2016.02.06
日本人にとって“ASEANで働く”を近くすることをビジョンに掲げているアセナビですが、今回は逆方向。ASEANの人にとって “日本企業で働く”を近くするために行われた、日本企業とASEANの学生をマッチングさせるASEAN CAREER FAIR with JAPAN IN SINGAPORE 2016 (以下ACF2016)の様子をお届けします。
そもそも、おかしいと思いませんか?
日本人がASEANで働こうと思えば、大卒で少し英語ができれば現地語ができなくてもやる気と覚悟さえあれば、そう難しいことではないですよね。
一方、ASEANの人が日本で働こうと思っても、まず日本語が話せて、高度な専門知識を持っているといったかなり高いハードルがあります。
私は日本とASEANの間に、本来あるべきでない就労機会格差が存在すると問題意識を持っていました。その格差を是正し、フラット化した労働市場を創出したい!という想いから、急遽シンガポールへ出張してきたのです!
2016年1月30日、SINGAPORE EXPOにて行われたACF2016は今年で4回目を迎えます。今年の参加者は、ASEAN各国の一流大学の中から事前書類選考を突破して選び抜かれた720人。
参加企業は、AGC (旭硝子)、Canon、第一生命保険、ダイキン工業、デロイトコンサルティング、富士通、富士ゼロックス、IHI、花王、構造計画研究所、三菱商事、ニトリ、Plan・Do・See、SGホールディングス (佐川急便)、竹中工務店、テルモ、ヤマト運輸といった日本を代表する17社でした。
いざ、潜入調査!
(*もちろん、事前に許可を頂いています。)
午前11時、受付開始。ASEAN中の優秀な学生たちが集まっているだけに、少し緊張感が漂っていました。
会場は、日本の合同企業説明会と同じ雰囲気で、各企業にブースが設けられています。
学生が興味のある企業のブースへ行って説明を聞いたり、予め用意していたCVを提出していました。
シンガポールマネジメント大学に留学中のアセナビメンバー野中りさも何気にCVを提出していました・・・(笑)
会場全体は、大盛り上がり!
シンガポールの学生以外はわざわざ飛行機ではるばるやってきたわけです。企業だってシンガポールへ来ているわけですから、両者ともに気合が入っていました!収穫なしで帰れるわけがありません!
お昼には豪華な料理が振る舞われました。
作戦タイムは地べたに座ってするのがASEANスタイル!
日本ではありえませんが、いかにもASEANらしい風景ですね・・・(笑)
企業別の書類選考を突破した学生は別室のインタビューエリアに案内されて面接です。
企業・学生にお話をうかがいました!
出展企業の人事の方、そして参加していた現地の大学生に突撃インタビューを敢行!
今回のキャリアフェアに対するリアルな感想を聞くことができました。
人事の声
・「日本の学生とASEANの学生を比較すると、圧倒的にASEANの学生の方が優秀でやる気に満ち溢れている。」
・「想像以上に多くの学生がCVを提出してくれて、申し訳ないけれど、どういう基準でスクリーニングするかとなると日本語が話せるかになってしまう。」
・「ASEANでは転職が多く、すぐ転職されないか心配なので長く勤めてくれそうな学生が欲しい。」
・「自分を強くアピールしてくる学生が多い。専攻と業務内容が違ったとしてもすぐに諦めない。」
学生の声
・ダイキン工業に興味があるシンガポール国立大学の女子学生
「自分の専攻や将来の夢を考えていると、たまたまダイキン工業という日本企業にたどり着いた。」
・ヤマトホールディングスに興味があるシンガポール国立大学の女子学生
「物流が専攻なのと、今後ASEANで物流網を高度化させる動きもあるのでヤマトホールディングスを選んだ。」
・Plan・Do・Seeに興味があるインドネシア大学の男子学生
「バリ島にあるPlan・Do・Seeが手掛けているリゾートに興味を持った。しかし地理的、文化的理由で日本では働きたいとは思わない。」
・日本語がペラペラで富士通に興味があるチュラロンコン大学の女子学生
「富士通は日本でのインターンシップを提供してくれているから、日本語を活かして日本で働きたい。」
・一橋大学からシンガポールマネジメント大学に交換留学をしている日本人男子学生
「将来、意識の高い彼らと仕事をすることになると考えると、自分も負けてられないと実感した。」
潜入してみた感想
やはりまずは皆選び抜かれた学生なだけあり、英語もペラペラで、優秀だなという印象でした。
日本では専攻によって選別することはあまりありませんが、学生も企業も「専攻」をかなり重視しているようです。
そして、ASEANの優秀な学生にとって、日本企業に入って、日本で働くことが魅了的に思える場合もあれば、別にそこまで・・・と分かれるのが印象的でした。
少子高齢化の影響で労働力不足に陥る日本としては、ASEANの学生を多く呼び込みたいという想いがあります。一方で、今回の参加企業のように、手間暇をかけてASEAN人材の採用に注力している日本企業はまだまだ少ないのが現実です。
もたもたしていると、他の国にASEANの優秀な学生が奪われてしまうという危機感を持ってほしいものです。いつまでもインバウンドブームに甘えていては、だめな気がします。
一方少数のグローバル展開を加速させる日本企業は近年外国人の採用枠を増やしていますよね。そういった企業に入るためには、ASESNのみならず世界中の学生と日本の学生は競争をしなければなりません。
なにより私個人としては、日本人が"ASEANで働く"機会と、ASEANの人が "日本企業で働く"機会がもっと増えて日本とASEANの間にフラット化した労働市場ができて欲しいと願うばかりでした。
【ACF2016の運営組織】
主催:ASEAN CAREER FAIR事務局(株式会社エナジャイズ/株式会社グローバル・ヒューマン・キャピタル)
協力:ASEAN UNIVERSITY NETWORK 加盟校/キャンパスアジア参加校