2016.06.08
「ベトナムの女性はよく働き、強い」と言われるが、ベトナム人女性は日系企業で何を考え、何を求めているのだろうか?「現地社会で日系企業ができることはもっとある」と語る、子どもを育てながらパワフルに働くベトナム人女性デザイナーに話を伺った。
〈プロフィール|Nguyen Le(グェン・レイ)氏〉
ベトナム、ダナン出身。フエ美術大学卒業。DIGITAL SHIP COMPANY LIMITED、デザイナー。Webデザインを中心に、日系レストランのブランディングなど、幅広くデザインを手掛ける。現在は日系お土産事業Happy Danangにて、ダナン市外務局公認のご当地ゆるキャラ・ダロンの商品デザインや日系フリーペーパー制作を務める。
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ダナンのお土産事業「Happy Danang」とは?
—グェンさんのお仕事は何ですか?
シニアグラフィックデザイナーとして働いています。アプリケーション・ロゴ・ブランディング・フリーペーパー・ウェブサイトなどのデザインに取り組んでいますね。最近は特にお土産事業のHappy Danangに注力しています。
ーお土産事業のHappy Danangとは何ですか?
Happy Danangは2015年8月に始まった事業です。お土産ブランドHappy Danangは、”Make people in Danang happy.”を理念として活動しています。ダナンに来る観光客にお土産を提供し、それらのお土産を旅行者が自身の友人や家族に配ることによって、そのお土産をダナンの広告塔にすることも目標にしています。
Happy Danangの公式キャラクターはダロン(Darong)で、私たちのお土産はダロンをデザインしたものが中心になっています。
(ダロンのお土産、クッキーやポストカードなど)
ーでは、その事業をされているダナンについてどうお考えですか?
ダナンは若々しく魅力的なスポットが多く、情熱的な都市だと思っています。ダナンの魅力を挙げるとキリがないですね!親切な人々・美しいビーチ・綺麗な空気・行政手続きがシンプルなこと・多くの大学や専門学校が優良な人材を輩出していること…これらが理由となって、ダナンは信頼を集め、多くの投資が集まっています。
ダナンは現在、緑豊かな先進的都市を目指して「継続的な発展」という目標を掲げています。
参考|2017年APEC開催地ダナン 観光地として人気なベトナム第3の都市に注目すべきワケ
ーそのお土産事業は日系企業の社内ベンチャーという形で行っているということですが、グェンさんは日本にどんな印象を持っていますか?
最近、ベトナムでは日本文化がかなり人気となっています。ダナンにも多くの日本食レストランがあります。柔軟な感性を持った若者が日本とベトナムの橋渡し役として重要になっていますね。日本語を学習するベトナム人学生が増えている一方で、インターンなどの手段でベトナムに来る日本人学生も増えています。
毎年ダナンでは、政府主導で開催される日本との交流祭りがあり、こうやって異文化交流が進むことは良いことだと思います。私は日本文化と日本人に興味があったので、日系企業を選びました。互いに支え合える環境がいいと思っています。
ベトナム人の考える、ダナンの日系企業に必要なこと
ー日本人と一緒に働いているからこそわかるベトナムと日本の違いが知りたいのですが、日本人と仕事をしていく中で、文化面や仕事面などにおけるベトナム人との違いを感じることはありますか?
文化面では、日本人とベトナム人は多くの共通点を持っていると思います。ただ、相違点としては仕事の態度だと思います。以前、ベトナム人はチームワークを苦手としていましたが、今は徐々にチームワークにも慣れてきています。外国人社員ともよりよい協力関係を築くために、プロ意識を持って仕事に取り組むように努力しています。ただ、言語面で苦労することは多いですね。でも、フレンドリーに、そして真剣にコミュニケーションをとるように心がけています。
ーNguyenさんは現在日系企業で働かれているということですが、以前仕事をされていたアメリカ系企業との違いはどのように感じていますか?
どちらの会社も好きなことが出来ているし、社員の条件面でもいいと思います。ですが、環境に少し違いがありますね。アメリカ系企業では、それぞれが個人のスキル向上に注力していて、一人一人の社員が新しい挑戦的なことをしようとしていました。その一方で現在働いている日系企業は第二の家族のような感じです。それぞれの社員がチームのために貢献しようとしています。その結果として当然、現在の日系企業では個人ではなくチームの結果を重視しています。
—ダナンで日系企業はどんな役割を果たしていますか?
日系企業はもっと社会活動に取り組んだ方がいいと思います。例えば、慈善団体への支援などです。さらに、組織に多様性を生むためにもっと日本からインターン生を受入れたり、逆にベトナム人スタッフを日本に送り込んだりするのもといいと思います。日系企業が大学で日本文化の普及や就職説明会を開催することも必要ですね。そのような機会がダナンではまだまだ少ないです。
ーダナンのインフラや人柄で、「もっとこうなればいいのに」という点はありますか?
ダナンでは開発が急速に進んでいますが、その一方で緑化も必要だと思います。この都市の周りにもっと木々を増やして、ベトナム人は普段バイク移動ばかりで運動不足になりがちなので、ウォーキングなどをしやすいようにした方がいいですね。さらに、政府が公園や博物館を建設し、市民にとってより住みやすい住環境の整備を進めるべきです。
予定調和よりもわくわくする体験を!
ーここでご家族や私生活について聞かせてください。趣味や休日の過ごし方などどうしていますか?
家族は1日の多くの時間を共に過ごす大切な存在です。互いに尊重し合っていい家族ですよ。趣味は旅行と絵を描くことです。色んな所に行って現地の色々なものを食べることが好きですね(笑)
ーNguyenさんの将来設計を教えて頂けますか?
もっとレベルの高いデザイナーになるために、デザインスキルを向上させたいですね。スキル向上のために、新たな技術やトレンドを日々身につけようとしています。世界中の人が商品を通して自分のデザインについて話してくれたら素敵ですね。
ーでは最後に、日本人の若者へのメッセージやベトナム、ダナンについて特に若い日本人女性に伝えたいことをお願いします。
ダナンはリゾート地であり、グループでツアー旅行に来るのもとても楽しいと思いますが、たまには一人で来て現地と交流を深めるのも、鍛えられてよいと思いますよ。予想出来ない未知の体験をする方が、予定調和で終わるよりも、ずっとわくわくできるはずです。