ASEANへはじめて行くと、驚くことがたくさんありますよね!
中心部に行けばものすごく高いビルに囲まれ、町外れに行いけば使い方がわからないトイレに度肝を抜かれます。
中でも、私はタイとマレーシアの現地人が話す英語力の高さにびっくりしました。出発するまでは、「英単語とか地名を言えばわかってもらえるんじゃないかな?」と思っていこんでいたんです。
でも、そんな私に飛んできたのはこんな言葉でした。
“Sorry?”
“What are you talking about?”
“I can’t catch your English.”
実力の差にあ然としました…。
もちろん、タイとマレーシアのあらゆる地域で英語が飛び交っているわけではありません。地方はもちろん、バンコクでも英語を話さない人はいます。これは日本でも同じですね。
私が強調したいことは彼らの高い英語力。”英語を話すちから”という意味での英語力です。文法や発音どうこうというよりも、ためらわず当たり前のように英語を話す力にショックを受け、同時に疑問を持ちました。
「何が日本の英語教育と違うのだろう?」
「環境?日本は島国だからしょうがない?」
「彼らは自然と英語を話すようになったの?」
そこで、英語力の秘密を探ってみました!
英語能力はそんなに高くない!?タイの英語教育の実態
タイでは小学校の一年生から英語教育が始まります。早いところでは、幼稚園からアルファベットを教えるようですね。1990年代、軍部独裁政権が倒れ、民主化の波が急速に広がりました。国民の生活水準が上がる一方、国家の存続が危ぶまれるほどの経済危機を迎えます。強烈なグローバリゼーションに揉まれたタイは次世代を担う人材の育成に乗り出しました。その一つとして英語が重要視されるようになったのです。2000年代に入ると英語熱はますます加速し、英語の第二公用語計画が持ち上がるほどでした。(この案は白紙になりました。)
たとえば、中等学校(日本でいう中学・高校)で英語以外の科目を英語で授業をするプロジェクト (English Program)は、今から10年以上も前に導入されました。現在も続いていますが、化学や体育を教えられる英語講師を探さなければいけない等、English Programならではの課題が問題になっています。
一方で、教育を受けたからといって英語ができるのかというと実はそうではありません。
EF EPI (Education First , English Proficiency Index)(http://www.efjapan.co.jp/epi/) の2014年英語能力ランキングでは、63ヶ国中、48位。(日本は26位)
英語教育がうまく成果に表れないタイの現状は、日本にも共通していますね。
となると、私が感じた”タイ人って英語ができる!”って一体なんだったんだろう。(笑)
もしかしたら、朗らかなタイ人らしく自信満々に英語を話す姿が印象的だったからかもしれません。
"Wat Arun Budha" -taken by Thangaraj Kumaravel from flickr
英語と現地語の間に揺れるマレーシア
マレーシアの英語教育も小学校の1年生から始まります。とはいえ、これは政府の方針で、多くは幼稚園から"英語を使って"時計の読み方を教えたり読書の練習をしたりするそうです。
友達のマレーシア人の女の子に、「幼稚園児は英語で教えられて理解できるの?」と訊くと「うん。普通に。」という、とってもあっさりした返事が返ってきました。当たり前なんですね。
いやー恐るべし、幼稚園児たち。英語というものがいかに彼らの身近にあるものか思い知らされます。
さきほどご紹介した英語ランキングで、マレーシアはアジアトップの12位。昨年1位だったシンガポールを追い抜きました。こうして、こどもたちはみるみる英語を操るようになるわけですが、タイとは対照的に英語ができるが故のお悩みがあります。
それは、母語の問題。マレーシアの公用語はマレー語で、インド系、中国系、マレー系のどの小学校でもマレー語が必修とされています。近年、中等教育でもマレー語の教育の必要性が見直されています。私の友達も、英語で習った科学や数学の授業が今ではマレーシア語に戻っていると言っていました。
2020年には先進国の仲間入りを目指すマレーシア。英語はさらに重要になります。同時に各民族の母語も大切です。さまざまな民族、さまざまな言語、さまざま学校。子供をどういった環境で育てていくのか。親は難しい選択を迫られます。
"Petronas Twin Towers" -taken by Shubert Ciencia from flickr
2カ国を見てみたけど、日本は?
タイ、マレーシアの英語教育をみてきましたがいかがでしたか?
日本では、来たる2020年の東京オリンピックを見据えた「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」が文部科学省より公表されました(平成25年12月13日)。小中学校と高校の英語教育の指導体制を強化していくという内容です。英語のコミュニケーション能力の向上はもちろん、日本の伝統文化や歴史等日本人のアイデンティティを養うことにも着目されています。
英語教育の改革が進む反面、日本語を確立していく段階の途中にいるこどもたちに、どこまで英語を教えるのかという議論があることはすでに承知のことと思います。日本の未来を考える上で大切な問題だからこそ、なかなか一筋縄ではいきません。
各国がその国ならではの問題や事情を抱えていますが、英語をもっと使えるようになろう!もっと教育していこう!という姿勢はどこも同じだと感じました。未来を見据えて学ぶこどもたちにわたしたちも負けてはいられませんね!
アイキャッチ画像引用元: "Thailand" -taken by M M from flickr