2016.02.05

タイのバンコクにて、コールセンターで働かれていた茨田さん。日本での就職活動を経験しながらも、海外に住みたいという気持ちが抑えられなくなったという。現在は日本に戻り、東京で働かれている彼女に、お話を伺った。新卒海外就職特集

《プロフィール|茨田彩恵さん》
1989年生まれ、東京都出身、日本女子大学卒業。2012年、マスターピース・グループ株式会社に新卒入社。タイ・バンコク、大分県での勤務を経て、現在は東京で人事担当。日本・タイだけでなく、中国・フィリピン・香港と全社拠点のパワーアップに尽力しようと奮闘中。

 

日本での就職活動、震災を経て、見えてきた本当の気持ち。

—なぜ海外就職をしようと思ったのですか?そのきっかけを教えてください。

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もともとは公務員試験を受けていました。でも、ちょうど3.11の大震災が起こって、勉強ができなくなってしまって勉強にも身が入らなくなり…まあ勉強に飽きただけだったと思うんですけど。(笑) 試験を受けつつ、民間も受けていました。春の採用は震災の影響で延期になる会社も多かったので、夏採用で受けていましたね。

就活を経て、条件も良いところに内定を頂きましたが、ふと考えた時に、私このまま東京にいたいのかなあと思って。「いや、海外に住みたかったはずだ!」と思い立ったんです。

留学も考えましたが働きたいという思いが強く、急いで色々探して、リクナビで求人を見つけて応募しました。

すぐに海外で働ける求人は、そのときは他には見つけられなかったですね。

 

—海外に住みたいというのはいつ頃から考えていましたか?

家庭の影響があったと思います。

家が工場をやっていて、海外の研修生を雇っていました。父は工場を継いで、海外に技術指導に行っていましたね。

叔父はアメリカのMBAを取得し、現地で家庭も持ってアメリカと日本を行ったり来たりする生活をしていて。

身の回りの人たちが日本以外の場所や人と仕事をしていて、自分も大人になったらそうなるのだと、なんとなく思っていました。でも気づいたら自分が就職しようとしているところは全然そういったところではなくて。これは、今、自分で選択しなければならないのだなと気付いたんです。

 

—周りの反対や葛藤はありましたか? 

すごく反対されましたね。内定をもらっていた会社はおじいちゃんおばあちゃんも知っているようなところで、いったん家族全員を安心させていたのに、急に海外へ行くと言い出したので…。

現在は新卒全員がタイ配属になる採用をしていますが、当時は研修中に適性を見て配属先を判断する採用で、九州や東京で働く可能性も十分にありました。入社して2ヶ月後の自分のいる場所がわからない、そんな変な会社はやめとけ、という反対はもちろんありましたね。

それでも、泣きわめいて説得しました ! (笑)

説得の方法としては、自分が求める条件と、それぞれの会社に入ることで得られるものについて点数をつけ、表を作って説明したんです。最終的にはもともと海外で働くことに理解がないわけではなかったので、辛抱強く説得することができ、めでたく入社に至りました。

入社2ヶ月後にはタイ配属が決まり、タイで働き始めたのです。

写真⑦

 

タイで働く上で大事な就労ビザの話

—具体的な仕事内容を教えてください。

茨田さん③

タイには日本語のコールセンターを持っていて、スーパーバイザーというチームの管理を任される役職に就いていました。様々な業種のクライアントからコールセンター業務をアウトソースしていただいて、カスタマーサービスを一緒に高めていく業態です。タイの中にもいろいろなチームがあって、中途の方を部下として持つことも。

慣れてきた頃には管理者として、新しく来た人の研修、利益の管理、管理職への登用のための研修などを行いました。その後も様々な業種の担当となり、一年間で5社ぐらいのクライアントを担当。

チームを移るたびに全く業務内容が違ったので、新しい会社に入ったような感覚でしたね。私は飽き性なので、それが楽しかったです。

タイには1年いて、次にジョブローテーションで日本の大分、今は東京に戻ってきました。東京に帰ってきてからは、労務管理の仕事をしています。

 

—新卒のビザの条件はどのようなものなのでしょう?

弊社の場合は20歳以上、就労経験があることを条件に、タイでの就労ビザを取得しています。私が配属されたときは22歳が下限で、ぴったり22歳でした。(笑)

ちなみに弊社は「タイにある日本語のコールセンターで働く」ことに、タイ国からの特別な恩典を受けています。

BOI(Board of Investment/タイ国投資委員会)という、投資奨励法に基づき、投資に対して優遇措置を与える機関があります。この機関から外国人のビザ・労働許可の便宜供与の恩典を受けている企業の一つが、弊社のバンコクセンターなんです。

恩典が無い場合、基本的にはタイ人を4人以上雇って、やっと日本人1人が雇えるという決まりがあります。しかし、日本語の微妙なニュアンスがわかる人が必要とされるコールセンターでは、日本人が必要とされます。そのためこの認可をとった結果、弊社では今のような条件となっているのです。

ビザに関しては、会社をきちんと選ぶことが重要です。自分がどうにかするというよりも、会社がきちんとした整備をしているか見極めることを気をつけてください。

参照: BOI / The Board of Investment of Thailand

 

—国によって状況は違いますが、タイのビザは簡単に取れるわけではないみたいですね。続いて、生活について教えてください。お金、暮らし方、食、休日などです。

私は自分で家を探したかったので、最初はホテルに泊まって家を探しました。今の新卒の人たちは会社が家を代わりに借りて、一年間は寮のような形で使っています。2年目以降は、そこに住み続けても良いし、新しいジムやプールがついたところを探しても良いという形ですが、結構みんな最初の家に住み続けています。

イメージとしては、日本でワンルームに一人暮らしするよりも、1.4倍くらい良い部屋ですね。(笑)

私は順応性が高くて、日本に帰りたくて泣くこともなく、楽しく過ごしていました。

ご飯はおいしくて幸せでした。人生で一番太りましたけど…。(笑)

遊ぶのも安いですし、お金がなくなることもありませんでした。行っている間に2ヶ月に1回ぐらい誰かしら日本から遊びに来てくれていましたね。

アジアへの旅行も、日本から行くよりとても安いです。
写真⑥

 

新卒で海外就職という選択肢の現実。そして、今後について

—就職してからの大変なことや苦労はありましたか?

茨田さん④

部下が年上で、かつ社会人経験も上の人たちを管理するということは、とても大変でしたね。

メインの管理者、つまり私の先輩の言うことは聞くけど、サブの自分のいうことは聞かないということもありました。ただ当時の私の指示は仕事も分かっておらずトンチンカンなこともあったと思うので、それは当たり前のことで。だからこそ一生懸命仕事内容を覚えました。

3月に異動する際には「最初はごめんね、これからも頑張ってね」という内容のお手紙をもらって、認めてもらったことに感激しましたね。 

写真③

—海外就職してよかったなあと思うこと 日本では経験できないと思うこと

仕事で落ち込んだときでも、外の世界はタイなので、オンオフがすごく上手になったと思います。

また、タイの人はみんな幸せに生きることに一生懸命で、励まされていました。タイ人の気質は、私にとって心地良かったです。日本だったら、仕事が失敗したときも、散々愚痴って暗くなっていたと思いますが、こんな気持ちの切り替え方があるのだということ知られたのは、タイだったからなんですよ。

タイでは女性が活躍していたり、外国人でも生活環境があって、とても働きやすかったですね。

それから、タフさが身につくと思います。なんで日本と違ってこうなのだろうと思いながら受け入れなければいけない場面も多くあり、その分許容できる範囲が広がります。

写真⑧

—描いている今後のキャリアについて教えて下さい。

まずは今担当している労務管理業務をつつがなく進めて、より会社の組織をイキイキさせたいです。

できればタイに戻りたいとは思いますが、今は海外でも日本でも、働く場所への執着はほとんどなくなりました。

 

—海外就職を目指す若者に、メッセージをお願いします。

茨田さん①

行かなければいけないわけではないですが、行きたいのであれば、後悔しないうちに行ったらいいと思います。

ただし、働くとしたらビザが必要なので、行くならちゃんと調べて、法的な手続きをしてくれる会社を選ぶことが大切。

しっかりと準備をした上で、後悔しないような選択をできれば良いですね。もし合わなければ帰って来れば良いと思います。また、まずは短期で行ってみるのもありです。ほとんどのミスは失敗じゃなくて、経験だなと思っていますので。

 

【編集後記】
一旦は日本での就職活動を経験しながらも自分の気持ちに正直になり、タイへと渡られた茨田さん。タイでの経験を話す茨田さんは、とてもいきいきとしていた。茨田さんの転機は東日本大震災。海外就職に限らず、今自分が本当にしたいことは何か、どうなりたいのかということを見つめ直すことの大切さを、改めて感じた。

 

新卒海外就職特集とは?
本当に納得できる道を選び、前に進んでいくために、従来のいわゆる「就職」だけではない様々なキャリアの形があり、その中の一つとして海外就職や起業という形があるということをお伝えできればと思っています。

参照:【新卒海外就職特集】新卒で”ASEANで働く“方々のインタビュー特集、はじめます。