「海外で働きたい」という夢を抱く学生さんは多くいますが、実際に海外で働くことのイメージはできていますか?もしできていないのなら、海外で起業したナマのビジネスパーソンに会い、彼らの生き方を見るのも一つの方法です。
3月6日に行われた『Digima〜出島〜 海外ビジネスサミット2015』では、主に海外に進出したい企業と、海外進出を支援する民・官の団体、そして企業の海外進出に興味のある学生が集い、基調講演やプレゼンテーション、交流会が行われました。
目次
「アジアで次のソニー、ホンダを目指す!」
1部では日本企業の海外進出に関する講演やプレゼンテーションが行われました。
まず基調講演として登壇したのは、テラモーターズ株式会社の徳重徹社長。「アジアで次のソニー、ホンダを目指す!」という表題で、自社の海外進出の経緯や学び、人材育成などについて話されていました。会場にはベンチャー企業の方も多数いた中、「ベンチャーこそスピード感があって、日々変化する新興国という環境に適している」とし、積極的に海外に進出してほしいとエールを送られていました。
中でも、海外進出を実現するためには経営者の覚悟と現場感覚が重要だと強調していました!現地で活躍するには、経営者として根気強くビジネスを回していくのと同時に、刻々と変化する現場を常に見ることができる能力も必要だと説いていました。
質疑応答のタイムでは、アセナビから、「海外で働きたい学生が、今すべきこと」についてと質問しました。それに対し徳重社長は「信念を持ち、強い使命感を持ってください」と答えてくださいました。
「学生時代は、強い意志の元に何かをやり抜けば、自分のやりたいことが分かってきて、自分の人生の使命を持つようになります。海外では失敗も多々あった。でも、最終的には確固たる信念に由来する覚悟が自分を支えてくれました」と徳重社長。
何が好きなのか、何が得意なのかを見極め、新たな発見を基に自分の使命まで落とし込めば、強い意志を獲得できるとのことでした。そうしていけば、海外進出を考えている企業にとって魅力的な人材になれるのではないかと感じました。
(基調講演で自社のグローバル展開について話すテラモーターズ徳重社長)
海外に進出したい中小企業が持つ不安として、
・市場変化が激しく、適応できるか心配
・言語の違い
・優秀な現地パートナーを確保できるか
・資金が回収できるか
などが挙がります。日本は、せっかく質のいいものを作っていると海外からの評判なのに、こうした理由で海外進出をあきらめてしまう企業も多いとのことです。
それに対し、政府・民間企業による海外進出支援はともに充実していて、「ぜひ競争力のある中小企業に海外に進出してほしい」とエールを送られていました。
「2017年度までに新たに1万社の中小企業海外進出を目指す」
公的な立場からは、中小企業の海外展開を支援している経済産業省 中小企業庁 海外展開支援室長の横尾氏による「今後の日本政府の海外進出支援体制の展望について」の特別講演が行われました。
海外進出企業数のデータや進出までの流れを基に、現在取り上げている政策と支援体制を紹介し、「2017年度までに新たに1万社の中小企業海外進出を目指す」という国家ビジョンの達成に向け、それには現場の協力が不可欠と説明されていました。(参考:もっと海外進出と国の政策について知りたい方はこちら→ミラサポ 未来の企業★応援サイト)
11社のアツいプレゼン!出島甲子園とは?
休憩を挟み、後半は、海外進出支援を行う民間企業11社による8分間のプレゼンテーション大会「出島甲子園」の予選会が行われました。
出島甲子園は、日本一の海外進出支援企業を選ぶプレゼンテーション大会です。ここで上位に入ると、秋の本選出場となり、最も日本企業の海外進出支援に役に立つ支援企業として1社が選ばれます(2015年に開催予定)。予選出場の11社のプレゼンターは、自社がどのようにして海外に出る日本企業を支援していくのかという、密度の濃いプレゼンを展開していました!
今回のプレゼンターのうち、一部を紹介します。
株式会社スパイスアップ・ジャパン豊田圭一社長は、グローバルリーダー研修を通して海外に出るための人材育成の重要性を説きました。英語も話せない日本人が多い中、英語研修だけでなく新興国でビジネスをやるための大変さ、市場の変化などを経験し、本当に新興国でビジネスをする際に必要なマインドを育成すると話していました。
(スパイスアップ・ジャパン豊田社長)
株式会社Tryfunds丹野裕介社長は、これまでの進出支援コンサルティング経験から、中小企業向けに海外進出支援パッケージを提供していき、市場調査から現地進出まで一気通貫のサービスを提供し、海外展開を考える中小企業の不安を取り除いていくとプレゼンされていました。
他にも、海外経験の豊富なシニアコンサルタントを紹介するビジネスモデルや、現地のグループ会社を使って進出のパートナー探しや物件、市場のプラットフォーム提供まで全て行っている企業も登壇されていました!どのプレゼンにも、日本の中小企業がもっと海外進出しやすくなるための工夫が所々に施されており、これだけのサポートがあれば、中小企業も安心して進出できると感じるものでした!
プレゼンターのほとんどは、ASEANでビジネスをしている会社です。市場の変化が一段と激しいASEANですが、地理的に近く印象もよい日本企業は十分に戦える力があるのは間違いないです!
ご存知の通り、日本の経済成長は頭打ち感を迎えており、2014年の経済成長率(前年度GDPを基準としたその年のGDP、10月時点、IMF推計)は0.89%しかありません。一方、ASEANの国々は軒並み高い成長率を保持しており、タイとシンガポールを除くASEAN8か国は5%以上の成長率です!(出典:http://ecodb.net/)
もちろん、国や自社の得意分野によって状況は大きく異なりますが、新しい市場を開拓するに当たって購買力が向上しているのは間違いないので、競争力のある中小企業や海外に進出したいベンチャー企業はどんどんチャレンジをしてほしいと思います!
もっと多くの日本人が海外で活躍できる環境づくりのために
プレゼンテーションの後は、主催の株式会社Resorz兒嶋裕貴社長による講演「日本企業の海外進出動向について」でした。
今回このサミットを主催するResorz社は、海外進出支援プラットフォーム「Digima〜出島〜」を運営しています。講演では「Digima〜出島〜」への約7000件の進出相談を分析したもので、データをもとに海外進出において大切なことを話されていました。こうしたネットワークや知恵を積極的に共有しており、海外進出を支援したいという強い思いが伝わりますね!私自身も海外ビジネスを行う経営者となったらこのサービスを使ってみたいものです。
兒嶋社長は以前アセナビの取材にも応えて下さり、「日本人がもっと海外で活躍できる環境をつくること」についても、アツいお話をして頂きました。
参照:「グローバル市場で成功する日本企業を10000社つくりたい」 Resorz代表 兒嶋 裕貴氏インタビュー
第2部の進出支援企業・団体限定の交流会では、海外ビジネスのプロたちが集まり、多様なネットワークを広げていました。企業だけではなく、学生も参加できる貴重なイベントだったので、基調講演や様々な企業のプレゼンを通じて、「学生にももっと海外ビジネスについて知ってほしい」と思う内容でした!
こうしたイベントにアンテナを張り、「海外で働くことはどういうことか」を問い続けてほしいですね!