甘すぎる!?それでも、やみつきになるシンガポールの“カヤトースト”


食パンにつけるとしたらどんなジャム?と聞かれたら、イチゴやオレンジのフルーツジャムを思い浮かべる人が多いでしょうね。そう、私も食パンにつけるならイチゴジャムだって思っていました。だって定番のジャムですもん。

あの日、あの時、あのジャムトーストに出会うまでは・・・

初体験!緑色のココナッツミルクのジャムトースト?


私が初めて、シンガポール名物の「カヤトースト」に出会ったのは、2008年のこと。さらに遡った1999年にシンガポールに行ったのですが、その時はカヤトーストの存在すら知りませんでした。ちょっとしたきっかけで再星訪した時に、衝撃を受けてしまったのがカヤトーストです。

薄切りの炭火焼きされたトーストに、緑色のジャムと厚切りバターが挟まったトースト。その傍らには、コピと呼ばれるコンデンスミルク入りのコーヒーとなぜか温泉卵(ソフトボイルエッグ)の三点セット。これがカヤトーストの定番スタイルです。

カヤトースト_01(朝食も外食が基本のシンガポールでは定番の朝メニュー)

緑色のジャムは「カヤジャム」。ココナッツミルクに卵と砂糖、“パンダンリーフ”という香りや色つけに使用されるハーブを炊き込んだジャムです。このカヤジャムがまた中毒症状を起こすくらいにうまい!!

ココナッツミルクの香りが漂って、塩っけのあるバターとこれまた合うなぁ。周りをみれば、温泉卵にコショウと醤油を垂らして混ぜ混ぜして、トーストにつけて食べていました。私も真似してみよう!ひえ~~っ、温泉卵のマイルドさが絡まって、面白すぎる味になったぞぉ。口の中が甘しょっぱくなったところで、甘~いコピを一口。

これは、亜熱帯の国、シンガポールだからおいしく感じるのかしら?そんなことを考えながらあっという間に完食してしまったのです。


最近のトレンドは“厚切りトースト”。伝統にも変化が!


シンガポールでカヤトーストは、いたるところで食べることができます。専門店はもちろん、複合施設の中のフードコートやコーヒーショップなど。また、カヤジャムはメーカー各社から販売していて、スーパーには必ずといっていいほど陳列されています。長年、シンガポール国民に愛され続けてきたカヤトーストは、先に申した通り、薄切りトーストが定番とされていました。しかし、近年ではその流れも新しい試みがなされているのです。

カヤトースト_02
(厚切り派の老舗「喜園咖啡店」のカヤトースト
パンダンリーフが入っていないので茶色のジャム)

 

日本では、フワフワ食感のソフト食パンが人気ですが、シンガポールもパン屋さんをのぞけば、ソフトタイプのパンが主流です。その流れはカヤトーストにも浸透したのかもしれません。分厚く切られたフワフワ食パンにカヤジャムを挟んで提供する店が増えてきました。

基本のカヤジャムとバターは健在ですが、薄切りよりも食べ応えがあり、外はカリッと中はふんわりといった食感が人気となっています。また、マフィンのような厚めの丸型カヤトーストもお目見えし、若者向けのカフェを中心に提供され、オシャレ女子にも人気です。

薄切りカヤトーストはチェーン展開されている店で多く、観光客にとって名物カヤトーストといえば、薄切りに限る!といったところかもしれません。しかし、他の人と同じものを食べるよりは新たな発見をしたい、食を探求したい、と思う方には厚切りもオススメです!

 

 

シンガポール発の老舗「ヤクンカヤトースト」 ASEANに広がる

カヤトースト_03
(本店は金融街近くの「Far East Square」にある)

カヤトーストのチェーン店で、国内外50店舗以上も展開している老舗人気店が「ヤクンカヤトースト(Ya Kun Kaya Toast)」。今年で創業70年周年を迎えます。メインストリートや複合施設、ローカルエリアまで網羅するほどで、カヤトーストの代名詞といっても良い存在でしょう。

日本にも、2006年に東京・豊洲に初上陸しましたが、6年後には撤退という残念な結果になってしまいました。独特なスタイルと甘い味わいは、日本人には少々ハードだったかもしれませんね。東アジアでは韓国、中国で現在も健闘を続けています。

本場ASEANとなると、カヤジャムが浸透しているマレーシアやインドネシアでは、本国と同様にチェーン展開をしていて定着しています。また、フィリピンでも店舗数を増やしています。2013年には新たにミャンマー進出と、海側のASEANだけではなく、陸側のASEANでも今後の展開が注目されています。

 

カヤトースト_04

 

私も色々な店でカヤトーストを食べていますが、食パンの焼き具合やカヤジャムの濃度なども店によって様々なので、ぜひ食べ比べしてみるとおもしろいかもしれません。「自国で人気となった名物が、実は海外から上陸したものだった」ということが良くありますが、カヤトーストもそれぞれの国で愛され、自国ブランドとして、これからも飛躍していってほしいものですね。