想像を超えた挑戦をやり抜けば6日間で人は変わる。学生向け海外短期研修を企画/小石川統さん

大学2年生という早い段階から休学し長期インターンを経験、その後も学生向けキャリア事業を行うkokokara Groupに参画し、アジアでの短期研修プログラムを企画されるなど行動力のある小石川統さん。大学1年生のはじめの頃は一般的な大学生活を送っていたといいます。そんな小石川さんは、どうして海外でインターンという決断をすることになったのでしょうか。また、原点にもなっている無茶体験とは?学生が一歩踏み出すためにはどうしたらいいのか?ベトナムから一時帰国中の小石川さんにインタビューさせていただきました。

<プロフィール 小石川統さん>
kokokara Group 創業メンバー。大学2年時に休学しベトナムで7ヶ月海外インターンシップを行う。海外で働くことに魅力を感じ、kokokara海外インターン事業の責任者となる。2017年春・夏を通してkokokara Asia Tour 2017 全プログラムの企画運営を敢行。2018年より株式会社Leaperを創業予定。

海外インターンは直感で決意

ー簡単に今までの学生生活でやってきたことを教えていただきたいです。

1年生の前半は一般的な大学生活を送っていたんですが、夏休み前になんとなく訪れた企業説明会で伊藤さんというベトナムで旅行会社を起業した方のお話を聞く機会がありました。その方は大学卒業後100万円だけ持ってベトナムへ行き、ビラ配りから始めて今では東南アジアで複数事業をやっている方で、逆境から挑戦した生き様や熱意に衝撃を受けたんです。

翌年からのその方がベトナムのホーチミンで経営している旅行会社と、同じくホーチミンにあるホテルでインターンに行くことを決めました。

フィリピン留学も入れてほぼ1年間を海外で過ごし、帰国後はkokokara Groupという会社に参画。インターンを受け入れのための海外営業や、学生向け短期インターンプログラムであるkokokara Asia Tourを企画・運営を行ないました。

kokokara Group代表の清光さんのインタビュー記事
学生向けの大規模イベントを主催、成功させてきたkokokara group 代表・清光陽介氏が語る “想像を超えた無茶体験” の必要性とは?

ー伊藤さんとの出会いが今の活動に繋がる大きなきっかけだったのですね。今は何をしているんですか?

2017年4月からはWebメディアやフリーペーパー事業を手がけるホーチミンにある企業のお手伝いをしていました。ベトナムでの起業をするために、リサーチを進めつつサービスを作ろうとしています。また、来年(2018年)行うkokokara Asia Tourの準備もしていますよ。

短期間でも真剣に取り組めばたくさんのことが得られる

ーkokokara Asia Tourとはどんなものなんですか?

5泊6日でやり抜く力をつけるための短期海外研修プログラムです。場所は主に東南アジアで、それぞれの国ごとに特色がありカンボジアだったら社会課題、ベトナムだったら事業立案など、ミッション達成のために参加者たちが個人・グループワークを通して取り組みます。

kokokara Asia Tour 2018

ーなぜアジアツアーを思いついたんですか?

長期インターンでは私もそうだったのですが、3ヶ月以上など休学しなければ行けないという期間的長さの問題があります。それを払拭して行きやすくしながら、短期間でも海外で働く様々な大人たちに出会えて新しい視点を得られるような体験をより多くの人にしてほしい思い、kokokara Asia Tourを始めましたね。

ー実際に開催してみてどうでしたか?またどんな評価を得ましたか?

2017年春には50人くらいが参加してくれて、プログラムを通して「6日間で意外と人って変わるんだな」ということを感じました。これまで第一期、第二期と行っているのですが生きるのが楽になったという意見を聞くことが結構ありましたね。日本で常識の中で生きがちになると悩まされる側になってしまうけれど、そういうところにいない海外で働いている大人やメンターに囲まれると本質的に考えられるようになるんだと思います。

ただ、6ヶ国を毎週連続で開催し全てに帯同していたので、めちゃくちゃ忙しかったです。準備していたのはテスト期間でもありましたし(笑)。それでもやり切れたのは、自分でやると言ったし関わってくださっている方もたくさんいるし、参加してくれる学生さんに対して良いことができているという確信があったからですね。

ー6日間という短期間で得られるものってなんでしょうか?反対に、短期間では得られないものなんでしょう?

6日間で担保できないことは、スキル面です。スキル習得には必ず時間がかかるのでそれはこのツアーではできないことです。

できることはたくさんあって、まずは日本にいたら会えないような大人たちとの接触の機会があります。生き方のサンプルを知ったり、もし自分が海外で働きたいとなったら連絡できる人たちと出会えます。

そして熱量の高い空間を作り出すことができます。興奮した状態は感情をあらわにしやすくて、本能的な意思決定をしやすいんですよね。日本にいたら感情を隠した方が楽だし、このツアーならではの感覚だと思います。

あとは無茶体験の一部を体感できたり、思い込みが外れたり許容範囲が広がったりと、真剣に取り組めば6日間でも得られるものはたくさんあります!

ー短期間でもこのツアーでは得られるものはたくさんあるのですね。実際にこのツアーで大きく変わったなあと思う人はどんな人がいらっしゃいますか?

印象に残っている人が2人いて、1人はベトナムコースに参加した子ですね。その子は最初目を合わせて人と話すのが苦手なくらいコミュニケーションが苦手だったんですけど、企業の人と喋れるようになってついには社長さんにプレゼンまでしていていたんです。やはりそれはチームで取り組むことによって、自分がチームに貢献できているという事実が自信に繋がったのだと思います。そこでコミュニケーションの大切さを体験できたんでしょうね。

あとは良い意味で無知なこともそこに繋がっていると思います。冷静な状態だと社長へのプレゼンなんていきなりしないじゃないですか(笑)。だけど6日間っていう短い期間だし、一生懸命取り組んでいるからこそもっとできるんじゃないかって思って段階を超えて飛び込むことができたんだと思います。

もう1人は1期では参加者として、2期では運営のサポーター、次回は学生メンターとして参加してくれる子です。彼は内定を蹴ってカンボジアで起業することを決めました。2期で作り手側の立場を経験して、自分のやっている行動が参加者にプラスになっていたことが、「自分でもできるんだ」という感覚につながり、起業を決めることになったそうです。

行動を積み重ねると「もっとできる感覚」が溜まります。すると「この先どうなるんだろう」と気になって、また挑戦したくなる。そうやってどんどんチャレンジが生まれていくんだと思いますね。

自分が選んだ道を正解にする

ー先ほどからアジアツアーで得られるものとして仰っていた“無茶体験”とはどんなものですか?

冷静に考えたらできないって思ってしまったり、周りから「絶対無理だろ」と思われるようなことに挑戦することだと思います。これをやったらどうなるんだろう、と想像できない不安を飛び越えて踏み出してみると無茶体験ができます。

ー小石川さんは、これまでどんな無茶体験してきたんですか?

2つあるんですけど、1つは高校生の時の部活ですね。高2の秋に骨折し、本気で走れるようになったのは3月くらいだったけど夏のインターハイでは決勝までいきました。骨折した時周りからは絶対無理だろとか言われたりして。そこで支えてたものは協力してくれていた母親の存在ですね。続けるの?と言われたけど失われた期間を取り戻そう、と思ってやるって決めたからにはやると決めて最後までやり抜きました。

もう1つは1人での初の海外営業です。とにかく困難の連続でしたね。行ったことのない国だし営業経験ないし、Wi-FiやSIMカードも持っていないし目的地にたどり着くのさえも大変だし。

会社をリストアップしてメールしてもアポはそんなに取れなかったり、実際会っていただいたとしても内容について色々詰められたりもしました。一人だからすぐに相談できる人も誰もいなくて辛かったですね。だけど回数を重ねてくるうちにくる質問がわかってきてトークを改善するなどして、結果的に20件の契約を取ることができました。

ー2つの無茶体験から実際にどんなことを得て、自分はどう変わったと思いますか?

陸上のときの辛い経験以上に大変なことはないから他のこともがんばれるはずだ、という底力に繋がっています海外営業している時も同様に、普通の大人ができる営業をできないわけがない、と考えながらやっていましたね。

あとはやるしかないっていう気持ちが大きいです。営業では全然アポ取れない、みたいな現状に気づいて一旦絶望するけどきたからにはやらなきゃいけないっていう真面目さや、やるっていったからにはちゃんとしようっていうことを考えながらやっていたら紹介してもらったり予測できなかった良いことが起こるようになりました。大抵の壁にはビビらなくなりましたよ。

ー最後に、新たな挑戦に踏み出した方がいいのはわかってるけど一歩踏み出せない人へメッセージをお願いします。

踏み出しても踏み出さなくてもどっちでもいいと思います。その人が決断するしない含めて幸せに生きればいいので、踏み出したことの負荷に耐えられなくて自信なくなって不幸になってしまうくらいだったら踏み出さなくていいですよね。

結局行動するもしないも自分ですし、その選択が良かったか悪かったかは自分のこれからの行動次第なので、今を一生懸命生きて自分を肯定するのが重要だと思います。

でも、もしやりたくないタスクに追われて忙しいと言っているくらいだったら、一旦全部置いてkokokara Asia Tour に来ちゃえばいいと思います!生きるのが楽になるので。

編集後記

小石川さんの淡々と話す様子から、「自分が何をするかすぐに決めて、それを正解にするためにやり抜くだけだ」というシンプルな軸があるのだと感じました。現代は「〜すべき」のような情報がたくさんあるけれど、「自分を肯定する」という考えの元、自分の選んだ道を信じて進んでいきたいと強く思いました。