ASEANにも増えている”海外組” 決め手は「やりがい」? 連載最終回〜サッカーでつながるASEANと日本〜

 

ASEANとJリーグのつながりについてお伝えしてきたこの連載もいよいよ最終回。これまでは日本にやって来るASEAN選手に焦点を当ててきました。
でも、その逆にASEANで活躍している日本人プレーヤーも実はたくさんいます!

この最終回では視点を少し変えて、そんなASEANで活躍している日本人サッカー選手についてお伝えしていきたいと思います!

 

実はASEANには多くの“海外組”が!


「海外で活躍している日本人サッカー選手」といえば、やはり長友や香川のようなヨーロッパでプレーする選手を思い浮かべると思います。

もしかしたら、この連載をずっと見ている方の中には、「ASEANにもいそうだなぁ」って思ってくれた方もいらっしゃるかもしれませんが(笑)

実はその通りで、あまり話題にはなりませんが、ASEANではたくさんの日本人選手がプレーしています。

最も多くの日本人がプレーしているのは、なんとタイなのです!タイには、プレミアリーグ(J1に相当)からディヴィジョン2(J3に相当)まで計67もの日本人選手がプレーしています!元日本代表選手から、Jリーグでのプレー経験のない選手など、様々な背景を持った選手がプレーしています。

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(ASEAN各国でプレーしている日本人の国別の数。)

前回記事で触れたように、タイ・プレミアリーグは1流選手になると、J1選手にも負けないくらいの給料をもらうことができるなど、なかなかの好待遇を受ける事ができます。ある日本人選手は「年俸4000万円で契約」と報道されたこともありました。実力にもよりますがJリーグの一般的な年棒(平均年棒はJ1で1929万円)では考えられない金額を得られることもあります。

 

 

日本人選手は「やりがい」を求めてASEANに?


多くの選手に共通しているのが、ASEANが「本気でサッカーに取り組める環境」だと感じたということが、ASEANでプレーすることを選んだ理由なのだと思います。

元鹿島アントラーズ、そして日本代表経験もある岩政大樹選手はタイ移籍を決断した理由として
「タイでは日本人は助っ人として見られる。常に活躍することを求められるプレッシャーがある。」
「(まだ発展途上のタイのサッカーに対して)まだまだな部分が多い。プロとはこういうものだということを知らせなくちゃいけない」と語っています。

そして、教えながらプレーする生活に対しては、

「なかなか濃い。1年というのが長く感じそう」

と充実ぶりを感じさせられます。(「フットボールチャンネル」より引用。)

カンボジアで日本人選手第一号となった、太田敬人選手はサッカー選手としての活動の他に、「グローバルフットボールソリヤ」という法人を設立。孤児院や学校でのサッカーでの普及活動もしています。

年俸がずば抜けて高いなどというわけではありませんが、
彼も「日本からも評価されるような活動がしたい。」「(子どもたちの)将来に役立てられるように、サッカーを切り口に日本とカンボジアをつなげていきたい。」と、日々の充実ぶりを語っています。(フットボールチャンネルより引用。)


もともとサッカー人気の高いASEAN。少しでも上手くなろうと一生懸命ボールを追いかける姿は僕も印象に残っています。そこに「助っ人」として歓迎され、自分の経験を伝えることのできる充実感は計り知れないものとなっているのでしょう。

サッカー選手にとって、これほど魅力的な環境はありません。この環境こそが、自身の成長にも繋がると確信し、ASEANでのプレーを選択する人が増えている理由ではないでしょうか。

サッカーを通したASEANと日本の繋がりをお伝えするこの連載。いかがでしたでしょうか?
「ASEANってサッカーも熱いんだ!」「今度からサッカーにも注目してみよう」など、少しでも何か感じてもらえることがあれば嬉しいです!




ABOUTこの記事をかいた人

平井 啓一朗

慶應SFC3年。大学2年の夏休みに1ヶ月間インドネシアのジョグジャカルタに短期留学。初海外がインドネシアということもあり、ASEANへの興味は人一倍。サッカー、特にJリーグ観戦が大好きなので、「JリーグとASEAN」などをテーマに、ASEANの魅力、日本との繋がりをお伝えしていければと思います!