりました。これまでやってこなかったこともたくさんするようになりました。これまでの営業だけでなく、人事、総務、経理、マーケティング、企画など会社経営全般に関する視野もそうですし、シンガポール国内だけでなく東南アジアというエリアもありますし、社内だけでなく社外ネットワークとしていろんなバックグラウンド、業種の人と関わりましたので、様々な観点で視野が広がりました。

視座という観点からいうと、売上・利益はもちろんですが「今何をするか、何をやらないか」を常に考えています。今あるものをちゃんと生産性高く効率的にやるというのは当たり前ですが、一方で新しいことも作っていく必要があります。日本や中国などの他拠点も含めて会社全体で何をしていくべきかという”What”の部分です。これはシンガポールにきたからこそ、1国ではなくアジアという面で物事を見て考えるようになりましたし、視座も高くなったなと思います。

ー逆にシンガポールで苦労したことはありますか?

たくさんありますけれど一番は異文化の受容ですね。ただ、この「異文化」にはシンガポール・アジアの異文化だけでなく「シンガポールにいる日本人」も含まれます。今まで、日本の商習慣でビジネスをしてきた私にとっては、初めてシンガポールで働いたときは現地の商習慣の違いを理解することはできても、現地のやり方を受け入れて仕事を進めていくことは当初苦労しました。

当初は「日本だったら、日本人だったら、普通だったらこうだよね」という自分の経験値から出来上がった色眼鏡がありました。しかしアジアではその色眼鏡が通用しないどころかとても邪魔な存在になってました。日本ではあまり起きないようなことがたくさん目の前に起きます。

自分とは異質な人・価値観・出来事に直面したときに相手が正しい、間違っている、良い、悪いではなくて、いかに自分の色眼鏡を外してフラットに受け取ることができるかが重要でした。ただ厄介なことに、私には「仕事の基準」「正義感」「大切にしている価値観」などいろんな色眼鏡がありました。その色眼鏡を外してフラットに見ていくことはとても苦労しました。

ー苦労しているときに支えになったものは何ですか?

シンガポールで一緒に働いてくれている人たちです。社内の同僚や部下もそうですし、個人的につながりのある社外の人たちの存在も大きかったです。彼らがいなかったら今の僕はないと本気で言い切れますね。

シンガポールには経営者や会社の責任者という同じような立場の人も多く、彼らと仕事後に相談し合ったりすることで支えられていました。立上げ当初の時期は夜遅くまで仕事する日も多く、仕事が終わったあとに、夜な夜な杯を交わしながら話すっていうこともよくありました。

苦労はすごいしたけど、社内外の人たちにすごく支えられて今があるなと実感しています。

ーやはり働く上ではそういった人とのつながりが大切なんですね

本当に大切だと思います。特に社外のネットワークというのは海外で働く上で重要な要素の1つです。困った時に助けてくれる人たちが周りにいたことでいろんな面で前に進めることができました。

さきほど話したようなプライベートな繋がり、一見仕事とは全く関係ないような業種・職種の繋がりから、仕事上でのコラボとかも生まれたりします。そういった人たちと知り合えたからこそ生まれたものがいくつもありますので、感謝してもしきれないです。

ーアルーシンガポールではインターンを募集されてますね。どのような人と働きたいですか?

与えられた仕事だけでなく、どんな小さなことでもいいので自分だからこそ生み出せる新しい価値を創造しようとチャレンジする人です。本人も楽しくなるし、会社だけでなく社会やお客様にも価値を届けられるので、世の中に新しいものを生み出していってほしいと思ってます。

いかに自分で考えて新しいことを生み出せるか」。こういうのは学生のうちに経験するのが難しいです。社会に出ても若手の頃はゼロイチで自ら新しいものを生み出す機会はほとんどありません。でもある時、急に求められてくると思います。その時にこのような新しい価値を生み出す経験が活きてきます。

だからここのインターンで自分にしか生み出せない新しい価値を生む経験をたくさん積んで、どんな場面でも活躍できるきっかけをこのインターンで得てほしいと思っています。

インターン募集ページ

一人一人が実現したいこと・やりたいことを実現していく世の中へ

ーアルーとしての展望を教えてください

2030年までにアジア人材育成No1を目指しています。シンガポール、中国、インド、フィリピン、日本だけでなく、他の国も含めた”アジアNo1”にこだわっていきたい。

そのために、育成成果・行動変容というものをアジアで当たり前にしていきます。

ー羽鳥さんご自身の夢はありますか?

個人としての夢は、「光り輝く世界のリンク」を実現するという人生の目的はあります。抽象度高いですが、これは会社でいう企業理念みたいなもので自分の人生でずっと追い続けていきたいものです。

「やりたい」と思っているけど、いろんな理由でやれていないことを「まずやってみる」。人生でやりたいことをやってみると、協力してくれる人が自然と集まって、やりたいことがさらに前進したり大きくなったりします。結果、より良いものを、より多くの人に届けることができて、人から感謝されることが増える循環になったりします。私は、そういった循環を作っていくために、やりたいことの選択肢を広げる関わりと、今ない新しい選択肢を世の中に創っていくことをしています。

アルー以外で具体的に取り組んでいることは2つあります。

1つ目は、子ども教育です。シンガポール在住の子ども向けに学校で学ぶ国語・理科・算数のような学問ではなく、起業家精神、リーダーシップ、創造性、考える力などを養うワークショップや講演を子ども向け、親向け、親子向けに2017年1月から提供しています。

また、2018年からは「子どもの夢をいますぐ叶える」をミッションにLINK PROECTを立ち上げ、子どもの夢ややりたいことを人、企業、社会、お金、アートなどリアルな経験を通じて繋げていきます。人、社会、お金をリアルな場でつなぎあわせて、子どもの創造性や起業家精神を養っていく。教室で講義やケーススタディーをやるのではなく実際にリアルな場で行動に起こしてもらうことで、真の学びにつなげていきたいです。

2つ目は、ビジネスパーソンをメインにしているコーチングというものです。一人ひとりが人生で実現したいことを実現していくためのサポートをコーチングを通じてしています。

こういった活動を通じて一人一人の人生でやりたいことや実現したいことを支援し、個人個人が輝いている世の中を実現したいと思っています。

編集後記

成し遂げたいことの実現を支援をするという信念のもと、仕事では企業向けに人材育成や組織開発のコンサルティング、プライベートでは子どもやビジネスパーソン向けに教育やコーチングといった、「人」という観点から多くの活動をされている羽鳥さん。取材を通しても「人」というのをすごい大事にされている方だなと感じました。

そしてインターン生に対しても、「新規事業や、やりたいことがあったらそれを実現するサポートをしていきたいですし、その機会を提供していきたい」と話していました。新しいことにシンガポールでチャレンジできる環境があるAlue Singaporeでの海外インターン。興味がある人は是非挑戦してみてください!




ABOUTこの記事をかいた人

西 雄太郎

#千葉大3年 #セブ語学学校インターン #2018年4月よりシンガポール留学 #インターン #高校時代カナダ研修をきっかけに #海外にハマり旅行しまくる