東南アジアにスケートボードを!SkateAidを通して伝えたかったこと【SkateAidプロジェクト Shimon氏】

2020年東京オリンピックで新たな競技である、スケートボード。もともとはアメリカで誕生した。技の独創性や難易度で競い合うため、その華々しさに観客は魅了される。開催まであと2年、日本人スケーターにも期待がよせられている。 

そんなスケートボード発祥の国アメリカから約9,000㎞離れ、ストリートカルチャーとは無縁な日本でスケートボードを広めている、ある日本人スケーターを伺った。彼の名はShimon氏。

Shimon氏は自身のYouTube活動で日々のスケート動画に加え、SkateAidプロジェクトを配信している。スケートボードというツールを使って、またSkateAidプロジェクトを通して、彼が伝えたいことを伺った。

《プロフィール | 岩澤史文氏(Simon)》

1998年生まれ。チェコと日本のハーフ。小学生までドイツで過ごし、その後日本へ。現在は東京にある大学へ通いながら、MDASkaterとして登録者数80,000人を超えるYouTubeチャンネル【ShimonさんのYouTubeチャネル】を運営している。SkateAidプロジェクトを通して、東南アジアでスケートボードを広める活動を行う。また、SHIMONというブランドを立ち上げ、Tシャツや帽子の販売も行っている。

SkateAidはこうして始まった

 ー僕自身、昔からShimonさんのスケートボードの動画を見てました!改めて、SkateAidプロジェクトとはどのような活動か教えてください。

SkateAidプロジェクトは主に孤児院を訪問しスケートボードを提供する活動です。初めての訪問は昨年の3月にタイ、ミャンマー、ラオス。続いてその夏にはベトナムとカンボジアへ。また、今月はネパール、インドに行こうと思っています。

 ーなぜASEAN諸国に目を向けられたのですか?

ASEANを選んだ理由は地理的に近く、身近であり、いろんな顔・風景があったからです。ASEAN諸国は新興国なので環境、街のつくり、歴史的観点からも先進国とは異なっています。少し観光地を離れ田舎に行くと、現代社会からかけ離れた非日常を体験することができました。生活スタイルにそれぞれの良さがありとても興味深かったです。

ープロジェクトをゼロから始めるにあたって苦労したことはありますか?

お金がかかるので資金面のサポート、一人ではできないので人脈を作ることです。しかし、YouTubeをやっていたのでサポートをしてくれる方々がそれを支える力になりました。私がYouTubeをやっている理由の一つに、SkateAidプロジェクトのように自分がしたいことを応援してくれる人、見てくれる人などのコミュニティー作りがあります。それらを日々着実に得ていくことが難しくもあり、チャレンジしていることのひとつでもありますね。

スケートボードは、自己表現にもってこいのスポーツ!?

ーShimonさんはいつ頃スケートボードを始めたのですか?

はじめてスケートボードを手にしたのは小学6年生の時です。ドイツから日本の学校に転入し、環境が変わったことから、学校に行かない時期があり、その時に「家にいるのではなくスケボーでもすれば」と親から勧められたのがきっかけで始めました。そして中3から本格的に練習を始め、そこからのめりこみYouTube【ShimonさんのYouTubeチャネル】を通して、スケートボードをあまり知らない人にその魅力やスケーターのライフスタイルを配信しています。

 ースケートボードの魅力はどこにありますか?

自由なところです。スケートボードには他の競技みたいにルールもレーンもコートも限られた制限がないんですね。好きな時に好きな技を好きな風に。自己表現をできるものとしては最高なものです。自由さがストリートカルチャーそのものなんですけど、そうした自由さが魅力ですね。

(Shimonさんが提供したスケートボードに乗る子供)

孤児院での活動

ー孤児院へはどのように訪問をしていたのでしょうか。また、子供たちとコミュニケーションをとるうえで苦労したことを教えてください。

渡航前に、訪問できそうな施設に直接連絡をとっていました。また、現地のガイドも事前に探しておき、施設の方とはガイドを介して話をさせてもらっています。

子供たちと交流するときは、言語の壁を感じませんでした。子供たちは言語が通じ合わなくても、スケートボードに乗っている僕に興味津々といった様子で、試してみたいと前のめりでしたね。なので、スケートボードを教える際には言語の壁っていうのは感じたことがありません。また、スケートボードは見て学ぶことができるので、その必要がなかったのかもしれませんね。

(子供たちとShimonさん。言葉の壁がないとはまさにこのこと)

ー子供たちの反応はどうでしたか?

孤児院にいる子供たちは、いつも自分たちの行動範囲がすごく狭いんですよ。孤児院の施設内のみで行動が可能なので、毎日同じ生活を繰り返し、自分たちの知っている世界や視野がどうしても狭くなってしまいます。ほとんどの子供たちはスケートボードを見たことも、乗ったことも、もちろんありません。そんな中、スケートボードという新しい体験を提供することによって、刺激を与えれたかなって思います。厳しい環境で育ってきた子供たちが多いので、自由で自己表現できるスケートボードというツールを提供できてよかったです。

 ー孤児院での活動を通して新しい発見はありましたか?

孤児院の現状を聞いて驚いたのですが、日本の孤児院と違って、東南アジアの孤児院では支援団体や政府からのサポートがないところが多いそうです。カンボジアを例にとると、ほとんど政府からのサポートはなく、すべて個人で賄っている孤児院も存在します。経済的な厳しさとそのような中でも孤児院を運営しているのはすごいと思いました。

さらに最近多いのが、孤児院の観光地化問題です。「孤児院にいる子供たちを見たいから」という理由で、多くの観光客が孤児院に訪問してくるそうなんです。募金をしてくれるといった面では経済的なサポートになりますが、子供たちの精神的負担はすごく大きいのだとか。カンボジアは特にひどく、これをビジネスにする大人もいるそうです。

 (子供たちは裸足や草履でスケートボードに。)

SkateAidを通して伝えたかったこと

ーShimonさんにとって、活動を継続できるモチベーションの源は何ですか?

若い子たちに、スケートボードを通して社会の現状を少しでも知ってもらえればなって思っています。ネットで検索しても情報は載っていると思うんですけど、「日ごろから見ている同世代のYoutuberが言ってるんだったら」と、少しでも興味を持つ人が増えたらいいなと思っています。自分が見た体験をそれだけで済ましてしまうと、それだけで終わっちゃいますから。

また、スケートボードを広めたいし、そのためにスケートボードのイメージを変えたい。他のスケーターにも、スケートボードを通してこういう活動をしている人がいるってことを知ってもらいたいです。そうすることでスケートボードに対するイメージが変わったりするのかなって。

(スケートボードを楽しむ子供たち)

ースケートボードを通じて若い世代に社会問題に興味を持ってもらう、そしてスケートボードを広めたい。この二つがモチベーションだったんですね。このようにSkateAidプロジェクトを行われてきて、Visionや目標はありますか?

将来的にはもちろんスケートボードには関わっていきたいと思っています。スケートボードと関わりながら、社会に貢献できればベストです。私の大きな目標はスケーターを増やすことですが、直接的なそのプロジェクトの目標というのは、東南アジアに行って東南アジアの子供、孤児院にいる子供たちにスケートボードという新しい体験を提供し、刺激を与えるということです。

また、ずっとやってたYouTube活動は、今では8万人を超える視聴者が集まりました。その視聴者のほとんどが10代から20代前半の若者なんです。そのプロジェクトをYouTubeにアップすることで、東南アジアの現状や貧困、格差などの社会問題などを、視聴者の若い人たちに少しでも知ってもらうきっかけを提供していきたいです。今では実際に「動画を見てボランティア活動に興味をもちました」という声を聞くことがあり、少しではありますが影響を与えられているかのと思います。

 ー若者にメッセージをお願いします。

アジアは距離的にも金銭的にもハードルが低いので時間がある学生のうちに行くことをお勧めします!海外に行くと視野が広くなりますよ。

あとがき

私自身高校生のころからスケートボードを始め、その時からShimonさんのYouTubeを視聴し、今回のプロジェクトを知りました。スケートボードを一つのツールとしてASEAN諸国の孤児院の子供たちに新しい体験・刺激を与えるという活動は、私自身も新しい刺激をもらったと感じています。

また、このプロジェクトを通じてShimonさんは「若者にもASEANの社会問題に少しでも興味をもってもらいたい」と述べられていました。孤児院の子供たちだけにとどまらず、こうした日本とは違った世界を配信することで、日本の将来を担っていく若者にも新鮮な刺激・体験を与えているのではないでしょうか。

現在Shimonさんは自身のブランドであるShimonを立ち上げ、その利益の一部をSkateAidプロジェクトにあて、今後も活動していくそうです。同じスケーターとして、また同じ世代として、私自身鼓舞され、これからも応援し続けていきたいなと感じました。

(スキルを披露。それに虜になっている子供たち)