2016.09.13
ここ数年のエスニック料理ブームは、今までに例がないほどに勢いがあります。
ブーム筆頭に挙げられるのが香草の“パクチー”。愛好家を“パクチニスト”と呼び、パクチー三昧したことがある人もいるのではないでしょうか。また、シンガポールやマレーシア各地で食べられている麺料理“ラクサ”は、レストランだけではなく、日本の大手食品メーカーからインスタント麺が発売され人気となっています。
私は、アセナビでASEAN料理を中心に執筆させていただいているライターですが、メディアを中心にエスニック料理を伝承するべく活動も行っています。そんな活動の一環として、今年のエスニックブームに拍車をかけるイベントに登壇してきたのでリポートします。
目次
「この夏絶対に流行するエスニック食ランキング」 発表
まずは、イベント登壇に至るきっかけです。
6月に日本エスニック協会が会員向けに行ったアンケート結果から今夏のエスニック料理のトレンド予想を発表しました。日本エスニック協会とは、日本国内においてエスニック文化や食の普及活動を行う一般社団法人です。私はその中でアンバサダーとして活動をしています。
シンガポール、タイ、マレーシア、インドなど、各国料理のアンバサダー10名が在籍。
今回の発表をもとに、日本最大のサンプリングサイト「サンプル百貨店」が主催となり、日本エスニック協会が発表したランキングの連動イベントを都内のエスニックレストランで行いました。私は、ランキングされた料理と近年のエスニックブームの解説を担当。当日はエスニック好きブロガー50人が大集結し、大いに盛り上がりましたよ。
当日はシンガポールやマレーシアの民族衣装である「サロンクバヤ」を着て登壇
早速イベントで発表された注目のエスニック料理ベスト3をご紹介しましょう。
注目のエスニック料理BEST3
第 3 位 (同率) ≪マレーシア/ナシレマ≫ ≪タイ/ソムタム≫
ナシレマ (マレーシア)
マレーシアのソウルフードといえるのが「ナシレマ」。ココナッツミルクで炊いたご飯に、揚げ煮干しのイカンビリス、茹で卵やピーナッツが添えられ、唐辛子の辛味がきいたサンバルソースを混ぜ合わせながら食べる絶品料理です。食堂や屋台、コンビニでも売られていて、朝食メニューとしても定番となっています。
以前アセナビでもインタビューさせていただき、私と同じくアンバサダーを務めているマレーシア担当の古川音さんも「一度食べるとハマる日本人の話をよく聞く。ナシレマは『世界のヘルシー朝食(2015年タイム誌発表)』で第9位にランキングされ話題になりました」といいます。
私もナシレマの中でもサンバルソースが特にお気に入り。朝から辛さを注入して元気が出るし、うま味が満載でついつい食べ過ぎてしまいます。
ソムタム (タイ)
青パパイヤのサラダである「ソムタム」は、ナンプラーと唐辛子で辛味がありながらもさっぱりといただける料理です。主に東北地方で食べられる郷土料理でしたが、今ではバンコクにも広がって国民から愛される料理のひとつ。バンコクでの味つけは辛み少なく、食べやすいといわれています。青パパイヤは酵素が豊富で美肌や抗酸化作用もあるので、肌のダメージが多い夏にぜひ取り入れたい料理かも。
青パパイヤ以外にもニンジンや素麺などのバリエーションも豊富。日本のタイレストランでも必ずといってよいほどに定番のメニューなので、ぜひ試してみてくださいね。私もナンプラーを多めにしてよく食べますが、暑い夏にクールダウンできる料理といえるでしょう。
第 2 位 ≪タイ/ラープ≫
ラープ (タイ)
スパイシーな挽き肉のサラダである「ラープ」は、北部イサーン地方の名物料理のひとつです。肉類をハーブや唐辛子、ナンプラーやライムなどと一緒に合えたもので、北部や東北部などは比較的に唐辛子のきいた辛味のある味わいが特徴。挽き肉といっても、塊の肉を包丁で刻むので食感がよいのです。ついついアルコールが進んでしまう (笑)
ラープと聞いて、料理ではなくお菓子のプリッツを思い浮かべた人もいるでしょう。タイのお土産として人気のラープ味のプリッツ。リクエストも多いので、私も必ずといってよいほどに購入しています。料理のラープとお菓子のラープ味を食べ比べしても楽しいかもしれません。
第 1 位 ≪タイ/プーパッポンカリー≫
プーパッポンカリー (タイ)
カニと卵のカレー風味炒めの「プーパッポンカリー」は、私も大注目している料理です。ASEANではカニ料理多いですよね。特にタイは種類も豊富でおいしいカニが食べられます。カレー風味ととはいえ、卵で炒めているため辛さが抑えられてマイルドな味わい。高級レストランから屋台料理まで至る所で食べることができます。日本でも注目度が増していて、プーパッポンカリーを主力メニューとしたタイレストランもオープンしているほどなんですよ。
プーパッポンカリーは私も早くから注目していて、すでに去年の段階でアセナビでもご紹介済み!バンコクの人気レストラン「ソンブーンシーフードレストラン」のことも記載されているので、ぜひご覧ください。
(参照) エスニックブーム到来! 2016年はタイの「プーパッポンカリー」に注目!
以上4品が選ばれました。タイ料理が上位を占めた結果となりましたが、日本ではタイ料理レストランが多く、身近な存在といえます。また、以前ブームとなった南部の郷土料理マッサマンカレーをきっかけに、さらにタイ料理の魅力にハマった人も多いはず。現在のブームを牽引したといえますね。
外食だけではなく、自宅で楽しめるエスニックフードも続々登場!
今回のイベントでは、協賛いただいた企業様からも人気商品の解説がありました。すでに「日清カップヌードル トムヤムクンヌードル」を大ヒットさせている日清食品からは、この夏注目の「ドS(エス)ニックシリーズ」として、タイのトムヤムクンヌードル、シンガポールのシンガポール風ラクサ、インドネシアの焼きそばミーゴレンを“カップヌードルエスニックトリオ”として、現地イケメンを採用したPRを行うほどです。もちろん、大注目のプーパッポンカリーもヌードルとなって登場するなど、これほどに力を入れたPRは今までもみたことがありません。
日清食品のドS(エス)ニックシリーズ
他にも、明治からは手軽に本格エスニックが楽しめるチルド食品の「デイリーリッチ」からチキンのタイ風バジル炒め用、ココナッツミルクのカレー風味スープなど数種類が登場。レンジでチンするだけや炒めるだけの手軽さから一人暮らしの人にも重宝しそう。
振りかけるだけの顆粒タイプの調味料「パッとひと振り即タイ料理パラパッパ」(富士食品工業)は、グリーンカレー味とトムヤムクン味があって、フライドポテトやから揚げに簡単に振りかけてエスニック風料理に変身できる優れモノ。
タイ食品、調味料ならおまかせの「タイの台所」(アライドコーポレーション)のパクチードレッシングは冷蔵庫に常備しておきたいくらいです。また、オフィスや学校で小腹がすいた時には、「スパイスキッチン」(日清食品)のフォースープがおすすめかな。
日清食品のスパイスキッチン
スーパーやコンビニで購入するのであれば、日常的にエスニック料理を楽しむことができますね。レストランとはまた違った楽しみ方ができるので、自宅でもぜひ試してみてください。
ASEANの世界を食からつなげたい
ブームになっているとはいえ、まだまだエスニック料理はコアな世界です。ブームは一過性になりがちですが、これを日常的に楽しみたいと思えるようにならなければ!
エスニックブームの背景には、SNSでの情報発信やLCCの路線拡大によって、現地のリアルな情報がすぐに得られたり、現地へ行きやすくなったりしたこと、タイフェスティバルを筆頭とする野外フードフェスの人気も要因に挙げられます。また、日本各地に郷土料理があるように、海外の地方料理もより細分化されて、日本にあるレストランでも郷土色を売りにしている店が多くなりました。
今回のイベントでは、料理の情報から「レストランにも行ってみたい」という意見が多くありました。留学生として海外に飛び出している人、日本で留学生の友達がいる人、みんなで食事をすることもあるでしょう。そこで食文化をコミュニケーションツールとして、もっと活用してみませんか。
日本でも海外でも、その国の文化を知るには、食べ物から始めるのが一番早いし、なんといっても食べることって楽しいですよね。その国の気候や風土、食を知ることで、仲間がどんな環境で家族と食卓を囲んでいたかがわかります。
また、その背景を自分と重ねることで共感したり「日本だったらこうだよ」と語り合えたりするでしょう。単純に食べ物の好き嫌いの話だけでもOK!話していくうちに「もっとこの人のことを知りたい」と思えて、その気持ちが、自然に”心をつなげていくこと”になるのです。食べることの記憶を記録として、どんどん発信していきましょう!