「グローバル市場で成功する日本企業を10000社つくりたい」そう主張するのは、海外進出を検討する日本企業の進出支援サービスを提供する会社Resorzの代表である兒嶋 裕貴氏である。豊富な海外での体験から辿りついたのは「日本人がもっと海外で活躍できる環境をつくること。」その理由と、そこに至った原体験を同氏に伺った。

《プロフィール|兒嶋 裕貴(コジマユウキ)氏》
1980年生まれ、早稲田大学商学部卒。学生時代から海外放浪し、40ヶ国ほど巡る。卒業後にテレビ番組制作会社に勤めた後、ITベンチャーにてウェブサイト売買事業の「サイトストック」を2名で立ち上げ上場会社に事業を譲渡。同社のベトナムでのオフショア開発企業の立ち上げを終え退社。これまでの海外での滞在経験から、日本人や日本文化をもっと世界に広めていくために、自分が世界で見たものをもっと日本に還元したいと思い立つ。そして、2009年に株式会社Resorz(リソーズ)を設立。現在、海外進出をサポートするビジネスプラットフォーム「Digima 〜出島〜」をはじめとする海外進出支援事業を行っている。(同社HP|会社概要より

 

「民間版JETROを目指す!海外進出をサポートする「Digima〜出島〜」とは?」


ー御社が運営する「Digima〜出島〜」について教えてください。

私がミッションとしてやろうとしていることは、「日本の文化立国」「ハイブリッドなジャパニーズの量産」です。そのために現在は、日本企業で働く人達や、クリエイターとして活躍できる人材をどんどん海外へ出していくためのサポート事業を行っています。

私は、10代の頃からアジアに旅に出ていて、バンコクなどアジアの大都市を十数年ずっと見てきているんですが、そこであることに気付きました。以前は空港から市街地の道のりにはSONYやTOSHIBA、Panasonicの看板が多かったのですが、今は違うんですよ。LGやSAMSUNGをはじめとする韓国・中国企業がほとんどです。中国・韓国のプレゼンスを見ていると「日本、ちょっとまずいよね」と思うのですが、かといって日本の商材・サービスが劣っているかというと全くそういうわけではないんですよね。ただ足りていないのはグローバル視座、そして海外進出のバックアップ体制が国全体として整いきれていないことです。海外ビジネスに必要なものには、情報や資金調達、現地パートナーなどの人脈、販路というように様々なことが必要になります。それら海外ビジネスに必要な事をプラットフォームとして全て揃えようというサービス、それが「Digima〜出島〜」です。 国だけではサポートしきれない部分までサポートしていく、「民間版JETRO」というような立ち位置です。

出島 キャプチャ イメージDigima〜出島〜HP

 

ー海外進出を希望する日本企業は、ノウハウがなくても出られるのでしょうか?

海外ビジネスと言うと「騙されているんじゃないの?」とか、「大手がやるものでしょう?」と言われてしまうような、海外ビジネスの「イメージ」があります。それ自体をまずは変えていかないと、日本企業の海外進出は遅れてしまいますよね。
2015年のASEANの経済統合以降は、インターネット社会もインフラ・通信が加速し、関税なども徐々に撤廃され、物流などももっと便利になるでしょう。では、その前に我々は何をしなければいけないかというと、そういった海外でビジネスをする企業さんが困った時に、サポートができる企業や情報を集めたプラットフォーマーになるということでした。

例えば、インドネシアに進出したいというメーカーからの相談であれば、レンタル工場を検討しているのか、現地企業のM&Aなのか、もし現地法人を設立するのであれば、その際の法務や会計事務所も必要ではないか、海外人材採用も必要ですよね・・・。というように、色んな角度で海外ビジネスに必要とされるジャンルの支援企業を紹介することで、初めて海外進出を検討する企業さんだったとしても、その課題を私達が吸収し、「さあ、海外に出られますよ。」という状態にできます。

 

—日本人個人に海外へ行ってもらうのに良い手段はありますか?

日本企業単位だけではなく、日本人個人が海外に出ることを応援するという意味で、やはり言語の問題は切れないこともあり、Resorzとは別の会社なのですが語学学校を経営しています。日本人が訪日外国人をおもてなしするときに、「語学力」というのがボトルネックになっていてうまく対応できていないと感じています。日本人は6年間英語勉強しているのに、その多くはしゃべれないという現状にあります。その理由の1つに「語学学校は高くつく」というイメージがあるからです。そこで、1時間500円という格安で語学を教えたいと思いました。

まず、注目したのは韓国語です。この事業モデルで成功し、今年からは英語も同じく500円から受講できる「ワンコインイングリッシュ」としてスタートしました。(追記:HPはコチラ

日本人の語学の壁をぶっ壊してあげたいと思っているんですよ。例えば外国人が改札で困っていたら、おばあちゃんが ”May I help you?” ってと声かけてくれたら、日本人としても、かっこいいじゃないですか!そういった部分を、なるべく安く、習いやすいものにして、語学というインフラを根本から変えなくちゃいけないと思っているんです。

 

ー募集されている「ヒッピー営業」について教えてください。どうして「ヒッピー」というユニークな職種名にしたのですか?

「Digima〜出島〜」のサービスでは、海外進出をサポートしてくれる支援会社(コンサルティング企業や市場調査会社、通訳や翻訳事業など)の協力が必要です。その海外現地での提携企業を増やすための営業です。世界を「放浪する」というイメージのある「ヒッピー」ですが、私がまさに、ヒッピーのように放浪していたので、このように名付けました(笑)

単に営業してくるだけじゃなくて、バックパッカーで旅するように、海外のそれぞれの国で生きるということのダイナミズムを感じて欲しいんですよね。この前も、バイクで世界一周しながらしながら営業しにいくっていう人がいましたけど、要は型に囚われる意味ってないんですよね。歴史を見たらわかりますけど、何事も変わっていくんですよ。現代ではネクタイしますが、昔はしませんでしたよね?
我々は小さい会社なので、おかしいと思ったらそれを変えていけるんですよ。固定概念に囚われないで考えたのがヒッピー営業だったわけです。絶対という型はないということです。

出島 ヒッピー営業求ム!世界を巡るヒッピー営業!

 

「ハイブリッドなジャパニーズを量産する。」

 

ー兒嶋さんの言う「ハイブリットなジャパニーズ」の定義とは?

世界の事を知りつつ、日本の良さを分かっていて、グローバルで活躍できる日本人=「ハイブリッドなジャパニーズ」だと思っています。
つまり海外に出ることによって、世界に置かれている日本を正確に捉えられる人ですね。海外に出て、初めてわかることってあると思うんですよね。最終的にそれを日本へ還元したら、これから先日本は変わっていけると思います。
大前提としてグローバリゼーションが起きていくとして、資本力のある人が勝ち、誰でもできる業務は後進国が取っていくと思います。そうなると、日本人がやらなきゃいけないことは1つで、日本人にしかできないことをやるんですよ。そういったこと、つまり日本人としての原点回帰を起こしていかなければいけないんですよね。

現在の、世間一般的に言われている「幸せ」ってなんだと思いますか?
「肩書き」「金持ちになること」、つまり「豊かさ=幸せ」というのが一般的な考えだと思うんですよね。だから勝ち組、負け組ができてしまうわけです。日本の歴史を振り返ってみると、高度経済成長、所得倍増計画。お金貯めてマイホーム買って、これで幸せだと当時の日本人は思っていました。でも、どうもギスギスしていてこれって幸せじゃないのかな、と気付き始めているんですよ。じゃあ答えはどこにあるかと言うと、家族を大事にするのような、もっとプリミティブなものだと思っています。日本人には日本人の幸せ、価値観がある、というように戻していかなければいけないんです。

 

ーどうしたら日本人としての原点回帰を起こせるのでしょうか?

それこそ、ハイブリッドなジャパニーズといえる人材がポイントになります。例えば、ブラジルワールドカップで、日本人がゴミ拾いをしていたというニュースが話題になりました。それが世界中で賞賛されているのを見て、「ああ、これで良かったんだ」というように自己肯定できます。
つまり「自信を持つ」ということ。私、40カ国以上行っていますが、世界的に見ても日本はユニークな国です。日本人はほとんど、ほぼ一つの民族で、何千年も一つの価値観でやってきました。だからこそ空気が読めるんですよね、おもてなしもできるし、世間の目も気にする。それらは世界にはない概念でした。この概念は世界を救えると思います。一人でも多くの日本人に海外に出て、いかに日本が恵まれているのか、ユニークなのかに気づき、それを活かしたいという使命感を感じて帰ってほしいですね。

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—豊富な海外旅の経験の中で、何か転機となることはありましたか?

メキシコのカンクンにある、イスラムヘーレスというところで寿司パーティーをしたのが起業のきっかけですね。(笑)
海がきれいで、世界中からヒッピーが集まるような小さな島です。そこでは1人の日本人と出会いました。彼は九州から来た料理人で、カリブ海のどこかで日本食の店を出すのが夢で、海外の旅に来た初めての国が、そのイスラムヘーレスだというんですよ。
ある日、彼と他の外国人旅行者たちと食事をしていたら、周りの外国人が「君たちは日本人だろう?僕ら、寿司が食いたいのだけど作れるか?」と言ってきました。「日本人だから、みんな寿司が作れるわけじゃないから!」と私が答えると、福岡の彼は「ぼく、料理人だから寿司握れるよ」って言うんです(笑)そして、「よし、それなら明日、寿司パーティーをやってやるぞ!」と返事をしてしまいました。

次の日、さっそく漁師から白身魚をもらったり、アボカド採りに行ったり、卵、サーモン、あと酢と米を手に入れて、たった4種類の寿司ですが材料は揃いました。その次に場所です。レストランに交渉するために、5軒ほどしかないレストランストリートから、一番イケてない店なら貸してくれる可能性があると思ったので、聞いてみました。「今晩、貸しきらせてくれ。ただし、お金はない。でも、一つあなたにメリットがある。ぼくは30人呼べるし彼らはみんなお酒を飲む。全く儲からない状態で店を1日やるのか、30人来てお酒を飲んでくれるのか、どっちがいい?」
と交渉したら「面白そうだな」と言って貸してくれました!
そんな訳で開催した寿司パーティーは大反響でした。「これがホンモノの寿司か」と、みんな本当に感動してくれました。色々なことをやってきましたけど、アドレナリンが全身からみなぎっていたこの成功体験は忘れもしないです。この日から私達は「寿司ボーイズ」と呼ばれて、その島のどこに行ってもお酒がタダな代わりに、「寿司パーティに呼んでくれ」とまるで英雄かスターみたいな扱いでしたね(笑)

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この体験で気づいたことが二つあって、一つが、「日本のコンテンツは素晴らしい、世界で勝てる」ということ。もう一つは、「ノウハウはいらない」ということ。寿司パーティを開いたのは初めてでしたが、思いと頭ひねればどうにかなるんだということを学びました。自分の中であれを超える経験はありません。その成功体験から、何か経験があることしかできない、やってからじゃなきゃだめだということもない。という想いが今に続いていると言えますね!

 

「いつだってマイノリティが世界を変える」


—「若者の海外離れ」と言われる中、若者に海外に行ってもらうためにはどうすればいいと思いますか?

2割8割の法則だと思います。(参照:パレートの法則とは – コトバンク) ぼくは、現状を嘆いているわけじゃありません。マイノリティが世界を変えていくと思っているので、わかっている人間だけが出ればいいと思っています。彼らがちゃんと日本に大切なことを還元していってあげればいい。そこから一気に変わっていくので。ここがおかしいよ日本って思ったら、変えられるのが民主主義だと思っているし、やっぱり、諦めないでわかっている人間がおかしいと思うところに気付いて、変えていかなきゃいけないんですよね。