「海外で働きたい」という気持ちから、若くして大手商社からG.A.コンサルタンツに転職し、ミャンマーでの現地オフィス立ち上げに参画。なぜ海外で働きたいと思ったのか、現在、そして今後はどのようなプランがあるのか、同氏を取材した。

《齋藤康平氏》
2012年早稲田大学商学部卒業。大学時代は1年間のアメリカ留学を経験。大手商社に就職したのち、2014年1月、主にベトナムの人材サービス事業を行うG.A.コンサルタンツへ入社。同年新たにミャンマー法人の設立にあたって、ヤンゴンにてオフィス立ち上げを一人で行う。

 

海外で働きたいと思った原体験 


大手の商社からどうして転職されたのですか?

「自分のやりたいこと」に正直になったからでしょうか。元々、海外で働き、生活したいと考えながら就職活動をしていました。

30歳までに海外で働きたいという理由もあって、商社へ入社しました。社会人1年目の終わる間際、時が過ぎる早さに驚き、「このままの自分でいいのか?」と漠然とした不安が襲ったのを覚えています。そこから、「海外派遣を待っているだけではなく、今、自分から行ってしまおう」と考える様になりました。

その後、海外での転職を決心し人材を扱う仕事のみを選んでいました。今の会社を選んだ理由は、ミャンマーという場所に惹かれたからなんです。それまでミャンマーには1度も訪れたことはありませんでしたが、ミャンマーの民政移管後、著しく変化している国に身を置きたいと思いました。24歳の自分は変化の中で何を感じるか、自分はどう変わるかという期待もありました。
次に大きな変革が起こるのはアフリカだと思いますが、その時私は30歳以上であると思います。若いうちだからこそ見えることがあるはずだと思い、それであれば「今」見たいと感じ、転職を決めました。

 

海外で働きたいと思ったきっかけはありますか?

大学時代1年間アメリカへ留学し、色々な価値観を持つ人と働きたいと思ったのがきっかけですね。僕自身、埼玉県の片田舎出身で、大学に入るまでは同学年は全員顔見知りという環境で育ちました。しかしアメリカ留学で、視野が一気に広がったのを感じました。日本では考えられない突拍子もない考え方に触れましたし、価値観や文化の違いを超えて分かり合える事に大きな喜びを感じました。

留学先にはネパールやベトナムなどのアジア系留学生が多かったです。日本人と違って、アジアの貧困国から来る学生の留学に対する本気度の違いを感じ、圧倒されました。次第に彼らの出身国であるアジアに興味を持つようになり、留学後はベトナムやインドを訪れました。

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寄付率91%!ミャンマーのイマは?


ミャンマーでの事業立ち上げのお話をお聞かせください。

なにも無いところから始まりました。上司から簡単なレクチャーはあったものの、1週間ほど経った後、ほぼ1人でやることに。オフィス探しやスタッフ募集、ミャンマーで営業するためのライセンス取得手続きまでも行いました。ただ、面白かったんですよ!というのも、以前の会社では、まだ若手だったこともありますが、与えられた仕事をこなしていれば問題ありませんでした。

でも、今の仕事では自分で会社の意思決定をしなければなりません。今までと違って、経営者のような立場でした。決定する判断材料も不十分なままで、即決せねばいけない状況だったり、地価が急激に上がっているのでオフィスも即決しなければいけないし、優柔不断な性格もあいまって辛い時期でもありました (笑)。

 

ミャンマーで働く上で大変な面はなんでしょうか?

ハード面ではインフラです。水力発電なので乾季の時にはすぐ停電します。また、インターネットは遅いですし、ヤンゴンではクオリティーの割に地価が高いのであまり満足できません。

ソフト面では、以前の軍政時には教育が良くなかった影響から、働き盛りの30、40代のマネジメント能力は低く感じますね。勤務経験が少ないにも関わらず、外資が入ってきている影響で給料だけが上がっていきます。日系企業を含め、外資は即戦力を求めますが中々厳しいので、教育ありきにシフトする企業が増えています。

また、ミャンマー人は日本人に似ているところがあって、体裁を気にして本音を言わない人が多いです。やりたくないことを頼んだら「やります」とは言うのに、蓋を開けてみるとできていない、ということがありました。それなのに言い訳が多く、責任を負いたがらない国民性があるのでしょうか。けれど、これからもっと外国人が増えていくので変わってくると思っています。自分はこう思っているんだ、という意見を伝えられるようになってほしいですね。

 

では、ミャンマーの良い所は何でしょう?

現地の人が良い意味でおせっかいで、いったん家族のようになれるとかなり仲良くしてくれることですね。

また、けんかしたくない、葛藤を避けたいという国民性があるように思えました。交通事故が起きても、お互いになだめ合って収拾がつくことがあるらしいですよ。ミャンマー人の根底には仏教があって輪廻転生の考え方から、今良くないことがあるのは前世で良くないことをした、考えているようなんですね。だから、それほど悪いことは起きないし、来世で良くなるために寄付をしようと思うようです。

以前聞いて面白かったのは、ミャンマーは世界最貧国にもあげられるのにもかかわらず、寄付率が91%と世界第一位で、給料の半分は寄付してしまう人もいるとのこと。ミャンマー人からは、お金持ちになるためにビジネスでバリバリ上がっていこう、という雰囲気はあまり感じません。アジアなのに物乞いは少ないですし、治安も良い。基本的にはぼったくりも少ないです。

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 同社ベトナムのホーチミンで働く吉原氏も同席して頂いた

 

日本と海外、両方の働き方を知る


—アセナビ読者へメッセージはありますか? 

後悔しないように生きましょう!今できることは先延ばしする必要は無いので、行きたいと思えば挑戦した方が良いです。海外に出てみてわかることはとても多く、行かないことのメリットは少ないのではないでしょうか?今までの経験上、やった後悔よりやらなかった後悔の方が引きずってしまうので、だったらやって後悔しようかな、そのほうが結果的に満足できると思います。若いのなら失敗しても打撃は少ないですし、あまり重く考えずチャレンジしてみるべきではないでしょうか?

日本で働くこと、海外で働くこと、どちらも見る事ができる人が多くなればいいなと感じています。両方経験した上で、どちらを選ぶのか。一方しか知らないのに言い張っても説得力に欠けますよね。

海外で働く日本人には、日本人だから求められているという場合もあります。例えば、日系企業向けにビジネスを行う日本企業。そういった企業は礼儀や日本式の仕事のやり方や、気の使えることなど、日本人としての働き方が求められます。ですので、両方見られる人が良いですよね。

 

ー日本と海外、両方を知った齋藤さんは次にどこへ向かうのでしょうか?

おそらく5年ほどはミャンマーにいる予定です。その後はコーチングなど、ヒューマンリソースに対して学術的なアプローチをしたいので、シンガポールかアメリカの大学院に行って勉強しようと考えています。キャリアに関して、色々な働き方があるんだよ、ということを伝えられる人になりたいです。

伝えたい対象は、やはり日本人がいいですね。特に大学生には、周りが皆やるからという雰囲気に押され「大学→就活」という流れが多い気がします。それに疑問を感じている人がいつつも、結局やってしまう。それを壊したいんです。かつては、私も一緒で大企業志向だったんですが、それでは視野が狭いですよね。もし今の気持ちであの頃に戻ったら、もっと色々な企業を見ることができたでしょう。そういった思いから、日本と海外の両方の視点を持ちつつ、色々な考え・働き方を提供できるアドバイザーになれたらなと考えています。