創設2年で10カ国・地域に展開し、アジアで最も急成長しているAnyMind Group。これまでアセナビでは社員さんにインタビューをしてきましたが、今回はCEOの十河氏にインタビューすることができました。圧倒的なスピードで成長できている理由とは。また、今後のビジョンについても伺いました。
《プロフィール | 十河宏輔氏》
AnyMind Group 共同創業者兼CEO。2016年4月にシンガポールでAdAsia Holdingsを設立。1年目で売上が12ミリオンドル(約14億円)を上回る。2018年1月にAdAsia Holdingsの親会社をAnyMind Groupとし、インターネット広告、インフルエンサーマーケティングに止まらず、HRテックを展開している。現在は10カ国・地域に12拠点あり、アジアで最も勢いがあり注目を集めているスタートアップ。
急成長を遂げるAnyMind Groupとは
ー事業内容について教えて下さい。
AdAsia Holdings, CastingAsia, TalentMindの3つのビジネス展開しています。AdAsia Holdingsではマーケターや広告主、媒体社に対してワンストップのソリューションを提供しています。AIを活用して、広告の運用を簡単に管理できるようになっています。CastingAsiaはAIを活用したインフルエンサーマーケティング事業です。
企業がアジアでインフルエンサーを探す際に、適したインフルエンサーが見つけにくいと思ったのがきっかけで始めました。
TalentMindはAIを通して求職者と企業をマッチングさせる機能です。タイ支社で1人の営業募集をかけた際に、300人近くの応募があって、精査することがものすごく大変でした。そこで、AIを通して履歴書のデータをスコア化し、採用にかかる時間を削減させるためにこのサービスを始めました。
成功のカギはローカライズ
ー設立2年でかなりの成長を遂げていますが、どうやって成功させることができたのですか?
エマージング・マーケットに注力していたからです。その中でも市場が大きいインターネット広告、インフルエンサーマーケティング、HRテックの3つにフォーカスしました。また、成功するためにローカライズは大きなカギになります。
アジアはひとくくりで言われるのですが、一国一国の特徴が違うので、しっかりとローカライズして各国にあったチームを作り、ビジネスを展開していかなければなりません。
例えば、日本で通じてるものが隣の韓国や中国で通じるかというとそうでもありません。通じるものもありますが、やっぱり市場が違うので適用していかなければなりません。僕らはグローバルということを全面に出していて、一国の立ち上げのスピードにこだわっているので、ビジネスする上でローカライズはすごく重要になります。
ー異文化の人をマネジメントするってかなり大変なことだと思うのですが、どうやってマネジメントされているのですか?
信頼できるカントリーマネージャーを時間をかけて選び、各国に設けています。そして、カントリーマネージャーとは毎週ビデオカンファレンスを行なっています。また、各支店の売上を共有してランキングをつくることで、マネージャーはランキングの結果を元に互いに切磋琢磨して取り組んでいます。
さらに、まだ3年目のスタートアップなので、半期ごとに各国から社員全員を集めてミーティングも行っています。やっぱり会ってみないと分からないこともたくさんあるので、良いチームを作るにはフェイストゥフェイスで話すことが大事だと思います。
特に今は新しいメンバーが増えていて、僕の考えや想いを信じてもらう必要があるので、一緒にご飯にいったりしてコミュニケーションをとっています。3日に1回は飛行機に乗って、1カ月に5,6回は各国のオフィスに行ってますね。
アジアで戦うならビビるな!
ー日本人がアジアで活躍するには何が必要だと思いますか?
ビビらないことです。前職の頃に、ベトナム支社の立ち上げで、最初にベトナムに行ったときは何も分からなかったので、無の状態でした。しかし、ビビっているとコミュニケーションもとれず、結果として何もわからなくて、何の情報も手に入らない。
けれど、ビビらなければどんどん踏み込めます。日本みたいに「出る杭は打たれる」なんてあまりないし、死ぬわけではないので、やれる限りやったらいいんじゃないかなと思います。ビビらなければ、色んな人とコミュニケーションがとれて色んなことができて、どんどん情報が手に入るので、それをもとに色んな考えをもつことができます。
ーアジアで戦い続けられるモチベーションは何ですか?
アジアで色んなイベントに呼ばれて、凄いなと思う会社がたくさんあります。でも、やっぱりビジネスをやっているからには1番イケてるスタートアップでありたいですね。その想いは会社としてあります。
また、一般的に他の企業は日本で大きい市場を獲得した後に他国へ進出していくのですが、それだと時間がかかってしまいます。けれども、僕たちは創設した時からグローバルに展開できると思っていたので、そこが他の企業とは違うマインドだと思います。そのおかげで、今は12拠点を10の国と地域に展開できています。
エグゼキューションでアジアNO.1を目指す
ー東南アジアは市場間競争が激しいので、仮に欧米の大手企業などの進出があると思うのですが、どのようにスケールして戦う予定ですか?
ゼロイチ(0→1)のスピードはどこよりも早い自信がありますし、エグゼキューションでは負けないです。
仮に欧米の大手がアジアに進出してもそんなにビビらなくていいと思います。日本でもローカル企業が勝っているケースもありますし。アジアのことはアメリカの大手もあまり知らないので、僕たちがAdAsiaという名前を使って8カ国に対応しているサイトをもっていたら、なんか大きそうな会社に思われそうじゃないですか(笑)。
自分たちがやっていることを信じているし、やることも明確なので、エグゼキューションが強いチームをローカルにつくっていくことで戦えると思っています。
ー人生で成し遂げたいと思っていることはありますか?
新しいことをするときに喜びを感じるので、新しいことを続けていきたいと思っています。今、起業して2年経っているのですが200人以上の社員を採用したりなど、常に新しいことばかりなのですごく楽しいです!何歳になっても新しいことをして生き続けたいですね。
ー直近の展望、また10年後、会社として何を成し遂げたいですか?
直近としてはロシアやインドにもビジネスを展開していくことを考えています。
事業モデルに関しては10年後も同じものを続けているかというと、それはわからないです。なぜならこの業界は移り変わりが激しいので。でも、どこでも通用するビジネスを作りたいですね。なので、僕らのビジネスを通して10年後とかにハッピーになっている企業さんやユーザーの数が今の100倍、1000倍になっていたら嬉しいです。
編集後記
AnyMind Groupは色んなメディアでよく見かけていたので、成長のスピードに衝撃を受け、どのようにマネジメントしているのかすごく気になっていました。そんな中、代表の十河氏をインタビューできたことは、とても貴重な機会となりました。
登壇中、インタビュー中に何度も「ローカライズ」という言葉をおっしゃっていて、しっかり現地に合わせたビジネスを展開していることがグローバルに急成長できている秘訣なんだと思いました。
十河氏の今後の展望を聞いていると、これからもさらに急成長していく姿を想像することができ、私までワクワクしました。私の中では既に一番イケてるベンチャー企業ですが、本当にアジアNO.1になってほしいです!