2015.10.7

あなたはタイの地下鉄を利用したことがありますか?

2004年7月3日に開通した首都バンコクを走るMRT(Mass Rapid Transit)は、タイ初の地下鉄です。通称「ブルーライン」と呼ばれ、全18駅・総距離20㎞をおよそ30分でまわります。発展著しいバンコクの勢いは止まらずすでに新たな路線の拡張も計画。

やぶっち3

Photo from lookeastmagazine.com

(参照:タイ国内初の都市環状線、MRTブルーラインの「バンスー~タープラ線」全駅を写真付きで紹介します!|グロビジ!

そんなバンコクの人々の足になりつつある地下鉄の工事に、なんと日本の技術が活躍しました。

 

日本の技術が光るタイの地下鉄工事!

地下鉄の工事は北・南・操車場の3つにわかれます。今回は、北と南のお話です。

北工区は、日本の大林組や西松建設、そしてタイ最大手の総合建設会社イタリアン・タイ・デベロップメントが中心に担当しました。

北工区は全長11.8㎞もの長い距離で、9つの駅が含まれていました。この地下鉄工事のカギになったのが掘削用の機械「シールドマシン」です。

やぶっち

Photo from 株式会社大林組

(大林組のシールドマシーン *写真はタイの工事とは無関係)

用地の引き渡しが遅れるなど、アジアではつきもののトラブルに見まわれながら、シールドマシンを引き上げては投入し再発進をさせる作業を繰り返しました。おわってみれば、最高で1ヶ月に536mも掘りすすめるという、日本でも珍しいほど高速に工事がすすんだ時期もありました。

また、地盤がゆるい土地に配慮して、地上の交通や周囲の民家への影響を最小限にとどめることを最大限に留意されていたそうです。まさに日本の心づかいが散りばめられた工事ですね!

北工区で活躍した2機のシールドマシンと作業員の方々に頭がさがる思いです。

 

グローバルな現場で働くという難しさ

一方、南工区を担当したのは、東急建設(株)をはじめとする日本企業や、タイ・ドイツのジョイントベンチャー(JV)です。

南工区もおなじように約10㎞の長さと9つの駅でした。加えて、単線双設延長およそ15㎞や操車場までのアプローチなど、土木・建築・設備一式の設計から施工までを担う壮大なプロジェクトでした。工事期間は平成8年~14年のおよそ6年間にも及びます。

最初の1年半で行われたのが、地質と気候の調査、そしてプロジェクトの設計です。洪水が多いバンコクでは、入口を道路から高くするといった洪水対策が不可欠で、過去の気象データにさかのぼった調査が行われました。時間に余裕のない厳しい工期のプロジェクトで採用されたのが「ファストトラック方式」*です。決まった設計を追いかけるように施工が進められ、設計と施工がほぼ同時に進むことになります。

*ファースト‐トラック(fast track)・・・建築用語で、建築物全体の設計ができ上がるのを待たず、設計が終わった部分から順に工事を始める方式。 (引用:コトバンク

工事の難易度はもちろんですが現場にはもう一つ見落としがちな難しさがあります。それは現場が日本ではなくタイで、作業員の国籍もばらばらだということです。コミュニケーションを取りながら一緒に仕事を進めていくことは、想像出来ないほどの苦悩とやりがいがあったったのではないでしょうか?

詳しい報告はこちらから!
株式会社 大林組
東急建設 株式会社

 

地下鉄を走る電車はドイツ製!?

このプロジェクトでは日本の円借款が、大きな割合をしめました。しかし、現在バンコクの地下鉄を走っているのはドイツのシーメンス社の電車です。フランスと日本共同の電車が走るはずだったのになぜドイツ製に変更されたのでしょう?

謎解きのヒントはスカイトレインです!

1999年に開通したタイの高架鉄道であるスカイトレイン(BTS)はシーメンス社とメルセデス・ベンツ社が共同開発しました。将来、地下鉄とスカイトレインが乗り入れることを見据えて、地下鉄の電車もシーメンス社になったのです。

日本の電車でないことは少し残念ですが、納得ですね。

やぶっち2 Photo from All About

日本の技術は、海を超えて今も活きている!

バンコクの深刻な交通渋滞を緩和するために考えられた地下鉄。その事情を探ってみると、タイの電車の未来やグローバルな仕事現場、そして日本の技術などさまざまな側面を垣間見ることができました。

バンコクで地下鉄に乗るときは、ちょっとだけこのお話を思い出してみてください!

アイキャッチ画像引用元 Tobias Sieben