「とりあえず行動してみて、悩みながら成長する」マレーシア留学を経験した中央大学3年生 森田麗子氏

2016.01.17

高校生最後の春休みにフィリピン留学に行ったことで、アジアのローカルな風景にクギ付けとなった森田氏。好奇心旺盛な彼女からは、”異文化”という言葉が多く発せられた。マレーシアでの長期留学を経て触れた異文化とはどのようなものだったのだろうか。彼女の好奇心と感性の豊かさに注目したい。

《森田麗子氏|プロフィール》
1995年生まれ。都立国際高校卒業、現在中央大学総合政策学部3年。高3春休みに行ったフィリピンの語学学校がきっかけで、大学入学後に東南アジア関連の授業を履修。大学1年夏、東南アジア中心に旅行をし、マレーシア長期留学を決意。大学2年夏から13ヶ月、INTI international大学Interior Design学科に認定留学。キナバル山登頂など大きな挑戦をする傍ら、現地での出来事や経験を自身のブログでまとめていた。現在は中央大学に戻り、地域活性についてのゼミに入って研究活動中。

 

フィリピン留学をきっかけに東南アジアの魅力を感じる

ー高校3年生の春休みにフィリピン留学を経験されたとのことですが、どうしてフィリピン留学に行こうと思ったのですか?

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大学受験が終わり、有楽町でアルバイトをしていたことがありました。東京駅に近いという立地上、外国人の方に対して接客をする機会がたくさんあったのです。しかし、高校では英語を中心に学んでいたのに英語が話せなくて、満足のいく接客をすることができませんでした。

「高校で何をしていたのだろう? 」と感じましたね。せっかく国際学科の高校で勉強していたのに、英語でうまくコミュニケーションが取れないこと自分にがっかりしてしまって。そこで、「留学したい!」という気持ちがふつふつと沸き起こってきました。

海外留学を探している中、フィリピン留学が人気ということを知りました。それまでは東南アジアに興味を持っていなかったのですが、家族が背中押してくれたのと、どうしても英語を話せるようになりたかったのでフィリピン留学に行くことを決めました。

行きたい、行かなきゃいけないという気持ちでとりあえず飛び込んだフィリピンでしたが、たくさん出会いや出来事があり、それがきっかけで、自分自身にも変化がありました。

 

すごい行動力ですね!

東南アジアのローカル生活を垣間見てとても不思議で興味を持ち、もっと勉強したいと思いました。

その留学がきっかけで、大学1年生の前期に、東南アジア系のゼミに入り、マレーシアフィリピンを中心に研究することになって。そのゼミの教授のおかげで、東南アジアの中でも、マレーシアにより興味が湧きました。

 

1年の夏休みにバックパックで東南アジア5カ国したんですよね。どうして行こうと思ったのでしょうか?

行こうと思ったきっかけは、やっぱりゼミとフィリピン留学ですね。もう一回フィリピンを訪れたい、英語を話したい、そして、ゼミで学んだことで実際に現地に行きたい、と感じて。

1ヶ月のうち、最初の1週間は単独でゼミ研究に費やしました。その期間は、主にインタビュー調査をしたり、フィリピン留学中にお世話になっていた先生にタダで泊めてもらったりもしました。

フィリピン以外にはタイ・カンボジア・マレーシア・シンガポールに行きましたね。

森田さん⑥(レダン島。私が今までに行った海の中で最も透明度が高かった!)

マレーシア留学で得られたことは「心の豊かさ」

マレーシア留学って珍しいと思うんですが、何故マレーシアを選んだのですか?

留学を考えたときに、3つのポイントがありました。

1つ目は、1年生の時にゼミの先生にマレー語の勉強を薦められ、それでマレー語に興味を持っていたからでした。だから、マレー語が使われている国が良さそうだなということ。

2つ目は、なまりの英語に触れられる国であること。東京でインド英語が聞き取れず悔しかったことがきっかけで、なまりの効いた英語に慣れたいと思うようにもなりました。アメリカ英語は映画などで触れることが出来るけど、なまりは全然分からなくて。

3つ目は、異文化を欲張りに体験したかったからです。多民族国家ならそれが達成できると思いました。

この3つを全て満たすのがマレーシアだったので、マレーシアに留学することに決めました。

森田さん①(クラスメートと昼ごはんを食べたに行った時)

留学を通して、驚いたことはありましたか?

覚悟はしていたけど、やはり英語のなまりが強くて驚きました。

マレーシアには主にマレー系・中華系・インド系がいます。私の通う大学には中華系が多かったため、中華系と交流することがほとんど。文法はグチャグチャだし発音も独特で、こんなに聞き取れないことがあるんだ、と。クラスは25人で、私1人だけ日本人で他マレーシア人という心細い環境でしたが、それが目的だったしいつか壁を乗り越えられる日が来るんだろうなって思って頑張っていました。

今では、マレー系・中華系・インド系の訛りを聞き分けられるようにもなりましたよ(笑)。中華系のなまりでの会話をしたほうが、ローカルと溶け込めることも多いので。

 

なるほど。印象に残っていることは何ですか?

民族が多いから、休みが結構多いです。だから祝日は宗教を感じられるイベントに行くことを楽しみにしていました。本当にたくさんのイベントをやっていて、そこに行くと異文化を近くで体感できます。日本では馴染みのない異文化にたくさん触れられて夢の国のようでした(笑)。

1番印象に残っていることは、ラマダン期間中の断食ですね。2014年は私が留学に行く直前に終わってしまっていたので、2015年は本当に凄く楽しみにしていました。街中に出て、お祝いしている人々を見るのが興味深くて大好きでしたね。この期間、多くのマレー系は民族衣装を身にまとっていて、素敵でした。

森田さん④(ラマダンが終わった後は、街中カトゥパという食べ物が飾り付けられる。写真の四角い飾り)

逆に、辛かったことはありましたか?

衛生面やセキュリティ面でしょうか。

一時帰国して2週間経つと部屋にカビが生えていたり、すぐ近くの家で鍵がこじ開けられていたり、痴漢や強盗があったり…。とても怖かったです。日本にいると経験しないようなことが普通に起こるので、日本の治安の良さを改めて実感しました。恵まれた国にいるんだな、と。

7時半に日が暮れるんですけど、それまでに家に帰ることを目標にしていました。暗くなると危なくて、生活に慣れても警戒心だけは常にありました。

 

色々な経験をされたと思いますが、留学を終え、自分が変わったことはありますか?

とにかく、なんでも受け入れられるようになり、心が豊かになりましたね。

例えば、「お腹がすいたらご飯食べなきゃ」っていうのが常識じゃないですか。でも、断食を経験した後だと「なんで3食欠かさず食べているんだろう?死ぬわけじゃないのに。」と思うようになって(笑)。

そう感じるようになったってことは、異文化に触れるという面で大成功だったんじゃないかなと思います。

森田さん⑤(イスラム教徒の友人にモスクを案内してもらった時)

「好奇心の赴くままに行動する。」

ーASEANで働くを近くするウェブマガジン「アセナビ」なので、これだけは聞いておきたいのですが、これからASEANで働くっていう選択肢はありますか?

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1から10の関心度のうち、3くらいですね。

駐在員の方の生活スタイルを聞いて、正直つまらなそうだなあって感じたのが第一印象でした。せっかく外国にいるのに日本人とばかり飲みに行っているらしいんです。もちろん、会社や人にもよると思いますが。

私は現地の人と共に暮らすようなスタイルをしてみたいです。日本人同士だけでなく、実際に現地人と話したりその国のイベントに参加したりしたいです。なので、そのように現地に馴染める仕事なのであれば、是非働いてみたいと思っています。

 

異文化という言葉がよく出てきましたが、森田さんにとって異文化とはどういうものなのですか?

私自身、すごく好奇心旺盛で新しいことにワクワクする性格です。

自分の知らない未知の世界を知ることが大好きで。「へ〜そうなんだ!」というように、新しい考え方を発見すると刺激を受けます!それは異文化だけじゃなく何でもなんです。

森田さん③(不思議な形をしたマレー系の民族楽器)

なるほど、好奇心の塊なんですね! それでは最後に、同世代の学生にメッセージをお願いします!

やってみる前に、結果について考えるのは難しいです。ハードルをその都度その都度乗り越えて、だんだん分かっていくものというか。行く前からたくさん目標を立てたり、日本に帰ってきたときにこうでありたい、ということを考え過ぎたりする人って多い印象です。

もちろんそれも大切だと思いますが、私のようにとりあえず行動してみて、悩みながら成長するのも良いんじゃないかなって。結果にこだわらず、とにかくやってみることに意味があると思います。実際それによって自分自身も変わる気がしています。

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【編集後記】
マレーシア留学時代のことを、目を輝かせながら話す森田氏。断食やモスクに強い関心を持つ彼女が、異文化に触れるという面では大成功だった、と満足げに語る。今まで海外旅行に行ったことがある人も、彼女と同じ視点で海外へ出てみると、また違った新たな発見があるかもしれない。

 




ABOUTこの記事をかいた人

弓場絵里加

法政大学法学部国際政治学科1年生。これから発展していくであろう東南アジアに興味を持ち、アセナビメンバーに。初海外はマレーシアとシンガポールをひとり旅。現地人と話すのが好き。ASEANの魅力を色々な角度から伝えることの出来る記事を書いていきたいです!