【新卒海外】アメリカでのインターン・フィリピンでの事業立ち上げを経験。西山七穂さん

2016.02.10

アメリカでのインターンを経て、新卒からフィリピンのセブ島にて働かれていた西山さん。現在は退職し、ライターをしながら世界各国を旅して回るという。アメリカ、フィリピンと2カ国で働かれた経験や、日本での就職活動に感じた違和感など、率直な思いを伺った。新卒海外就職特集

《プロフィール|西山 七穂/Nanaho Nishiyama》
香川県出身、東京大学法学部卒。サンフランシスコのbtraxでのインターンシップ後、フィリピン・セブ島の語学学校「NexSeed(ネクシード)」の立ち上げに参画し、2年半マネージャーとして勤務。週末はNPOセブンスピリットのボランティアとして、フィリピンの子どもたちに社交ダンスを教えていた。現在は、ライター・編集者として活動しながら世界各国を旅して回っている。Twitter: @sanuco_74

 

転機は留年?予想外に道が拓いた海外インターンと海外就職

2.aboutme

—なぜ海外就職をしようと思ったのですか?そのきっかけを教えてください。

もともと海外で働きたいと思っていたのですが、自分の中で敷居が高いことのように感じていました。日本で2、3年働いてからするものなのかなと勝手に思っていたんです。

また、当時は「他の人と違うことをする」ことに恐れも感じていました。周りに取り残されるのが怖くて、周囲と同じように一通り就活をして、違和感を感じつつも日本の会社で働く予定でいました。

そんなムズムズする状況が変わるきっかけになったのが、実は留年。予期せずそれまで自分を縛っていたレールから外れたのですが、びっくりするくらい何も変わらなかったんです。それ以来、チャレンジすることや人と違うことをすることに恐れがなくなりました。

時間ができ、何かやってみたかったことに挑戦しようと考えました。そこでまずインターンとして働くのなら海外に行きやすいかなと思い、縁あってアメリカのbtraxという会社でCEOアシスタントをしていました。

インターン後、そのままサンフランシスコで働く予定だったのですが、VISAが取れませんでした。どうしようかなと考えていたところ、昔からお世話になっていた方に再会し、フィリピンでの会社立ち上げのお話をいただき、急遽セブ島に行くことになったんです。

—サンフランシスコでのインターンの環境や内容を教えてください。

3.sf

アメリカ、日本、台湾人の社員がいる会社でバイリンガル・トライリンガルの人も多かったです。ミーティングの中では英語が必須。インターンであろうが発言を求められます。打ちのめされるときは本当に打ちのめされました。英語力が足りないせいで人に迷惑をかけて、落ち込むこともよくありました。とは言いつつ「ちゃんと彼らの言っていることを理解できて、発信できないと自分の価値がゼロだ」という良い意味での焦りがあって、それが英語力を伸ばすことに繋がっていたと思います。

一方で、今の自分がパーフェクトでなくても機会は意外にたくさんあるということも感じました。どこの国に行っても、日本人をクライアントにしている会社はあるし、英語が完璧でなくても働ける可能性はたくさんあるし。

日本で働いた経験がなくても、英語が完璧でなくても、その会社やポジションに求められるスキルがあって、結果を見せることができれば認めてもらえる。スキルに関しても、分かりやすいITやプログラミング等のスキルだけでなく、ジェネラルスキルだって伸ばせば分かってもらえる。そんな経験ができたことが、貴重な財産になりました。

—日本での就職活動に違和感を感じたのはなぜですか?

違和感

自分を無理やり作り上げる感覚が強かったからです。正直就職活動を始めるまで、将来や働くことについて真剣に考えたことすらなかったので、そんな状況で「一生働きたい会社」なんてものが見つかる訳もなく、エントリーシートを盛ったり、「相手に求められているであろう人物像」を作り上げて面接に向かったり。すごく打算的に思えて、「あれ、これで良いんだっけ?」と思うようになりました。

ただ、就職活動が「どういう働き方をしたいのか」を真剣に考える良いきっかけになったとは思います。私の場合、ひとつの会社で働きたいというより、「たとえ明日会社がなくなったとしても一人で立てるスキルが欲しい」「どこでもいつでも働けるようになりたい」という思いが強かったため、次第にITに興味を持つようになりました。

今の日本の就活にはルールがありますが、本来働き方を決めていく手順にルールはないと思います。行きたい会社が厳しいルールを敷いているのなら、そのルールにのっとる必要があるかもしれませんが、私のように縁で決まる場合もあります。「就職活動」という枠に囚われる必要もないと思いますし、もし今の就活のやり方に合わなかったり上手く行かない人がいても、落ち込まなくて良いのではと思います。

 

スーパーウーマンにならなくて良い。フィリピンでの女性の働き方

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—フィリピンでの具体的な仕事内容を教えてください。

セブ島で語学学校の立ち上げと運営です。

立ち上げ初期は、デスクもないまま、社長の家のソファーでパソコンを広げていました。学校自体のサービスを作ることと、学校をより多くの人に知ってもらうためのマーケティング全般を担当していました。

私が入った当初は、日本人社員は社長含めて3人、インターンが2人、先生も4~5人くらいでしたが、今は80人ほどのスタッフがいます。7割くらいが女性スタッフです。

参考:「将来の日本を背負う若者こそ、外に出てほしい」新たな留学のカタチを創るネクシード代表高原大輔氏 

私がお仕事をさせてもらった中で一番誇れるのは、強いチームを作れたことだと思います。

来た当初はフィリピン人スタッフのモチベーションは低く、私自身コミュニケーションの取り方もわからない状態でした。「フィリピンの人をビジネス上で信用しすぎてはいけない」だとか「情報を出しすぎてはいけない」だとか、本やインターネットで調べたことを鵜呑みにしすぎたのだと思います。

明らかに変化が見えたのは、変に距離を取るのを止め、積極的にコミュニケーションを図った時でした。彼らが疑問に思うことはしっかり答え、不満に思うことはしっかり聞いて解決できるかぎり解決し、とにかく真摯に向き合うことを大切にしたことで、スタッフとマネージャー陣の壁が薄まりお互いを信頼できるようになったのだと思います。

平均勤続年数が半年と言われるフィリピンで、初年度から入っているスタッフがほとんど辞めずに笑顔で働いてくれている。とてもありがたいことだなと、今でも感じます。

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—フィリピンでの生活について教えてください。

オンオフの切り替えがすごくやりやすいですね。仕事が終わった後趣味のダンスを楽しんだり、休日はNPOでフィリピンの子どもたちにダンスを教えたりしていました。

「早く帰れない雰囲気」みたいなのが無く、遊ぶことも大切にしてくれているカルチャーが心地良かったです。

7.dance

あと誤解を恐れずに言うと、良い意味で「すごく楽」なんです。特に女性にとって。

私は働くことが好きで、特に集中したい時はしっかり仕事だけに時間を割きたいのですが、日本で活躍している「働く女性」を見ていると、家事や育児、身なりや美容にも気を使って、とにかく全てをこなすスーパーウーマンが思い浮かぶんです。もちろんそうなれれば出来ることの幅も広がって、人としても強くなれる気がするんですが、正直大変そうだなと。

一方のフィリピンでは、家事や育児も含めて皆で協力する考え方が浸透していて、忙しければハウスキーパーさんを雇って掃除や料理をしてもらうのが一般的なんです。化粧をしていなかろうが、高級な服を着ていなかろうが、そんな見た目だけで人を判断する人はほとんどいません。働くことに集中したい女性や、「女性は家庭」という考え方が合わない人にとっては本当に働きやすいと思います。男性・女性で役割を分けるんじゃなくて、それぞれが合うことをやれば良いという考え方に勇気をもらえました。

タクシーで通勤できるところも良いですね。私は元々田舎出身で、東京の満員電車がどうしても苦手だったので。

 

新卒で海外就職することのメリット・デメリット、そしてこれからの旅について

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ー海外就職のメリット、日本では経験できないと思うことはありますか?

色々ありますが、最大のメリットは日本の「当たり前」を外から見られることだと思います。特に、日本のメディアなんかで「○○であるべきだ」「こうじゃないとヤバイ」とやたら煽る記事を見かけるのですが、それは日本の中で渦巻いている一意見であり、世界の常識でも普遍の真理でも何でもありません。

最終的に自分の人生を決めるのは自分で、自分の行動に責任さえ取れれば他の意見に振り回される必要はないと思います。「今がどうしても辛い」「今の働き方が合わない」と感じている人は、一度今の環境から外に出てみると良いと思います。

海外である必要は必ずしもありませんが、物理的に距離を置くことは、落ち着いて物事を見るのに役立つかと。目まぐるしく日本で起きていることに焦らされることがなくなりますし、日本の良いところも悪いところも見えてくると思います。

—逆に、苦労したことやデメリットはあるでしょうか?

良くも悪くも実力社会なので、「自分ができなければ、得られる仕事が限られる」ことだと思います。日本は育てる文化の企業が多いので、スキルがない人にとっては優しいと言えるかもしれません。

私自身日本のビジネスカルチャーが分からないまま、日本人の方とやり取りさせていただいたので、それはハンデになりました。インターンだろうが新卒だろうが、即戦力として求められることも多々あります。何が起こっても自分のことは自分で責任を取れる人の方が向いているかもしれません。

ただ、何かの選択肢をとったら何かの選択肢を捨てることになるので、どちらかをとれば違う道で得られたはずのものは得られないですよね。何を選択するにしてもメリット、デメリットはあると思うので、何を優先するかではないかなと思います。

—描いている今後のキャリアについて教えてください。

あまりキャリアについては、今の段階で決めすぎないようにしています。それまで行ったこともなかったアメリカやフィリピンも、飛び込んでみて初めて学べたことが沢山あって、それらが次の意思決定に繋がってきたので。フィリピンでの上司の言葉を借りると、「走りながら考えたい」と思っています。

退職し、しばらくは各国を旅します。色々な国を見て、日本含めこれからどこで住みたいか、働きたいかなんてことも考えていきたいと思います。

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私には正直壮大な夢も人生かけてやりたいことも特にありません。自分や自分の大切な人々が幸せで、最終的に自分で自分の人生に対して心からYesと言えれば良いと思っています。

元々書くことが好きなので、ライターとしての仕事は続け、働きながら旅をするということにトライする予定です。

10.cambodia

もちろんこれから沢山失敗するかもしれませんが、失敗に対してはあまり恐れていません。今はまだ守るものがないからかもしれませんが、「失敗したから何なの?そこから考えればいいじゃん」と強気の姿勢で物事に向かっていきたいです。

 

—海外で働きたいけれど、迷っている人に対してメッセージをお願いします。

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私自身何か大きなことを成し遂げた訳ではないので……でも、だからこそ思うのは「迷うなら踏み出してみたら良いんじゃないか」と思います。

やったことがないものはハードルが高く感じるかもしれませんが、「海外なら何でも良い」のであれば今すぐ働ける方法は山ほどあります。

昔読んだ「イシューから始めよ」という本で印象に残っているフレーズなのですが、「悩む」と「考える」は違うと言われています。「悩む」は答えが出ないことを前提に、考えるフリをすること。一方「考える」は答えが出ることを前提にした建設的な思考だそうです。

悩むのではなくて、自分の中で「こうしたい」という思いが固まっているのであれば、どうすればその状況に近付けるのか、小さな一歩でも良いので踏み出してみてはどうでしょうか。

 

【編集後記】
就職活動に疑問を感じたり、日本の生活に息苦しさを覚えたりしたことなど、私自身も共感することが多く、興味深くお話を伺った。周りの目を気にしすぎることなく、どのように働きたいか以前に、どんな風に生きていきたいかを自分自身に問い続け、道を切り開いてきた西山さん。私も自分の心に素直に、生きていきたいと改めて思った。

 

新卒海外就職特集とは?
本当に納得できる道を選び、前に進んでいくために、従来のいわゆる「就職」だけではない様々なキャリアの形があり、その中の一つとして海外就職や起業という形があるということをお伝えできればと思っています。

参照:【新卒海外就職特集】新卒で”ASEANで働く“方々のインタビュー特集、はじめます。

*2/11、一部画像の差し替えを行いました。

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ABOUTこの記事をかいた人

山村 あおい

法政大学国際文化学部4年。2014年に休学、フィリピンのNPOとマレーシアのwebメディア企業にてインターンシップを経験。2015年12月、1ヶ月間でASEAN6カ国を回り、新卒で海外就職・起業をした日本人26名にインタビューを実行。新卒での海外就職を決意し、現在ASEANで絶賛求職中!